(投稿者:マーク)
暗闇の中、藍羅は一人佇んでいた、
何をするわけでもない、
ただただ佇んでいた
どのくらい時間がたったのか、ふいに透き通った、だがどこか禍々しい声が聞こえてきた
“お姉さん、力が欲しい?”
後ろを振り返れば少女が一人立っていた
年は星夜と同じくらい、いや、もっと年下だろうか
年相応に可愛らしく、それでいてどこか妖艶な雰囲気を持った少女
お前は誰だ、そう言おうとして声が出ないことに気づく
“アハハ、そんな必死にならなくてもちゃんと伝わってるよ♪あなたは私、私はあなただもの”
必死に声を出そうとしている藍羅に気づきクスクスと少女は笑う
“正確に言うと私はね・・・あなたの中にいる“妖精”っていえばいいのかな”
妖精?
そう、と少女はうなづく
“あなたの“ここ”に埋め込まれた……“スフィア”に宿る妖精”
そういって藍羅の胸に手をあてその上からほほを寄せ目をつぶって心地よさそうにその鼓動を聞く
そうしてどのくらい時間がたっただろうか・・
“私もね…ずっとみてたよ”
しばらく鼓動に聞き入っていた少女は不意に顔をあげて藍羅の目をみつめてつぶやく
“辛かったよね、苦しかったよね、悲しかったよね、悔しかったよね”
ポタリ、と少女のほほに水滴が落ちる、藍羅は自身がないていることをそこでようやく自覚した
“私もね悲しかった、他の“スフィア”の叫び声………怖かった…”
少女はうつむき、肩をカタカタと震わし、嗚咽が漏れる、それに比例するように藍羅の涙はとめどなくあふれ、無意識に少女を抱きしめる
“ふくしゅう、したくない?”
ピタリと藍羅の涙が止まる
少女は藍羅の腕から逃れ一歩下がる
“私たちにこんな思いをさせて”
芝居がかった仕草で手を差し伸べる
““仲間”を殺した愚か者には死の鉄槌を下さなきゃ”
藍羅はじっとその手を見つめる、
“私はあなたに力をあげる、私の手をとって?”
藍羅はスッと手を伸ばし少女の手に重ねる、途端に引き寄せられ少女は藍羅に口付けする、藍羅は熱に浮かされたように抵抗せず受け入れる
“これで“契約”は完了……”
唇を離すと少女は燃え上がり、真っ赤に輝く球体となり溶け合うように藍羅の体に入り込む
その瞬間、藍羅はうちから燃え上がるかのように熱と痛みを感じ、叫びのた打ち回る
“あなたと私は、これで“ひとつ”………”
痛みに堪えている最中に耳元で少女の声が聞こえた
“この力で……愚者に血の裁きを…存分に加えましょう?”
“わたしはあなた、あなたはわたし、わたしはあなたの“憤怒”の業火により生まれた者”
だんだんとその声が遠のいてゆく・・・
““憤怒”は、すべてに勝り……す…べ………を……ろ…ぼ…す……”
そこで藍羅の意識は途絶えた
to be continued・・・・
最終更新:2009年03月09日 17:32