ミルクとスクナを乗せた黄金の馬車は天井に穴を開け大空へと飛び立っていった。
それと共に砂嵐も収まり、静けさを取り戻した館内には砂一粒も残されていなかった。
あれほど吹き荒れたにも拘らず・・・
上空に巻き起こる砂嵐の上を書ける黄金の馬車の上、スクナは高笑いを上げていた。
が、その内心はかなり焦っていた。
手綱を引こうが戻そうが全く反応がないのだ。
早い話、黄金の戦車を操縦できていないのだ。
ミル「ねえ、どこか行きたい所があったの?」
スク「っふ!ぎぎぎぎ!!!」
(あらん限りの力を込めスクナは手綱を引くが、びくともしない。 )
スク「なあミルクよ。
ただ従わせるだけでなく、時には馬を自由にさせるという事も王の度量の一つとは思わぬか?」
(一直線に動く戦車は中庭近くの林に分け入り突き進む。
林の中には木に混じって二人分の人影が!)
ミル「ぎゃーっ!!ぶつかるぶつかる!そこの人早く避けてーっ!!」
(レベッカとスカーフェイスは、一直線に向かってくる金色の戦車を確認すると、互いに中つ国の言葉を交わした。 )
スカ「チャースーシェンマ?」
レヘ「カンプトン、チンポー!」
スカ「ツァイチェン。」
(スカーフェイスはどこかへと走り去り、レベッカは飛びのいて金色の戦車を避けた。)
ミル「ししし…死ぬかと思った……」
レヘ「おいおい、ずいぶんと激しいプレイが好きなんだな。」
レヘ「てめぇらのプレイはメテオストライクか?」
スク「ふははは、こ、この程度を激しいプレイとは!単なる王の行進である!」
(その後、戦車と何故か一緒の砂嵐に巻き込まれたレベッカは、口にたくさん砂が入ってしまった。
レベッカは口の中をショリショリさせながらつぶやいた。)
レヘ「…しょっぺえ。」
(そうしてもう一度スクナが腰の瓶詰め砂漠の蓋に手を当てると辺りに漂っていた熱風と砂は全て消えうせてしまった。
勿論レベッカの口の中の砂も。 )
ミル「え?砂が…消えた?」
スク「ん?誰かと思えば、収録の時の・・・レベッカか。」
レヘ「あーよ。レベッカ・ウォンだ。」
ミル「スクナの知り合い?」
ミル「…って忘れてたーっ!どこかケガしてない!?
もう一人はもしかしてひいちゃった!?」
(慌ててミルクが戦車の下をのぞき込んだ時、スクナが声をかけてきた。)
スク「ミルク、大丈夫か? 」
ミル「あたしはなんとか大丈夫…って誰がいつあんたの従者になっ……!」
ミル(いや待て。
スクナはこんなでも、古代のアイテムに王様と認められる素質を持ってるみたいだ。
てことは、従者してれば他にもそれっぽいアイテムが手に入った時、分け前をかすめ取ってうはうは!?)
スク「もう一人はどこかへ言ったが、レベッカはちゃんと避けたから大丈夫だぞ。
これなるは余の従者、ミルク。
レベッカ、そちの従者は走り去ってしまったようだが・・・
どうだ?西方の祭りは楽しんでおるかな?」
レヘ「わざわざそれを俺に言うためだけにこの騒ぎか?たいした王様だな。」
ミル「はじめまして、レベッカさん。
あたしはミルク・パウダーシュガー。
今はこちらにいるスクナ様の従者兼案内役やってます。
さっきは急に車が暴走しちゃって…危ない目にあわせてごめんね。
ケガがなかったみたいで良かったけど、お仲間の人には悪いことしちゃったかな…」
レヘ「あれは俺の従者なんかじゃねーぞ。ただトレーの場所を聞かれてただけだ。
走っていったのは、よっぽど股間に水が溜まってたせいだろ。気にすんな。」
馬「ご注意ください王よ。その者は王化に服さぬ我らの敵の仲間です。」
ミル「う、馬がしゃべってるっ!?」
スク「うろたえるな、ミルク。」
レヘ「ああ?敵って俺かよ。」
馬「王よ。戦うべきか否か、御命令を」
(少し考え、スクナは口を開く。
スク「黄金の馬よ。その忠節は見事。
じゃが、王下に服さぬといって即攻撃するようでは狭量この上ないわ。」
ミル「さっすがスクナ様!話がわかる!」
レヘ「よう王様、話がわかるじゃねーか。俺はこれからすぐに猫耳メイド喫茶店に行かねーと。」
ガポ**
(黄金の馬がスクナの頭を咥えて振り回している)
馬「我と王の会話に立ち入るとは無礼千万!」
ぶるんぶるんとまるで小枝のようにスクナを振り回す黄金の馬。
ミル「ちょっとちょっとそれ王様!それにその振り回し方は死ぬ!スクナが死ぬーっ!!」
暫く振り回していたが、突如としてスクナを解放し、頭を垂れる。
馬「・・・御意に」
ミル「大丈夫!?スクナ!なんか頭から血が出てるけど!」
大人しくなった黄金の馬にスクナはフラフラとした足取りで近づいていく。
スク「ふふふ、愛い奴め。じゃれおってからに。」
頭から血を噴出しながら黄金の馬の首をポンポンと叩く。
レヘ「可愛いのはおめーの方だよ。(笑)」
ミル「可愛いというかなんというか…」
スク「レベッカ、こやつは心配性での。
安心せよ。余は寛大なので安心するが良い。」
(学園の方から手紙を咥えた氷製の鳥が飛んできて…
手紙を"斥力球"で ミルクの前に浮かべ、投げ渡すと、氷の鳥は解けて消えた)
手紙の内容は
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(前略)
貴殿が展示品に搭乗し、
博物館にて行った破壊活動にて負傷致しましたので、
その旨、及び後ほどお礼に伺う旨をお伝えしたく、書面にて連絡させて頂きます。
(中略)
追記
貴殿の行った破壊活動により、当家より学園に貸与しております
秘宝 霊氷の杖が破損した可能性があり、専門家による調査が済み次第
その結果をお伝え致しますので、その際は宜しくお願いします。
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ミル「な、な、な、な…何よこの手紙は~っ!?」
ミル(あたしが破壊活動って、あの展示品を動かしたのはスクナで、あたしじゃないだろ!!
しかも負傷したお礼参り?杖が破損!?
負傷は日頃の鍛錬不足だろうし、あの程度で破損するような秘宝なんぞ展示しておくな! )
ミル「どこのどいつか知らんが、こんな手紙をあたしに送りつけるとは良い度胸してるなうふふふ…」
実は、周囲にいる数々の小動物に紛れて白い毛並みのフェレットもどきが
その様子をそこそこの距離から覗き見し、手紙が消えると同時に
学園に向かっていったのだが…気付く者はいたかは定かではない。
スク「ん?・・・西方の花火はまた派手じゃのう!」
レベッカに血まみれの顔で笑いかけていると、大きな爆発音が響く。
事の重要さなどさらさら感知もせずに、感心するように空を見上げた。
レヘ「ああ…俺の予定が変わっちまったな。猫耳メイド喫茶店が爆発したぞ、おい。」
ミル「留学生のあんたがなんで猫耳メイド喫茶の場所を知ってるのよ!?」
レヘ「知ってちゃ悪いか?俺だってリーから聞いてさっき知ったばかりだよ。」
ミル「とにかく、予定を変更せずに一緒に猫耳メイド喫茶に来てもらうわよ。
怪我人がでてたら救助に人手がいるしね。
あ、王様は戦車を置いていって下さい。
どうせ王様以外乗れないんですし、目立って質問責めにされたくないでしょ」
レヘ「そういうこった、王様。早く行こうや。」
スク「ふっ、愚問だな。王たるもの下々の者に注目されるは宿命。
構わぬ、行くぞ!・・・しかし名前が無いと不便じゃな・・・。」
ミルクの忠告を無視して黄金の戦車に乗り込むが、黄金の馬は全く耳を貸しはしない。
黄金の戦車に乗り華々しく登場したかったのだが、一向に動きそうにない。
スク「どうした?名前なら後でつけてやるというに。」
やれやれ、といった台詞とは裏腹に、苦虫を噛み潰したような顔で戦車から降り、黄金の馬の顔を撫でようとすると。
馬「下郎が!気安く触るな!」
(黄金の馬はスクナが正面に来た瞬間、前足でスクナを蹴り飛ばしたのだ。 )
(あっという間にミルクとレベッカを抜きさって中庭に転がり落ちるスクナ。 )
ミル「ちょっとちょっと!いくら急いでるからってなんて飛び方してくるのよ!?」
スク「ぐ・・・ぐふううぅ・・・照れ屋じゃのう。仕方がない奴め。」
ミル「王様…あんまり無茶ばかりしてるとそのうち死にますよ。
だいたい上に立つ人ってのは、もう少し行動に……」
(104で〆)
最終更新:2008年11月12日 23:29