雷光と雷姫

(投稿者:マーク)


1945年5月4日 クロッセル連合最高司令部 城壁都市ヴァルホ・デ・シュバリエ

現在クロッセル連合G対策本部がおかれている要塞都市、その中心にそびえたつ巨大な城の中庭に彼女はいた

「・・・・・つまんないなぁ」
そうつぶやくのは純白のドレスを身にまとった少女、
なにか面白いものはないかとあたりを見回すもあるのは瓦礫ばかり

以前は定期的に手入れが施されかなりの美しさを誇っていたがGの侵略以後いちど襲撃を受けたこともあり
今では手入れもされず中庭は瓦礫だらけであり当時の面影は全くない
最もそれは少女の生まれる前の話であるからそんなこと知る由もないし興味もないだろう

「・・・お姉ちゃん達まだお話終わらないのかな」

そういって不満げに口を尖らせると同時に指の先からはパチパチと火花が散りはじめた
花火のように指先から色とりどりの火花を出したり、大気中の静電気を両手に集めそれをいっきに放出したりをくりかえす
だが彼女はそれでも退屈そうだった

突然EARTHからここに派遣されるやいなや頭の固いクロッセル軍人に「子供は会議に必要ない」と言われ一方的に放り出され
城の中を探検しようにも他国のメードである彼女は自由には動き回れないとなれば無理もない

見た目は7~8歳といったところだがメードとしてはようやく一歳を迎えたというところの少女、メリルにはあまりにも耐えかねる時間だった

「ねーねー」
火花で一人遊びを続けていると不意に上から声が聞こえた、見上げると一人の少女が窓辺に座っていた
メリルとは対照的に黒いゴスロリ服に左目に派手な眼帯をつけ、右目はなんだかきらきらと輝いている
少女は二階建てほどの高さがあるそこから迷いもなく飛び降りて着地し近づいてきた

「あんたの名前はー?」
少女はハキハキとメリルに話しかけた

「メ、メリル・・・」
そのテンションの高さにメリルは思わず圧倒された

「あたしはライラ!!よろしくねメリっち!!いっしょに遊ぼ!!」
そういってライラと名乗った少女--恐らくはメード--はメリルに手を差し出した

「メ、メリっち?・・う、うん・・」
初対面であるのにそのなれなれしさに戸惑うが今まで暇だったこともあるので彼女の手をつかむ

その後はとても楽しい時間だった
二人で大人の目をかいくぐりいろいろなところにいった

古代に使われていた地下牢、鎧がたくさんならんだ部屋やきらびやかなドレスがならんだ衣装部屋に入り込んだり、厨房で甘ーいお菓子をつまみ食いしたり
見つかってもキャーキャー叫びながら二人で城中を逃げ回った

気がつけばあたりはすっかり暗くなっていた
メリルとライラは最初の中庭に戻ってきていた

手ごろな瓦礫に二人で腰掛ける
「あはは今日は楽しかったね」
「うん!ライラお姉ちゃんのおかげだよ」

メードとしてはライラとメリルは同年代だが身体ではライラのほうが少し背が高い
なのでメリルは自然にライラを「お姉ちゃん」と呼んだ
ライラは少し照れながらもうれしそうにはにかんだ

「でも・・もうすぐお別れだね・・・」
今まで笑っていたメリルは急にうつむいてつぶやく
いい加減会議も終わるだろう、そうすればメリルとライラはまたそれぞれの持ち場に戻ることとなる
このご時勢いつ戦死するかもわからない
二人が再会できる可能性はかなり低い

そんなメリルを見てライラは眉間にしわをよせてムムムと考え込む

そしてなにか思いついたのかパッと顔を輝かせた

「ちょっと来て!!♪」


「ど、どこにいくの?」

「いいからいいから♪」

そういうとライラはメリルの手を引いて駆け出した・・・








ついたのは城の中心にそびえたつ塔の頂上

「メリっちあたしの手握って」
唐突に言われメリルはライラの手を握るするとメリルはとたんに胸が温かくなるような奇妙な感覚を覚えた

それはライラのコアとメリルのコアが共鳴を始めお互いのエネルギーが溶け合うように混じり始めたということだった

「一、二の三でね・・・」
ライラはメリルに耳打ちする
「わかった!!」
メリルはにこやかに答え、空いている方の手を空に向けた、ライラも手を同じ方向に向ける

「一・・・」








「二の・・・」








「「三っ!!」」

二人はお互いの手を握りながら空いている方の手で同時にエクレア砲とブリッツ砲を放った

放たれた二つの高エネルギー体は一直線に同じ方向に向かい必然的にぶつかり盛大な放電が起きる

その様子はまるで楼蘭の花火のようにあたりを照らす

「メリっちすっごい!!きれー」
「ライラお姉ちゃんのもとってもきれい!!お星様みたい!!」
二人はキャッキャとはしゃぎながら次々と空に向けて閃光を放つ

メリっち!!私達いつまでも友達だからね!!」
「うん!!」
そういって二人は笑いあった








そんなお祭り騒ぎに城内の者が気付かないはずもなく












このあと互いの担当官からたっぷり説教を受けたのは言うまでもない




最終更新:2009年01月18日 11:38
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