クロ「・・・いったいなんだったんだ?」
後片付けをする為に戦闘の跡を見ると、氷漬けの犬や俺が木刀で叩いた犬が転がっていた。
クロ「こいつらがまた動きだしても面倒だな。」
まだとどめを刺していなかったし、一応隔離はしておくか。
クロ「座標指定
separated room」
これでよし、っと。
あとは、
クロ(えー、こちらクロウ。
騒ぎの原因となった生物を確保したので、何人か中庭に向かわせてくれ。)
生徒会本部にも、連絡完了。
クロウは、戦闘不能になった妖怪犬――――メイファ達を隔離している。
リリ「これでひとまず安心・・・・・・かな?
副会長、怪我人の搬送の手配はどうなっているんでしょう?」
副『大丈夫だっ!どうやらさっきクロウがテレパシーで中庭によこすようにいっていた!
しかし一般生徒である君たちに心配をさせてしまって申し訳ない!
いや、むしろ感謝している!君たちがいてくれて助かった!』
リリ「保健室に全員収容しきれるようならいいんだけど・・・」
副『なぁに!場所がなくなったら生徒会室もある。
なんだったら寮の俺の部屋を使ってくれても構わんさっ!』
リリアーナを心配させないように胸を叩き力強い言葉を放つ副会長。
流石に自室を保険室代わりに使うのは少しやりすぎな気もするが必要とあらば
副会長は喜んで自室をけが人のために与えるだろう。
リリ「まだ治療を受けていない怪我人の方はいらっしゃいませんか~!!」
リリアーナはスクナから分けてもらった包帯と水薬(スカーフェイスに返し損ねたのだ)を手に、
大声で呼びかけている。
リリ「そういえば副会長やクロウさん、お怪我は無かったですか?
クロウさんはメイファに背中叩かれていましたよね?ちゃんと治療しておかないと・・・」
副『俺は大丈夫だ、クロウの方を見てやってくれ!』
先ほどの爆発からも奇跡的に背中のジャージを燃やされただけの副会長。
リリアーナはクロウとマオの方を振り返った。
リリ「・・・・・・何でマオマオは子供連れなんでしょう?」
しかも子供のおくるみには、黄色いリボンがついている。
リリ(となると、あの子自身が来客ってことよね?)
副『人間っていうのは色んな事を背負っているものだ!
マオ君にだって俺には想像もつかない様な苦労をしているんだろう!!』
さっきからずっとマオには子供がいると思っている副会長。
思い込んだらそのまま一直線で突っ走る!それが副会長である!
クロ「ってあれ?マオ、いつの間に来ていたんだ?」
ここでやっとマオが来ていたことに気づく。
マオ「ん?ついさっきここで騒ぎが起こっていたのを見てな。
まあエリートの僕の力など使うまでもなく収まったようだが」
クロ「ん、その子供はどうしたんだ?」
マオ「あー、話せば長くなってしまうんだが……簡単に言うとヴァンの子供」
クロ「は?」
クロ(えーと、今何て言ったんだ。
あの吸血鬼の子供?
子供なんていたっけ?
もしかして隠し子か? いや、そんなわけないか。 )
ケオ「と言う訳で、僕は残らせてもらうよ。副会長さんは治療も出来るみたいだけど…君やミオは大丈夫?」
クロ「いや、治療は得意じゃない。
でもやることは他にもあるからな。
そっちをやらせてもらうよ。」
クロウやなぜだか子供を抱いているマオに向かって問い掛ける
マオ「まああんまり得意な方じゃ……ってだからミオじゃない!!マオだ!!
なんなんだお前は一体!毎回毎回間違えてー!
あれか?好きな子をいじめるみたいな感覚なのか?
でも僕は全っ然嬉しくない!!そういうことしてると友達いなくなっても知らないからな!!」
僕も友達が居ないというのは置いておいてとりあえずケオスに噛みつく。
クロ「名前くらいで怒りすぎだ。子供が起きるぞ。」
マオ「う……で、でも違うんだ、だってこいついっつもいっつも……」
ケオ「ごめん、ごめん、また間違えちゃったね。」
クロ「またって、そんなに間違えているのかよ。」
ケオ「マオに手を出したら旦那さんが怖そうだからね
闇の眷属と事構えるなんて考えたくないよ。」
マオ「別にあいつとはなんでもない!ひ、人聞き悪いこと言うな!」
次から次へと僕のからかうケオスの言葉を顔を火照らせながら僕は必至に否定する。
クロ(…間違いない。こいつ、確信犯だ。まあ、面白そうだから別にいいか。 )
マオ「…まあいいや、とにかく僕は今この子供の面倒見なくちゃいけないから
治療や手当はケオス、お前に僕の代わり任せた。そのために残ってきたんだろ?」
リリ「マオマオ、一体どうしたの?そんなに大声出すと、抱っこしてるその子が起きちゃうわよ?」
リリアーナはひょいとマオが抱っこしている子供の顔を覗き込んだ。
リリ「あら、可愛い!でもマオマオ、この子いったいどうしたの?
私、どこかで会ったような気がするんだけど・・・・・・」
ケオ「あぁ、リリアーナ。その子、マオの子供なんだってね。」
クロ「ん、そうなのか?
マオが言うには吸血鬼の子供らしいが。」
副『な、なんだってぇぇぇぇぇぇええ!!』
クロウの言葉に絶叫する副会長。おそらく凄まじい想像をしているに違いない。
マオ「そ、そんなこと一言も言った覚えなんてない!
だいたい僕に子供がいるわけないだろ!」
リリ「え~と?マオマオの子供だけどマオマオが産んだわけじゃない吸血鬼の子供?」
彼女は暫くうんうん悩んでいたが、やがてぽんと手を叩いた。
リリ「分かった!その子は
ヴァンエレンの連れ子で、マオマオはマオママになる予行練習中ってことね!」
副『何という事だ。吸血鬼は俗に闇に住まうものとも言われる邪悪な種族。
その吸血鬼との子供、そうか・・・やはりマオ君は相当に過酷な人生を送っているようだ』
もはや真実や勝手な推測が混ざりに混ざり、
どんどん真実から遠ざかっていっている副会長……
副『しかも衣服すら買ってやれないような状態とは・・・くうっ!!
生徒会員であるマオ君の子供ならば俺の子供でもある!!
こうなったら俺が父親になってやるしかなぁぁぁい!!』
ヴ「う~」
まぬけな声をあげて目をごしごしとさすりながら起き出したヴァンちゃん。
ヴ「おろして~」
もぞもぞと体を動かしマオを見上げて、降りたいことをマオに知らせる。
リリアーナは子供を見て何か考え込んでいたようだが、ふと違和感に気づき驚いた顔をした。
リリ「あらやだ、その子もしかしてすっぽんぽんなの?
だったら風邪を引かないうちに、何か着せた方がいいんじゃない?」
ヴ「へくちっ」
リリアーナが言ったそばからクシャミをして、かけられたリチャードの上着を掴んでブルブルと震えている。
ヴ「う~、さむいぃ」
マオ「どうにかできないか?」
ケオ「本当だ。……うーん、ちょっと待っててね。」
服を着ていない事に気付くとオラクルの準備に入る
リリアーナは、今度はクロウをちょいちょいと手招きした。
リリ「クロウさん、背中はどう?良かったらスカーさんの薬、少し飲んでおかない?」
クロ「ああ、今は気功を使って何とか動いてるよ。
でも、仕事に支障が出ても嫌だから少しもらうよ。」
そう言ってリリアーナから水薬を受け取る。
ケオ「良い目が出て欲しいね。いくよ…
精霊からの祝言と贈物を……オラクル」
うん?ちょっと待て。なんか呪文ちがくないか?
しかし、いつも通りに現れる光のテロップ
そこに表示されたのは
《いたずらし隊( ■ー■)キラーン》
ケオ「ごめん、はずれ目だ……」
リリ「は?はずれって何の話?」
《今日のペナルティは……》
《服の入れ替え》
ケオ「嫌な目だな……」
《ターゲットはケオスと…………》
ケオ「焦らすね。」
《リリアーナ!!おめでとう!》
ケオ「僕とリリアーナって…………」
ケオ「不味い……非常に不味いよ。」
《では入れ替えのターイム》
リリ「ええ―――― っ!ちょっと待って―――― っ!!」
光のテロップが地上に降り煙となる。
煙となったテロップはケオスとリリアーナを覆い隠す。
やがて煙が晴れ、テロップに戻る
ケオ「ごめん、リリアーナ…巻き込む事になっちゃって…」
謝りつつ現われたのは……
猫耳をつけメイド服を着たケオスと蝶ネクタイをしめ執事服を着たリリアーナであった。
マオ「………………」
クロ「何?これ?」
執事服を着たリリアーナとメイド服を着たケオスだった。
ケオ「あまり、見ないで欲しいな…」
ちょうど同じ頃、ボワンと間抜けな音とともに煙が立ち上った。
上着とズボンとさらにマフラーと手袋を装備したヴァンちゃんの姿が。
寒さがなくなって快適なのか、嬉しそうに笑顔ではしゃいでいる。
《この魔法の効果時間は三時間。それまではどうやっても脱げません。ワースゴイ、サスガセイレイ
これもお祭りの一環だと思って楽しんで頂戴。ソコニシビレルアコガレル》
リリアーナは大口を開けてぽかんとしている。
クロ「うわ、三時間もそのままなのかよ。」
クロウは正直女装はいい思い出が全くない。
生徒会が漢だらけなのと、平均よりも低い身長が災いして
去年裏ミスコン(又の名を女装コンテスト、学園側非公認)に生徒会代表で出されたからだ…
リリ「あはは・・・あははははは・・・・・・・」
ケオ「………………」
笑顔が素敵なメイドケオスの額に血管が浮いて見えるのは幻では無い
しかし、自業自得……大きなため息と共に肩を落とす。
ケオ「ごめんね…リリアーナ。本当にごめん…」
副『精霊って奴は基本的に適当だからな!祭事だからそう気を落とすな!!
…問題はサイズか。まあ俺に任せておけ!』
(そういい副会長はケオスのキチキチのメイド服を上から下へと舐めるように見ていく。 )
クロ「…なんというか、ドンマイ。」
ケオスすまなさそうな声と心底同情するクロウに、はっとリリアーナは我に帰った。
リリ「あっいいのよ、気にしないで。
でも私は執事服でもまあ良いけど・・・・・・・ケオスさんは苦しくない?その・・・色々と」
ケオ「うん、大丈夫とは言い難い状況だけどね……」
苦笑しつつ改めて確認する
丈の合わないスカート、苦しい胸元、サイズの合わない肩口、いくら細身と言ってもとても動き辛そうだ
リリ「その格好、知り合いに見られたら困るよね?私の友達に頼んで、お化粧で別人にしてもらおうか?」
ケオ「そうしてもらおうかな。バレたら流石にまずいしね。」
ケオ「もう、ね、リリアーナのお店の手伝いでもなんでもするよ。」
見立てが終わった副会長は包帯を手に取り、スルスルと10メートルぐらい伸ばし手刀で切り取る。
ケオ「なんとか出来るの?」
副『ようはちょいと伸ばしちまえばいってことだぁぁぁぁあ!!』
包帯を手に素早くケオスの周りを回りぐるぐる巻きにする副会長。
そして床に手を置くと魔法陣が浮かび上がり光がケオスを包んでいく。
ケオ「それだけでもやってくれるとありがたいよ。」
副『どおりゃあああああああ!!!燃えろ俺のコスモォォ!!』
光が消えたとき、ケオスの着ていたメイド服は確かにサイズがなおっていた。
そう、サイズはなおっている。なおっているのだが……
ところどころ包帯で繋いである非常にチグハグなものになってしまっていた。
副『・・・やはり同じ素材じゃないと無理があった!!すまない!!!』
ケオ「……ありがとう。……とても嬉しいよ。」
焼け石に水のようだった。この状況だけでも充分奇妙なのに服自体も奇妙な事になってしまった
もう笑うしかないなこれは……
ケオ「はは……」
渇いた笑うを見せるケオス
せめて猫耳だけはどうにかならないかと手を伸ばすが猫耳カチューシャは根を生やしたように取れる事はなかった
リリ「そ、そんなに気を落とさないで。似合ってるわよ、猫耳バンド。
男のネコミミが大嫌いなレイド先生にさえ見つからなければ命の危険も無いし!
・・・そう言えば、レイド先生どうしたのかな?
多分ピッコロさん達を爆発から逃がしてくれたんだと思うんだけど・・・・・・」
二人に付き添っていったのなら、保健室に行けば再会できるだろうか?
リリアーナはギズモと何か話しているフリージアを手招きした。
リリ「悪いんだけど、このメイド服をフリージアの色彩魔法で何とかならないかな?
それと、ケオスさんが女装してるってことばれないようにしてあげたいの。
もしマンダが今のケオスさんを見て、ショックで人間不信になると困るしね。
例の魔法のメイクアップセット、今日は持ってる?
お化粧で別人に見せたいんだけど・・・・・・何とかできそうかな?」
ギ「色を変えてもメイド服はメイド服じゃない?」
フリ「大丈夫!全部の色を同じ色で統一すればメイド服には見えませんことよ・・・多分」
自信なさげなフリージア
フリ「・・・・・そうですわ!服じゃなくて肌の色を変えればいいのよ!そうすれば誰もケオスさんだって判りませんわ!!」
ギ「ジルベリア人みたいに青白くするの?」
フリ「それだったら私が何かしたって丸分かりだから逆に南方人の様に色黒にしちゃいましょv」
とケオスの肌の色を魔法で一時的に変えることにしたフリージア
フリ「あと魔法のメイクアップセットですわよね?こんな事もあろうかと!こんな事もあろうかとばっちり用意してありますわ!!」
胸の谷間に腕を突っ込んで化粧道具を取り出すフリージア
- 本当はギズモを女装させて遊ぶために用意していたなんて口が裂けても言えない
ギ「大事な事なので二回言いました」
その事実にまったく気が付いていない幸せなギズモ
フリ「さあ!見せて差し上げますわ!アルティメットメイクアップと言うものを!!」
それっぽいポーズをして化粧道具を構えるフリージア
ギ「プロじゃなくてもプロっぽいメイクが出来る魔法の化粧道具なんだからそんなに気合入れなくても・・・・」
呆れたように突っ込むギズモ
フリ「雰囲気の問題ですわ!雰囲気の!さあケオスさん覚悟を決めなさい!
お母様のお友達もこういってましたわ・・・・美少年はいつか女装する運命にあるって
行きますわよ!アルティメットメイクアップ!!」
どう考えてもその人は貴腐人ですどうもありがとうございました
(10分後)
フリ「まあ私に掛かればこんなものですわねv」
さすがはマジックアイテム・・・素人がやったとは思えない完成度だ
リリ「すごいわ、さすがフリージア!!
これなら誰もケイティがケオスさんだって気づか・・・・ゲフンゲフン」
リリアーナは慌てて口を押さえた。
メイクと色彩魔法は完璧だが、大声でばらしては元も子もない。
リリ「ケイティ、小麦色の肌がアルみたいでとってもエキゾチックよ。
お化粧も似合ってるし、これならきっと誰もケイティがケオスさんだなんて気づかないわ!」
良かったね、と笑うリリアーナに、これっぽっちも悪気は無い。
ギ「ケオスさんは男・・・ケオスさんは男・・ケオ(ry」
リリ「ギズモだめよ、今のケオスさんはケイティっていう女の子だから!」
リリアーナは小声でギズモの発言を訂正した。
そんな中、ふとリリアーナとヴァンは目が合った。
ヴ「ナイチチ?」
しまいにはリリアーナに凄まじい攻撃を加えるヴァンエレン(ミニ)
リリ「―――――――― !!」
ゴゴゴゴゴ!とリリアーナの背後からすさまじい恕気が噴出した!
リリ「・・・・・・・・・ボク?だぁれが洗濯板で平原でマニア向けのナイチチですってえ?」
リリアーナは心無い吸血鬼の一言により黒い悪魔がおいで召されました。
そのあまりに邪悪なオーラを放つリリアーナに吃驚してしまい、
涙ぐみながらマオの後ろに隠れて貧乳の化身の様子を伺っている。
マオ「リリアーナ……フッ、まあ子供は素直だからな。嘘は言えないのさ。」
自分のとリリアーナの平原を見比べて僕は鼻で笑い、
上機嫌にはしゃいでるヴァンエレンを抱っこする。
マオ「それにナイチチでも平原でもそれなりにマニアもつくだろう、
そう悲観することじゃないさ。」
がっくりとその場に膝をつくリリアーナ。
マオの言うとおり現にとある宗教に『神』認定されている。
その信仰ぶりはマニアどころではなく、信者が熱狂するあまりカルト教団と化している。
本人はあまり知らないことなのだが、信者がとある呪術者に依頼して胸が薄くなる呪いをかけているのだという黒い噂もちらほらと存在する。
とまあ、このあたりのアングラちっくな話題は数えたらキリがないので省略する。
リリ「マオマオの胸には夢が詰まってる。けど、私のだって希望を与えてるんだからね・・・・・.」
魔法学園の敷地内に編集長の声で放送が聞こえた。
放送『あーあー、おほん。
こちらはでいりぃ・ふぃじる編集部であります。
現在、一部の場所で魔法障壁が無効になる不具合が発生しておるようです。
原因が判明するまでは、魔法障壁を過信して無茶をされないように注意してくだされ。
以上、でいりぃ・ふぃじるからの、学園祭を楽しむワンポイントアドバイスをお送りしましたぞ』
ケオ「これならいきなり負傷者が増えると言う事は無いかもね。」
リリ「すごい、さすがは生徒会、仕事が速いですね!もしかして副会長のご指示ですか?」
副『いや、俺じゃあない!だがこの声!・・・あいつめ、俺の意図を察してくれたか!』
少し嬉しそうに放送に耳を傾けている副会長。
どうやら副会長は編集長とも顔なじみのようだ。
山田「副会長!!クロウ!!手伝いに来たぞぉぉぉぉぉ!!」
しばらくすると、叫びながらこちらに近づいてくる青ジャージが見えた。
副『山田!山田じゃあないかぁ!!よく来てくれたっ!!』
がっちりと山田と肩を掴み合う副会長。
クロ「あれ?お前一人だけか?」
複数来るように言ったはずなのだが、来たのは一人だけだった。
副『案ずるなクロウ!!山田は我が生徒会の中でも相当な熱血漢!
何時どんな時でも全力を出せる男だぁ!!できるな?山田!』
山「皆は他の作業で手一杯だ。
でも、俺が来たからには大丈夫!!
俺が全部解決してやるぜ!!」
副『その意気だ山田ぁ!!よぉし!!気合入れるためにあれいくかあ!?』
山「分かりました副会長!!」
するといきなり二人とも激しい拳と蹴りの応酬を始める!
副『天上天下!!』
山「唯我独尊!!」
副『生徒会の道は修羅の道!!』
山「けれどもゆけと言うのなら!!」
副・山『『賭けてみせよう!!漢道っ!!』』
副『ふっ・・・・・・また一段と腕を上げたな山田!』
山「何を仰る!まだまだ副会長には追いつけません!」
そして熱い握手を交わしたあと大声で笑い合う二人・・・
もはやこれは違う世界ではないのかと思うぐらいに暑苦しい展開だ!
クロ(何で生徒会には無駄に暑苦しいのが多いんだろう…
思わず溜息をついちまったよ。 )
クロ「じゃあ、隔絶している犬を分析班に渡すのを頼む。
あと、喫茶店の修復も大体進んで手の空いてる奴がいるだろうからこっちに回しといてくれ。」
副『頼んだぞ山田!!』
山「任せておいてください!!必ずや!!」
マオ「そういえば副会長、僕も青ジャージは着用するべきなんでしょうか?」
副『ああっ!!そうだった忘れていた!!マオ君に渡さなければならないものがあったんだ!!』
そういいごそごそと後ろから出したもの、それはピンク色でラメが施され、
さらには胸にマオとビーズでデコレーションしてあるジャージ上下一式だった。
マオ「うわぁ……」
クロ「はぁ・・・、こんなジャージ、よっぽどの物好きじゃないと着ないだろ。」
マオ(これはもう痛いとかそういうレベルのものじゃない!!
こんなの着てたら僕はおかしい人としか思われない!)
ヴ「ぎふぅー」
つまらなそうにその様子を眺めているヴァちゃんは口を尖らせて、不満そうな様子を前面に出してとても不機嫌だ。
副「男子と同じジャージじゃあ味気ないからな!!俺が特別に作ってきた!!
いや、ここはあえてブルマで!!とも考えたんだが今後寒くなってくるからな!!
ブルマは夏に履いてもらうとしよう。さあ早速着てくれ!!」
さあさあとデコジャージを渡す副会長、その目は輝きに満ち満ちている!
マオ「い、いやあの……その……ありがとうございます」
クロ「あー、無理に着る必要はないぞ。
俺もこういう行事じゃない限り着ないし。
生徒会でも服装は基本的に自由だからな。」
マオ「わ、分かってはいるよ。でもあんな風に渡されたら……」
マオ(だから副会長は嫌なんだ。ケオスみたいな故意的にやる奴なら怒れるんだが、
副会長は本気で何の嫌味もなくやってくるから…僕が一番苦手なタイプだ。
しかもこれを着なかったらもしかしたら生徒会を辞めさせられるかもしれない。)
リリ「副会長、怪我人の搬送先はいつものように保健室横の予備室でよろしいですよね?
人員が少ないみたいだし、私も怪我人を運ぶのをお手伝いします」
副『っと!そうだった怪我人を運ばなくちゃあいけない!!
すまないな、本来なら我々だけでやらなくてはならないんだが・・・
好意に甘えてしまうということは・・・まだまだ俺も弱いな』
クロ「手伝ってもらえるのはありがたいんだが、その服装で大丈夫か?」
リリアーナは、近くに転がっていたままのレベッカの槍を拾おうとした。
リリ「お、重・・・・・・・きゃっ?!」
長すぎるズボンの裾に足を取られたリリアーナは、バランスを崩しその場に倒れこみそうになった。
副『危ない!!』
倒れこみそうになるリリアーナの体を支える副会長。
クロ「ああ、言わんこっちゃない。」
副『そんな格好じゃあ危険だ!こっちへ・・・』
リリアーナの手を引き椅子を一つ手に取ると座らせる。
リリ「あ、あの・・・・服は折り曲げておけば本当に大丈夫ですから・・・・・・」
そしてカウンターの方からピンを幾つか探し持ってきて、
リリアーナのズボンの裾上げをする副会長。
あまりに申し訳なくてリリアーナは一人アワアワしていたが、
言い争うだけ時間の無駄なことを悟り、厚意に甘える事にしたようだ。
リリ(副会長って、ホントに何でも出来る人なんだな・・・・・・)
自分よりはるかに器用に動く指先を見つめながら、リリアーナは改めて感嘆のため息をついた。
もしかしたらマオのデコジャージも、魔法でなく副会長が一針一針縫ったのかもしれない。
リリ(ホント、悪い人じゃないんだけどな・・・・・・)
それでもデコジャージは才能の無駄遣いだと思ってしまう。
リリ(熱血漢ってどうしてこう皆センスが独創的なのかしら?)
副会長の行動の一つ一つが、次第に私服がアロハな熱血漢の姿にダブってくる。
リリアーナは赤い帽子をじっと凝視しながら、一人百面相をしていた。
フリ「ところでこの子いったい誰ですの?」
今頃ショタエレンの存在に気が付くフリージア
ギ「何だろう・・・この感情?これは嫉妬?いやライバル心か?」
マスコットとしてのプライドからか何故かヴァンエレン相手にライバル心を燃やすギズモ
フリ「なんとなくヴァンエレンさんに似てるような・・・・まさか隠し子ですの?」
ギ「いや逆に親かもしれないよ・・・・だって吸血鬼だもの」
フリ「そんなわけ無いでしょギズモちゃん!ねえボウヤあなたお名前は言えるかしら?」
フリージアはヴァンエレン似の子供に名を問いただした
ヴ「ヴァンエレン。
う、うー」
同じ魔物であるギズモを連れているためか初対面であるフリージアに対しては割りと警戒心もなく返答する。
しかし同族であるはずのギズモは幼いヴァンエレンに対抗意識を持って燃えている。
ヴ「うー?」
そんなギズモの様子にはまったく気がついていないので、思わず疑問の声を出してヴァンエレンは首をかしげた。
副『ところでリリアーナ君」
リリ「は、はいっ?!」
リリアーナはびくっと立ち上がろうとして、危うく椅子から転げ落ちそうになった。
副『突然だが生徒会に入ってみる気ってのはないか!?
ここまで手伝ってくれるその優しさ、それにさっきの最後まで相手との対話を諦めない姿勢。
まさしく俺の理想としている姿だ。そう!!俺は君に惚れたっ!!』
リリアーナはポカンと口をあけたまま固まっていたが、内容を理解したとたん耳まで赤くなった。
リリ「あ・・・・・あの・・・・・その・・・・・・・・
ふくかいちょ・・・・・・・・そんな・・・・・・こ、困ります・・・私・・・・・・」
副『そうか・・・・・・君ならいい役員になれると思ったんだが。
分かった!俺も男だ!すっぱり君のことは諦めよう!
・・・よし!これで大丈夫裾上げ完了だ!!』
リリアーナは消え入りそうな声でそれだけ口にすると、
茹蛸のような顔で、救いの手を求めるようにぐるりと周りを見回した。
クロ「副会長、勧誘は重要ですが今はやることがあるでしょう?」
女子は少ないから入ってほしいが、今は怪我人を保健室に運ぶことが先だ。
副『まあそう言うな!!ちょっと裾上げついでに誘っただけの話だ!』
リリアーナは、ああ、そうだったの!とばかりに手を打った。
リリ「なあーんだ!勧誘!勧誘だったのね~。そっか、そうよねー!!
むしろそれ以外に何があるって言うのって感じよね、私ったらホントにあはははは!」
クロ「じゃあ、俺は二人運ぶからあとは頼む。
それと、山田、その犬まだ生きているだろうから気をつけろよ。」
「ああ、大丈夫だ。
また動きだしても俺が倒してやるぜ!!」
そんな問題じゃないんだけどな。
クロ「自信があっても用心しておけ。
一応知ってる限りの特徴を書いて渡しておく。」
メモの一枚にに魔法障壁が効かないことや、妖怪であること等を書き込んで山田に渡す。
副『いいか山田、もしお前の前に化け犬が現れたらまず俺達に連絡を入れるんだ!
くれぐれも一人で相手をしようなんて思うなよ?勇気と無謀は違うっ!!』
クロウからのメモを受け取った山田に釘をさしておく副会長。
クロ「じゃあ、そろそろ保健室に向かうか。」
『ああ、そうしよう!まず保険室に預けないと俺達も思うように動けないからなぁ!!』
そして二人を担ぎあげるクロウ、ケオスが三人ほど担いでいるので自然と残りは二人。
ケオスも手伝うことにする
三人程背負い上げるケオス。その衝撃で一人目覚める
生徒「あれ?君は?」
ケオ「僕は…………」
素直に名前を言える筈が無い
ケオ「私は…ケ……」
生徒「ケ……?」
ケオ「ケ……ケ………」
困ったケオスは助けを求めるようにリリアーナの方を向いた
リリ「ケ・・・ケイトさん!そう!その子はケイトさんっていうのよ!
夏休み後に転校してきたんだけど、彼女大人しいから影が薄いって言うか、目立たなくて」
この説明なら、『ケイト』が転入生のリボンをつけていなくても問題無いはずだ。
リリ「その・・・皆と早く馴染めるように、ケイティを学園祭のイベントに参加させたのよ。
そうだったわよね、クロウさん?」
そう言ってリリアーナは怪我人を担ぎ上げたクロウに目配せした。
クロ「あ、ああ。
あまり交友関係がなかったみたいだから参加させているんだ。」
少し声が裏返っているがバレてはいないと思う。
たぶん・・・
リリ「納得できたところで保健室に移動しましょ。少しでも早く治して学園祭を楽しまなくっちゃ!
あっ、大丈夫よケイティは女の子だけど力持ちだから、あなたを落っことしたりしないわ。
・・・・・・でも、さすがに3人は多いかもしれないわね」
リリ「ケイティ、無理しないでフリージアや副会長さん達にも手伝ってもらいましょうよ!
それとクロウさん。怪我人を早く休ませたいのは分かるけど、
あなた自身も怪我してさっき薬飲んだばかりなんだから、無理しちゃ駄目よ。
私は、怪我したみんなの荷物を保健室まで運ぶ事にするね!」
そう言ってリリアーナは、キキーモラがまとめてくれていた怪我人の荷物や上着を拾った。
クロ「普段は1mくらいある大剣振り回しているんだからこのくらい平気さ。
それに薬の効果もあって結構楽だぞ。」
フリ「お~ほっほっほ!私に任せなさいな!空飛ぶ雪の結晶に乗せれば3人ぐらいまでなら大丈夫ですわ!!」
クロ「俺達より多いしな。
2人くらい他の人に任せたらどうだ?」
副『そうだな!!そもそも生徒会でない人間の方が重労働を強いられるのは間違っている!!
二人俺に渡してくれ!大丈夫4人ぐらいなら何とかなる!!』
ギ「すごいや!僕なんて女の子一人ぐらいしか運べないのに!?」
フリ「まあ私は女の子だし軽いからギズモちゃんでも運べるけど・・・・」
どさくさにまぎれて自分の体重が軽いことをアピールするフリージア
副『少年、君だっていっぱい食べていっぱい寝て。
毎日頑張ればこのぐらいできるようになるぞ!!』
そのぱわふりゃあな姿にいつの日だったかお土産だと熊二頭を両脇に抱えて帰ってきた
元プログラップラーであるザンギ○フ似の父親を重ね合わせるのであった。
リリ「そっか!皆で手分けすれば速いよね!じゃあそろそろ行きましょうか。
・・・・・・それにしてもマオマオ遅いね~。どうしたんだろう?」
リリ「あっマオマオ!結局そのジャージにお着替えするの?
だったらその間、私が隠し子吸血鬼さんを見てようか?」
このときビクっと体を震わせてヴァンは恐る恐るリリアーナのほうを見る。
さきほどの禁句によって鬼神降臨した姿が目に焼きついて、ヴァンの心の深くに恐怖を植えつけてしまっているのだ。
ヴ「うー!うー!」
マオ「…………わ、分かった」
必死にいやいやするのだが、どうにも自分のことでいっぱいのマオは近くのトイレに行ってしまった。
マオ「……なんか気持ち悪いぐらいサイズがぴったりなんだけど
作る際にまさか個人情報だとか調べてはいないよな?」
あまりのピッタリフィット感に僕は少し恐ろしさを感じた。
マオ「さて、とりあえず意外と着心地は悪くないが……」
問題は今僕はどんな人間になっているのかだ、見なければ気にしなくていいが、
ここは勇気を出し御手洗いの鏡の正面に立つ。
マオ「…………………」
中央にビーズで書かれたマオの文字、なんだか光が反射して輝いているラメ。
ああ、全てが悪い意味で独創的すぎる……というかこれじゃ色モノだ……
マオ「一体、僕はどこに向かっているんだろう。ちょっと前まではエリートで
凡人には近づけないほどの威光を放っていたというのに、
今では常人に避けられるような格好をしている。」
今までの栄光と現在の状況を照らし合わせなんだか涙が出てくる。
マオ「母様……父様……僕は一体……」
ヴ「ぁわわ…」
ヴァンにとっては悲しいことに鬼神さまと一緒になってしまった。
マオからヴァンを預かったリリアーナは、
「じゃあ、マオママが戻るまでお姉ちゃんと待ってようね」とにっこりした。
ヴ「い…いじめる?」
物陰に隠れながらそっとリリアーナを警戒しながら涙ながらに出た一言。
シマリスのようなヴァンエレンの態度にリリアーナは目をぱちくりさせていたが、やがて
リリ「いじめないよう」
と手を左右に振った。
ヴ「ひぃ!」
が、幻覚かはたまた何者かの思念なのか…背後に血管を浮き出させてものすごい形相のアライグマくんの姿がヴァンエレンには見えてしまった。
リリアーナさん、やはりあなた怒っているんではないでぃすか?
もはや警戒ではなく100%恐怖だけとなってしまったヴァンエレンはガタガタと震えてもえないゴミの箱に入り込んでしまった。
最終更新:2008年12月12日 11:17