巨大な「国債残高」の今後:その2
「個人資産が十分にある」。本当に大丈分なのだろうか?
ゼロ金利継続による低利のため、個人の保有残額は、現実には平成20年3月から35兆円程度と横ばいになっている。 国債残高は伸びても、個人の直接保有は伸びない。
かつて国債は、安心で利息も高いという信頼があり、貯畜手段として人気があった。国債は、金融機関の運用基準では安全は「1位」に位置付けられている。日本国債=日本国である。
低金利政策で、個人が国債を買い控える結果、個人の資金は、銀行、郵便貯金、投資信託に向かう。
ところが、金融機関も郵貯銀行も簡保も、運用先がないので、結局、国債に投資される割合が増える。国債保有者の90%がこれらの機関なのだ。
それがどういうことを意味しているのか?
次の事態を考えれば、到底、安心などと言っておれないのだ。もう一度、先に掲げた表を見てみよう。
国債破綻のシナリオは、次のようになるだろう。
手元にお金が必要になったとき、国債は簡単に売買できる。換金し易いのが国債の利点だ。日本経済の状態が安定しているときは、その通りだ。
しかし、何か異常事態がおきて、多勢の人が一時に、銀行や証券会社の窓口に換金のため殺到すれば、窓口で支払いに応じる「現金」が不足する。
この危険は、先の北海道拓殖銀行の倒産劇でも我々は経験している。そういう事態になっても、一行、一社だけなら、他の金融機関が支援に回り、その窓口での混乱は避けられる。
ところが、これが日本全体の規模で発生した場合は、日本全体で現金がなくなる。
なぜかと言うと、国債で集めた資金は、橋梁、道路、ダムなど建設に使われていて、処分不能な資産に固定されている。
個人資産が、銀行預金、保険、有価証券などいろいろな形で積まれていても、銀行全体800兆円の総資産の内、120兆円が、
かんぽであれば、その総資産115兆円の内の、65兆円という膨大な金額が、結局、国債に投資されているのだ。
換金行為が集中すれば、どこも現金が用意できない。不安が不安を呼んで、国債売買は取引停止となる。日銀も、銀行と証券会社に現金を供給できない。
日銀自身が、50兆円の国債を抱えているのだ。
金利が1%あがれば、国債の元利払い費用は、1兆円増えると、財務当局は試算しているようだ。
金利があがれば、つまり国債が売られれば、財務省は、国債の元利金償還に対応できなくなる。今でも、年22兆円を支払っている。税収は40億円しかない。日本政府は、対外信用を失い、国際機関の管理下に入る。当然に、銀行、証券会社の整理が進む。
全ての国民資産の評価替えと、切り捨てが行われなければならない事態となる。
年金水準も引き下げられねばならない。 経営が行き詰まったJALの例を見れば明らかだ。OBの年金は3割、現役も何割かカットされると報じられていた。年金問題は、JALに限った問題ではない。
長期金利が2,3%なのに、企業年金の予定利回りはこれを上回って設定されているケースがある。
現役より、定年退職後の受給者が多い時代になる。理屈に合わず、行き詰まることは目に見えている。
赤字国債を発行してバラ撒れたこども手当ての半分が、貯蓄に回っているとの調査結果をNHKがクローズアップ現代だったかが、伝えていた。
子供の教育のため貯蓄だと、親は信じている。が、その貯蓄は、国債破綻で帳消しになる。
こども手当てで積み上げる財政赤字は、民間貯蓄を上げ底にしているだけだ。
生産活動で産出された付加価値で得たものではなく、実体がない、帳簿操作だけなのだ。
逆のリスクもある。
国債が売られる場面で、外国投資家、
例えば、共産中国の国家機関が、日本の国債を買い上げれば、それだけで日本は中国の支配下におかれてしまう。
恐怖のシナリオだ。中国が、米国債を大量に買い込み、米政府に影響力を及ぼしているとも云われている。日本国債も例外ではない。
25日の産経新聞によると、初めて中国資本の会社が、日本経団連の会員になるという。日本経済の内情が、中華人民資本帝国主義に筒抜けになるリスクが高くなった。
日本を内部から破壊する中国共産党の「日本解放第二期工作」の戦略が、いよいよ財界内部にも及んできたのか?
日本経団連には、トヨタをはじめとする自動車、化成品、電子、商事業界など、中国依存を強めるグローバル企業が多いから危険なことだ。言論、教育、経済、政治などすべての分野で、中国共産党の指令が届きはじめた。最近到着したパンダは、文化使節なのだ。左翼親中のNHKは、その再来を、大げさに報道した。
しかし、政治家も、識者も、国債の背後に潜む危険に触れるのはタブーだ。
自らがそれぞれの既成の受益者集団に属しているのだ。誰でも自らの欠点や不都合なことは、見たくも、指摘もされたくない。マスコミも、大衆がお客様だから、いつの時代も時勢に流される。
そして大衆を煽って、その力を利用し、政官財に優位する。
結局、世を変えるのは、国会、地方議会に議席を得ている革命的指向を持つ議員自身の自覚だ。が、議員の大半は、自らの議席を守り、応援を受けている職域の利益代表となり、バラ撒き福祉歓迎の大衆に迎合し、選挙で勝つことだけが目的となる。
NHKテレビは、この河村市長の行動は、ポピュリズムで独裁者誕生につながる危険な行動だ、と批判するどこかの教授の声を視聴者に聞かせた。
象牙の塔内のご意見だが、国民は、こんな識者には、街頭に出て、国会議員の定数削減と議員報酬削減の先頭にたって活動してもらいたいと願っている。
この2月名古屋市長戦で圧勝した河村たかし市長は、既成体制をぶっ壊すという意味で、革命家だ。河村革命は、減税による消費拡大と議員報酬半減を掲げて勝利した。その限りでは、期待される。
だが、河村市長は、これからどこへ向かうのか?
市長戦勝利直後に、大村秀章新知事と一緒に、小沢一郎と面談している。「減税」でかつて行動をともにしたからだと釈明していた。政党は人の集団だから、同志を糾合するのは当然としても、よりによって、国民の税金である「政党助成金」を着服した嫌疑をかけられている
小沢一郎と、いの一番で面談する真意は何のか?
「河村減税党」の衣の下に何が隠されているのか?
親中路線の代表企業、トヨタ王国の愛知県の名古屋市長なのだ。小沢は、胡錦濤共産党人民解放軍主席の忠実な部下を志願した野戦軍司令官だ。大きなマイナス印象だ。
愛知県知事選で共闘した大村新知事が、知事選勝利後、「外国人労働者受入歓迎」とぶち上げていたことと併せて、新たな、日本解体政治革命かもしれないのだ。
マスコミの追い風を受けて、親米の小泉元首相は、自民党をぶっ壊したが、後は混乱のままだ。(つづく)
最終更新:2011年02月28日 11:11