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夕方:喫茶店~招き猫広場

ミル「さっきは災難だったわね。ま、留学生なんだから学園のルールは知らないだろうし、仕方ないか」
歩きながら、あたしはブルースに言葉を選んで話しかける。
本人に悪気はないのは分かってるし、どうみても落ち込んでる人間に追い討ちかける趣味もない。
ただ、言わずにはいられなかっただけで。
ミル「タイペーではどうだったか知らないけど、この学園じゃ正当防衛以外の戦いは原則禁止だよ。
 場所によっては、即怖いお兄さんやお姉さまが飛んできて制裁を受けるから、以後気をつけるように。
 後、種族なんかで相手を決めつけるような発言もNG。
 アイシャもそうだけど、この学園には結構微妙な問題抱えてる生徒や先生が多いからね。
 …あたしも、悪魔だからって悪と決めつけられたのは、あまり良い気がしなかったな。
 捨て子だったあたしを拾ってくれた命の恩人は、悪魔だったから」
ブ「うん、信じるよ。アイシャ…さっきの子、泣いてたんだ。
 今までずっと、悪魔は泣かないと教えられてたし、信じてた。
 でも、それが間違いだったとわかったよ。家族のために、涙を流せる悪魔もいるんだって。」
ミル「ま、まあ過ぎたことは気にしないで、これから気をつければ大丈夫だって!
 ほらほら、急いでみんなを追いかけて招き猫広場に行こう!」
そう言われたが、ブルースの歩みが急に遅くなった。
リリアーナやアイシャと再び顔をあわせるにあたり、、急に不安を感じてしまったからだ。
そんなブルースの肩を、だれかがそっと叩いた。それはロウだった。

ロウ「人間なら善、それ以外ならば悪。
 美しければ清く、醜ければ邪。
 もし本当にそうだとしたら、世の中もっと単純で住みやすいでしょうなあ」
ブ「…でも、世界は僕達が思ってたより、ずっと複雑みたいです。」
ロウ「学園長の方針とはいえ、ここはちと特殊でな。
 人と人外とのバランスが、奇跡的に保たれている。
 ある意味理想的な調和世界とも見えるし、圧倒的な力で作り出された箱庭とも言える。
 タイペーはいかがだったですかな?」
ブ「唯一の良い悪魔は死んだ悪魔だと教わってきました。
 そして、河童以外の妖怪は首と胴体を必ず斬りわけないといけないと…
 僕達の学園にいた人種は2種類だけ。純潔の魔法使いと、そうでない魔法使い。」
ブルースは、タイペー島の事情を簡潔に話した。より具体的な歴史的事情はレベッカの方が詳しいだろう。
ロウは少し声を潜めた。
ロウ「・・・・・・あのリリアーナとかいう娘の世界は、ここでの学園生活が長くての。
 一言でいうなら、絶望的な世間知らずな上にお人よしの馬鹿ですなあ
 おそらく今まで生きてきて、他者から手ひどい裏切りを受けたと感じたことなど無いのでしょう。
 だからこそ無防備に他人を信じるし、先入観無しにいろんな種族と付き合えるのでしょうが」
幸せなことですな、とロウは苦笑いした。
ブルースは今までの人生で、随分と悪魔や妖怪のせいでつらい思いをしたが、
それをロウに話したいとは思わなかった。というより、その記憶はジルとだけ共有したいと思っていた。
だから、ブルースはそこから先は黙って聞いていた。
ロウ「わしは、ブルース殿の考えが全て間違ってるとは思いませんぞ。
 ただ、状況と相手の実力をもっと見極める力を身につけるべきですな。
 下手に攻撃して、手負いになった敵ほど厄介なものはないですからなぁ.」
ブルースはうんと頷いた。

リリ「ブルースさんも、アイシャのことを知ったらきっと考えを変えるわよね?
 それと、よくよく考えたらグレムリンだって悪魔族だったんだよね。
 ギズモはいい子だし、今の姿が馴染みすぎててすっかり忘れてたの。ごめんね」
レヘ「あいつ(アイシャ)があれぐらいで泣くとはなー。
  ブルースは真面目だから、ちょっと深刻に考え過ぎてるかもしれねーな。
  おっと、噂をすれば何とやら…」
レベッカは、ブルースがミルクの後ろから歩いてくるのを見て、再びただの槍を装う事にした。
ブルースは何かを決意したような顔でアイシャに近づいてきた。
レン「いじめるの~?」
ブ「いじめないよ。」
メイレンにそう答えたブルースに、レベッカは何故だか胸騒ぎを覚えた。
ブ「君が、悪魔の血を引いているなんて知らなかった。」
ブルースがアイシャに話しかける。
少し離れていたが、ブルースの会話はレベッカにもちゃんと聞こえた。
ブルースは、どう言葉をつなごうか思案しているらしく、両手をせわしなく動かしながら続けた。
ブ「僕は…そう、ずっと悪魔は悪いものと思ってて、だって悪魔は悪という字だし、
 僕達の先祖は、黒い猫…いや、そうじゃなくて、さっきミルクから話を聞いて…
 君が泣いているのを見たし、君が家族のために泣けるとわかったから…」
ブルースは真面目だったが、うまく言葉で気持ちを伝えるのは苦手のようだった。
西方の言葉にまだ慣れきっていないのも原因の一つであるものの、
こんがらがってきたブルースは、大声でこんな事を言ってしまった。
ブ「君が好きだ!」
レヘ「(おいい!?)」
レベッカの悪い予感は的中してしまった。これではまるで愛の告白ではないか。
レヘ「(いや、待て。クールになれよ、俺。どう考えたってアイシャがYESって返事するわけねじゃねーか。
  うん、そうだ。ブルースは真面目で義侠心があるから、悪魔がそんな奴を好きになるわけねーよな。
  それによく見ろよ、アイシャ。今そいつ女装してるんだぜ?見るからに変態だろ?だからNOって言っとけよ、な?)」
レベッカは心中でそう祈った。
リリ「・・・・・・レベッカさん。彼、あなたと付き合ってたんじゃなかったの?」
ブルースがいるから返事は来ないのは分かっているが、それでも口にせずにはいられなかった。
リリ「私もアイシャのこと好きだよ~。仲直りできたのなら良かった~」
リリアーナはブルースの足を踏みながら、アイシャににっこり微笑んだ。


「夕暮れに試して、駄目なら夜明けの晩にも試せば問題ありまセーン!(略)」
リリ「でも、夜明けの晩がもし夕刻だったとしたら?もし今日を逃すと、次のチャンスは来年ですよ~。
 とりあえず、先に試すだけは試してみましょうよ」
などと話しつつ、人ごみに流されないようがんばって歩くリリアーナ。
途中でカモフラージュ装置が不具合を起こし、変な画像を見せていることに全く気づいていないようだ。

ミル「やー、お待たせ!ほら、アイシャにウィスキーボンボンもらってきたよ。
 傘も借りてきたから、雨がひどくなる前に欲しい人は持って行くように」
リリアーナやアイシャに追いついて、キャンディーや傘を渡す。
リリ「わあ、ありがと~」
ロウ「わしも傘をいただきましょうかの、ほっほっほ」
招き猫広場まではもうすぐだ。

どうやらケオスのステージはまだ始まっていないようだ。
多分、昼間の騒ぎで予定が大幅に押しているのだろう。
リリ「それにしても本当にひどい空の色だね、ケオスさん、大丈夫かな?」
ミル「うーん…こりゃかなり降りそうだなぁ…
 魔法の雨除けでも用意してればいいけど、せっかくのコンサートなんだから晴れれば良かったのにねえ」

リリ「あれ~?」
リリアーナは通り道、焼きそば屋台を眺めている人影を見つけた。
リリ「今はグレイブ・・・・・・だったっけ?元気?こんなところで何ぼうっとしてるの?」
リリアーナはグレイブの機嫌などお構いなしで、能天気な声をかけた。
青「……あん?」
名前を呼ばれてそっちを向けば、お馴染みリリアーナがいた。
そして背もたれにかけたグレイブの腕を掴んで引っ張り、立ち上がらせる。
青「何だリリアーナ、厄介ごとなら勘弁してくれ……」
そんなグレイブの呟きは聞こえなかったのか、クリスに手を振り呼び寄せていた。

リリ「あれ~あそこにいるのはクリスさんじゃない。おーい、クリスさーんっ!!」
リリアーナはグレイブの腕を掴んだまま。焼きそば屋台の前で何かしているクリスに手を振っている。
クリ(ってなんだその姿は!!
まわりの人は見て見ぬふりをしている感じだが、いろいろモザイクっぽくなってるところがあるぞ。
明確にどことは言わんが・・・
      • もしかしてリリアーナに渡した装置は不良品だったか? )
リリ「聞いて聞いて、古い鏡を2枚もらったの。
 マリオさんの話だと、ムウ大陸の紋章入りの鏡なんだって~。
 ねえねえ、興味あるでしょ?ちょっとこっち来て見てみない?」
リリアーナは大声で呼びかけると、クリスにこっちこっちと手招きしている。
クリ「もらったってなぁ・・・」
タイミング良くムウ大陸に関係する鏡をもらえるとか怪しすぎるぞ。

リリ「グレイ達も特に予定が無いなら一緒に行こうよー。
 持ってきた死王の話だと、合わせ鏡で、もしかしたら伝説のムウ大陸へ行けるかもしれないんだよ~。
 お宝だってざくざくかもしれないよ~。水中に沈んだ古代のお酒とかに興味って無いかな~?」
その言葉で、不機嫌の中に呆れが追加される。
青「海中保存のアルコールか……大丈夫には思えないな」
クリ(ああ、こいつは海底で発酵させる酒が存在することを知らないのか・・・
 まあ、俺もクロウの爺さんから聞いただけなんだけどな・・・ )
赤【暇だったし丁度いいんじゃねー?しかも海!あったけーんだろーなー!】
黒【R、海にだって季節はあるからね。それはいいにしても、伝説の大陸って面白そうだよね】
青「……このつまらん限りの仕事よりかは、巻き込まれておく方がいいかもしれんがな」
また一騒動あるかもな、と懸念してため息をついた。

マオ「久しぶりグレイブ。ずいぶんと不機嫌そうだね。そんな顔を見てるとこっちまで不機嫌になってくるよ。」
マオとヴァンエレンだ。何故かヴァンは女性化している。
ちなみにおわかりだと思うけれども、グレイブとマオは全く馬が合わない。というよりは犬猿の仲だろう。
成績上位者同士の摩擦もあるのだろうが、それを考慮しても酷く仲が悪い。幸いSやRとの関係は普通なのだが。
ヴァン?そもそも彼とは顔を合わせる機会がほぼ無いので特になんともない。
ヴ「あ、グレイ達久しぶり~。
 元気してた?」
いまマオがグレイブに掴みかからんばかりの勢いで迫っている中で、ぽやぽやと挨拶しているバカが一人。

マオ「僕はお前の事が大っきらいだから本当ならいますぐグレイズかグレイルに変わってもらいたいところだけど…
 でもそうもいかない。さっきあの屋台に火元である紙コップみたいなの投げ込んだのお前だろ!
 おっといいわけしようとしてもダメだ。もうこっちは分かってるんだからな!!」
そういってグレイブに向かって指を指す。
青「はぁ…?」
黒【紙コップって、さっき投げたアレじゃないか!?】
グレイズは気がつき慌て始める。が、グレイブは変な言い掛かりをつけられたと眉をしかめている。
マオ「だけど僕も慈悲ぐらいはある。あの屋台の主のヴァンエレン・ブランカートはドラゴンの血が御所望らしい。
 と、いうわけで!ドラゴンの血200mlで手を打とうじゃないか!」
青「…………」ピキリ
マオの尊大な態度に、好い加減額の血管が浮き出始めた。これでもグレイブにしては耐えたほうである。
黒【す、ストップB!今学園祭中だってば!リバースじゃないんだよ!】
グレイズの静止と同じタイミングで、グレイブの前に出されたマオの手が制止する。
マオ「やっぱりお前じゃダメだな。いきなり襲いかかって来られても困る。
 話しの分かるグレイズに変われ。グレイズ。
 お前だったらちゃんと兄弟のしたことの責任ぐらい取れるだろ?」
青「却下だ。祭りの中ということで魔法は使用しないでおいてやるが、今Sは出れないからな……。
しかし、ドラゴンの血か……そうそう買えるものじゃないだろうが」
……まあ確かにお金がそもそもなかったらどうしようもない。
ミルクのところにいって借りて来いとも言おうとも思ったが、
それでは僕のしていることはただのヤク○さんと変わらない。考えた結果一つの結論にたどり着く。
マオ「分かった。お金がないんだな?そうだ!ドラゴンの血200ml分の財宝でも手を打とうじゃないか!
 これからユリとミルクが主催のムウ大陸にはお宝が眠っているかもしれないという話だ…
 リリアーナはグレイ達が来てうれしいしグレイ達はただ労力を使うだけで僕とヴァンエレンに弁償できる!」
そうときまったらリリアーナ達についていこう、とその前に蝙蝠達に鉄板を洗ってもう一度即座に営業を開始、
止める方法を忘れてしまったオレンジジュースは販売するように伝え、分かった様子で敬礼する蝙蝠達の頭を撫でる。
マオ「とりあえずここはお前たちに任せたぞ、僕とヴァンエレンはこの損失を補填するために行ってくる!」
ヴ「え?」
やはりどうしてもムウに行かなければならないらしい。
ポカーンとしているヴァンエレンの腕をつかんでリリアーナ達についていく。
青「ふざけるな、俺は行くなんて一言も…」
という言葉すら彼女の耳には届かず、既に足は違う方向へ。
赤【聞いちゃいねーな!ひゃひゃひゃ!】
青「…………まさにアホの子……毎度毎度苛々させられる!」
原因はグレイブなのだが。
クリ(・・・さっきからグレイ達とかグレイに近い名前が連発されているがこいつの名前はいったいどれだよ!! )

リリアーナはテレパシーでグレイブに話しかける。
 でも、一緒にきて欲しいって素直に言えないんだよね。
 私は三人が一緒に来てくれてすっごく心強いよ~。・・・・・ありがとね』
青「(……無いな、如何考えても有り得ん。が、まあ悪い気はしない…か)」

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最終更新:2009年05月16日 20:47
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