目が覚めると、
長い間眠って寝ぼけていたようで、それが天井であると気づくのに随分と時間がかかった。
ここはどこなんだろう――と起きあがろうとしたのだけれど、胸のあたりがひどく傷んで起き上がれず、仕方がないから視線だけで周囲の様子をうかがうことにした。。
壁も、天井も、一面真っ白だった。隅っこの方にはこれまた白いテレビのようなものが置いてあり、それから伸びているコードはシールのようなもので私の腕にくっつけられていた。
――病院?
「……起きたか」
反対側、私の左側から誰かの声が聞こえた。そちらに目を向けると見知らぬ男性が一人。黒い服を着て、長く黒い髪をオールバックにしたその人は、白いドアの近くのイスに座ってこちらを見つめていた。
「ジョン・ホークウッドだ」
ただ一言だけ、彼は呟くように言った。
起きあがろうとしたけれど、やっぱり胸のあたりが痛むので、私は横になったままでいることにした。
最終更新:2009年12月30日 21:26