『…貴女たちなら…あの子を助けられるかもしれない…今から私の言う場所に…』
リムナイトメアと、彼女の悪夢から出現した
バッドヴィリームたちを倒したヴィリームたち。
リムビターの
スペルカードへと戻った彼女が残した言葉に導かれ、やってきた先。
そこは星蓮区、命蓮寺サーカス団キャンプ…のあった場所。
そこには、禍々しい気配を放つサーカス用の大テントが出現していた
「わ、わちきのサーカスが…皆は?皆はどこ?」
「お、おい待て小傘!危ないぞ!?」
☆
『レディース・アンド・ガールス。黒蓮寺サーカスにようこソ。』
『今宵の演目は即興喜劇。あなた方の絶望を、面白可笑しく仕上げてご覧にいれまショう…では、開演デース…』
スポットライトに照らされ、てゐに瓜二つの顔をしたピエロが慇懃にお辞儀をする
☆
『今宵のサーカスは一味違う。今宵は鳥たちの、鳥たちによる、鳥たちのためのサーカス。』
サーカスの猛獣小屋。朱鷺子に瓜二つの影は、開いた檻の中に呼び掛ける。
檻の中では、無数の赤い瞳が輝いていた…
☆
『…わたしのココロはからっぽだぁ…』
サーカスの舞台裏、控え室。芳香に似た影はぽつりと、そう呟いた。
『食べた。また食べた。もっと…食べた。でもまだ、わたしのココロはからっぽだ。』
『あいつらを食べれば…少しは、からっぽの、ココロ、うまるかなぁ…』
芳香に似た影はヴィリームたちの方を見て、言った。
☆
『笑い、喜び…わからぬ…わからぬ…』
『いい笑顔の者たち…あいつらの顔を写せば、私にも感情(こころ)が解るだろうか…』
テントの奥。壁一面に仮面の並んだその部屋で、こころによく似た影が言った。
☆
『聞こえる…聞こえる…あの子の泣く声が…』
『あいつらの
ミラクルパワーがあれば、きっとあの子の涙を止められる…』
テントの屋根の上。空を見上げ、小傘に瓜二つの影が赤く光る眼帯の下の左目を押さえながら言った。
★
"みんなの悲しみを、私に…"
"これでもう大丈夫。私はヴィリームだから。私にしかできないから。だから…"
"私のことは忘れて。幸せになってね…"
此処ではない何処かで。渦を巻く黒い流れの中心で、キスメと同じ顔の少女は言った。
☆
『…嫌だっ!!』
テントの奥の部屋。針妙丸に瓜二つの影は叫んだ。
『忘れられるわけがない!こんな世界は間違ってる!何度世界をひっくり返しても、必ずあの子が幸せになれる世界を見つけてみせる!』
影はテントの外を見た。戦うヴィリームたちの姿がそこにあった。
『正義の味方さんたち。貴女たちは、この世界が好きか…?』
『私は嫌いだ』
最終更新:2024年03月14日 21:39