(投稿者:Cet)
我々は今一人の英雄を失った
しかも、外部の勢力によって殺されたのだ
更に、その犯人は未だ別の組織に匿われているとのことだ
これは、言うまでもなく国家運営上の大問題である
断固たる措置が取られてしかるべきところの問題である
我々は拳を振り上げなければならない、そしてしかるのちに、それを振り下ろさなければならない
して、その拳の振り下ろされるべき場所とはどこか?
諸君らも十分にニュースに目を通しているであろう
かの羽国がその犯行に買って出たという話は、もはや我々の国だけで囁かれるところの範囲を逸脱している
また、国家・政治においてばかりに内容が敷衍しているが、具体的な話が見逃されている
すなわち、実行犯とは誰か?
それはメードである
あのメードだ
今更になって問題になろうとは思われなかったところの、メードだ
諸君らは、かのメードについて何を問題と心得るだろう
彼らは人間だ
否、人間に近い姿をしている、と言うべきだろう
彼らは、人間としての特性を幾つも備えている
一部の人間の素質を、科学的な方法によって開花させたのがメードである
彼らは、施術前の記憶を失っている
しかし、それと引換に大きな力を手に入れている
それが、1930年代に現れた、あのおぞましい強敵に対抗する上で大いに役立ったのも確かだ
我々はその彼らに対して、大きな部分を依存してきた
戦争という行為を遂行する上で、彼らは大いに戦況への貢献を行なってきた
だが、それでも我々は彼らに対する問題点を把握していた
その上で見過ごしてきたのだ
彼らは、その記憶をほとんどの場合失っている
だからこそ、彼らは我々と肩を並べる上で問題を抱えてきていたと言えよう
彼らの精神的な幼さというものは、我々が彼らを戦闘において運用する上で憂いてきたことの一つだ
しかし、彼らについての問題はそれだけに留まるだろうか?
我々は、不安定な彼らの、不安定なほどの力において、余りにも依存しすぎているのではないだろうか?
彼らは不安定だ、その内に持つ力との比較において、その安定はあまりにも不足している
だが、私が今ここにおいて言おうとしているのは、今まで限りなく提出されたところの兵器運用術とは趣を異にするところのものだ
我々は、彼らについて何かを見逃してはいないか
人間に秘められた素質というものを、開花させた形のものがメードである
その『秘められた素質』というものが、今回の事件を引き起こした最たる原因なのだ
我々は、あまりにも危険な可能性を目覚めさせることに、一役買ってしまったのではないだろうか?
現在諸君らが抱いている危惧のそもそもの発端は、我々なのではないだろうか?
そのことを、我々は今、深く反省するべきなのかもしれない
ここで一旦話を終えよう、続いて、今後の政治的ドクトリンが運用される概要について諸君らに――
最終更新:2012年06月04日 22:47