桜「ロクー!きさま!見えているなッ!」
(ここまでして見えていなかったら私としては恥かしい限りだな…
時は動き出した…)
周りの皆は驚くだろう。ナイフがロクーに向かい、桜花はロクーに向け指差しているのだから
ロク「ヘブンスマ…!?」
リリ「ロクーよけて!!」
ロクーは時が動き出すと同時に、何かを叫ぼうとした。
それは、呪文というより、何かの固有名詞を叫ぼうとしたようだったが、
ドン!という鈍い音とともに中断された。
考えてみれば、当然の結果だったのかもしれない。
ターロンを攻撃しようとすれば、メイレンに攻撃されるに決まっている。
メイレンがロクーに突進し、掌打で吹き飛ばしたのだ。
そのすぐ直後に、オウカの投げたナイフがメイレンの顔の前を通り過ぎ、
ロクーは先ほど崩壊した象ゴーレムの瓦礫の中に突っ込んだ。
リリ「ロク――――!!」
メイレンは少し驚いたような顔をしてオウカの方を見た。
桜(ちっ!この可能性を視野にいれるべきだったか…)
ロクはメイレンに吹っ飛ばされた。そして桜花のナイフはメイレンの顔の前を通り過ぎた。
レン「惜しかったわね。」
メイレンから見れば、ロクーがメイレンに攻撃されている隙に、
オウカがメイレンをナイフで刺そうとした様に見えたのだ。
時間停止を認識できないメイレンには、
そのナイフがもともとロクーを狙ったものだと知る由もない。
桜「勘違いがあるようなので訂正させて頂きたい。
私は貴女を狙ってナイフを投げたわけではない。先ほど貴女が吹き飛ばしたロクーを狙ったんだ。
もし本気で貴女を狙った物ならこの距離で外しはしない。」
ミル「いやいやいやいやまずいって!ダメだよ桜花、メイレンさんを攻撃したら!」
桜花はメイレンさんを攻撃したんじゃない気はするけど、問題はメイレンさんがどう思ってるか。
ここは制止するように見せておくに限る。
桜「聞いての通りだ、ミルクさん。別に彼女を狙ったわけではない。」
ミルクにも訂正を加える
桜「それに、私のナイフが彼女に刺さったところできっと毛ほどのダメージにもならないだろう。
効果も分からないで投げるほど愚かではないさ。」
ミルクに言いながらメイレンにも聞こえるボリュームで話す。
レン「彼は死んだわ。」
メイレンがミシェルに言った。
レン「最悪ね。」
ギ「やられるの早!?」
あっというまにやられてしまったロクーを見て驚くギズモ
結局ヘブン何とかがどういう技であるかはわからず仕舞いである
ミル「え…?」
ロクーは、瓦礫に半身を突っ込んだまま動かない。
リリ「ロクー!起きてよ!!死んだなんてうそでしょ?!」
ミル「ちょっとちょっとロクー!?大丈……う…」
ター「そこまでですよ。彼には近づかないでもらいましょうか」
宝物庫から盗み出した杖を手にしたターロンに行く手を遮られ、仕方なくあたしは後ろにさがる。
そうか、御札は剥がしていなかったから、いつでもターロンは手元に杖を呼べたのか。
リリ「誰かロクーを手当てしてよ!お願いだから!!」
身動きできない
リリアーナがたまらず叫んだ。
さっきまで元気に動いていた彼が、こんなにあっさり死ぬとは信じたくなかった。
フリ「私をみくびらないで欲しいですわね!
伊達に治療をすれば逆に怪我を大きく出来る程度の能力は持って無くてよ」
つまりフリージアさんには治療は無理であるという事である
ギ「リリアーナお姉ちゃんが一番治療能力高いんじゃないの?」
と自分でやれと外道極まりないことを言うギズモであった
レン「『我々は魔法を手にしたがそれでも全能ではない』…まったくその通りだと思うわ。
もしあなた達が私と敵対するつもりなら、嫌でもその言葉通り足掻くことになる。
私の能力は、“次元”変える程度の能力。
大妖怪とたかだ魔法使いが、どれだけ“次元”が違うか教えてあげるわ。」
ター「若さ故の過ちは、一度は見逃してあげましょう。
しかし二回目はありませんよ。
戦うか、戦わないか、よく考えて決めることです」
虎の威を借る狐よろしく、メイレンさんの後ろからターロンが自信満々で協力を呼びかけてくる。
ベル「なかなか面白い話だ…」
今まで一切口を開かず皆の傍らにいたベルジンが小声で呟いた
ベル「己の帝国を築くか…
壮大かつ信じがたい話ではあるが…」
ターロンとメイレンの方を見据えながら一歩づつ前へと歩み寄っていく
と、アホ姉がちょいちょいと袖を引っ張って、あたしに耳打ちした。
アナスタシアはミルクに耳打ちした後、ぬいぐるみを背中に担いでふわふわとメイレンたちに近づいた。
アナ「しょうがないなー。協力してやってもいいけど、神龍の力の分け前はこっちにも回すんだぞ。
神龍復活のための玉はこっちは2つ、そっちは1つ。とーぜん、分け前の三分の二はこちらにもらえるよな?」
レン「妙なことを言うガキね。三つの玉はそもそもムー大陸のものでしょう?」
メイレンと顔を合わせる程度の高さを飛ぶアナスタシアの背中で、ナマケモノのぬいぐるみに文字が浮かぶ。
【慌てずに協力するフリをして相手の隙をみつけろ】
急にアナスタシアの隣へと現れたベルジンも彼女と歩調?を合わせながら協力するような言葉を見せていった
ベル「私は貴様等の目的になぞ興味は無い
だが、その力とやらには少なからず魅力を感じる…
私では不足だろうか…」
レン「…ターロン、こいつらの言う事、どう思う?」
桜(ターロンにメイレン……能力が分からないのに戦闘を行なうのは愚策か。)
教師陣の考えに賛同する桜花は特に口を挟む事をしなかった
ター「不足だなどととんでもない。こちらから協力をお願いしたいほどです。
メイレン様もそのように警戒する必要はございません。
メイレン様の偉大なお力とお姿を見て、今更刃向かおうとする者などいないでしょう。
そちらに玉が2つあっても、こちらには神龍を動かす技術がございます。
それが三分の一とはあまりのお言葉、ここは半分ずつで手を打たれては?」
ターロンは芝居がかった態度で両手を広げ、ベルジンとアナスタシアを歓迎する意志を示した。
リリアーナはうつむき、暴れるのを止めた。
教師に叶わないものが、魔法が使えない自分に何ができるわけでもない。
リリ「酷いよメイレン様。ロクーは、貴重な霊薬を使ってあなたを助けたのに。
あなたにとっては、恩人も同然だったはずなのに」
レン「ええ、そうね。後2800年たてば恩義を感じるかもね。」
ギ「むしろ量が多かったら消えてたんじゃないかなv」
とむしろメイレンは消されかかったのではないかと意見を言うギズモ
メイレンにとって、若返りをしてもらったのは遥か未来のことのように感じた。
一方、ミルクはミシェルとリリアーナに近づいて、小声で話しかけた。
ミル「アホ姉はああ言ってますけど、ミシェル先生は連中に勝てそうだと思いますか?
無理っぽいなら、今は我慢するしかないよリリアーナ。
ターロンの本性をメイレンさんが知るまでは、大人しくしていよう。 」
リリアーナは黙って頷いた。
ミルクの話を聞いたミシェルは擬音で表すならばヘニョっとした顔でかぶりを振ってみせる。
ミシ「みんなに任せます」
ミシェルはガサツだし幼い顔立ちだが本質は激情の人である。
そんな彼の本音で言えば、様子見などせずこの場で潰せば良い。という事だ。
対応が後手後手になるよりはマシなのだが………
ミシェルはこの場でのそれからのやり取りを、傍観者でいる事に決めた。
この先の展開を予想するなら、地下図書館の扉が開いた時か龍を解放した時点で戦闘に入る。
もし相手がうまく龍を操っているならその戦闘は不利だ。ならば、龍の力のない今の内に叩いた方がいいのだが………
もはや何も言うまい。アナスタシアとベルジンが、あからさまな懐柔策を採用してしまった今となってはどうのしようもない。
もしミシェルがこの場でターロンかメイレンに殴りかかれば、アナスタシアとベルジンまでも敵になってしまう可能性もある。
さっきはむくれ面をリリアーナに悟られたが今回は完璧なポーカーフェイス
………を装ってはいる。いつもはコロコロ変わる表情がムスッとしているので易く見破られてしまうから無駄な努力であるが。
ミル「…それからレベッカ、メイレンさんの言ってた能力が、どんなものかわかる?」
レヘ「“次元”ってのは物理的な表現でな。例えば速度にはkm/h、熱には℃とかって単位があるだろ?
要は、そういう“次元”を変えてしまうことだ。
ややこしいかもしれんが、言葉で説明するのは難しい能力なんだよ。」
ミル「…とりあえず、凄そうな能力だって事はわかった」
逆に言うなら、それ以上のことはよくわかりませんでした。
リリ「多分とんでもない力なんだろうけど、言葉の意味を操れる能力が消えたのは良かったかも。
全盛期のフルパワーで能力発動されたら、人間の私達なんかひとたまりも無いだろうし」
リリアーナは、テレパシーで妖怪以外の人間に知らせる。
リリ『万一の時は、私の持っている玉を破壊してください』
リリアーナはひとつ頷くと、こう付け加えた。
リリ「お願いします」
桜「それは構わない。がしかし、それは貴女がまたあの状態になってしまう。」
そこで言葉を切り少々暗い表情で言葉を続けた
桜「その状況になった場合、呪いが解けるまで気絶させるか、最悪暴れないように両手両足の腱を切らせてもらうが構わないな。」
ここまで言うとリリアーナに背を向け頬を掻く。
リリ「そうして欲しい。逆らえない衝動で皆を傷つけてしまうより、ずっといい」
桜「……すまない、先ほどからキツい言い方しか出来なくて。
切ると言っても、本当に本当の最悪の状況だけだ。
なるべくそうならないよう、貴女は私が守る。止める事、投げる事、切る事くらいしか私には出来ないけど…守るから。」
それだけ言うとリリアーナから離れていく。
リリ「ありがとう、オウカさん」
離れていく背中に、リリアーナはそう呼びかけた。
そう言えば、破れた服を見かねて、コートを貸してくれたのも彼女だった。
リリ「・・・・・・・・ぶっきらぼうだけど優しい人だね、オウカさんって」
誰にいうでもなく、リリアーナは呟いた。
ターロンは、床を3回杖で叩いて呪文を唱えた。
すると床に魔法陣が現れ、その上に黒い空間の裂け目が出現する。
ナナナ「はわわわ!どうして隠し陣の呼び方を知ってるんですか~!?」
ター「メイド長と名乗る方にお聞きしました」
ターロンはナナナにそう答えると、一同の方に振り返る。
ター「リリアーナさんとおっしゃいましたか。
過去の遺恨は水に流し、メイレン様のおっしゃるとおり今の私を信用し、協力していただきたい。
神龍の力を得た時には、メイレン様に倒された少年も私が助けて差し上げましょう。
そちらの黒犬のご主人も、私に協力していただけますね?」
ターロンは銀玉を食べた黒犬の主人、
ヴァンエレンにもそう呼びかけた。
ヴ「う…うむ」
バレないかとひやひやしながら頷ヴァンエレン。
リリ「魔力を持たないロクーを助けてくれるの?へえ。
まさかあなたの助けるって、鉄像にして永遠に飾るって意味じゃないでしょうね?」
リリアーナはマリオの時のことを引き合いに出し、皮肉を言った。
ター「これはご冗談を。彼のために出来るだけの最善を尽くすつもりでいますのに」
リリアーナの皮肉にも、優位を確信したターロンの余裕は崩れない。
リリ「過去の遺恨を水に流せるのは、相手が自分の行いを省みた時だけよ。
それにあなたさっき、雷龍を00匹封じ込めた杖を平気で投げ捨てたよね。
本当に、復活させようとする神龍に敬意を払っているわけ?
あなたの中では、その杖も、メイレン様も、神龍でさえ同じ価値でしかないんじゃないの?」
ター「私は龍の一族の末裔ですが、この杖に封じられているのは私より格下の者ばかりです。
この程度の者たちと、偉大な神龍やメイレン様を同列に語られては困りますね」
リリ「そりゃ魔法使いでも、使い魔に酷い事するのもいるけど・・・・・同族に対してあの態度ってどうなの。
あの神鳴りの杖だってそうよ。いくら格が下だからって・・・・・普通なら杖壊して同属逃がすとかしない?」
どうやら杖の価値も、壊した時のリスクも全く考えていないようだ。
リリ「もしかして妖怪って、格や力による上下関係は人より厳格なのかも」
リリアーナらしいといえばらしいが、実にお馬鹿な結論である。
ター「他の方々も、私に協力していただけるなら、その裂け目にお入りください。
地下まで安全にみなさんをお運びしましょう」
地下への直通路をターロンが開いたのを見てリリアーナを解放する。
ミシ「この展開なってしまえば、君は地下で玉をはめるまでは安全でしょう
………その先は皆が等しく死と隣合わせでしょうがね」
リリ「皆が等しくって事は無いですよ!だって先生達は、私達生徒を守ろうと考えてくださってますから」
リリアーナは殊更何でもないことのように笑った後、真面目な顔でさらに続けた。
リリ「私なんかは足を引っ張るだけですけど・・・・・何かちょっとでもできる事、あると良いんですが」
その後ミシェルは、アナスタシアと話すべく離れていった。
アナ「なんだこりゃ。よくわからない物がいろいろ入ってるなー。
入れるなら入れるで、説明書くらい置いておけばいいのになー……おおっ!?なんだ急に!?」
ミシェルはその憤りの任せるままに、宝物庫漁りを再開していたアナスタシアの首を掴んで端へ引きずっていく。
ミシ「まさか―――」
そこまで言ってミシェルは我に返り口を噤む。
ミシ「あの若返った妖怪の格好は目のやり場に困るから何とかしてくれ。と言って下さい」
とっさの言葉を、思いっきり引きつった笑い顔でミシェルは続ける。
ミシ「こうみえて私はシャイなんですよ」
何するんだこいつ、と言いたそうにミシェルを見ていたアナスタシアの顔に、ニヤニヤ笑いが浮かぶ。
アナ「他に何か言いたいことがありそうな顔してるなー。我慢せずに言っちゃってもいいんだぞー?」
それからキョロキョロ左右を見回して、少しだけ声を落として続ける。
アナ「ロクーが成功してターロンを始末できてればともかく、敵に戦力が揃っちゃった以上力押しは無理だろ。
心配しなくても、メイレンの前でターロンがいい子にしてれば殺される心配はないさ。
ターロンが神龍独り占めしようとしたら、メイレンは許さないだろうから仲間割れもするかもな。
ま、こうなったら出たとこ勝負だし、お互い作戦の成功でも神様に祈っとくか♪」
リリ「誰か、ロクーを運んでくれない?地下で会った蜘蛛や蝙蝠達に襲われたら元も子もないもの」
それを聞いて、メイレンがリリアーナを睨んだ。すると、間髪入れずにレベッカが言った。
レヘ「バカジャネーノ?」
メイレンも聞いている事を確認して、レベッカが続ける。
レヘ「何度でも言ってやるぜ。バカジャネーノ?あんな馬鹿を連れて行っても足手まといなだけだ。
どうせ死んでんだから蜘蛛に食われてもどうなってもいいじゃねーか。
それとも何か?私は全能なる魔法使いだから、死者も蘇らせることができるなんて考えてんのか?
まったく、これだから魔法万能主義の奴は嫌いなんだよ。ひでー妄想(笑)」
ギ「でもメイレンさんがお腹がすいたときにお弁当にすればいいじゃない」
それに気がつかず外道そのもののことを言うギズモ
メイレンも笑って、ターロンと共に黒い空間の裂け目に入るべく背を向けた。
ミル「言いたいことはわからんでもないけど、もっと言葉は選べと何回言えば…」
少しは誠意を伝える努力をして桜花を見習え桜花を。
ところが、レベッカの言葉には続きがあった。
レベッカが近くにいるミルクとリリアーナに小声で話しかけた。
レヘ「ターロンとメイレンが裂け目に入ったら、フリージアに言ってロクーをスペルマカプセル…
じゃなかった、使い魔カプセルに入れろ。こっそり運ぼうぜ。 」
リリ「マ以外全然違う!!・・・・・・じゃなくて!―――― え?!」
ミル「…どういうこと?」
言っておくが、俺はリーに同情する気はさらさらねーし、ロクーを信用しているわけでもねぇ。
どれだけあいつがりーの男に似ていようが、所詮は赤の他人にすぎねぇ。
だがな、さっきターロンを攻撃しようとしたロクーに迷いが無かった。
本来、非魔法使いが魔法使いを攻撃するのは正気の沙汰じゃねぇ。
あいつはきっと、俺達が知らないような、特別な“何か”があってターロンを攻撃しようとしたんだ。
いざという時に役に立つかもしれん。もしも、生きてさえいれば…」
ミル「…そういえば、ターロンに襲いかかった時にボスがどうとか言ってたな…」
一方、死王こと黒い猫は瓦礫に半身を突っ込んだままのロクーへと転移していた。
死『よう。
どうした?このザマは。
しょっぺぇなお前。
このまま終わるとは思わねぇが…とりあえず手を貸してやるよ』
そうして指先をロクーに向けると、死霊の力がロクー宿った。
死『あとはお前さん次第だ。
せいぜいあがきな坊や』
転移する前に黒い稲妻で瓦礫を破壊する。
フリ「結局こうなりますのよね・・・」
使い魔カプセルの中のロクーがアンデット化しているなんてまさかとも思っていないフリージア。
何も知らないフリージアは、ロクーがを使い魔カプセルに入れる。
実は生きていたら生きていたで万々歳である
もし本当に死んでいたとしてもいざとなったらアイシャに頼んで情報だけでも聞けばいいだろう
死霊使いという業界では死人に口ありだからだ
ミル「ごめんねフリージア、いつも助かってるよ」
リリ「フリージアが持っていてくれて良かった。
ギズモもありがと。本当はあなた用なのに、いつも私達ばかりが使わせてもらっててごめんね」
ギ「特に問題ないよ」
と返事をするギズモ
いえいえと手をひらひらさせるフリージア
この使い魔カプセルに入ったものは王大人に死亡を確認された人間と同じぐらいの確立で蘇っている
もはや使い魔カプセルでは無く奇跡のカプセルである
そもそも使い魔が入った事あったっけ?
リリアーナは手元の槍であるレベッカに視線を向けた。
リリ「・・・・・・・・誤解があるようだから言っておくけど、私が悲しいのは、友達が死んだからだよ。
もしレベッカさんが今のロクーだったとしても、私、同じ事を言ったと思うわ」
そう口で言い切ったものの、ほんの少しだけ後ろめたく思うリリアーナだった。
リリアーナの言葉に嘘は無い。
だが心のどこかで気づいてもいた。ロクーに別の誰かを重ねて見ていたことにだ。
リリ(変装とか術とかだと間違えたりしないし、こんなことあんまり無いんだけどなあ。
なんでロクー相手だと色々混乱するんだろ)
裂け目に入ったメイレンにはレベッカの小声は聞こえていない。それでも、メイレンにはレベッカの魂胆が読めた。
レン「(メイテンめ…ロクーをこっそり使い魔カプセルに入れて持っていくつもりね。
でも、それは何の役にもたちはしないわ。使い魔カプセルの性質は、入っていた私も把握している。
確かに優れた機能を持っているけど、死んだ者には何もしようがない。
この私でさえ、妖怪力をすべて回復にまわさなければどうなっていたことか…
ロクーは間違いなく殺した。そして、妖怪でもなければ、魔法使いでもないただの人間。
蘇生する可能性なんて、万に一つもない。せいぜい期待をもてばいいわ。)」
メイレンは笑顔でターロンに聞いた。
レン「ターロン、この服を見て。これを見てどう思う?」
ター「これはひどい。随分服が破けていますね」
凄く…ボロボロです…などと言うわけにもいかず、ターロンは当たり障りのない返事を返した。
レン「私があなたの味方になったとたんこの扱いよ。それでよく私達を薄情だと言えるものだわ。
あなたは違うわよね、ターロン(愛好)?それともこのままの方が好み(愛好)?」
レヘ「うわぁ…俺とは違う意味で下品だぜぇ。」
レベッカがターロンに色目を使うメイレンを見てそうつぶやいた。
一応、自分が下品だという自覚はあるらしい。
桜「品性と言うものは大切にしたいものだな。」
リリ「自分でやらないんだ・・・・・・」
つっこみは三者三様である。
リリ「あ、そうだ」
メイレンが羽織るものを出してもらっているうちに、リリアーナが桜花に呼びかける。
リリ『今のところメイレン様やターロンに、オウカさんの時間操作?を阻止する術は無いみたい。
何か事が起こった時には、妖怪チーム相手の切り札になるかもね』
リリアーナの言葉に桜花はリリアーナの方を見ずコクリと頷いただけだった。
リリアーナの方を向かなかったのは理由がある
今、桜花の顔は真っ赤なのだ
桜(い、言ってしまった……守るだなんて……
恥ずかしい……)
今更ながら自分の発言に赤面している桜花であった
アナ「おーい妖怪3000歳ババア!教育に悪いから早く服着ろー!」
レン「何ですって!?」
不意をつかれる形となったメイレンがすっとんきょうな声を上げた。
一応気分も肉体も200歳なので、怒ってもいいのかどうか反応に困る。
ターロンは苦笑しながら魔法で白いマントを取り出した。
ター「メイレン様にはどのような服でもお似合いですが、あの者たちには刺激が強すぎるようですな。
このような物しかありませんが、どうぞこのマントをお召しください。
…さあ、それでは地の底に参りましょう。
そこに神龍復活の鍵があるはずです」
レン「ありがとう。」
メイレンは少しむすっとした様子でそれを羽織った。
ミル「刺激してどうする変なこと言うなよ!爆弾が爆発したらどうする気だ!?」
アナ「え~、本当の事を言っただけだぞ♪」
だめだこいつ、早く何とかしないと…
ミル「あーもう!いいから黙ってさっさとターロンとメイレンさんについていけーっ!!」
お宝を手に入れても、アホ姉がメイレンさんたちを怒らせちゃ意味がない。
くそー。お宝タイムは後回しにして、今はアホ姉の子守に徹するか…
仕方なくお宝を諦めたあたしは、アホ姉の腕を引っ張って空間の裂け目に入る事にした。
空間を抜けるとそこは地下墓地だった。
立ち並ぶ墓石の中心に、なぜか生きているかのようなメイド像があり、その胸元には三つの窪みがある。
リリ「あれ?メイドさん・・・・・・だよね?」
…なぜ墓地にメイド像。
ムウの人間の考えることはよくわからん…
ター「おお!メイドの像に玉をはめる窪み!あの悪魔娘の言ったとおりだ!
この像こそ神龍復活の鍵に違いない!」
リリ「そっかな~?・・・・・・・うわっ?!アナスタシア先生?!」
興奮しながら像を調べるターロンを見ていると、アホ姉を引っ張っていたミルクの腕が急に重くなる。
見ると、地面に落ちてぐったりしているアホ姉が…
ミル「ちょ、ちょ、どうしたのよ急に!大丈夫!?」
アナ「うー…ちくしょー…。ここは闇の気が強すぎて力が抜けるぞ…」
帰ってくる返事も、明らかに弱々しい声で。
こ、これはちょっとまずいかも!?
ナナナ「はわわ!大丈夫ですか~!?」
ミル「天使は死なないらしいから、それだけは大丈夫。
ほら、姉ちゃん。背負ったげるから捕まって」
リリ「いくら死なないからって、辛いのには変わりないでしょう。
ねえベルジン先生、何かいい手はありませんか?」
ベル「とりあえずここは闇払いの術式で場を清めておくとしよう…
これで多少は楽になると良いが…」
ベルジンはそう言うと懐から杖を取り出し
何かの呪文を唱え杖を軽く振り回した
すると杖の先が朧げに発光し その直後 強烈な閃光が場を包む
ベル「これで闇の気はだいぶ抑えられた…
ホーリー先生もじき落ち着くだろう…」
ぬいぐるみは手放さずに、それでもしっかりしがみつくアホ姉をミルクが背負いなおしていると。
興奮さめやらぬ様子のターロンが叫んだ。
リリ「ゴーストも霊も全然いないのに闇の気が強いって・・・・・・なんか嫌な感じ。
妖怪のターロンはここに来てえらくハイになってるけど、あれも闇の気の影響なのかな?
レベッカさんは大丈夫?」
ター「さあさあメイレン様!他の方も早く!
その窪みに金、銀、真珠の玉をおはめください!
さすれば玉の力は全て封印の解除に使われ、魅了の呪いも自ずと解ける事でしょう!」
リリ「ホントかな・・・・・・?」
リリアーナは手のひらの真珠玉をじっと見た。
メイレンは上着を持ち上げて、露出させたお腹に右手を当てた。
右手はまるで溶けるようにお腹の中に吸い込まれ、
それをメイレンが引っ張り出したときには、右手に金玉が握られていた。
犬『ついたか。
このザマじゃあロクに動けねぇ。
だから誰かハメちゃってくれや』
まだミシェルによって傷ついた足を引きずりながら影から出てくる。
そして飲み込んでいた銀の玉らしきものを吐き出し、にやにやしながら誰かがとりに来るのを待っている。
ター「おおお!これで全ての玉が揃いました!」
黒犬の吐き出した銀玉を見て喜ぶターロンだが、自分から玉を取りに行こうとはしなかった。
リリ「キャー!!ちょっと、何で飲み込んでるのよ!
こういうときは見えないところでやるか、メイレン様みたいに美し~くスマ~トに取り出すのがマナーでしょ!」
犬『ちなみにこの件について俺はなにもしねぇぞ?
ただこの状況が面白いから見ているだけだ。
今はな』
リリ「わーもう!元気な足が3本も残ってるんだから自分ではめ込みにいきなさいよー!!
ほら!あのターロンまで拾わずに遠巻きにしてるじゃないの!」
頭に来ているリリアーナは、黒犬があっさり玉を手放したことまで気が回らないようだ。
レン「まずは一つ…」
メイレンが金玉をメイド像にはめた…が、メイレンはそこから動こうとしない。
レン「なんというか…この呪いは本当に強力ね。
頭ではわかってるけど…これを手放すのには時間がかかりそう。」
メイレンは呪いの余韻によるものか、動くまで少し時間がかかりそうな様子だ。
玉の所有者の中で最も玉に長い時間、それも体内に宿していたのだから、
無理からぬことなのかもしれない。
ター「私がこの城に着いてから調べた所、これは元は神龍の持っていた玉を3つに分けた物のようです。
メイレン様すら魅了する力を持っていても、不思議はございません」
リリ「じゃ、じゃあ私が二つ目を・・・・・・・」
リリアーナが台座に真珠玉をはめた。
ずっと触っていたい!!という衝動を何とか振り切って、一歩後ろに後退する。
直後。
リリ「玉!玉!私の銀玉――――!!!」
リリアーナは鬼のような形相で黒犬めがけて突進した。
そして彼の前に滑り込み、置いてあった銀玉をわしづかみした。
リリ「取ったど――――!!!・・・・・・・・・・・・・・・ぁ」
銀玉を手にしたリリアーナは、ようやく我に返った。
ター「まして、魔法使いとはいえ未熟な者が持てば、このように身の破滅を招きます。
これだけの力を持つ神龍を御す大任に、このターロンも身の引き締まる思いです」
リリ「もう、人として色々だめな気がする・・・・・・・。
ターロン、本当に玉をはめ込んだら呪いから解放されるんでしょうね?」
ター「私の計算は完璧です。間違いありません」
ターロンは自信満々にリリアーナにそう言った。
触っていたい。持っていたい。これは私のものよ。
そんな内心の声と戦いながら、震える手でようやくリリアーナは銀の玉を台座にはめ込んだ。
リリ「これで、3つ目・・・・・!!」
最後の玉がメイド像にはめ込まれた時、リリアーナとメイレンから憑き物が落ちたように玉への執着心が消える。
レン「ふぅ…」
メイレンの心からも執着心が消え、やっと玉から手を離すことができた。
メイド像の近くにいるメイレンには、僅かにメイド像が動いたのもわかるかもしれない。
だが、しばらくはメイド像にそれ以上の変化はなかった。
桜「…………………」
遂にメイド像に3つの玉が納められる。
何が起こってもいいように桜花はコートの隠しポケットから銀製のナイフを……
桜(しまった……コートはリリアーナさんに貸したままだ)
ナイフは無しにとりあえずは身構える桜花
フリ「「さあ鬼が出るか蛇が出るか・・・・」
期待と不安が入り混じった表情でメイド像を見つめるフリージア
ギ「出るのはドラゴンだと思うよ」
フリ「寝ぼけてファイヤーブレスとか無いでしょうね・・・・」
と復活した神竜が暴れだすと怖いためちょっぴり後退するフリージア
ミル「そこはターロンになんとかしてもらおう。
あれだけ自信満々なんだから、それくらいは考えてもらわないと」
仮に寝ぼけた竜に襲われても、位置的に最初に黒こげになるのはターロンである。
焦げるのが早いか遅いかだけ、という気もするけど、犠牲になるのは遅い方がいいに決まってる。
ギ「タッカラプト ポッポルンガ プピリットパロ!!!!!」
謎の言語で呪文を唱えるギズモ
(223で〆)
最終更新:2009年10月13日 17:32