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7:城内:図書室

光るメイドガイの足跡は、しばらく進んだところで扉の閉まった部屋の中に消えている。
その扉が急に開いて、中からナナナが飛び出してきた。
ギ「ぶべら!?」
お約束のごとく開いた扉に挟まれるギズモ
ナナナ「キャッ!び、びっくりしました~。皆さん、もうお付きだったんですね。
 あ!立ち話は失礼ですから、どうぞ中に入ってゆっくりお茶でも飲んでください!」
言うだけ言うと、ナナナは再び部屋の中に引っ込んでしまう。
扉と壁の間からからぺらぺらになったギズモが・・・・・
リリ「わー!!ギズモしっかりして!!」
フリ「見なかったことにしましょう・・・・」
まさに外道!!
リリ「わーん、こんなぺらぺらに!空気!そうだ空気吹き込まなくちゃ!!」
せっかく美少年になったのに、ギズモのギャグ属性は相変わらずのようだ。
アナ「今は頭に血が上ってるみたいだから、ミルクは黙ってた方がいいぞ。
  交渉事は冷静な人間がした方が成功しやすいしなー」
ミルクはアナスタシアから釘をさされた。

部屋に入ると、そこは図書室のように沢山の本棚と本が置いてある部屋だ。
部屋の真ん中には机と人数分の椅子が用意され、そこでナナナがティーカップに紅茶を入れている。
奥にはベッドが備えられていて、光る足跡は室内をあちこち動いた後でそこで途切れていた。
ベッドの上にはシーツの塊が乗っていて、誰が潜り込んでいるのか時々動いている。
ナナナ「さ、どうぞ座ってお茶でも飲んでください。 」
ヴ「わはー。
 こんなところでお茶を頂けるとは思わなかったよ」
ここにもバカ一人いましたね。
レヘ「演技はもうやめにしときな、お嬢ちゃん。
 ここにさっきのカバ野郎がいることはとっくにお見通しだぜ?
 痛い目をみたくなかったらさっさと…悪い、もう見つかったな。」
どう見てもシーツの中です。(ry
リリ「隠れてないで出て来てください。ちょっとお話があります」

ナナナ「あまりお茶を楽しむ雰囲気の部屋ではないですが、他の部屋は壊れてるので…
 あ!私が焼いた美味しいクッキーもあります!いかがですか!?」
ナナナは、そう言って皆に着席を進めた。

足跡を追ってたどり着いた先、ナナナに招かれた部屋の中で、あたしは黙って紅茶を飲んではクッキーを食べる。 ミル(暴れるのは交渉が決裂してからでも遅くないよな。 )
一方、アホ姉の方は部屋の中の本棚を無許可で漁っていて、交渉なんて興味なさそうな気配が濃厚です。
足跡を追ってたどり着いた先、ナナナに招かれた部屋の中で、ミルクは黙って紅茶を飲んではクッキーを食べる。
もちろん、今すぐカバメイドの首を絞めながら、元に戻せと叫びたい気持ちは変わっていないけど。
ナナナ「さっきはすみませんでした。
 まさか皆さんが、ムウ大陸の新しい王様のお友達とは知らなくて…
 メイド長からお話を聞いて、私びっくりしてお皿を割っちゃいました」
リリ「王様?誰だっけ??」
リリアーナは首をかしげている。彼女はあまり『王様』と親密でなかったので、咄嗟に思い出せなかったようだ。
長「本当に悪い事しちゃったわぁん。ごめんなさいね…」
ナナナがすまなさそうに口を開くと、シーツの塊ももぞもぞ動いて野太い謝罪の声を上げる。
どうやら筋肉カバメイドガイは、メイド長の立場にいるようだ。
フ「な、んですって・・・・・・」
レヘ「なぁ、お嬢ちゃん。あれがメイド長でいいのかと小一時間問い詰めてーんだが。」
アナ「面白い本を見つけたぞー、ほい。
  レベッカは槍の姿でも本読めるのか?なんなら先生が読んでやろうか?」
しごくごもっともな質問をぶつけるレベッカの所に、アホ姉が本を一冊持ってきた。
題名は【ムウ王家メイド名鑑】。
見たこともない文字が書いてあるのに読める所を見ると、どうも誰でも読めるように魔法がかけられているようで。
さすがは魔法先進国、できれば全部の本がこうあって欲しい。
ま、どうせ重要な本に限って読めないんだろうけど。
さて、肝心のその本の内容はといえば。
1ページ目がいきなり変態カバメイドの紹介になっていて、『第一回メイドコンテスト優勝!』ときた。
『大陸先住民ムウ民を模したミステリアスな頭!』
『誰も実行できなかったメイドと筋肉のミスマッチの妙!』
『ぶっちぎりの存在感で、審査員全員のハートフルボッコ!』
…この文を書いた奴はユリの先祖かなにかに違いない。
アホ姉は面白そうに、パラパラと他のページもめくっている。
アナ「毎回メイドコンテストやって、優勝メイドを城で働かせてるみたいだなー、良い趣味してる王族だぞ♪」
ミル「それであんなカバをメイド長にしてるんなら、確かに良い趣味してるよな…
 良い趣味すぎて、あたしには同意も理解もできん……」
リリ「すごい!読めないはずの字なのに、頭ではちゃんと理解できるなんて!! 
 ベルジン先生、これを見てください!メイド図鑑ですよ!ちゃんと読めるんですよ!!」
大興奮のリリアーナは、大声でベルジンに話し掛けた。
古代魔法史が専門のベルジンにとっては、きっとこの図書室は宝の山も同然だろう。
リリ「クリスさんも早く目を覚まさないかしら?」
ヴァンエレンに膝枕されているクリスを見て、リリアーナはため息をついた。
ヴ「ふむう。
 気絶している原因がよくわからないから。
 頭がやられてなければいいけど…」
当の本人の瞼は動きそうにないので、まだ夢の中を彷徨っているようだ。


ナナナ「私、皆さんはムウ大陸にやって来た盗賊さんだと思ってたんです。
 でも、みなさんは魔法学園で覚醒された、新しいムウ王のお知り合いなんですよね!?
 滅びちゃったムウ大陸を、立て直すために来られたんですよね!?」
リリアーナはちょっと気まずそうな顔をした。
ムウ大陸と学園がつながっている時間は、確か1日だけのはずだったからだ。
ここと学園の時間の流れが同じなら、滞在日数は丸一日。
とても立て直す手助けをする暇は無い。
また、メイレンを納得させるだけの宝を手に入れるためにムウ大陸へ来たのだ。
ナナナの誤解は、全く根拠の無い物ではないとも言える。

長「ターロンって人からその話を聞いた時は、私もびっくりしたわぁん。
  でも、黄金の戦車が動いて、同じ時期にムウ大陸の封印が解けかけている。
  これは間違いないわよねえ……キャッ!恥ずかしいからそんなに見ないでぇ!」
シーツの端からカバの口がのぞいたが、恥ずかしそうにすぐ引っ込んでしまった。
リリ「ターロン!!あの妖怪魔法使い、ここにやってきたんですか?!」
リリアーナは問い詰めたかったが、それよりももっと大切な事があったことを思い出した。
フリ「そんな事はどうでもいいから早く私たちを元の姿に戻しなさいな!!」
レヘ「その通りだぜ。さもないとケツの毛を全部抜くぞコラ。」
フリージアとレベッカが凄んだ。
リリ「いや、二人は元に戻して欲しいけど、私は別にこのままでも・・・・・・・・」
リリアーナはごにょごにょと言葉を濁した。

長「ごめんなさいねぇ。私の光線はランダムな効果を発揮するから、私でも元には戻せないのぉん。
  多分高レベルな魔法解除で元に戻るはずなんだけど…私も元に戻した事なんてないからぁ…」
ミル「なんだとこらーっ!勘違いで人を男にしておいて、すぐ元に戻せないってどういうことだーっ!!」
もごもごシーツに隠れて言うカバに、さすがに温厚なあたしもブチキレましたよええ。
アホ姉がバカだなーみたいな目でこっちを見てるけど、知るか!
こちとら女を捨てるかどうかがかかってるんだ!!
ところがこのカバと来たら、シーツを叩いても引っ張っても、石を相手にしてるみたいにびくともしない。
ひたすらシーツの中からごめんなさいねを繰り返すばかり。
ミル「こ の や ろーっ!本当にメギドで灰にするぞ―――っ!!」
リリ「わー!ミルク落ち着いて!こんな所で魔法使っちゃだめー!!」
リリアーナは慌ててミルクに飛びついた。
ギ「まあまあ落ち着いて・・・・」
いつの間にか元の美少年姿に戻ったギズモはなだめるが、他人事だからそう言ってられるのである
フリージアさんの性別が変わったらルズとかと一緒に絶望するだろう

ロク「なーんだ!おめーら、ムー大陸を元に戻してくれるんか!?そりゃー助かるぞ!」
急に叫んだロクーにレベッカが聞いた。
ロク「おめーはムー大陸と関係ねーんだろ?なんで助かるんだ?」
ロクーは低い声で答えた。
ロク「だってよ…おらの仕事だったんだぜ、ムー大陸を滅ぼすのは。
  誰がおらより先に滅ぼしたかわかんねーけど、頼まれた仕事はちゃんと果たさねーとな。」
あまりの言葉に、リリアーナは危うくレベッカを取り落としそうになった。
リリ「・・・・・・滅ぼす?」
ナナナ 「そ、そんなのダメです~!ムウ大陸を元に戻しても、また滅ぼすなんて意味がないじゃないですか~!」
ナナナが言うように、それじゃムウ大陸を戻さなくても今のままでいいんじゃないの?
アホ姉はニヤニヤ笑いながら成り行きを見守るつもりみたいだし、ここはあたしも突っ込んで聞いた方がいいかも。
ヴ「ほほう。
 なるほどなるほど。
 滅ぼすとかなにやら物騒だけど…。
 誰に頼まれたんだい?」
ロク「上司の指示だよ。」
フリ「一人で一つの文明を滅ぼせるわけ無いじゃないの常識的に考えて」
ギ「ムーって滅ぼさなきゃいけないような危険な存在なの?」
ムーの人間がカバ・・・・いやムー民ならば 彼らは人間ではない種族である
人間に害を及ぼすのならば滅亡させる必要がある、そう判断したのだろうか?
フリ「文明なんて行き過ぎたら何もしなくても勝手に滅びますわ」
レベッカはフリージアとギズモの言葉を黙って聞いていたが、
内心で、フリージアは何でもお見通し、ごもっともだと思った。

ミル「上司に言われてムウ大陸に来たって言ってたけど…ロクーって、どんな組織に所属してるの?
 というか、そもそもなんでムウ大陸なんか滅ぼしたがってるのよ?」
ロク「ケルビm…おっと、それは秘密だ!ついでに滅ぼす理由も謎のほうがいいだ!」
レヘ「(ケルビ?)」
ミル「えー…どうせ聞いてもわからないんだし、教えてくれてもいいじゃん。ケチくさいなぁもう…」
案外秘密主義なのか他に理由があるのか、ロクーは言いかけた組織の名前を引っ込めてしまった。
滅ぼす理由も謎が良いとか言って言わないし、これじゃまるっきりわかんないよ…

さて、意味不明な言葉が出てきた時に役立つのは、人生の先輩です。
ミル「ベルジン先生かアナ姉、ケルビで始まる組織に心当たりとかあります?」
アナ「あのなー、バカか?どんな組織かもわからないのに、心当たりなんかあるわけないだろ。
  だいたい、ロクーが本当の事言ってるかどうかもわからないんだぞ?
  実在してても、ケルビモケーレムベンベがロクーと上司の2人だけの組織だったら知ってるはずないだろ?」
ミル「そんな変な名前言ってねーよ。知らないなら知らないって言うだけでいいだろ…」
とりあえず、アホ姉の方で心当たりは無し、か…

リリ「えっと・・・・・・ムウ大陸がほろんだのは、昨日今日の話じゃ無いと思うんだけど。
 ロクー、あなたここに来て何日目?その上司の人に、連絡とか取れないの?」
ロク「ええっと…1日目に光と闇ができて…2日目は天と地ができた。
  3日目は空と海ができて、4日目に植物が生える。
  5日目には空と海と大地に獣が満ちて、6日目…おらができた。
  そうだ!ここに来て6日目だ!」
ロクーが屈託の無い笑顔でそう答えると、レベッカがため息をついた。
レヘ「(まるっきり創世記の話じゃねーか。)」
創世記とは、一神教の神ヤハウェが世界を創る過程を描いた書である。
創世記の中で、人は神によって6日目に、赤い土から創られるのだ。
リリ「・・・・・・・・・・・・そ、そっか。そうなんだ・・・・・ははは」
ロクーが嘘をついていないのが分かるだけに、反応に困る。
おまけに顔が想い人そっくりなのだから、余計始末が悪かった。

ロク「上司と連絡とりたいんだけど、ケータイが壊れちゃって…」
ロクーは薄い箱のようなものを皆に見せた。
ミル「ケータイ?なにこれ、これで通信するの?」
…あたしとユリが遠距離通信する時に使う水晶球…みたいなものか?これ。
そんな簡単に壊れるなんて、重要任務についてるわりに安物使ってるんだな…
リリ「へえ・・・・・あ、携帯!私知ってる!キサラって友達が前に見せてくれた事があるの。
 確か、遠くの人と話す『機械』なんだよね?」
名前が同じなので、リリアーナは完全に同じ『機械』の一種だと思い込んだようだ。
(もっとも、彼が見せてくれた携帯も壊れていたのだが・・・・・・)
リリ「ギズモ、これ以上壊したりしちゃダメだからね~。
 クリスさん、起きて起きて!ケータイ!本物だよ!!」
リリアーナはクリスに飛びつくと、思いっきり揺さぶった。
リリ「早く起きないと、後で後悔するよ~!」

フリ「非合法的な危険な組織・・・・じゃありませんわよね
 もしもそうだったらムーに来た目的とか気軽に話しませんもの」
ギ「じゃあ復活させて滅ぼしてからまた復活させてもOKって事だね」
フリ「もしかして昔ムーを滅ぼしたのは貴方のお仲間じゃ・・・いえそんなはずがありませんわね」
もしかしていくら待っても帰ってこなかったから上司が替わりを派遣して滅ぼさせたのではとフリージアは思った
だがまさか空間移動で間違って時を越えるなんてありえんと思い直したのであった
レヘ「おめーら、いいかげんにしろよ。」
ロクーの言葉に対する皆の反応を黙って聞いていたレベッカが口を開いた(?)。
レヘ「こいつ、頭がおかしいんだよ。こんな奴の言葉をいちいち真に受けてられるかってんだ。
 フリージア、さっきおめー自身が言ってたじゃねーか。
 一人で一つの文明を滅ぼせるわけ無いってよ。その通りだろ?」
ミル「本人の前で頭がおかしいとか言うなよ…
 ま、たった1人でムウ大陸を滅ぼしにってのは、ちょっと無理がある気がするけど」
リリ「いやー。でも、ロクーがメイレン様クラスだったら、あるいは・・・・・・」 
ロクーにはそんな力があるのだろうか?
リリアーナはロクーをじっと凝視していたが、やがてさっと顔を逸らした。
――――ちょっと顔が赤いのは、不可抗力である。

ロク「トゥルルルル…トゥルルルル…」
レヘ「ああん?」
ミル「ど、どうしたの急に」
いきなり、何の前触れもなくロクーが何かを口走り始めた。
言葉…っていうより、作動音か警告音みたいな。
ロク「あれ?…トゥルルルル…どこかで…トゥルルルル…電話がなってるぞ!
  トゥルルル…公衆電話があるのかなー!」
よく聞くのだ・・・私のドッp・・・ロクー。
その行動はあきらかにおかしいぞ。
ミル「いやいや、どこかもなにも、さっきから自分で言ってるだけだから」
ロク「わりぃ!ちょっと電話かしてもらうぞ!」
ナナナ 「え?は、はい。でも奥には公衆電話なんて名前の物は…え?」
お城の事をよく知ってるはずのナナナも状況が掴みきれないようで、ますます意味が分からん…
ロクーは、トゥルルルルと口走りながら部屋の奥の方へ移動していった。
ギ「ドッピォ?」
謎のリアクションをするギズモ

ヴ「ロクーは一体どうしてしまったのだろう・・・?」
ロク「見ろ。やっぱりあいつは頭がおかしいんだ。」
犬(激しく同意。)
ミル「うーん、これはひょっとしたらそうなのかも…」
ギ「バッカジャネーノ?魔法文明であるムーに電気式遠方通話装置があるわけがないじゃん」
機械文明の破壊者である悪魔グレムリン
そのグレムリンであるギズモは電話のことを知っているようである
(ちなみに一部のマジックアイテムクリエーターが魔法式の遠話装置を作っているようだが
 コストが高すぎて一班には普及しなかったらしい 何しろ原材料が銀である・・・それもミスリル銀だ)
だがフリージアには意味不明であった
リリ「ケータイ持っていたし、やっぱりロクーは機械文明の関係者なのかな?
 ああギズモ、ちょっと落ち着いて。このクッキーおいしいよ?」
フリ「まあ電話が何かなんてどうでも良いですわ
 それよりも・・・・」
フリージアの視線の先では、レベッカはメイドを懐柔しようとしていた。












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最終更新:2009年08月25日 17:04
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