ずっと一緒・・・

(投稿者:マーク)



少年は今まで誰からも愛されなかった

物心ついたころから家族のぬくもりをほとんど知らず盗みや強盗などで今まで生きてきた
もとより身体能力が高かったので決して捕まることもなかった

気配を消すことにも長けており空き巣などは造作もなかった
今夜もいつものようにある屋敷に忍び込み物色していたところ



「あなた、だあれ?」



その声に少年はビクリとする、額から冷や汗が流れる

だが焦りながらもバンダナで口元を覆い、楼蘭刀-風変わりな楼蘭人がくれたもの-を持ち直すと少女に近づき回りこむと刀を首に当てる

「泥棒さん?」
少女は問う、刀を突きつけられているのに少女は全く動じない

「しゃべるな!!」
恐れもなにも感じていない少女の様子にイラつきながら小声で脅しをかける

「いいよ、殺しても」
あっけらかんと少女は言う

しばし沈黙が流れた・・・・

「お前・・・怖くないのかよ?」
少年は尋ねる、今まで刀を首に当てられ命乞いする奴はいても殺してくれなどと言う者はいなかった

「怖くないよ、だってあなた絶対に人を殺すような人じゃないもの」
少女は振り返り少年の目、その特徴的な紅い瞳を真っ直ぐに見つめて言う、少年も少女の目を見、その吸い込まれそうな瑠璃色の瞳に思わず釘付けとなる

「あなたのお名前は?私はリズっていうの」
相変わらず首に刀を当てられているが臆することなく尋ねる

「・・・・・・ギル」
少年はぶっきらぼうに答える

「ギルはなんで泥棒なんてするの?」

「・・・・生きるため」

「お父さんとお母さんは?」

「・・・母さん病気で俺が生まれる前に・・・・親父は・・・・蟲に・・・殺された」
”なんで自分はこんなこと初対面の少女に詳しく話しているのだろう”

「・・・・・ごめんなさい」
それっきり少女は黙ってしまう少年はあわてて付け加える

「気にしないで自業自得だから」

「じごうじとく?」

「自分達だけ助かろうとして俺と・・・姉さんを置いて逃げて・・・・死んだ」

「・・・・・・・・お姉さんは?」

「一緒に逃げてる途中で・・・・・俺をかばってかわりに・・・・・・」

「そう・・・・・・・・私もなんだ」

「え?」

「私も父と母を蟲に殺されたの」
それを聞いたギルは思わず刀を首から離すが

「リズ様?どなたとお話をなさっているのです?」
突然そんな声が聞こえギルはぎくりとした

「どうしたの?」
そんなギルをよそに少女はなんでもないようにドアの前にたつ男に話しかける

「その方は・・・・」
男はギルを不思議そうな目で見る、

「私の友達よ」
リズは屈託のない笑顔で言う。ギルは”それは無理やりだろ”という表情をする

「左様でございますか!! リズ様にお友達が!!ウォルトはうれしゅうございます」
どこからかハンカチを取り出し目じりをぬぐう

「うそ・・・・・・」
予想外の反応にギルは目を丸くする

「リズお嬢様の人を見極める力は確かでございますから」
そんなギルの様子をみてウォルトと呼ばれた男は言う

「武器まで持ってるのに?」
ギルが問うと

「お嬢様の目に狂いはありません、それに君の目は人を殺したものに特有の曇りがない」
たしかにギルはこれまで人を斬ったことはない、せいぜい脅しに使う程度で脅しが通じない相手からはとっとと逃げ出していた

「ウォルトは私が生まれるずっと前からこの家に仕えている執事なの、今はこの屋敷で二人暮らしなのよ」

「そ、そうなんだ・・・」
ギルは混乱していた、自分は不法侵入者で武器まで持っているのにこの雰囲気は一体なんなんだろうか
そこにさらにウォルトはとんでもないことを言い出した

「ギル君・・・だったか?もしよかったらここに住まないか?」

「へっ?」

「一緒に住もうよっ!!」
リズはいつの間にかギルの両手をにぎり目をきらきらさせて見つめる

「え・・いや・・・でも・・・」

「決定ーーーー!!」
リズが高らかに叫ぶ、

”いや待てまだ俺はなにも言ってない”
そんなギルの声はあっけなく無視された

To be continued



一応次はシリアス中心です(汗
最終更新:2009年02月08日 21:00
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