福島原発冷却と政治の暗部


1. 奇々怪々 東電、中国にポンプ車を要請

東電が日本大使館を通じて申し込んだ、三一重工のポンプ車

海江田万里議員が大臣を務める経済産業省は、親中路線をひた走る日本経団連を担ぐ行政官庁だ。親中の二階議員も福田内閣のとき経済産業大臣を務めている。


ところで、西山経産相審議官の談話からは、いつ、誰が、どのような内容で、特殊車輛の借受契約を中国政府と交渉したのかは、明らかではない。
 東電は、日本経団連の常任の役員会社だ。バブル崩壊時の平成2年(1990年)から平成6年(1994年)まで、第7代の日経連平岩外四会長は、東電社長の有名人だった。現在の清水社長も日本経団連副会長だ。
経済産業省を経由して、中国政府から、旧い友人である日本経団連の東電に、直接、特殊車輛を貸与する申し入れがあったのだろう。地震発生の前後、たまたま中国へ出張中だったとか、あるいは、行方がわからないとか、噂されたようだったが、本当はどうだったのか?

公明党が、いの一番の19日に、この特殊車輛の投入を提言したということは、国土交通省に勢力を張る創価学会=公明党の影響力を示している。

海江田万里経済産業大臣が、東京消防庁職員に向かって、「指示に従わなければ処分するぞ」と、恫喝したとされる奇怪な言動の裏に、公明党と国土交通省の手配する特殊車輛3台と、経済産業省が中国政府と合意した1台との協力の仕方を巡る争いがあったのかも知れない。


20日の時点でのNHKニュースでは、三重県の建設会社を出発した車の背後に、もう一台、別の特殊車輛が写っていたように見えた。実際、22日に、福島で放水した特殊車は4台だったので、この会社の3台と、ヴェトナム向けの輸出用として横浜で保管されていた1台が、現地に既に到着していたのだ。
中共からの特殊車は、まだ到着していないようだ。

海江田万里大臣は、国土交通省の、この抜け駆けを怒ったのだろうか?

公明党に先を越されたことに対して、菅首相が、中国政府の前に面子を失い、同時に自らは、経済産業省の所管大臣として、菅首相の前に面子失う、とでも思い過ごしたのだろうか?  

21日までの、1号から3号までの原子炉冷却プールと建屋の消火は、自衛隊と東京消防庁が主役だった。22日の4号炉への活動は、自衛隊と4台の特殊車輛が出番だった。23日は、これに東京消防庁も加わると発表された。 
誰が、この特殊車を運転したのだろうか? 
NHKテレビが放映した20日の三重県では、運転者は「それなりに覚悟を決めて臨む」と話していた。その22日夜の放水場面の、NHKテレビの映像では、作業にあたる特殊車の近くを、白とみかん色の消防庁の防護服をきた作業員二人が、ゆっくりと歩いている姿が写し出された。
東電調達の特殊車輛の作業員は、消防庁の防護服を借りたのであろう。周辺の放射線量は、既に安全なレベルに低下していたのだろうか? 
それとも、特殊車輛を離れた際の行動の仕方までは、助言を受けなかったのかも知れない。東電調達の特殊車輛の作業員には、自衛隊と東京消防庁職員がもっている程度の放射線への防護意識が少ないのだろうか? 
それとも、その特殊車の運転者には危険意識はあるが、消防庁と自衛隊には、東電調達の車輛までは、防護支援の準備はできなかった、というとことなのか? 

更に、疑念を深めたことは、

20日夜のNHKテレビニュースで報道された三重県から派遣された特殊車輛の出発場面の映像が、すでに22日には、NHKのインターネットニュース記録から削除されていることだ。

民間の東電が調達した特殊車輛への関わりを、公共放送のNHKとしては避けたい、という意思表示だろうか? 
それとも、新たに中国から借りる特殊車輛の到着前に、国内所有の4台の活動を派手に扱うのを憚ったのだろうか?

さらに、この大災害を前に、原子炉の津波被害の後対応の不手際の責任を、東電に負わせようという、菅首相の思惑があるのではないか?


首相は、23日、被災4県の農産物の出荷制限と摂取制限を出した。それだけ聞けば、風評被害を含めて広範囲の経済的損害が想定される。23日11時に開かれた枝野官房長官の記者会見は、むしろ菅首相指示の厳しさを緩和させるようなニュアンスがあった。 
放射能被害に対する補償責任は、第一義的には東電が責任をとるべきという、事業者責任が問われそうだ。菅首相には、東電に対する初動時の憤懣が尾を引いているのかも知れない。

中国政府の「好意」を前に、菅首相、東電、国土交通省、産業経済省が錯綜した対応を示し、政府部内が混乱を示している中で、官房副長官に復帰した仙石議員は、復興のためには「乱暴副長官」でいくと宣言した

と、産経新聞は伝えた。

政府の意思を貫く、という意味のようだ。統一地方選挙が間近に迫っている。 いずれにしても、我々国民は、4月の統一地方選挙が、民主党政権の延命と、30年以上も続く、地方政治の金権政治の延命に利用されてはいけない。
(つづく)

奇々怪々 事実は何処に


東北・関東大震災のため、政治は停止したかのように見える。

しかし、政治は生き物。左手が麻痺していても 右手は動く。足も動く。

口は動き、内臓は腹黒い。骨の髄ではドス黒い血が作られているのだ。

例え、トップの頭は狂っているとしても、だ。

福島原発問題の焦眉の急は、原子炉の冷却問題だ。

この問題で、日本の政治の暗部が、露出した。

 経過は、次のようだ。

初日17日は、自衛隊のヘリ2機による7トン入り海水の4回投下だった。2回投下予定が、実際には4回投下された。勿論、上空は、ミリシーベルトの強い放射線が飛んでいる中での生命をかけた作業。1機目の最初は、風上から飛来投下。見事、90メートルから、目標の3号館を蓋う形で、ストライク投下だった。 2機目の最初は、風下から狙ったが、強い風に飛ばされて、水は目標を外して飛散した。両機の2回目も、それぞれ強い風に舞って飛散した。

結果的には、露払い程度だった。


次の18日は、この日未明に現場に到着した東京消防庁の「強力放水車」だった。 恐らく平時は、首都圏のデモ隊に対して向けられる車であろう。期待が膨らんだ。早朝から待機し、午前中には放水予定だった。が、万一の危険(放水が原因で原子炉自体が爆発する危険はないか)を、慎重に、終日検討した結果、漸く12時間以上、満を持して、午後7時に放水。だが、その水は

30メートルしか飛ばず、3号館の手前で、力ない、小便小僧だった。

強力と言っても、その程度の放水力しかないことは、初めから分かっていたのではないか?

続いて登場したのが、航空自衛隊の消防車だ。流石に、前日のヘリコプターの散水では、効果がないことがわかった。自衛隊の面子にかけ、1台7トンの水を交替で、7台が放水。

見事、3号館への集中放水が成功し、冷却効果はあった。


3日目の19日も、自衛隊消防車による放水だった。一定の冷却効果がでていることは、原子炉建屋周辺の温度や放射される放射線量によって、確認された。東京消防庁は、今度は「屈折放水塔車と圧力給水車を投入した。名誉晩回だ。連続7時間、無人で放水が可能という強力な消防設備と、消防隊員の決死の作業で、大いに冷却効果をあげ、原子炉建屋内の燃料プールからの白煙のあがる量が減ってきた。

この19日に、マスコミ報道鑑定団のブログ上で、国土交通省が所管する建設業界に、特殊車両があると紹介されたのだ。ドイツ製で、62メートルも腕のように湾曲し、ピンポイントでコンクリを流し込める特殊車両だ。
消防庁の職員しか放射線現場での作業には対応できない現実を考えれば、

その特殊車両の利用は、消防庁の合意と、現場の総指揮にあたる自衛隊の統制に従わざるを得ないはずだ。


しかし、政治の暗部は、この「特殊車両」の扱いで明らかになった。

この特殊車両の存在を明らかにし、その使用を提言したのが、やっぱり公明党だったのだ。

本日(22日)の産経新聞に、「各党・政府震災対策合同会議詳報」が報じられた。その中で、公明党政調副会長石田祝念議員が、既に19日の合同会議の時点で、

「わが党の提案で独プッツマイスター社の生コン圧送機の使用を決断したが、国交省は機械の存在は知っていたはずだ。」と発言していたことが報道されたのだ。


NHKの20日夜のテレビニュースは、この特殊車両が、三重県にあるこの車両の保有会社から、震災現場に向けて出発する場面の映像を放映した。石田議員は、国交省は知っているのに、菅政権は知らない振り、無視をしているのか、と抗議しているのだ。 公明党は、自衛隊が統括する原子炉の消防・冷却活動が、国交省を無視している、と主張しているに等しいのである。国交省は、公明党が陰然として勢力を張る官庁だ。

本日(22日)のマスコミ鑑定団のブログで、経済産業省大臣官房の西山英彦審議官(通商政策局担当)が、「中国からこの特殊車両を無償で借受ける」と発表したというTBS 21日16:49 のニュースをアップした。

三重県の建設会社にある3台を活用すれば、ワザワザ中国から緊急に搬入する必要性が高いとも思えない。中国から強力な政治的な申し込みがあった可能性もある。

奇怪な話だ。

NHKテレビは、本日(22日)、東電が借りた特殊車両「4台」が、4号炉建屋への放水を3時間行ったと報じた。三重県の建設会社から出た車も、3台の出動したのか。

22日の産経新聞は、消防庁の職員が連続放水していた最中の21日、海江田万里経済産業大臣が、消防庁職員に向かって「指示に従わなければ処分するぞ」と怒鳴った、と言ったとされることについて、石原都知事が同日、菅首相に抗議し、首相は陳謝した、と報じた。
NHKも、22日のテレビニュースで、海江田経産相がこの件で釈明する場面を報じた。
一体、事実関係はどうなっているのか? この背景に何があるのか?
                             (続く)

ドイツ製ポンプ車威力を発揮

東京新聞3月23日朝刊より
横浜に置いてあった輸出用を福島原発に回した。
最終更新:2011年03月31日 20:51