降下作戦

(投稿者:Cet)





 我々がこの星に堕ちて
 どれくらいのとしつきが流れ
 我々は少しずつ錆び付いていく
 なあハウニヴ
 お前は私たちを救ってくれるか




 ――私は、生のとしつきの、ほんの短い間、お話することしかできません




 ハウニヴ、そんなことを言わないでおくれ
 私たちの声を聞いてくれたのはお前だけなのだ
 私たちはずっと一人だった
 たくさんの私たちがいながらにして一人だった




 ――私は、好きです




 私たちもお前が好きだ




 ――(笑い声)




 お前の声が好きだ
 お前の心が好きだ
 私たちはお前が好きだよ




 ――ありがとうございます




 何故だ、ハウニヴ
 何故、お前はそんな顔をするのだ
 お前が悲しいと私たちは悲しい
 お前の心の声が悲しいのは何故なのだ
 ハウニヴ




 ――




     ◇




 墜ちてくる
 墜ちてくる
 我々と違うものが堕ちてくる
 何だこれは
 我々と違うものが堕ちてくる
 我々と違うものが堕ちてくる
 これはなんだ




 ――どうされたのですか?




 ハウニヴ
 分からない。人間たちが近付いてきたので、何人かを殺そうとした
 でも、お前が悲しむ気配がしたからしなかった




 ――ありがとうございます




 人間たちの殆どは逃げていった
 でも、一つだけ違うものが混じっている
 あれは人間ではない
 そして我々でもない
 分からない




 ――?




 我々にも分からないものがある
 でも、不可解なのは、何故かその音が




 ――音?




 そう、心の音だ
 お前の心のような鈴の音
 それが、墜ちてくる
 墜ちてくるのだ


最終更新:2022年06月20日 18:22
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