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7:図書室~宝物庫

レベッカが厳しい口調でメイドに言った。
ロク「ロクーのせいで話がそれちまったが、俺達に変な期待をするんじゃねーぜ、お譲ちゃん。
 てめーらの国を復活させたいなら自分達の力でやりな。 b
 俺達はただの通りすがり。甘えたこと言ってんじゃねぇ。」
ここまで言うと、こんどは優しい口調でメイドに語りかけた。
レヘ「…なーんてな。わりぃな、ちょっと言い過ぎたよ。
 目が覚めたら自分の国が崩壊してたなんて、つらいよなぁ。悲しいよなぁ。
 俺達だってよ、それくれぇの事は理解できるんだぜ?
 だからよ、おめぇが俺達にムウ大陸の宝を渡してくれるんなら、協力をおしまねぇぜ?」
…随分ストレートに話を持って行くんだな、というのがレベッカの説得を聞いたあたしの感想。
もうちょっと遠回しに宝の話を出した方が良いんじゃないの?
ナナナ「え、あの、王様のお知り合いじゃなかったんですか?
   宝を渡したら協力してくれるって…あの…その…ええと…」
思った通り、ムウ大陸復興に来たのじゃないのに宝を渡せ、という部分に不信感を抱いたらしい。
ナナナはお宝を渡す事を渋り始めた。
リリ「あ・・・・あの・・・・・」
レヘ「なま言ってんじゃねぇぞ、お譲ちゃん!人が下手になりゃ調子に乗りやがって、
 ムウ大陸の宝ってのも、ムウ大陸があってこそのもんじゃねーのか?
 俺達がせっかく協力しようってのにそんなせこい根性を見せられたら、俺達も態度を改めねぇといけねぇなぁ!」
リリ(ひ~!!)
ナナナ「ひっ!そ、そんなぁ…メイド長~」
な、な、な、なんというマフィア的懐柔策。
レベッカの術中にすっかりはまったナナナは、半泣きになってカバメイドに助けを求めた。
長「…そうねえ、確かにその人の言うとおりねえ。
 ナナナちゃん。悪いんだけど、私の代わりにみなさんを宝物庫に案内してあげなさい」
ナナナ 「はっ、はい!!」
返答を聞いたナナナは弾かれたように飛び出して、扉を開けた。
ただしレベッカを怖がったのか、リリアーナを避けるように大きく動いて。
レヘ「おぅ、そうこなくちゃな。」
槍がしゃべっていると気付いていない場合、ナナナにとってはリリアーナ=レベッカなのだろう。

リリ「ちょっとレベッカさん、いくらなんでもやりすぎよ。めちゃくちゃ怯えてるじゃないの」
リリアーナはナナナの背を指差しながら、小声で抗議した。
リリ「等価交換って知ってる?
 あそこまで啖呵切った以上、あなたも私も、メイドさんに協力しないとダメなんだからね!
 ・・・・・・・・・・・・別に身体が無くたって、出来ることはたくさんあるでしょ?
 国は違えど、レベッカさんは、国の母になられたお方なんだからね」
レヘ「ぁったりめぇだっ。」
レベッカは、本気でムウ大陸を復活させる気でいた。
レヘ「そして、俺がこの国の母になってやんよ。」


ミシェルはあまりの無聊さに周りに人もいないし、無遠慮に大きな欠伸をかました。
いい加減そろそろ退屈してき始めた頃に、生徒達がゾロゾロと部屋から出てきたからまだマシだったのだが。

開いた扉の向こうには人影がいて…
ミル「あ、ミシェル先生、あたしたちの居場所がわかったんですね。良かった。
 今からメイドさんの案内で、ムウ大陸のお宝を根こそぎいただきに行く所なんです。
 先生も一緒に行きましょー!」
ギ「いや根こそぎは駄目でしょ」
とつっこみを入れるギズモ
フリ「ムー大陸のお宝が私たちの文化でもお宝とは限らないけれど
 それでも行ってみる価値はあるはずですわ」
物事の価値という物は普遍的ではない
つまりムーではお宝でも自分たちにはゴミであるということも有り得るのである
逆もまたしかり自分たちにとってはゴミでもムーではお宝だという事も有り得る
代価を要求されたならばそういう物を渡せばいいのである
ミル「大丈夫大丈夫。根こそぎ持って行って問題なし。
 昔っから文明を救おうとする人間は、タンスや壷の中身まで洗いざらい持って行って良い決まりなんだから。
 ムウも魔法文明の国だから、お役立ちアイテムが一個か二個か百個くらいあるでしょ。
 アイテムは使うからこそ意味があるわけで。
 倉庫で埃を被ってるより、あたしたちが持ち帰って使ってやった方が、アイテムも幸せだよきっと」
一連の漫才の真似事を聞いてミシェルも苦笑を浮かべる。
ミシ「ここは人気がないですから、声は存外響くみたいですよ
根こそぎはともかく、素晴らしい物であるといいですね」
ミル「そりゃもう、なんといっても伝説の土地だしお城だし。
 仮に使えなくても、高く売れそうな換金アイテムががっぽがっぽでふっふっふ…」
フリージアやミシェル先生にお宝への期待を込めて答えていると、ミシェル先生が一言。
ミルクの盗掘紛いの行動予定を是とも非ともせず、取り敢えず無難に答えながら思案する。
お宝。はたしてそう上手くいくだろうか。よしんば有ったところでそんな物に価値があるのだろうか?
ターロンの言うムーを滅ぼした魔導具とそのお宝は恐らく一致しないだろうが、滅ぼしたそれに近いものである事は考えられる。
フリ「さあ一体どんな物があるのかしらね?」
ミシ「お宝だと思って蓋を開けたら、手に負えない代物だった。なんて話は物語ではありがち………ですね。
もちろんムーのお宝がそうだと断定する訳ではありませんよ。飽くまで一般論というやつです」
ミル「え。やだなぁ先生、こんな所で一般論なんて…」

ミシ「そういえば悪魔憑きの彼女の姿が見えませんね?やはり私が嫌われているのかな」
リリ「殿下!それは違います!そんな事無いです!
……上手く話をそらされてしまった。
そりゃ物語ではありがちだけどこれは現実なわけで、まさか、ねえ?

リリ「実はいろいろあって、アイシャさんとは逸れてしまって・・・・・。あ、歩きながら話してもいいですか?」
リリアーナは、ミシェルがいなかった間の話を手短に説明しようとしたが・・・・・。
リリ「えーと、こんな感じなんですけど・・・・・・分かってもらえました?
 私、こういう事説明するのあんまり得意じゃないんで・・・・・・・。マオマオー!ベルジン先生~!」
ミシェルとはあまり面識がないせいか、柄にも無く緊張したようだ。
とうとうリリアーナから泣きが入った。

ナナナの後に続きながら、リリアーナは誰に言うでもなく話し始めた。
リリ「ロクー、結局戻ってこなかったね。何か雰囲気が変わってたけど、人・・・・・なんだよね?
 あ、そうに決まってるよね。何いってるんだろ私。あはは」
リリアーナは乾いた笑いを浮かべた。
ミル「あ?う、うん、ロクーねロクー。どうなんだろ」
他にもリリアーナはナナナに、ムウ大陸に関する質問をしている。
レベッカも、余計なちゃちゃを入れずにその話を聞く事にした。

リリ「ねえ、昔のムウ大陸ってどんなだったのかな?
 ナナナさんは知ってるんだよね?もし良かったら、聞かせて欲しいな。」
ナナナ「ひえぇっ?む、昔のムウ大陸の事…ですか?」
リリアーナから脅されたと思っているナナナは、話しかけられて驚いた。
リリ「あ!ちょっと興味があっただけ。嫌なら話さなくてもいいんだけど・・・・・・・何で滅びてしまったのかなって思って。
 私ね、実は昔、戦争のために作られた大きな蟻を見た事があるの。
 その蟻は、人の気配に反応して襲撃するようになってたの。
 まあそういうのと、ムウ大陸がほろんだ原因とはちょっと違うかもしれないけど・・・・・・・。
 つまりね、原因がわからなければ、復活させてもまた同じことになるんじゃないかって思って」
ナナナ「昔…といっても、私にも昨日の事にしか思えないんですが…
 あ!でもでも!ムウ大陸が滅びてしまった理由は、メイド長から聞きました!
 あの日、ムウ大陸が滅びた日に、どこからか恐ろしい怪物が襲ってきたんだそうです。
 ものすごく強い怪物で、魔法は効かないし攻撃を防ぐ事も出来なかったとか。
 その怪物に、ムウ大陸は滅ぼされてしまったんです!」
リリ「魔法も効かないし攻撃を防ぐ事も出来ない怪物か・・・・・・・。
 もしその怪物が今も生きていて、ムウ大陸のどこかに生きていたとしたら・・・・・・。」
リリアーナはぶるっと身震いした。

リリ「ナナナさん、まだ宝物庫まで遠いのかな?
 あれから結構動いちゃったけど、ルズ達とちゃんと合流できるかな?」
リリアーナは知らなかった。
どこに居ても、フリージアの居場所だけはわかるルズの特技を。
ナナナ「はっ、はい!すみませんすみません!もうすぐですから!」
リリアーナを怒らせたと思ったナナナは、そう言って足を速めた。

リリ「そういえば、ロクーは私達より6日も前にここに到着してたわけよね?
 となると、過去に私達とは別ルートでムウ大陸に来た人は他にもいたんじゃない?」
ナナナ「ええと…ごめんなさい。私は今日目が覚めたばかりなので、眠っていた間の事は…
 ムウ大陸は、ニャンコ先生たちが管理している空間で他の場所とつながっているので、いるかもしれませんが…」
ナナナは眠っていたから知らないだろうが、メイド長なら知っていたかもしれない。
聞いておけばよかったと、今更後悔しても遅い。
リリ「・・・・・・せめてメイレン様用のお宝か、ミルク達の身体を元に戻す手がかりがあればいいんだけど・・・・・・」
ミル「ほんとにね…」
それだけは、心から願わずにはいられない。


アナ 「なんでリリアーナはロクーが人に決まってるって思うんだ?見た目でか?」
道々両側に控えてる、犬みたいな動物の像が動き出さないかと気を配っていたあたしは、生返事を返し。 リリ「えっ、アナスタシア先生、何かご存知なんですか?」
ニヤニヤ笑いを浮かべているアナスタシアに、リリアーナは勢い込んでたずねる。
アナ 「まだ信用できると決まってもいないあいつの事は、信用しない方が良いんじゃないかー?
   ムウ大陸を滅ぼしに来ました、なーんてムウ大陸で大声で言う奴なんだぞ?
   あいつがターロンの仲間で、あたしたちの邪魔なり監視なりしに来た奴じゃないって言い切れるか?
   知らない敵地での長生きの秘訣の1つは、知らない奴を簡単に信用しない事だと先生は思っちゃうぞ♪
   ミシェルも生徒諸君もヴァンエレンも当然そう思うだろ?」
ミル「ロクーが、敵?」
確かにその可能性はある。あるけど、今までそんなの考えたこと無かった。
なんでだ?友達に似てたからか?
本当の所どうなんだろう、ロクーは敵か味方か。信用できるのかできないのか。
ナナナとリリアーナの会話を聞きながらも、あたしの思考はその問いの答えを考え続けてる。
リリ「でも、最初から信用できないと決め付けてかかるのも・・・・・・良くないと思います」
リリアーナは、ロクーが金の玉を手に入れようとしたメイレン様に警告したことや、
自分達や、ムウ大陸の遺産であるナナナ達に対しても、危害を加えていないことを指摘した。
リリ「ムウ大陸を殲滅させる事だけが目的なら、いささか矛盾する行動だとは思いませんか?」

ナナナの案内で皆は後に続いていく。
ヴ「結構歩くようだのう」
ふよふよを空中を飛びながら、ヴァンエレンはだるそうにマオに語りかける。
ロク「お~い!待ってくれ~!」
レヘ「おん?リー、噂をすればロクーが追いかけてきたぜ?」
ロクーは背中の大きなリュックをがちゃがちゃ揺らしながら走ってきた。
ロク「はぁ、はぁ、や~良かった!おら置いてかれるかと思ったよ!」
ロクーは息をきらしながらそう言った。
リリ「そうなんだ。すぐに戻るんだから、図書室で待っていてくれればよかったのに」
レヘ「あー、おめーのそのリュック重そうだもんなぁ。どれ、ちょっと力が余ってるから、支えてやんよ。」
レベッカのスペルカードがロクーのリュックを支えるべく一枚飛び出した。
しかし、そのスペルカードがリュックに近づくや、ロクーの表情が急変した。
ロク「俺のリュックに触るなッッ!!」
レヘ「あぁん!?」
ミル「はいーっ!?」
ミルクは不審な点を探していたが、いきなり登場直後にきたもんだから思わず声が出ちゃいましたよ。ええ。

ヴ「ひぃ!顔が怖い!」
皆は思わずたじろいでしまい、怖くなっちゃったヴァンエレンはマオの後ろに隠れてしまった。

ロクーの豹変振りに、レベッカがたじろいだ。いや、たじろいだのはレベッカではなかった。
レベッカを持つリリアーナがたじろいたからそう感じたのだ。
ロク「………へ」
レヘ「…へ?」
ロク「へへへのへへへのへのへのへ…わりぃ、大声出しちまった。大丈夫だよ~、おらの力で十分持てっから。」
ロクーはうってかわったにこやかな表情でそう言ったが、レベッカは小声を出さずにはいられなかった。
レヘ「やっぱり、こいつおかしいぜリー。」
ミル「…リリアーナ、こう言っちゃ何だけど、適当に理由付けてロクーと別れた方がよくない?」 
レベッカと一緒に、あたしもひそひそリリアーナに話しかけた。
リリアーナは沈黙した。
実は、ロクーだけでなく、ロック自身かなり謎多き青年なのだ。
リリ「ねえ、さっきロクー、オラじゃなくて『俺』って言ったわよね?」
ミル「ん…そう言われてみれば、俺って言ってたような…」
しばらく黙り込んでいたリリアーナの言葉に、さっきのロクーの叫びを思い出す。
人間、(ロクーが人間かどうかは知らないけどね)とっさの時ほど普段の本性がでるもの。
とすると、普段ロクーは俺俺言ってるけど、今だけオラって言ってる可能性もあるわけで。
…そういやロックは、自分の事を俺って言ってたっけ。
外れた眼鏡で確認してはいるが、やっぱりロクーがロックだったとしても、多分リリアーナは驚かないだろう。
リリアーナはさらに深刻な顔で考え込んだ後、ようやく口を開いた。
リリ「でも、ロクー一人にして、後でとんでもないことになっても困るんじゃない?
 とりあえず今は、彼と一緒に行動しましょう。
 何も言わないところをみると、マオマオも状況を静観する気のようだしね」
レヘ「俺達の監視下に置いとくわけだな。まぁ、理屈から外れちゃいねぇよ。」
レヘ「だけど、あんまり情は移すなよ?」
ミル「それがどうも苦手なんだけどな…」
あたし的には、信用するかしないかはっきりわかってる方が良いんだけどなぁ…
敵とわかってても一緒にいると情が移っちゃいそうなのに、味方かもしれないとなると、ねえ?

当のマオマオは、ヴァンエレンに何か話しているようだ。
おおかた、主人を盾にするなとか言って仲良くじゃれているのだろう。
リリ「いいな~、マオマオ・・・・・・」
ねんがんの スタイルを 手に入れたぞ!
だが、肝心の見せたい相手がいないのではどうしようもない。

ロクーが合流してからすぐの事、ナナナは立ち並ぶ子牛サイズの犬の像に挟まれた壁の前で立ち止まった。
ナナナ「お待たせしました!ここが宝物庫です!
 両側のわんちゃんは番ゴーレムなんですけど、正しく扉を開ければ襲われないから大丈夫ですよ!
リリ「へえ~、賢いのね。顔も犬って言うよりは狼みたいね」
 【ナナナがお願いします。扉を開いてください】」
ナナナが壁に手を当てると扉の形に壁が光り、壁はゆっくり開き始める。

ベル「諸君…私も宝物庫とやらを是非拝見したいものだ…」
かすれた声と共に防虫剤のきつい臭いがほのかに皆の鼻に飛び込んでくる
リリ「わあっ!ベルジン先生?!どうしたんですか!!」
ベル「流石はムウ大陸だ…
貴重な素材の調達には事かかぬよ…」
嬉しげににやりと微笑んだベルジンの両手にはかなり使いこまれたであろう大きな黒ずんだ革のボストンバッグがパンパンに膨らんでいた
ベル「これでも圧縮魔法を何重にもかけてきたのだが流石に重い……な…」
ヴ「あわわ…。 大丈夫ですか?」
レヘ「毎度毎度思うんだがよー。おめー、本当に教師なのかぁ?」
何かがたっぷりと詰まったバッグを地面に落とすベルジンを見て、レベッカが呆れるように言った。
ベル「すまぬが…誰か…手伝ってく…れ…」
段々弱々しなっていく言葉を言い終えた途端、ベルジンの両手からバッグが滑り落ちた
ドスン
ギ「・・・地面がへこんだ!?」
重みでへこんだ地面を見て思わず噴出してしまったヴァンエレン。
ヴ「ど、どんだけ重いの?」
この一言は、この場にいる全員の気持ちを代弁していた。
ミル「いやいやいやいや、先生そのバッグに素材入れすぎですよ。
 …もしかして、闇魔法講座じゃ圧縮魔法も教えてるんですか?
 お宝持ち帰る時用に、今からちょっと教えてもらうとか…どうでしょう?」
フリ「か弱い私では無理ですわ・・・誰か殿方に頼んだ方が・・」
リリ「ええっ、フリージアが、か弱い?!」
思わずつっこんでしまったリリアーナは、慌てて自分の口を押さえた。
格闘技をやっているフリージアさんがか弱い訳がないと思うのだが
単に嫌なだけなのだろう・・・・いやまさか
ヴ「これは私が持て…ということなのかな?
 あれでもいまは女…ああそうですよね。
 やりましょう。やりますとも。いいですとも」
クリスを蝙蝠に預けて、吸血鬼である自分が荷物を持つ。
結局、(今は女の姿だが)殿方であるヴァンエレンが荷物持ちをすることになった。
レヘ「…おめーも毎度毎度、はずれくじばっかひいてんな、おい。」
ミル「まあ…うん。いつもお世話になってごめんねホント」
力仕事は全然なあたしに、フリージアに持てない物が持てるはずがありません。
マオには悪いけど、ここはヴァンエレンにがんばってもらいましょう。

リリ「やっぱり重そうだね、半分持とうか?・・・・・・ん?」
どこからか視線を感じ、リリアーナはきょろきょろと周りを探した。
リリ「変ね、気のせいかしら?」

一方、宝物庫を無事に開放したナナナ。
ミル「うーん、いよいよムウ大陸の金銀財宝とご対面かぁ。
 魔法帝国の秘蔵の宝だし、使えなくても売るだけでお金が一杯でうはうはライフが…」
ナナナ「このわんちゃんは、番だけじゃなくて芸もできるんですよ。
 はい、お手…きゃふっ!?」
レヘ「くせーなぁ。危険そうな匂いがぷんぷんするぜ。って言ってるそばからこれだよ!」
リリ「ああっ!ナナナさんが!!」
しゃがみ込んで右手を差し出したナナナは、犬型ゴーレムに背中を踏み台にされて悲鳴を上げた。
フリ「ちょっと!ちゃんとしつけられて無いじゃありませんの!!」
ミル「うあーん!なんでお宝を目前にして戦闘なんだよーっ!!」
ナナナを踏んづけたゴーレムは、飛び上がってミシェルに噛みつこうとする。
もう一匹のゴーレムが遠吠えすると頭上に火球が現れ、そこから侵入者たちに火矢が次々に打ち出される。
どちらのゴーレムも、背中に白いお札が貼り付いていた。

ヴ「なんで私たちが襲われるんだ!?
 ひぃー!誰か助けてたもー!!」
フリ「氷壁!」
氷の壁を建て炎を相殺するフリージア
ミル「助けてフリージア!…ってあれ?なんか…フリージア、パワーダウンしてない!?」
いつもはワサワサ出すはずの氷壁防壁が、今回はたったの一枚だけ。
命がけの状況で出し惜しみするはずもなし、…こ、これってまさか、若返って魔力まで落ちちゃったのか!?
ヴ「おー!
 さすがはフリージアであるな!
 頼りになる!」
しかし、いつもは一度に6枚ぐらい出すのに何故か一枚だけだ
明らかにパワーダウンしている

だが、運悪くリリアーナは火矢を受けてしまった。
右胸を射ぬかれ、リリアーナは声も無くその場に崩れ落ちる。
リリ「う・・・・・・あ・・・・・・・」
リリアーナは声にならない声で助けを求めた。
レヘ「リー!」
ミル「ちょ!リリアーナがやられてる!
 誰か回復魔法使える人いる!?」
アナ「うー、そんなに一度にできるわけないぞ。ちょっと待てこのバカー!」
アホ姉は盾代わりに使ってた天使の輪っかをさらに大きくすると、火矢を生み出し続ける火球に投げつけた。
輪っかがぶつかった火球はあっさり四散して、とりあえず火矢の心配は消える。

フリ「だから私はワンちゃんより猫ちゃんの方が好きですのよ!!」
右手の中に氷結棍を生み出し構えるフリージア
ミル「そーゆー問題じゃないだろ!?」
フリ「私の氷結棍で粉砕されたくなかったらさっさとそこをお退きなさいな!!」
もし警告を無視するのなら懐かしの必殺技、氷結百烈棍が炸裂するだろう
何故フリージングドールでは無く氷結棍なのか?
それはフリージアが若返ってしまいパワーダウンしたからである
そのせいでフリージングドール系の技が使えない状態になってしまったのだ
ミルクは静観している。
魔法で援護したら、味方もまとめて吹っ飛ぶし。
リリアーナも心配だけど、何にもできないから足手まといにしかならないんだよなぁ…

ヴ「さてさて…ここでもまた戦闘とはね。
 さて、どうしようか?」
犬『どうするかって?
 てめぇも戦えよ』
使い魔の犬がマントより顔だけだしてヴァンエレンに逆に命令を下す。
犬「まじっすか?」
まじっす。

キュイィィィイィン!!
音を立て高速回転を始める氷結棍の先端部分
その破壊力はすさまじいが生身の敵に使うとちとグロい事になる
だが今の相手は犬型のゴーレム・・・すなわち無機物である

フリ「あくまでも邪魔をしますのね・・・・・いいですわ、そっちがその気なら
 ゴーレムなら頭さえ無事なら死なないでしょ?なら遠慮しませんわよ!!」
高速で突きを繰り出すフリージア
フリ「せい、やぁ、とぉ、やぁ、そうれ、お~ほっほっほっほ!行きますわよ、秘技!氷結百烈棍!!」
フリージアさんは久々に生身で戦ったからか無駄にハイテンションだ
ギ「連鎖ボイス?」
謎の一言を発するギズモ
フリ「あ、危ないですわねぇ、あと3cm縦ロールが長かったら当たってましたわよ」
フリージアの秘技はさすがに強烈で、ゴーレムの当たった所がどんどん削れていく。
でもそこは痛覚も無いゴーレム、普通の犬ならとっくに倒れてるくらい体が削れるなかで反撃に出た。
フリージアが普段、空に浮かぶ氷の盾やフリージングドールに頼っているのは打たれ弱いからである
それが証拠にフリージアは結構気絶したり吹っ飛ばされてたりする
つまり当たったらやばいのである
フリージアは相手の攻撃を避ける!全力で避ける!!


犬『さあてどうするんだ?
 はやくゴーレムを始末しろよ。
 でないとあいつ死んじゃうぜ?』
惑わすのは相も変わらず憎たらしい犬の使い魔。
ヴ「どど、どうしよう?!
 はやく助けに行かないと!」
動揺して手が震えてしまっているヴァンエレン。

フリ「このままではばたんきゅうですわ!何か弱点は・・・・」
レヘ「フリージア、奴の背中を狙え!それは俺のスペルカードにそっくりだ!」
レベッカがフリージアにそう命令した。
背中のそれがスペルカード…
あっ!あれか!
ミル「番ゴーレムの背中の白いお札だよフリージア!
 剥がすか破るかしたら、そいつも像に戻るんじゃないの!?」

ヴァンエレンはいわれたとおりに襲い掛かってきた、第三の犬型ゴーレムを両手で防いで蝙蝠が背中の札をはがす。
そうすると途端にガシャンと音を立ててゴーレムは崩れ落ちていった。

ミシ「天使先生、リリアーナ君を後ろへ。それから矢には触らないように頼みますよ」
少し焦った風な、らしくない様子のミシェルとしては、リリアーナへ早急に処置を行いたいのだが門番の内の一体が執拗に彼を狙って襲ってくる。
アナ「ほいきた。了解だぞ」
火球を消して火矢の心配を無くしたアナスタシアは、リリアーナの所に飛んできた。
レヘ「スペルカード!シューシー・ベイファン!」
レベッカは、呪符・虚実背反を発動した。このスペルの効果は、対象を“見た目とは裏腹に”してしまうことだ。
レヘ「この“いかにも熱そうな”炎を、ただのイルミネーションにしてやんよ!」
レベッカの叫びが現象の全てを表した。リリアーナを焼いていた炎は熱を失い、もう焼け広がる事は無い。
それを手で叩けば簡単に消えてしまうだろう。“見た目とは裏腹に”。
アナ「おーい、大丈夫か?リリアーナは生きてるかー?
 …おーすごいな、火が全然熱くないな。それじゃ治療するぞ、ほい。
 これでしばらくすれば、傷も治るはずだぞ♪」
アナスタシアが手を振ると、リリアーナの傷が光り始める。
人間の回復力を大幅に上昇させる魔法で、すぐに完治はしないがケガは治ることだろう。

レヘ「仲間のこんな姿を見せられて、平気な奴はいねーぜ。」
炎上は防いだとしても、リリアーナが受けたダメージが少なくないことには違いない。
レベッカは怒った。
アナ「うんうん、リリアーナは私が安全な場所に連れて行くから安心しろ。
 レベッカもどんどんスペルカード使って報復攻撃するんだぞ。
 そこのヴァンエレンも、使い魔とコントしてないで攻撃あるのみ!
 ベルジンも貴重な素材が手に入るチャンスを逃すんじゃないぞー!
 …よいしょっと…。うー、重いぞリリアーナ。もうちょっとダイエットしろー」
天使の力を使えば楽に移動できるのだが、アナスタシアは投げ飛ばすなど荒仕事以外に力を使うのは苦手だ。
しかたなく自力でずるずる引っ張っていくのだが、ぬいぐるみも持っているのでその歩みは遅かった。
レヘ「ああ、奴らどえらい目にあわせてやるぜ。」
犬『おうおう そうだ。
 剣を持て!地獄をみせろ!』
レベッカのまわりにスペルカードが何枚か展開された。
レヘ「あの犬野郎共、怖気づいたのか?逃げてんじゃねーよ。」
レベッカと犬型ゴーレムの距離が開いていく。
何のことはない。レベッカはまだリリアーナに持たれているのだから、
アナスタシアがリリアーナを避難させると、レベッカももれなくついてくるのだ。
もっとも、レベッカがリリアーナから離れるとスペルカードが使えないので、
結局一緒にいることになるには違いない。

このままだとジリ貧だ。考えるまでもなくそんな状況なので、ここは皆の体勢を立て直させることにする。
ミシ「皆さん一旦ここから離れて!私が注意をひきつけますから」
ミシェルがそう言うと、番ゴーレム達は人間の言葉がわかるような動きを見せた。
フリージアを襲っていたゴーレムは、急に向きを変えて近くの像に次々と体当たりし始めた。
体当たりされた像は砕け散り、ゴーレムは破片を吸収してたちまち巨象の姿に変身する。
巨象と化したゴーレムは走りながら、フリージアを捕まえるべく素早く鼻を伸ばしてきた。
フリ「お札への攻撃もこの場所からの撤退も両方やらなければいけないのが私の辛いところですわ」
と言いつつフリージアは雪の結晶を投げる
フリ「曲がりなさい!フリィージングカッター!!」
回転のこぎりと同じ性質を持った雪の結晶を投げお札に当たるように曲げるフリージア
当たったかどうかは分からないがとりあえずさっさと後退しなければ
フリ「これで後はとっととすたこらさっさですわ!ミシェル先生後はよろしくお願いしますわ!!」

ミシェルを襲っていたゴーレムも身を翻し、素早く移動してアナスタシアの退路を断つ。
リリアーナを引きずるアナスタシアは両手が塞がっているため、すぐには対処できない。
アナ「ちょ・・・待てこらw」
笑うしかないアナスタシアと怪我をしたリリアーナめがけ、犬型ゴーレムは噛みつこうと襲いかかっていく!
レヘ「いや、待たねぇよ。」
レベッカのスペルカードが、犬型ゴーレムの口の中に飛び込んだ。
そして、犬型ゴーレムの口の中で大量の毛が生える。
レヘ「スペルカード、ユーマオ・ティエングオの味はどうだ?犬野郎。」
レベッカが使った呪符・育毛天国の効果は、対象に毛を生やすことだ。
髪の毛が勝手に伸びる呪いの人形と同じ原理である。
ただ毛が生えるだけだと侮れる呪いではない。
現に今、口の中の毛のせいで犬型ゴーレムは噛み付きを封じられた。そして、口から生え続ける毛が、
それでもなおこちらに襲い掛かろうとする犬型ゴーレムの足に絡みつき、動きを封じていく。
アナ「おー、うまいぞ留学生。それでこの後どうするんだ?」
レヘ「燃やしちまいな。」
レベッカはそう言った。毛は表面積が広く、しかも毛と毛の間にたっぷりと酸素を含んでいる。
発熱する魔法で攻撃すれば、瞬く間に炎上してしまうだろう。
フリ「ミルクさん!お札のほうもついでにお願い!!」
フリージアは氷系の魔法使いであるため、炎が必要な場面では役に立たない
そしてフリージアにとって炎と言えばミルクである
ミル「よしきた!まかせとけ!!」
ミルクが動けないゴーレムにメギドの狙いをつけた時、レベッカが追加注文をつけた。

レヘ「おっと、決めの言葉を忘れんじゃねぇぜ。こう言ってやりな。
 “我が名は×××!貴様に殺された親友リリアーナの魂の安らぎにかけて、
 貴様を辛と惨と苦を絡めて地獄に落とす!”ってなぁ。」
ミル「えーと…我が名はミルク…って長いよ!しかも、なんでそんなにおどろおどろしいんだよ!」
フリ「ちょっと!勝手にリリアーナさんを殺さないで頂戴な!!」
生きてるよ、と言おうとして、リリアーナは胸の激痛にうめいた。
レヘ「あ…悪い、生きてたんだなリー。」
リリ「・・・・・・・・・・。」
大丈夫、と言おうとして、声が出ないことに気づく。
レベッカの呪符・虚実背反と、アナスタシアの治癒魔法に助けられたものの、
さすがに、すぐに元気になれるような傷ではなかったためだろう。

アナ「まー、痛いだろうから魂は安らいでないだろうけどなー。
 リリアーナ元気か?声でないなら、無理しないで寝てた方がいいぞ?」
リリ『私、どのくらい気絶してました?誰が、私の傷に魔法をかけてくれたんでしょう。
 もしかして、火を消してくださったのもアナスタシア先生ですか?
 おかげで命拾いしました。ありがとうございます。』
声が出ないリリアーナは、とりあえずテレパシーでアナスタシアに質問した。
アナ「回復魔法は私だけど、火を消したのはレベッカのスプルカードだぞ。
 そっちにもちゃんとお礼を言っておけよー。ぷぷぷ♪」
最後に笑ったのは、決してリリアーナが変なことを言ったからではない。
リリアーナの服の、胸の部分が焼け落ちているのを見て笑ったのだ。
もちろん、アナスタシアにはリリアーナを含めて、その事を誰かに言うつもりはない。

リリ『ナナナさんの声が全然聞こえないけど、彼女は無事なの?
 もしかして、まだ床にめり込んだままなのかな?』
今度は戦闘に加わっていないメンバーに向けて、そうテレパシーで問い掛ける。
ミル「ナナナは…忘れてた。ちょっと待って、まだ倒れてるから様子を見てくるよ」
踏まれたまま倒れて動かないナナナに近寄ったミルクは、ナナナの体を抱え上げ、驚いたように言った。
ミル「息はしてるし、心臓も動いてるみたい。
  気絶してるだけだと思うけど、ナナナって本当にゴーレムなの?」

さて、残る問題は巨象と化したゴーレムのほうだ。
フリ「巨大な象なんてぞうっとしますわ」
くだらない駄洒落に怒ったのかパオ~ンとこっちに鼻を伸ばしフリージアを捕らえようとする巨像
「捕まってたまるもんですか!いやぁぁぁぁ!!」
氷結棍を利用し棒高跳びの要領で避けるフリージア
フリ「これじゃあ本体に攻撃が届きませんわね」
ミル「じゃああたしが背中の辺りをぶっ壊すから、また次の合体を始める前に、御札の排除をよろしく!」
そう本体である犬型ゴーレムを像の欠片が覆っているため弱点であるお札がガードされてしまっているのである
フリージングディストラクションならばガードごと粉砕できるだろうが
準備時間が掛かるし一発撃ったら今のフリージアでは確実に気絶してしまうだろう
ミルクは象ゴーレムの背中を狙って、魔法の準備を始めた。
ギ「僕と合体して空から攻めるといいと思うよv」
フリ「サキュバスルックは却下ですわ!」
フリージアはその申し出を即却下するのであった

クリ「う、うーん・・・」
気絶して、ヴァンエレンの使い魔に運ばれていたクリスは目を覚ました。
クリ(見た感じ、二体のゴーレムをミシェル先生とフリージアがそれぞれ相手をしているのか? )
となったら俺がやることはサポートに徹することくらいか・・・
魔銃のカートリッジは・・・
しっかり入ってるな。
クリ「俺を運ぶのはもういいぞ。
 それよりお前らの主人のとこへ戻って手助けしてやれ。」
そう蝙蝠言って魔銃を構える。
この距離でも、なんとか援護できるはずだ。

犬『ほう!』
銀の玉を見つけたヴァンエレンの使い魔。
それをニタニタと見つめたあとにくわえて飲み込んでしまった。
そして何事もなかったかのように主のもとへ戻って、マントの中へ入っていって消えてしまった。
その直後クリスを運んでいた蝙蝠が戻ってきた。
ヴ「やっとクリスが起きたのか。
 これでもう大丈夫だな!」
クリスが復活したことにより戦闘がまた楽になると思ったヴァンエレンは安堵の表情を浮かべる。

気絶から回復したクリスの近くに、アナスタシアがふよふよ寄ってくる。
アナ「目が覚めたかー?今は宝部屋の番人と戦闘中だぞ。
 番人は背中の白い御札が弱点らしいから、クリスも取っ払うの手伝え♪」
気絶していた人間への遠慮もなくアナスタシアがそう言った時、リリアーナが柱の陰に隠れた誰かに気づいた。
リリ『一番右の柱の陰に、誰かいる』
最後にリリアーナは、ゴーレム以外の者全員に警告した。
レヘ「痛たた…おい、リー。」
レベッカはやや迷惑そうに呻いた。
絶叫するほどでもないが、やはりテレパシーは苦手で、内容も聞き取れなかった。
リリアーナは、助けてくれてありがとうとも伝えたかったが、苦手なテレパシーで伝えるのでは意味が無いと思い直す。
レヘ「やれやれだぜ。まぁ、生きてて良かったけどな。…おぉう(愛)」
レベッカは最後に変な声を出した。
レベッカもリリアーナの胸の部分が露出していることに気づいたのだ。
そして、やはりレベッカもアナスタシアと同様に、その事を誰かに言うつもりはない。 当然である。

リリ(伏兵がいたのね)
白い札を貼られて操られていたのは、目の前にいた2体の番犬だけではなかったようだ。
伏兵だった3体目の犬型ゴーレムは、ヴァンエレンの活躍で元の石像に戻った。
どうやら三体目の犬ゴーレムは元々ゴーレムだったのではなく、御札を貼られた石像が変化したものらしい。
リリ(お札を貼られた敵がこれ以上増えないうちに、さっさと終わらせないと)

アナ「もしかしたら、番ゴーレムを操ってるターロンかもしれないぞー。警戒しろよークリス」
アナスタシアは少し離れてニヤニヤしながら、クリスが確認に向かうのを見守っている。
リリアーナのテレパシーを受けて、クリスが桜花のほうへ近寄ってきた。

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最終更新:2009年09月04日 00:57
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