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7:夜


色々あって元の服に着替え
リリアーナに服を返却したフリージア
取れたはずの胸元のボタンもいつの間にか縫い直されている
ギ「お母さん、リリアーナお姉ちゃんの服のボタンつけ直し終わったよv」
本当にいつの間にかである
何時ボタンを探したのか?
何処から縫い針と糸を取り出したのか?
そもそも縫い物の技術とかギズモは何処で習ったの?とか
それは誰も知らない
私ですら知らない

ギ「図書館ってすごいよねvどんな情報でも手に入るよv」
どうやら図書館にあった本で勉強したらしい
フリ「じゃあ次はその魔道具を返していらっしゃいな」
どうやらまだ記録用の魔道具を返却してなかったようである
ギ「うん。分かった」
と元もとの持ち主に借りたものを返すべく飛んでいくギズモ
すぐ近くなんだから歩けばいいのに・・・・

ユリ「あ!ギズモだ!
 記録石返しに来てくれたの!?一人で偉いねー!」
その少し後の事だ。
記録石を返すために飛んでいたギズモは、やはり飛んでいたユリに出会った。
どこで別れたのか、アナスタシアは一緒ではなかった。
ユリ「うん!ばっちり記録できてるよ!ありがとギズモ!
 これをアルナワーズ機関に渡して編集してもらえば、パーティをばっちり盛り上げられるね!
 それじゃあまた後でね!フリージアたちによろしく!」
受け取った石の内容を少し確認した後、ユリは慌ただしくその場を飛び立つ。
ミルクがいれば、去り際に残した学園の問題児の名前がついた機関名に、不安を感じたことだろう。
しかし今ミルクはいないし、アルナワーズの能力には何の問題もないのだ。
性格については、各方面から物言いがつくかもしれないが。
ーーーー
で、今。つまりはパーティ会場で。
ミルクはちびちびお酒を飲みながらのんびりしている。
あの後、結局アホ姉を探し出すことはできず、あたしの努力は壮大な無駄に終わった。
広い学園内で子供一人を探そうなんて無理だと、もっと早く気づくべきだったのだ。
うろうろ歩いて探し回るものの、手がかりさえも見つからず。
そうこうしているうちにユリの声で放送が入って、ムウ大陸探検隊関係者は招き猫広場に集合!ときたもんだ。
酒でも飲まなきゃやってられるかっての。
でもこれ、なかなか美味しい酒だな。
古酒だったっけ?高くて珍しい酒はやっぱりいいね。

そして夜になりパーティが始まった
フリージアさんの服装は前回の間に合わせ衣装とは違い普通の青いナイトドレスである
フリ「さあ!今回は間違ってお酒を飲まないようにしなくちゃ!!」
前のパーティじゃブドウジュースと間違ってワインを飲んだフリージアさん
前回のはジルベリアには葡萄が無くワインが作られないために起こった失敗である
故に今回は大丈夫だろう・・・・たぶん
ミル「お。フリージアも来てたんだ。
 いいドレス着てるね、似会ってるよ」
アホ姉のことだから、そのうち騒ぎを起こして居場所がわかるだろう。
なんて考えながら網を張ってると、着替えてきたらしいフリージアがやってきた。
こうしてナイトドレスなんか着ている所を見ると、ほんとにお嬢様に見えてくるから不思議なものだ。
いやほんとにお嬢様なんだけど。単に普段の言動がそう思わせてくれないだけで。
ミル「もうすぐ誰かが音頭とって乾杯でもするだろうから、それまでは適当にやっとこう。
 フリージアもいろいろお疲れ様。まあこれでも飲んで疲れを取ってよ」
あたしは、近くにあったグラスに手持ちの瓶から琥珀色の液体を注ぎだし。
グラスをフリージアに手渡した。

ロク「もう駄目だ!お終いだ!」
ロゼッタの中の人が全力でorzとしていた。
リリ(うっわー。声かけにくい・・・・・・)
ロク「アンジェリーナとエイティ先生にロゼッタを見られてしまった!俺はもう駄目だ!」
ちなみに、アンジェリーナもエイティも学園の教師でロックと縁がb深い二人である。
リリ「ロゼッタ・・・じゃなかったロック落ち着いて。ほら、豚肉の腸詰め取ってきたよ」

ア「女装をするような子はしまっちゃおうね~。」(実際には言っていません。)

そんなアンジェリーナの声が聞こえてきそうな気がした。
ロク「うわあああああああっ!!」
リリ「ちょっとロック。随分久しぶりに戻ってきたっていうのにさー、
 私を見て何か言うこと無いわけ?」
リリアーナは腸詰の皿と飲み物を持ったまま、その場でくるりとターンした。
ドレスの裾がふわりと舞う。
呪いでスタイルが良くなった筈なのだが、果たして気づいているのだろうか。
69「ん?ああ、ただいまリリアーナ。ずいぶん待たせたな。」
この返答はリリアーナの期待に応えれなかったようだ。
リリアーナはつんとそっぽを向いた。
リリ「まあ、いいけどねー。そのかわり、一言言わせて貰うわ」
もちろん、彼に気のきいた言葉などはなから期待していない。ちょっと困らせたかっただけだ。
リリアーナは精一杯難しそうな顔を作ると、こほんと咳払いした。もちろん目は笑っている。
リリ「・・・・・・おかえりロック。なかなか戻ってこなかったから、心配したんだからね」
ロックもにっこり笑い返した。

桜「なにを叫んでいるんだ・・えっと・・・確かロゼッタさん」
男子生徒に地雷を踏みつつ寄っていく桜花
ロックは全力でシャキーン!とすると、キリッ!と答えた。
69「ロゼッタ・ウィルは既に死んだ!ここにいるのはランク1、ロック・ウィルだ!」
あくまでロゼッタとロックは別人です!そういう設定なのです!的な態度でロックが言った。
桜「え、ああ、そうなのか・・・すまなかった、ロックさん」
桜花もロックの言いたいことを感じとったのか深くはつっこまなかった。
リリ「オウカさん、よかった、元気になったみたいね。その礼服、とっても似合ってるよ!
 あれ?もしかして1人だったの?変ね、今日は白百合騎士団のメンバーがエスコートするはずだったのに。
 まあいいわ、ご一緒しましょうよ」
リリアーナはオウカに椅子を勧めた。

さらにその後。
学園内にユリの声で大音量の放送が響き渡る事になる。
ユリ「ピンポンパンポーン! 業務連絡を申し上げます!
 ムウ大陸探索隊関係者の皆様は、至急招き猫広場にお集まりください!
 繰り返します!ムウ大陸探索隊関係者の皆様は、至急招き猫広場にお集まりください!」
アナ「来なかった奴は死刑!以上♪」
最後にアナスタシアの物騒な言葉を拾って、放送は終わった。

ユリとアナスタシアの放送を聞けば、皆もぼちぼち集まってくるだろう。
皆は自分達を見つけてくれるだろうか。
人波に目を向けながら、リリアーナはふと疑問を口にした。
リリ「そういえばアンジェリーナ先生に見られたって言ってたよね?
 それはつまり、先生は学園に戻って来こられた・・・・・・って事よね?
 どうして突然いなくなってしまったの?ロック、何か理由聞いてる?」
ロックはリリアーナが持ってきた豚肉の腸詰め(ロックも一つ食べた)をオウカにも勧めた。
フィンカイラ島の件は別にオウカに聞かれても問題ないが、
オウカにとってそれほどおもしろい話だと思えなかったので、ロックなりに気を使ったつもりだ。
桜「あ、ありがとう、ロックさん。」
ロックに対してぎこちなく礼を述べる桜花

69「ああ、フインカイラ島からアンジェリーナと一緒に戻ってきたぜ。
 あの島ではネコ派とイヌ派の内紛が起こってたんだ。
 そこでアンジェリーナがハト派として仲裁に行く事になったんだが、
 結局タカ派になってネコ派陣営もイヌ派陣営も崩壊した。
 アンジェリーナは俺に置き手紙をして出て行ったと言ってるが、
 俺はヒンヌー教徒の連中が隠したんじゃないかと思っている。
 俺がフィンカイラ島に入った時、そいつらに襲われたからなぁ。」
ロックはフィンカイラ紛争をリリアーナに簡単に説明した。
リリ「ヒンヌーキョウト?何それ。イヌ派やネコ派の刺客?」
まさか自分のコンプレックスが、一部の生徒に大人気などリリアーナが知る由も無い。

ロックが勧めた豚肉の腸詰めを食べながら二人の話を聞いていた桜花だが
事情などをまったく知らないため、全く要領の得ない話ばかりであった
リリ「どちらにしても、ロックもアンジェリーナも無事で良かったわ」
もしもあのアンジェリーナがフクロウ派、もとい、タカ派になって暴れたとしたら、想像を絶する事態になっただろう。
ちょっとだけイヌ派陣営とネコ派陣営に同情してしまう。
リリ「でもよかった、学園が嫌で姿をくらまそうとしたわけじゃなかったのね。
 彼女、時々極端な行動に出るし・・・・・・ちょっとだけ心配しちゃったわ。」
アンジェリーナ先生のご帰還に、今頃きっと初等部の教え子達も大喜びしているだろう。
そんなアンジェリーナは、ロックにとっては数少ない縁者の1人でもある。
色々複雑な立場のロックには、心の支えが1人でも多いほうがいい、そうリリアーナは考えていた。
リリ(まあ、本人がさほど悩んでなさそうなのが救いなんだけどね~)
かいがいしく桜花の世話を焼くロックを、リリアーナは微笑ましく眺めていた。

69「そう言えば、お前はイヌ派か?それともネコ派か?どちらかと言えばお前はイヌ科に見えるな。
 いや、そもそも俺はお前の名前も知らないぜ。名前は何て言うんだ?」
と、ロックはオウカに聞いた。
桜「・・・私がイヌ科かは判らないが、貴方もどちらかといえばイヌ科に見える。
 私は響桜花だ、自己紹介が遅れてすまない。
 それと、私はイヌ派だ。」
簡単に自己紹介を済まし再び豚肉の腸詰めを食べ始める桜花
リリ「わあ!私もイヌ派だよ!気があうね!」
リリアーナは手を叩いて喜んだ。
リリ「オウカさん、さっき話したとおり、彼はロック・ウィルだよ。
 ずっと課題で学園を留守にしてたんだけど、やっと帰ってきたの。
 彼、物体操作の魔法が得意でね、箒で空も飛べるのよ!物理とかもすっごく得意で・・・・・。あ。」
我に返った彼女は「と、とにかくそんな感じなのよ」とロックの紹介を締めくくった。

69「そうだ、リリアーナ。お前に言いたいことがあったんだった。
 ヨハネカインの件で忘れるところだったぜ。」
桜花にフォークを渡そうとしていたリリアーナが、何?と首をかしげた。
ロックはテーブルに置かれたかぼちゃジュース(もちろん口をつけてないやつ)をオウカに勧めた。
桜「ん、ああ、度々すまない、ロックさん」
69「リリアーナ、お前はおっぱいが大きくなくても美しい。
 それに気づいてほしかったから胸に“何か”を入れたのか?その思惑は大成功だぜ。」
リリアーナの手からぽろりとフォークが落ちた。
口に含んでいたかぼちゃジュースを盛大に噴出す桜花
別に可笑しかったわけではない。”胸に“何か”を入れた”という部分に過剰反応してしまっただけである
幸いかぼちゃジュースは誰にもかからなかったようだ
リリ「・・・・・っ!オウカさん大丈夫?!服、汚れなかった?!」
一瞬の間の後我に返ったリリアーナは、あたふたと桜花にハンカチを渡そうとして・・・・・・。
リリ「あ、あれ?!」
リリアーナは困惑した。涙がとめどなく溢れてくるのだ。
何も悲しくなんかないし、ロックはきっと、思ったことを口に出しただけだというのに。
ありのままの自分を受け入れてくれる人がいる。
それはなんて、幸せなことなのだろう。
リリ「別に何も入れてないわよ。ちょこっとムウ大陸で呪われただけだもん。・・・・・・バカロック」

R『ったー!知り合い発見!ひんぬーリリアーナだ!』
リリ「え?誰?どこ?」
S『リリアーナさん!?それとオウカさんだっけ?あとロックも!おーい!』
高い声でグレイズが呼びかけるのに、遅れてネリーもずざざと派手にブレーキする。
リリ「あれ、グレイ達じゃない。それとネリーさん、だったよね?そんなに慌ててどうしたの?」
69「なんだこのかわいい人形は?グレイズなのか?」
リリ「うん、魂の器なんだって。ちなみにもう一体のお人形には、今はグレイルが入ってるみたいね」
ネリ「すみません、グレイブ君見ませんでしたか!?あの、タキシード着てる青髪なんですけど!
  酒癖悪いの知ってます?このままだと他の女の子達に被害が出ちゃう!」
せかせかとリリアーナ達に近寄りつつ、次々にまくし立てた。
リリ「ネリーはいいんだ・・・・・・」
ネリ「へ?あ、いや、その、そうじゃなくって!グレイブ君私口説かないし!」
どういう訳かネリーはグレイブに口説かれたことは無い。
理由は昔からの付き合いだからか、本当に好きだからかと推論はあれどその真意はわからない。

69「女装を非難するくせに女の子に酔ってからむとはとんでもない奴だ!俺が見つけ次第懲らしめてやるぜ!」
桜「同感だな。そういう男を女の敵というんだ。」 
桜花も殺る気(字が違うが)まんまんである。
R『出来れば殴らねーでほしーんだけどな!俺らも痛ぇーしさー!』
リリ「まあ2人とも落ち着いて。そうだ!お人形から魂が抜けたら、身体のある場所に強制的に戻れるんじゃない?」
S『え?いやそれだとってわあああ!?』
試してみよう!とリリアーナはグレイズの人形を手にとると、勢いよく上下に振った。
リリ「えいえいえい!・・・・・・・どう?魂は抜けた?」
ネリ「わー!リリアーナだめー!それ、結構デリケートなのー!」
S『うぅ……抜けないよ。て、いうか今抜けたら死ぬかもしれないんだけど……』
本体との因果関係はまだ確認されていないため、離れた場所で魂が抜けたらどうなるかわからないのだ。
リリアーナの推測どおりに行くかもしれないし、もしかしたらそのまま本当の幽霊になってしまうかもしれない。
だから大困りなのだが……グレイズはふらふらになった。グレイルも僅かによろけている。

リリ「こうしていても仕方ないわ。ひとまず招き猫広場の方へ行ってみない?
 さっき放送入ってたし、グレイブならきっとそっちに向かったはずよ。
 もし何かやらかしてたら、きっと騒ぎになってるからすぐ見つかると思うし!」
桜「そうだな、時間ももったいないからな」
リリアーナの後ろについていく桜花
リリ「オウカさん、ドレスも似合いそうなのに。何で男装なの?いや、似合ってるけど・・・・・・。
 もしかして、ダンスとか嫌い?」
桜「いや、嫌いじゃないが・・・得意じゃないんだ。
 こういう雰囲気というか・・・場所というか・・・」
照れくさいのか頬を掻いてモゴモゴと小声で言う。
リリ「嫌いじゃないなら、私が教えるよ。
 もしも気恥ずかしいだけなら、最初は友達同士で踊って慣らそうよ!
 やっぱりこういうパーティは、楽しんだもの勝ちだもんね!」
桜花の周りの暗かった雰囲気がパーっと明るくなる(もちろん顔にはでないが)
桜「ほ、ほんと?ぜひ、お願いしたいんだが・・・」
ちょっとごめんね、と言って離れていくリリアーナにああ、言葉すくなく返す
今、桜花は非常にうきうきしている
もちろん顔には出てないがうきうきしている

リリ「ロック、ありがとう」
招き猫広場へ移動中、リリアーナがロックに囁いた。
69「何のことだ?」
リリ「でも、言った言葉には責任持ってよね。いざという時がっかりしたら、もう絶交なんだからね」
ロックは黙ってうなづいた。

リリ「い、意外と人が多いね。見つかるかな・・・・・・。グレイズ、自慢の鼻で見つけられない?」
S「今やってみてるけど、厳しいなあ。ロックやオウカさんは見つけた?」
ロックは首を横に振った。鼻をすんすん鳴らし、狼耳を立てて何とかグレイブを見つけ出せないものかと奮闘中。
グレイルはネリーの頭に陣取って寝ている。移動が面倒になったのだ。
ミル「あ、リリアーナたちだよ。
 おーい!こっちこっち!こっちだってば!」
リリ「あ、ミルクの声だわ。ラッキー!一緒に探してもらいましょうよ・・・・・って、あれ?!」
ミルクの傍らには、彼女をエスコートするグレイブの姿が。
ネリ「ん、友達?んー……みゃっ!?みゃあああ!!?」
B「ち、ネリー……とくるとSとRもか?」
そこにいたグレイブの爽やかな表情に影が入り混じり、渋い表情が見え隠れする。
S『ああっ!いた!よりによってミルクさんとフリージアに手を!?』
R『にゃにっ!?インテリヤロー居やがったー!』
素早く起き上がってテーブルの上に軟着陸するグレイル。同じように横に降り立つグレイズ。

ミル「どうしたの、みんなで集まって怖い顔して。何かあったの?
 あー、さてはリリアーナがまたお酒飲んで何かしたんでしょ。
 ダメだよリリアーナはアルコール弱いんだからー、気をつけないとー」
リリ「わ、私は正気だもん!
 そもそも自分から飲もうとした事なんか一度だって無いわ!全部事故だもん!」
ちなみにリリアーナの場合、コーヒーに垂らしたブランデー程度でも酔える程の弱さだ。
本人は全く覚えていないが、酒がらみでは数々の伝説を残している。
ミル「あはは。冗談冗談。
 でもアルコールありの会場だから、飲み物食べ物には気を付けなきゃダメだよ~?」
軽く笑って流そうとすると、リリアーナは真剣な様子で先を続ける。
リリ「そんなことより、ミルク、無事だった?
 グレイブに口説かれたり、えっちなことされたりとかしなかった?!」
とリリアーナがミルクに聞いた。ロックはその間にポケットから何かを取り出し、それらを両手に握った。
指の隙間から、ゴリゴリという音が漏れる。
B「はは、酷いこと言わないでくれリリアーナ。まだエスコートしかしていないというのに」
S『まだ!?「まだ」って何だよ!?』
ミル「まだ!?」
あれ!?なんか今聞き捨てならないこと言いましたよグレイブ!?
まだっって何!?じゃあ、将来的には何かするつもりだったの!?
B「ぎゃあすかぎゃあすかと喧しいなぁS。てめぇは黙ってやがれ犬野郎」
急にガラッと態度を変えてすごむグレイブに、あたしはぽかーんですよ。
え?なに?どうしちゃったのグレイブ?
二重人格?それともリアル狼な性格?何かの拍子に、真の自分を解放しちゃったとか?

リリ「・・・・・・はっ!大変!フリージアが!」
リリアーナは地面に座り込んだフリージアに気づき、慌てて駆け寄った。
フリージアのチャイナドレスは(ギズモに引きずられたため)乱れている上に(酒のせいで)ぐったりしている。
リリ「フリージアしっかりして!いったい誰がこんなひどい事をー!!
 グレイブ、まさかあなたなの?!ひどいわ!あんまりよ!」
リリアーナはフリージアを抱きしめると、わっと号泣した。
ギ「犯人はヤス」
ここぞとばかりに分かりにくいボケをかますギズモ
ミル「あ、いや、フリージアは起こさない方が…」
さっき絡まれてひどい目にあった身として、ごにょごにょフリージアを起こそうとするリリアーナを止めようとしたけど。
B「ふっ、失敬な。俺はそんな野蛮で低俗な行為などしないさ。女性に手を出すのはベッドの上でだけだ」
S『危ない発言ー!それ危ないってば!それより、ミルクさん口説いて何する気だよ!?』
B「……それは勿論、最後までに決まってるだろうが。少し詳しく説明してやるならば、
 口説いてラヴ・スポットまで連れ込んで話して良い雰囲気にしてベッドに押し倒して
 唇奪って舌入れて口内…『ぎゃー!ストップ!』…くして…『だーまーれ!黙れえええっ!!』…るだけだが?」
まっピンクに染まっている脳内をグレイブは簡略に説明してくれたようだ。既にワイン3本以上空けているだけある脳内である。
ちなみにこれでも一割伝えたかどうか程度だ。最後なんて一言で纏めた程度。
本気になれば余すところ無く生々しく語ってくれるだろうが、公衆の面前なので多少自重したらしい。
ミル(なななななな……なんじゃそりゃー!!?
 なんだってあたしが、そんな怪しい事することになってるんだ!? )
S『前なんかは押し倒すまで行ったけど糸が切れたかのように寝たからいいものの、今度はそーはいかない!
 大体今までその欲望のために何人口説いてきた!?B!!』
B「10から先は覚えていねぇよ。そもそも人数という下らない統計に価値など無いだろうが。
 覚えておくべきは個人のこと!アリサ、エイミー、ユーコ、セリーヌ、ベラ、フラン、ジュリア、リリアン、マーガレット……」
S『お酒抜けたら覚えていないのになんで今だけそう思い出せるんだよ!?
 ……あーごめん皆、グレイブはこの通り。もう一つ違う魂があるんじゃないか、って疑いたくなるぐらいに変貌するんだよ……』
白百合騎士団から狙われるのも当然の極みである。
そしてグレイズの胃へのダメージも計り知れない。
ミル「どー考えても別の魂だろうがーっ!!」
酒が抜けたら覚えてないって、そりゃ完全に酒に飲まれてるだろうが!
あああああ、なんであたしの周りはこんなに酒乱が多いの!?
んでもって、何も悪い事してないのになんでこんな騒動に巻き込まれるの!?
そのグレイブを見た桜花は顔を真っ赤にしていた。こういう事に耐性がないのかもしれない

ネリ「だ、け、ど!もうこれ以上被害は出させないよ!悲しいけれど、グレイブ君は私の手で連行させてもらうからね!」
R『そーさ!暴れられちゃー俺もやだからなー!』
S『大人しくお縄に「五月蝿しい」つくっ!?』
ふおんと無造作にグレイブが手を振ると、一瞬でグレイズが氷に包まれる。無詠唱の無駄使いである。
R『Sー!くっそうこのヤローッ!食らえ、“包め炎よ、我が右手を”!俺の右手が真っ赤に燃えるぅー!』
B「この脳内筋肉が!詠唱がノロいんだよ!俺の(女性への)愛を止められると思うなッ!」
今度は手に持っていたグラスを振るい、中のワインを氷柱に変えて打ち出す。
その氷柱は見事にグレイルの服の端々を捕らえ、テーブルの上に磔刑にした。だから無詠唱の無駄使いだってば。

ぐいっと。体が誰かに引き寄せられる。
気が付けば、すぐ目の前に優しげに微笑むグレイブの顔。
グレイブに抱き寄せられたんだと頭が理解するのに、しばらく時間がかかった。
そして近くにいるミルクを抱き寄せ、再び甘い表情の仮面を装着して耳元で甘く囁く。
B「失礼、ミルク。さっき俺やSが言ってたことは本当だが……俺はただ、可愛いミルクのことをもっと知りたいだけだ。
 今までの誰よりも。それで、どうかな?一晩俺と過ごしてくれないものかな……一晩、その宝石みたいに美しい瞳で見つめて欲しい」
ミル「え。いや。あたしは。その。
 急にそんな事言われても。心の準備が…」
耳元で聞える囁きに、抵抗できない。
顔が火照ってるように感じるのは、お酒のせいか別の何かか。
いやいやいや状況に流されるなあたし!
目の前にいるのは女たらしの常習犯の犯罪者なんだぞ?
そんな奴はあたしの趣味じゃないはずだろ!
そんな考えが頭の中をぐるぐる回るけど、それは行動にはつながらず。
あたしにできたのは、グレイブの腕の中でもぞもぞ動くことだけだった。
ネリーが何処からか大きなハンマーを取り出しているのには見て見ぬフリ。野次馬にも見て見ぬフリ。

69「その通りだ!だが違うぜ!なぜならお前は俺と熱い夜を過ごすからだ!バトルという名の熱い夜をな!!」
ロックの握った手の中からゴリゴリという音が止まると、彼はグレイブを指差しながら叫んだ。
69「リリアーナ!オウカ!俺から離れろ!ホット・ハードニングだ!お前の好きにはさせないぜ!グレイブ!!」
ロックの体がブオンという効果音と共に熱い蒸気に包まれた。周りの温度が一気に高くなるほどヒートしている。
リリアーナの手を取りロックから距離をとる桜花
69「蒸気弾だ!!」
ミル「あちちちっ!?」
急に、近くで高温の蒸気を感じ、あたしは慌ててその場を離れて転がった。
ロックは握っていた手の片方を開くと、そこからグレイブの顔の高さに向けて蒸気の塊を放った。
蒸気という性質を考えればそれを一気に凍らせることはできないだろうが、しかし氷で冷やせば殺傷力は無くなるだろう。
ロックにとってそれは予想の範囲内である。ロックには第二の蒸気弾を放つ準備がある。

フリ「ちょっと!何、人が気持ちよく寝てるのにギャースカギャースカやってますのよ!!」
あまりに騒がしいのでやっとこさ目を覚ましたフリージアさん
静かだなぁと思ったらどうやら寝ていたらしい
フリ「やっぱり学生がお酒を飲むもんじゃないと思うんだ」
と至極真っ当な事を言うギズモ

フリージアさんの目の前ではグレイとロックがなんか対決してた
フリ「ちょっと一体全体どうして二人が戦ってるわけ!!」
まだちょっと酔っ払っているからか?状況判断ができていないフリージアさん
ミル「いや実は、グレイブが酒に酔って別j…」
フリ「なんだか良く分からないけど喧嘩両成敗ですわぁ!!」
フリージングディストラクションの呪文を唱えつつキグナスダンスを舞い踊るフリージアさん
すいませんちょっとどころじゃなく酔っ払ってました
ミル「あんたまだ酔ってるのかよ!んな威力の高い魔法使うな!」
どこからともかく”いいぞぉ!ぬげぇ!!”とか声が聞こえて来る
ミル「煽るなバカ!先に止めろ!
 こんな人の集まってる場所で大魔法なんか使われたら、洒落にならんぞ!」
言ってはみたものの、どうも周りの連中も酔ってるらしく返事は無し。
ギ「やっぱり学生がお酒を飲むもんじゃないと思うんだ」
ともう一度繰り返して言うギズモ

フリ「雪と氷の精霊よ・・・・わが姉妹たちよ・・・我の名はフリージア・ノクターン
 我との盟約において・・・・その秘めたる力を解放し・・・・わが目の前の標的を粉砕せよ!
 これぞ!森羅万象すべてを凍らせ!すべてを砕く!!
 フリージア・ノクターンが最大奥義!!フリージンg「させるかぁ!!」
フリージングディストラクションを体当たりで阻止するギズモ
フリ「ふう・・・危ないところだった」
もし酔っ払ったフリージアさんの魔法が完成していたら
目標になった二人には当たらず校舎に命中し校舎が倒れる大惨事になっていたであろう

はたして素面の人間は酔っ払いの暴走を止めることは出来るのだろうか?
呪文を封じても動作で呪文を完成させられるのでがんばってフリージアを羽交い絞めにするギズモ
ミル「リリアーナ!フリージアとグレイブに使える酔い覚まし持ってない!?
 桜花はリリアーナの援護をしてあげて!酔ってるから暴れて抵抗されるかも!」
あたしは地面から上体を起こした姿勢で、2人に叫ぶ。
自分でも援護したいけど、なぜか体に力が入らないのだ。

桜「私もやってくる。貴女はここで待っているんだ。あれは見ても聞いても毒でしかない」
リリアーナに上着を預け、戦列に参加する。
桜「あんな事を聞かされた乙女の気持ちを考えろ、グレイブ!!」
不用意に魔力ナイフや普通のナイフを投げると外した場合まわりに迷惑がかかるので
近くにあった、銀食器(スプーン、フォークなど)をグレイブに投げる桜花

それから時間はすぎて夜となり、放送を聞いて関係者から野次馬まで皆が集まりだした頃。
招き猫広場に鋭いホイッスルの音が響き渡った。
同時に、魔法で暗くしていた部分がスポットライトで照らされ。
ホイッスルを吹くユリの姿が闇の中に浮かび上がる。
ユリ「全員ちゅうも――――く!!」
そして、十分皆の注意を引いたのを確認してから、ユリはマイク片手に演説を始めた。
ユリ「お集まりの紳士淑女の皆様!
 今日この日に、我々のムウ大陸探索作戦が、大成功した事をお伝え出来るのは大きな喜びです!」
ユリの後ろでアナスタシアが、“成功”と大書された垂れ幕をばさりと広げる。
事情を知る関係スタッフの間に、感嘆の声と拍手が起こった。
事情を知らない野次馬の間にも、感嘆の声と拍手が起こった。

ユリ「それでは論より証拠!百聞は一見にしかず!聞くと見るとは大違い!
 ムウ大陸での探索隊の活躍を、幻術で皆様にも実際に体験していただきましょう!
 幻術特殊効果その他もろもろを準備してくれたのは、アルナワーズ機関の有志の皆様です!
 それでは映像スタート!!」
ユリが合図を送ると、招き猫広場は暗闇に包まれた。

次に見えた光景は、ムウ大陸へと向かう猫車の中だった。
すでにムウ大陸に行った者は、かつての記憶を思い返せるように。
行けなかった者は、起きた出来事をその場にいたように感じられるように。
強力な幻術の力で、その場にいた全員がムウ大陸での出来事を追体験できたのだ。
それは罠と危険に満ちた冒険であり、愛と友情に溢れた物語だった。
ドラゴンや大蜘蛛の襲撃があり、謎のメイドやカバ頭メイドとの出会いがあった。
狂ったメイドや、乗っ取られた神龍との死闘があった。
プライバシーに触れそうな事は“少しばかりの”誇張法で隠し。
幻術は見事にその場にいた全員に、ムウ大陸を疑似体験させたのだ。

ユリ「じゃーん!そしてこれが、ムウ大陸から持ち帰ったお宝の1つでーす!」
アナ「しっかり見ろよ~。重かったから、かっぱらってくるの大変なんだぞ~」
幻術が終わると、ユリはアナスタシアと一緒に巨大なトロフィーを高々と掲げてみせた。
なぜ、何のためにトロフィーが宝物庫にあったのかは分からない。
だが、とにかくそれはムウ大陸探検の成功の象徴として相応しい、豪華さと大きさを兼ね備えていた。

ユリ「それでは皆様!お近くのグラスをお持ちください!
 ムウ大陸探索隊の無事の帰還と、探検の成功を祝って!かんぱ―――い!」
関係者も野次馬も、共に手に取ったグラスを掲げて大声で乾杯に唱和した。
大歓声があがり、集まった人たちは互いに感動と興奮をぶつけ合った。
「やったじゃねえかお前ら!全員無事に帰ってこれて良かったなあ!」
「すげえよ!あんな冒険を体験してきたなんてマジすげえ!!」
ある者は探索隊の努力を労い、ある者は無事を喜び、皆の感動と興奮はすぐには冷めそうもなかった。

やがて、フィジル島の空に1つの大きな花火が打ち上げられる。
それは、学園祭の終了が近いことを告げる合図であり。
長いようで短かった冒険の終わりを告げる合図でもあった。
(137で〆)

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最終更新:2010年03月14日 01:55
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