民主党の予算案は、財政をさらに悪化させる



巨額国債は、既に危険水域だ。

「日本の国債は国内消化が95%だから大丈夫。ギリシャとは違う」「個人資産が、国債残高を上回るから心配ない」と、テレビ討論で、政治家や識者は語る。これを聞けば、我々一般国民は、「そうなのか」と思う。
世界企業トヨタ自動車の年間利益が1兆円と聞いて、驚かない人は、いないだろう。しかし、国債残高が637兆円と聞いても、普段聞き慣れないのでピントこない。

だが、40年前までは、国債は「ゼロ」だったと聞いて、驚かない人はいないだろう。「ヘー、そうだったの」。

今や、財政赤字は、当たり前の感覚になってしまってないか?

赤字国債は、東京オリンピック後の反動不況で、昭和40年に、2000億円発行されたのが始まりだ。これ以降、国債は、日本経済に組み込まれた要素となった。国債は、国の税収で償還される。

国債の期間は、当初は7年だった。

7年ならば、ちょっと長い銀行の定期預金のようなもので、国民には安心感があった。しかし、「公的債務と均衡する個人資産が十分にある」「国内消化が95%だから、ギリシャとは違う」というが、

財務省作成の資料をみれば、この楽観論に根拠がないことは明らかだ。


個人の直接保有は35兆円、外国投資家より少ない。政治家もマスコミも、予算に関しては、一般会計の単年度収支、当年度の赤字国債の金額がいくらかの議論に集中、矮小化し、与野党の「政局」にてしまうのだ。 

本当の危険は、その底溜まり部分にあるのだ。


国債の所有者別内訳の推移
財務省ホームページ 「国債の所有者別内訳の推移 」より作成 (単位:千億円)


元財務大臣塩川正十郎氏が、「母屋で粥を啜っているのに、離れでスキヤキを食べている」という見事な比喩で皮肉ったのが、一般会計と特別会計の区別だった。
財務省のホームページに「戦後の国債管理政策の推移」が出ている。下の表を見ていただきたい。

いつの間にか、累々積み上がった国債が、22年度で637兆円。離れのスキヤキパーティーは、めちゃくちゃ盛大になっていた。


注) 4条債  : 財政法第4条にもとづく、建設国債で、公共事業の財源
注) 特例債 :各年度の特例法に基づく国債で、歳出の穴埋めの財源
注) 借換債 :各年度の国債の整理・借り換えのための財源
注) 財投債 :特別会計に関する法律(第62条)に基づき、財政投融資資金の、運用財源に充てる国債


どうして、こんな膨大で、危険な国債残高になったのか?

理由は、田中角栄の列島改造論で象徴された土木建設工事の経常化、投下資本回収期間の長期化、経済の高度成長と歩調を合わせた社会福祉政策の肥大化である。
ギリシャについて言えば、一番の支援国ドイツの新聞はこう皮肉ったものだ。「ギリシャ人は、ギリシャの赤字を償うのはEUの義務とでも思っているようだ」と。実際EUは、地政学上ギリシャをEUの外に追いやることはできない。ギリシャ救済は、EUの自縛の至上命令なのだ。
ところが日本は、財政は赤字続きなのに、世界経済に異変があれば、欧米諸国から「経済成長の維持は日本の義務」と攻められ、経済大国の果たすべき義務を求められる。

外圧に弱いのは、我々現代日本人の悪癖だ。

G7サミットやIMFで要求されれば、その都度、土産話は、景気対策の国債増発だ。

昭和53年のボン・サミットの成長推進路線、54年の日本機関車論などが、その始まりだ。

最近の小泉行財政改革、郵政民営化などは、外国からの逆の改善要請だ。

改善要請は、平成22年カナダG8でも、その会議冒頭での菅政権に対する、財政改善忠告で再現されたではないか。

(つづく)
最終更新:2011年02月25日 10:48