下の階に降りると、フリージアの縦ロールが復活した。
リリ「あっ!フリージア、髪がいつもどおりに戻ったわよ!! 」
ギ「いつも思うんだけど・・・・一体お母さんの髪の毛は何で出来てるんだろう?」
リリ「と言う事は・・・・・・今のところは屋上だけが魔法を無効化されてる・・・で、いいのかな?
ヴァンエレン、使い魔はちゃんと出せる?」
ヴァンエレンは使い魔の状況を確かめようと、マントの影より一体のとぼけた面のラマを出現させて問題はないかと確かめる。
ヴ「問題なしのようだ」
もしゃもしゃと口を動かすだけで表情の変わらないラマをよしよしと撫でると元いたマントの中に入っていった。
リリアーナはマオとヴァンエレンのアドバイスを求めた後、一番近い教室を指差した。
リリ「じゃあこの教室でいったんレベッカさんを休ませましょ」
リリアーナは教室に入ると机を動かし、レベッカを寝かせるスペースを作った。
リリ「ヴァンエレン、そーっと降ろしてあげてね」
リリアーナはポケットの応急手当セットを取り出し、レベッカの傷に包帯を巻きつけた。
リリ「フリージア、使い魔カプセルもう取り出せる?」
フリ「任せなさいな!チャチャチャチャン♪使い魔かぷせるぅですわ♪」
どっかの青い狸のような感じで使い魔カプセルを取り出すフリージア
胸の谷間にある魔方陣は完全復活したようである
リリ「すごいやフリージア!」
ギ「わぁv名前は使い魔カプセルなのにほとんど人間ばっかり入ってる使い魔カプセルだv」
色々とメタな発言をするギズモ
フリ「そういうこといわないの!怪我を治すにはこの中に入るのが一番手っ取りばやいんだから」
リリ「そうよそうよ。ギズモだって今そんな事言ってるけど、本当に使い魔カプセルとして使ったら困るんじゃないの?」
リリ「レベッカさん、私の声が聞こえる?ねえ教えて、メイリンは何をしようとしてるの?」
リリアーナは小声でレベッカに呼びかけてみた。
意識があれば返答があるかもしれないが、過度の期待は禁物だろう。
リリ「レベッカさんが目を覚まさないなら、メイリン本人から事情を聞くしかないわね。
棒メイリンがだめなら、普通に筆談しかないのかな?」
問題は、メイリン自身が西方の文字が書けるかどうかだ。
リリ「棒メイリンにしないと西方の文字がかけないなら、
魔法が無効化されてない場所でもう一度メモを書いてもらうしかないのかな?
ヘレンなら相手の記憶を見ることも出来るみたいだけど・・・・・・・」
だがその彼は今、リリアーナのおなかの中である。
リリ「魔法が使える場所に戻ったんだし、ヘレンもそろそろ出てきてもいい頃なのにね。
何で出てこないのかな?」
強制的に自分を形作ってた魔法を解除されたから、ダメージを受けたのだろうか?
それとも、リリアーナがヘレンを食べたから怒ってるのだろうか?――――ありえる話だ。
ひいい!とリリアーナは顔を引きつらせ、自分のおなかに必死の形相で話し始めた。
リリ「ご、ごめんヘレン、でもあれは緊急回避っていうか・・・・・・。
あんな場所にあなたを長居させたらダメだって思ったのよー。
悪かったわ。怒ってるのなら謝るから、だからヘレン、出てきてよー」
そう言ってリリアーナは、両手をぶんぶん振った。
まるでヘレンが、自分の指先から外に出てくるとでも思っているようだ。
だが当然、ヘレンが姿をみせるような兆しは無い。
少なくとも今のところは。
気を取り直し、リリアーナは話を続けた。
リリ「・・・・・・・事情を聞く話だけど、メイリンに近づいた途端ブスッとやられるのは困るわね。
彼女の腕、変わった色だと思ってたけど義手だったのね。
あ。そういえばメイリンは生徒に攻撃されたって話を聞いたけど、その時は仕込み剣で応戦してたのかな?
この中で見た人っている?」
ギ「僕が見た所ではぜんぜんそんな事無かったよ」
フリ「ギズモちゃんあの時、あなた実際に義手に触ったんじゃなくって?」
ギ「でもその時あの義手にそんな仕掛けがあるなんて気付きもしなかったよ」
リリ「メイリンの義手に触った?どうして?」
話についていけない、リリアーナは不思議そうな顔をした。
フリ「ギズモちゃんグレムリンなんだからからくり細工には気が付かなきゃ駄目じゃないの」
ギ「しょうがないじゃないv僕、壊すの専門だものv」
リリ「まあまあ二人とも。妖怪の義手なんだから、人間の常識では計り知れないものなんでし・・・・うわっ?!」
ぼわん!と突如白い煙に包まれたギズモ。
煙が晴れると、そこには再び少年の姿をしたギズモが立っていた。
リリ「び、びっくりした。元の姿に戻るなら戻るでそう言ってよね。
フリージア、レベッカさんをカプセルの中に入れてくれる?」
レベッカを使い魔カプセルにいれたフリージア
そして再び人間の姿になったギズモ
校舎の屋上では、メイリンが相変わらず鍋を掻き混ぜていた。
鍋からはピンク色の煙が立ち昇っている。ピンク色の煙は天に向かい、
いつしかピンク色の大きな雲を作っていた。
メイリンもまた、そのピンク色の雲の中から大きなプレッシャーを感じていた。
そして、プレッシャーを感じるたびにメイリンは不安にならずにはいられなかった。
\本当にメイレンを呼んでもよかったのかなっ?/
学園の中にいる妖怪で唯一ファン・メイレンのプレッシャーを感じていないのか、
レベッカは使い魔カプセルの中で静かな寝息を立てていた。
しかし、一度ファン・メイレンが現れた事を察知すれば、とても安寧な気持ちではいられなくなるだろう。
リリ「レベッカさんの治療も終わったし、私そろそろメイリンのところに行ってくる。
言葉は通じないけど、まあ何とかなるでしょ」
ヴ「そんな適当でいいのかね?」
行き当たりばったり上等なリリアーナの発言に戸惑うばかりのヴァンエレンだが、実際のところ通訳を用意してやるほどの時間もない。
リリアーナはメイリンから託された棒メイリンの紙をひらひらさせた。
リリ「ん?この紙がどうかしたの?――――あっ!」
リリアーナは遅ればせながら、棒メイリンが再び動き始めたことに気づいた。
リリ「そっか、ここは魔法が無効化されてないから動くのね!」
リリアーナは素直に喜んだが、それも棒メイリンに新しいふき出しが出るまでのことだった。
\本当にメイレンを呼んでもよかったのかなっ?/
リリ「へっ?!メイレンって確か学園長が・・・・・・・・・・えええええええ!!!」
ヴ「最期だっ!もういかん!」
ジャーンジャーン!げぇっ、メイレン!
予想外の強敵出現に一言絶句すると、ヴァンエレンはもう観念してしまったように茫然戦意も失っていた。
フリ「メイレン・・・て誰だっかしら?」
ギ「ほらメイリンさんとメイファさんのお母さんだよ」
フリ「・・・・・そういえばそうでしたわね
で、何が大変ですの?母親がおいたをした娘をお仕置きに来るだけじゃない」
ギ「だったらメイリンさんもお仕置きされるね」
リリアーナは窓辺に駆け寄ると、窓をあけ空を見上げた。
上空にはいつの間にかピンクの雲が出来上がっている。
奇妙な違和感の正体は、メイレンがここに来るためだったのだろうか?
リリ「もしかしてあの雲からメイレンが出てくるのかな?
大変だわ、早く他の皆にも知らせないと――――あれっ?!」
リリアーナは、窓の下の植え込みに横たわるクロウをやっと発見した。
リリ「クロウさんじゃない!そんなところで何してるの?」
その頃のクロウは、地上の植え込みのところで動けないでいた。
しばらく気功による回復(?)に集中していると、屋上の方から強力なプレッシャーのようなものが放たれてきた。
「・・・いったい屋上で何が起きているんだ?」
武術をしている関係で幾度となく相手の放つプレッシャーを感じた事があるが、今のものは尋常じゃない。
リリ「クロウさんじゃない!そんなところで何してるの?」
クロ「何してるって、言われてもなぁ・・・」
突然下に落ちたんだから気付かれてないのも当然か…
リリ「大丈夫?レベッカさんと相部屋でよかったら使い魔カプセルに入る?」
クロ「うっ・・・、相部屋、か。」
今までの言動から少し身の危険を感じるのだが…
いや、今は回復するのが優先だな。
クロ「悪いけど入れてもらえるか?」
ヴ「おおおおおしまいじゃあああぁ。
この世の地獄じゃあ!」
わわわ、と変な声をあげてラスボス登場に対して情けなく一人絶望するヴァンエレン。
リリアーナは教室の中にいるメンバーに声をかけた。
リリ「ねえ誰か、悪いけどクロウさんをここまで引き上げてくれないかな?」
フリ「ギズモちゃん」
ギズモに声を掛けるフリージア
ギ「わかったよ」
とギズモ
つうかあとはこの事か?
ギ「本当は男の人なんてどうでもいいけど・・・・」
と嫌々クロウを助け起こすギズモであった
マオやリリアーナがあきらかに『お前も仕事しろ』といっているような視線で見ているので蝙蝠に化けると窓から外へ出る。
ヴ「ちょっと失礼」
数匹の蝙蝠の使い魔を出して皆でギズモを手伝う感じでクロウの服をひっぱってバタバタと羽を動かして飛ぶ。
クロ「ちょっ、待t
いだだだだだだだ!!」
リリ「大変!二人とも、クロウさんをもっと優しく扱ってあげて!」
ヴァンエレンはクロウをちょっと乱暴に教室まで持ってきてゆっくり床に降ろす。
そして蝙蝠姿のままマオの肩に乗ると大きく深呼吸をして、使い魔を自身の影の中に入れる。
リリ「ちょっと背中見せて」
リリアーナは強引にクロウの服を捲り上げると、問答無用で傷薬を塗り始めた。
リリ「もしかして屋上から落ちたの?痛かったでしょうに・・・・・。
今まで気づいてあげられなくてごめんね」
クロ「すぐに騒ぎが起きたんだろ?
だったら仕方ねぇよ。」
リリアーナはクロウの手当てをしながら、クロウが姿を消した後の出来事を話した。
リリ「というわけで、あのピンクの雲はメイレン召喚のためのものらしいわ。
で、クロウさんとマオマオ、悪いけど生徒会に、メイレンが現れるかもしれないことを伝えて欲しいの」
クロ「・・・なるほど。
しかし魔法が使えなくなるのはまずいな。」
リリ「フリージアが言ったみたいに娘を迎えに来たというのなら、そのまま娘をつれてお帰り頂けば済む話よね。
レベッカさんの話では、メイレンはちゃんと敬意さえ払えば怒ったりしないんですってね。
・・・・・・・・・何事も無くお引取り願えたらいいんだけど。―――― はい、治療終わり!」
クロ「そりゃあ何事も無ければいいけど、
呼び出すってことは本人の意思と関係ないんじゃないのか?」
転移系の魔法を使っているからわかるのだが、呼び出しは半ば強制的なものなんだよな。
リリアーナは使い魔カプセルを持っているフリージアを見た。
リリ「フリージア、クロウさんをお願い。
じゃあクロウさん、ちょっと狭いけど、レベッカさんと仲良くね。
それと誰も見てないからって、レベッカさんにいたずらしちゃだめだからね!」
クロ「俺がいたずらすると思うのか?」
ギ「むしろレベッカさんにいたずらされないか不安だよ僕」
フリ「・・・・・・・?意味が良くわかりませんわ」
17になってもいまだに向こうからユニコーンが寄ってくる少女
フリージアは不思議そうな顔をしてギズモを眺めるのであった
ヴ「む?」
マオがヴァンエレンを抱きかかえて赤子をあやすように頭を撫でている。
ヴ「ふ…ふおぉぉ」
人間にそんなことされたことがなかったので不思議な感じに思わず声が漏れてしまい、ゴロゴロと喉を鳴らして喜んでいる。
リリアーナはコウモリの頭を撫で撫でしているマオを見て、ちょっと顔を曇らせた。
リリ「ちょっとマオマオ、何微妙にへこんでるのよ!
魔法があろうが無かろうが、あなたはマオマオでヴァンエレンはヴァンエレンでしょ?
ギズモに言ったこと、当のマオマオがもう忘れちゃったの?
一緒に居たければ好きなだけいればいいじゃないの!
そもそもあなたとヴァンエレンの主従関係を断ち切ることなど不可能なんでしょ?
だったらもっとでーんとしてなさいよね!」
マオ「べ、別に関係な―――ッ!!!」
反論しようと思って口を開いたが背中をバンバンと叩かれたために舌を噛んでしまった。
マオ「げほげほっ、分かったからやめろ。分かってる…
そ、それに僕はヴァンエレンのことで悩んでいた訳では…」
リリ「じゃあ皆、私はそろそろ行くね!」
リリアーナはそういい残し、教室を飛び出していった。
ヴ「わ、私は…」
いままで蝙蝠姿のまま黙っていたヴァンエレンがリリアーナに向かって言うが、もうすでに相手は教室を出た後だった。
フリ「危なくなったらすぐに戻ってきなさいな!!」
と心配そうに声を掛けるフリージア
クロ「俺も良くなり次第、屋上に向かうからな。」
ヴ「ど、どうしよう…。
リリアーナ大丈夫かな?
殺されてしまうのではないか?」
なんたって相手は学園長とタイマンやっても互角に渡り合えるという変態レベルの強さの持ち主。
機嫌を損ねようものなら死刑の宣言ひとつでリリアーナの首など一瞬で落とせるだろう。
マオが見下ろすと、一匹の蝙蝠がリリアーナの身を案じていた。
なんかそれにイラっときたのでとりあえず耳をつねる。
ヴ「いでででで!」
つねられた耳が痛くて涙目になりながらマオを見上げて不満げに見つめる。
さてと、あとは生徒会の方に連絡か……どうしよう。
真実を言わないわけにはいかないし、かといって下手に介入されても厄介だ。
少し考えたあととりあえず念話を使って本部に通信する。
マオ≪現在屋上に大妖怪メイレンが召喚された。
教師達がこれに対処中なので生徒会役員は屋上につながる一帯を封鎖し
一般生徒の出入りを禁止せよ。それと同時に一般生徒の避難を誘導せよ≫
こんなもんか……やれやれ、副会長がここにいればやってくれるというのに、
クロウも治療カプセルに入ってしまったし。
ヴ「何すんの?」
しかし反応はなく生徒会本部に念話を入れている最中のためにヴァンエレンの言葉は耳に入っていない。
ヴ「ぶーぶー。御大将は最近おーぼーだぞ」
マオ「よし、じゃあ行くぞ」
どこへ?という顔で見つめてくるヴァンエレンの頭を軽くはたき言葉を続ける。
マオ「リリアーナの所に決まっているだろう。お前は心配なんだろ?
だったら近くに行って守るか手助けしてやるしかないじゃないか。」
ヴ「え、え?えー!?」
肩に乗ったままの蝙蝠ヴァンエレンは成す術もなく、自らの地雷によって死地へと送り込まれることになった。
道の途中で誰かの悲鳴が聞こえて更に不安を高めてしまったヴァンエレンだが、戻りましょうとは言える雰囲気ではなくなっている。
クロ「それじゃあ俺はカプセルの中で休ませてもらうな。」
そう言って使い魔カプセルの中へ入っていった。
リリ「あれ?ねえ、ちょっとこれを見て!」
リリアーナは棒メイリンが書かれた紙を見た。
紙に書かれた吹き出しには、忙しなく新しい言葉が浮かんでは消えていく。
教室から出ると、どこからとも無く甲高い音が聞こえてきた。
『アアアアアアアアアッ!!アアアアアアアアッ!!』
音――――否、女性の金切り声だ。
悲鳴のような声は、だんだんこちらに近づいてくるようだ。
ーーーー
フリ「・・・・上で一体何が起こってますの?」
だがこの教室から上を窺うことは出来ない
それに様子を窺いに上に登ったとしても・・・・・
フリ「上に登ってしまえば魔法が使えなくなってしまいますわ」
多分ただの役立たずになるだけであろう
フリ「ここはリリアーナさんを待つしかないのかしら?」
フリ「心配だからちょっと見てくるよ。少し離れれば魔法も解けないだろうしね」
ギズモは窓から飛んで行き遠くから様子を眺める事にした
レヘ「えぶしっ!?」
突然レベッカは冷たい床に頭から突っ込んだ。
レヘ「あ?あ?あ?何だ?一体何がどうなってんだ?」
解説しよう。レベッカは使い魔カプセルの中で飛びすぎたため、
そのままカプセルの外に飛び出してしまったのだ。
そのため、レベッカの装備は全てカプセルの中に残したままである。
しかし、レベッカは自分が少々全裸だからといって特に気にするような女ではない。
「いや~カプセルの中でクロウに襲われちまってな。セクシーな女はつらいぜ。」
などと言いながらポリポリ頭を掻いた。
フリ「クロウさん・・・・趣味が悪いですわ」
どっかの黒猫ならこの獣がぁ!!とかなる所だろうが
フリージアには正直どうでも良かった
フリ「そんな事はどうでもいいですわ!服を着なさい服を!!」
レベッカに対し服を着るように叫ぶフリージア
「はっ!?この気配はメイレンか!?」
レベッカはこの時やっとメイレンの存在に気がついた。
フリ「そんな事は最初からわかってますわ!いいから服を着なさいな!!」
レヘ「バーロー!着る気があっても着る服がねえ(笑)」
何故か嬉しそうにレベッカはそう言った。実際、自分が着ていた服はまわりに無い。
そもそもレベッカは、自分が使い魔カプセルの中にいたことさえ知らないのだ。
レヘ「ありのままに、起こった事をおめーに話してやんよ。」
レベッカは、メイリンに刺された後いつの間にか見知らぬ空間にいて、
その後クロウと二人きりになり、そして二人の間に何が起こったのかを、
レベッカ的に楽しい妄想(美女と野獣:美女=レベッカ、野獣=クロウ 的な)
を織り交ぜながらフリージアに話した。
レヘ「その後いきなりこの教室に飛ばされたってわけよ。どうだ?わかったか?」
レベッカはフリージアに同意を求めた。
フリ「色々と怪しいけど・・・・わかりましたわ」
レヘ「何はともあれ、もう一度あそこに戻って槍をとってこねーとな。」
どちらかと言えば、服はどうでもいいらしい。
フリ「仕方ありませんわねぇ」
フリージアはもう一度レベッカをカプセルに戻すのであった
レベッカはフリージアに協力してもらい、再びカプセルの中に入った。
レヘ「よう、待たせたな。」
レベッカはカプセルの中から出てきて、フリージアに声をかけた。
レヘ「で、どうすんだお前は?メイレンのところへ行くのか?」
フリ「ギズモちゃんやリリアーナさんがいるんだから私がいかない訳にもいきませんわ!」
色々とぶっちゃけるとメイレンが怖いから行きたくないのだが
行かないわけにもいかないだろうというのが心情である
フリージアは知らなかった・・・・メイレンがすごくあれな人だという事を
レヘ「あ~あ、どうすっかな。」
レベッカは、先程の教室に残っていた。
もとよりフリージアの後を追うつもりはない。適当な椅子に腰掛け、
タバコを燻らすレベッカが窓の外を見ながら考えている事は、
今後の自分の見の振り方についてだった。
メイレンが光臨した。
それは、遅かれ早かれ自分の正体が判明する事を意味している。
メイレンの容姿を見て、レベッカと関係が無いと思う人間の方が少ないだろう。
あら、テンちゃん久しぶりね~♪などと声をかけられたら、それこそ目もあてられない。
無論、この学園には種族による差別は存在しない。
だが、それはあくまでそれは建前であるという事もレベッカは知っていた。
おそらく、もうここには居られない。
レヘ「なんだ?何やってんだ、あの妹は?」
レベッカが何気なく窓の外を見ていると、赤い何かが壁をよじ登っているのが見えた。
ちょっと焦げているが、それは間違いなくファン・メイファだった。
屋上に居るはずのメイレンを目指しているのだろうか?
レヘ「あ、やべ」
メイファがこちらの視線に気づいたのか、くるっと振り向いたので、
レベッカは慌てて窓枠の下に身を隠した。
メイファはきっと、自分がメイレンを呼んだと思っているだろう。
レヘ(本当はメイリンがメイファを呼んだのだが、
メイファはきっとメイリンがまだ学園に残っている事を知らないはずだ。)
顔を合わせたら何を言われるかわかったものではない。
レヘ「……もう行っちまったかな?」
レベッカはそっと顔を上げて窓の外をうかがった。
メイファの姿は見えなかった。もう屋上に上がったのだろうか?
ファ『おねーーーちゃーーん!』
レヘ「あいっ!?」
突然レベッカの目の前に飛び込んできたのは、すぐ前の窓ガラスに逆さまに張り付いたメイファだった。
この心臓に悪い妹様は、どうやらレベッカの予想を超えて怒っているようだ。
メイファは、パカーン!と窓ガラスを叩き割った。
レヘ「冗談じゃねぇ!俺はずらかるぜ!」
レベッカは、教室を飛び出て走った。階段を、2段飛ばしにしながら急いで降りて行く。
レヘ「…はぁはぁ、もう追ってこねーのかぁ?はぁ…やっぱ俺の方が足が速いのか。」
レベッカは後ろからメイファが追ってこない事を確認して、ほっとした。
しかし、油断はできない。レベッカは掃除道具等をしまう物置を見つけ、その中に身を隠した。
中は暗かったが、中から鍵をかけることができた。これでしばらくはメイファやメイレンの目には触れないだろう。
レヘ「これでしばらくは『無問題』だな。」
ファ『そうね。これなら誰にも邪魔されないわ。』
レベッカは恐る恐る声のする方へ振り向いた。暗い物置の中でも、その両目はぎらぎらと赤く光っていた。
レヘ「この俺も歳をとったか?妹様の先回りを見誤るとは…」
ファ『裏切り者には、裏切り者の報いがあるの。』
メイファはゆっくりとレベッカに近づいた。
ファ『すぐに終わるからじっとしててね。抵抗するとすごく痛いよ。痛いの、嫌でしょ?』
残念、レベッカの冒険はここで終わった。
(95で〆)
最終更新:2009年02月20日 23:24