(投稿者:マーク)
私は彼らのことが大好きだった
本当に 大好きだった
だから、彼らを奪ったモノが赦せなかった
否
本当に赦せなかったのは奪われる原因を作った愚かな“人”
あまつさえ彼らに謝罪すらせずに、“最初から無かったこと”にした“人”を赦すことなどできなかった
――ええ わかっています
これは 言い訳
そう、ただの言い訳
本当は 復讐がしたいんじゃない
私が彼らを愛していたという証立てがしたいだけ
そして抹消された彼らの“存在”を証明したいだけ
そう
愛していた人を殺されたのなら
その復讐をしなくてはいけない
でも 私を愛してくれている“人”を殺すことなんてできなくて
でも 私は復讐以外で その“証”を立てる方法をしらなくて
だから――――
どうしたらいいのかわからなくて
恐くて ただただ 恐くて
なにもかもから 逃げたかった
けれど、ここで逃げたら
私は、彼らを愛していなかったと
そんな風になってしまう気がするのです
だから――――
誰か 教えてください
彼らの“存在”の記録を守りきれなかった
わかっていたのに記録の抹消を容認してしまった
この愚かな女に
誰か 教えてください
友を かけがえのない戦友達を
誰一人として地獄から救い出せなかった
この無力な女に
誰か 教えて
私は 彼らを愛していたと 彼らは 確かにこの世界に存在していたのだと
共に笑い 時に怒り そして共に泣いた かけがえのない戦友たちの“存在”と私の彼らへの“愛”
それを証明する方法を
復讐なんて手段じゃなくて
この手を血で染めないで、愛すべき“人”の血で染めないで
それを証明する方法を――
――――2009/6/17 エントリヒ共和国 旧都ニーベルンゲ 王宮ヴォーディンの一室より発見された手記より 一部を抜粋
最終更新:2009年06月17日 18:57