小泉改革「官から民へ」の実体



小泉改革の本丸、「官から民へ」の実体はどうだったのか?


下の表を見ていただきたい。


小泉内閣の初年度の平成13年度までに、国・地方公共団体の従業者数は、市町村合併等で転籍したであろう人々の数がピークになり、その後60歳を迎えて退職したと見られる様子が数字に出ている。平成18年度には、公営企業体従業員数は60万人減って、一見「官から民へ」の小泉政策が実現したかに見える。

しかし、実際は、民間部門の従業員数も、73万人ほど減っており、「官から民」ではなく、「官も民も」共に、常用雇用は減っている。


非正規雇用の増加が、社会不安と政権党への不信感を募らせ、平成21年の政権交代へと導いたのは数字に出ている。


常用雇用を支える企業の数も、小泉政権が誕生した平成13年は1,617千社あったが、5年後の平成18年には1,515千社と、10万社余りが減った。その内常用雇用300人未満の中小企業数は、1,604千社から1,533千社へ、71千社減少した。10万社の内の7割だ。
平成20度「日本統計年鑑」に掲載された総務省統計局企業調査部統計資料の中で、製造業企業数259千社、常用従業員数8,836千人の内、海外常用雇用が455千人と、製造業従業者の5%に達している。海外常用雇用が、総務省の企業統計調査の統計数字に収録されるようになったのは、平成20年度版からである。

グロ-バル化の弊害は、国内での中小企業の存立を圧迫し、雇用機会の海外移転を助長している。


世界に進出する自動車、化成品、電子機器製品などの製造業は、日本経済の代表的企業で、日本経済団体連合会の主要メンバーを構成している。これら証券市場のトップを構成する上場会社が、いずれもグローバル化を強めている。世界戦略を進める上で、巨額の投資資金の調達が必要となる。調達を可能ならしめるためには、欧米の市場関係者と共通の考え方、共通のルールに立たねばならない。それが「グローバル」の本質だ。

しかし、グローバルを推進する企業は、その企業数と常用従業員数とにおいて、いずれも日本全体のほんの一部の「上場企業群」に過ぎない。

総務省統計局の統計月報を見ると、平成18年(2006年)時点で、日本の全産業の企業数は1,515千社、内、資本金10億円以上の大企業数は6千社、0.4%、その内50億円以上は2千社、0.1%だ。 また、常用従業員を1000人以上雇用する大企業数は3千社、0.2%である。その企業従事者4,591千人は、全産業従事者58,34千人の、7.8%に過ぎない。

部品納入業者の納品価格は、国際市場での競争下に置かれる。人件費は押さえざるを得ない。


(つづく)
最終更新:2011年02月11日 11:37