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一方、
リリアーナの部屋。
集まっていたメンバーはそれぞれに部屋を出て行く。
その中である異変が起こっていたのに気づいた者はいただろうか?
いや、気付かなくても仕方がないだろう。
その異変とは、ベッドのシーツに小さな小さな穴ができていた、だけなのだから。
穴からには小さな蚕が一匹、もそもそと這い出ていた。
この蚕、スクナの使い魔である。
使い魔といっても技能は魔力の篭もった糸を吐くだけ。
だが、スクナの使う呪布術にはなくてはならぬ存在なのだ。
身体の各所に布を巻きつけているとは言っても所詮は限りのあるのだ。
それを補う為にこの蚕はいる。
通常30センチほどなのだが、戦闘や治療にて大量の布を消費し、それを補充する為に大量の糸を吐き続けここまで小さくなってしまったのだ。
小さくなり衰弱したところでツイナ・スクナの術中の交代。
その衝撃により弾き飛ばされてしまったのだ。
スクナの赤い糸電話の感度が悪かったのはここに原因があった。
通信する事も主に追いすがる事もできぬ身で蚕のすることは一つ。
この蚕はあらゆるものを食べ、魔力の糸へと変換する。
特に魔力が篭もった物品を好む。
シーツに開いた穴は大きさも、その数も、ゆっくりとだが確実に増えていく。
シーツだけでなく、ベッドに、床に、テーブルに・・・侵食は増えていくだろう。
一方、リリアーナの部屋では。
ゆっくりだが確実に蚕は部屋を蝕んでいた。
シーツ・ベッド・テーブルは言わずがな、床や壁も当たり構わず文字通り蚕食していく。
そこらじゅう穴だらけになっており、当然封印術式も機能しなくなっている。
やがてその食手は床に引かれた魔法の絨毯、ムガルにも及ぶ。
最初の一齧りした瞬間、ムガルに織り込まれた紋様が解け、立体を得る。
自己防衛機能が発動したのだ。
絨毯からせり出た人型は蚕を摘むと思いっきり窓の外と投げつける!
その直後、封印機能がなくなった部屋に大量の水が押し寄せた。
戦闘力のない蚕は当然されるがまま、投げられるがまま。
宙を舞い中庭近くの林まで飛ばされてしまった。
しかしそこは下等生物。
ボテッと
林の中に落ちると、特に考える事もなく食事を続けるのだ。
その近くには段ボール箱もあった。
女子寮から大量の水が噴出していた頃。
投げ捨てられた蚕は何も考えずに草や木の幹を食べていた。
体調も30センチほどまで回復し、丸々と太った芋虫が草むらを食い荒らしながら進む。
その先にあるのは一つの段ボール箱。
そこにある不自然さも、中に入っている危険も顧みる知能すらなく、ついにダンボールを齧り始めたのだった。
最終更新:2009年01月15日 09:52