(投稿者:マーク)
数十分後
ダリウスは支配人を逃げられないように柱に縛り付けると急いで階段をおりていった
酒場にいた客は先ほどの悲鳴を聞いて皆クモの子を散らすように逃げ出してしまった
おりてまず目に入ったのはドアが破壊された部屋の前でその場に座り込んでカタカタと震え血まみれの
ディートリヒにしがみついて泣いているマヤ
「マヤ・・・・・すまん・・・・・」ディートリヒはポツリとつぶやく
その横には毛布に包まれ規則正しい寝息をたてる
シュヴェルテが横たわっていた
ダリウスはその部屋を覗いた
そこに広がっていたのは目を覆うような光景だった
部屋一面に広がる血、血、血、そこに頭が吹き飛んだ死体、胴体と下半身が引きちぎられている死体、もはや原型さえもとどめていないものが沈み
無造作に散らばっていた
「・・・・・・・ディートリヒ」
「すまねぇ・・・・・自分を抑えられなかった・・・・・」
心底自己嫌悪に陥っているようだ表情にいつもの覇気がない
ただマヤを抱きしめ落ち着かせようとしている
「・・・・とにかくあまり時間はない急いでコアクたちに合図を出さないと」
いくらコアクの戦闘力が高いとはいえあれほど大規模の部隊を相手にすればただではすまないだろう
ダリウスはシュヴェルテを抱え階段を駆け上がる
ふとマヤの顔を見るとすーすーと寝息をたてている
その様子に苦笑し泣きつかれて眠ってしまったマヤを背負いダリウスにに続く
が・・・あがったところで突然ダリウスが立ち止まりディートリヒも立ち止まらざるをえなくなる
「っと、ダリウスどうした?」
「貴様がディートリヒか」
その声で前方に目を向ければこちらに銃をむける男達
なかにはメードらしき女性も含まれている
非常に目つきが悪くこちらにありったけの敵意を向けている様子だ
「・・・・お前らは何者だ」
ダリウスは眼前の・・おそらくエントリヒの上級将校であろう男に問いかける
「
ダリウス・ヴァン・ベルン少将か・・・・・・あなたはやりすぎたのだよ・・・・」
ダリウスの言葉を無視しクックと笑いを抑えて書類を読み上げるその将校にダリウスは苛立ちを覚える
「ジーク様の御威光を汚すクズは消去せねばならないのです。その女のように!!」
突然先ほどのメードが叫びシュヴェルテをにらむ
「もう一度言う!!お前らは何者なんだ!!!」
「冥土の土産に教えてやろう、我らはエントリヒ参謀本部”黒旗”、世界の秩序を乱す存在を根絶するものだ」
その将校はなにやら誇らしげに宣言する
参謀本部と聞いたダリウスの心にある人物が浮かび上がった
「・・・グスタフ・グライヒヴィッツ・・・・!!!・そうか奴がこの一連の事件の黒幕か・・・・・!!」
「いずれ我々はクーデターを起こしそれによってエントリヒは生まれ変わるだろう、軟弱な皇帝を廃し、小生意気なギーレンを抹殺したあとグスタフ様の下で」
続けて言う
「そのクーデターが成功するには・・・・・貴殿らのような存在は邪魔なのだ・・・」
言い終わると同時にメードがダリウスに銃を向ける。それにあわせ周りの兵士達も小銃の安全装置をはずしディートリヒに向ける
(どうする・・・戦っても多勢に無勢・・・・しかも一人は意識不明もう一人は戦えない・・・・・)
あせるダリウスをあざ笑うように上級将校は言い放つ
「エントリヒに”武神”などはいらん”守護女神”様だけで十分なのだ!!!」
上級将校がそう叫んだとき
ドゴォォォォォォォォォォン
と突如彼らの後ろの壁が轟音を上げ、バイクが瓦礫と共に飛び込んできた!!!!
「Ya------------Ha------------------」
という楽しげな声
と
「りゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁどぉぉぉぉぉぉのぉぉぉぉぉぉぉぉまっっっってっぇぇぇぇぇぇぇおぉぉx落おちtいてぇぇぇぇ」
という悲痛な声
次々と人を跳ね飛ばし、タイミングよくダリウスの前でとまった
乗っていたのはサングラスをかけ赤いコートを着た男に黒い甲冑を着込み素顔を隠したメード
「ふぅーーなんとか間に合ったみたいだぜ”ルビーアイズ”」
楽しげに降りて思い切り伸びをする男
「そ・・・そ・・・・れ・・・・・・・・・・」
それとは対照的に見るからにぐったりとしたメード表情
だがダリウスの腕に抱かれたシュヴェルテを見ると瞬時に反応した
「シュヴェルテ殿!!」
そのメードはダリウスに近づきシュヴェルテの顔を心配そうに見る シュヴェルテはあの騒ぎにも関わらず一行に目を覚まさない
「大丈夫、今は眠っているだけだ命に別状はない」
その言葉を聞いて安心したようだった
「く・・・・貴様らぁーーー!!!」
バイクにはねられてからようやく立ち直ったのか顔を真っ赤にさせメードが怒鳴り銃を構える
ダリウスは地下室への階段に身を隠そうとするがディートリヒは天井を見上げたまま動かない
「撃てっ!!撃ち殺せぇーーーー」
上級将校はヒステリックに叫ぶ、とたんにメードの持つ銃が火を噴きその銃弾がディートリヒに襲い掛かる
と、突然天井が崩れ神話に出てくるような巨大な剣が回転しながら落ちてきた。降ってきたそれ-恐らくコアクが落としてくれたのだろう-をディートリヒはそれをつかむと盾のように構え銃弾をはじく
銃が効かないとわかるとメードは軍刀を構えなにやら叫びながら突撃してくる、それを一瞥し
「調子にのるなよ・・・・」
そう言うとディートリヒはその巨剣を野球選手のように両手で構えると思い切り振りぬいた!!!
すんでで気付いたメードは軍刀で受け止めるが軍刀はあっけなく砕け、と同時にすさまじい衝撃破が起こりそのメードを吹き飛ばしその余波は上級将校や瓦礫までも巻き込んで全てを吹き飛ばし隣の建物までも崩壊させた
「さすがは”豪腕の武神”だな・・・剣圧起こすだけでこれか・・・・・」
その巨大すぎる剣とそれを持つディートリヒを眺め、リューマはつぶやく
「リューマ殿!!増援がこないうちに早く逃げよう」
ルビィが叫ぶその背中にはいつの間にかマヤが背負われている
「おう!! ほらそこのおっさんも早く逃げるぞ」
リューマがダリウスに向かって叫ぶ、
「お、おっさん!?」
ダリウスがショックを受けたような顔をする
「ほら、ダリウス時間ねえんだからよ」
ディートリヒはシュヴェルテを背負いながらダリウス急かす
そうして彼らはあわただしく瓦礫の山と化した”元”宿を出た・・・・
ダリウスたちが宿をでるとそれを確認したコアクが空から降りてきた
「ダリウス殿、ここの守備部隊はほぼ壊滅させた損害もない」
「そうか、よし!!すぐにこの町から離れるぞ正規軍がくるかもしれん」
そういうとダリウスはジープに乗り込みルビィはシュヴェルテを背負ってリューマと乗り込むが
「時間がない」
そうコアクが言うとモスの一体がジープを前足で引っつかみ飛び立つそれに続いてディートリヒはマヤを抱きかかえながら飛び立とうとするもう一体のモスの背にあわててのる
エッケザックスを抱えたままで飛び乗ったためモスは”ムギュウ”と非難の声をあげるも何とか飛び立ちコアクもフェザーを広げて飛び立った・・・・
To be continued
最終更新:2008年12月24日 23:23