品川神社太太神楽


名 称 品川神社春祭 太々神楽
日 程 毎年4月15日以後の日曜
場 所 品川神社境内(東京都品川区3-7-15)
問合せ 03-3474-5575(品川神社)
サイト 北品川Online http://kitashinagawa.net/
取材日 2011年4月17日
投稿者 西嶋
タグ 4月 品川区 東京都 神楽

【概要】


 東京、品川にも今に伝わる民俗芸能がある。品川神社で行われる太太神楽だ。品川神社は、京急新馬場駅から歩いてすぐ、第一京浜沿いにある。1187年に源頼朝が創建したと伝えられ、その後も太田道灌、徳川家康、家光らの寄進によって栄えた神社である。明治になると根津神社や神田神社と並ぶ東京十社に数えられた。境内には包丁塚や富士塚なども建立されており、近隣の信仰も多く集めていたことが伺える。

 品川神社の太々神楽は戦国時代に始まったといわれ、演目はかつては20座、現在では12座が、品川神社太太神楽保存会によって演じられている。 舞は素朴でゆったりとした調子で、囃子はゆったりとしていながらも音色が鮮やか。囃子の楽器は、竜笛、大拍子、太太鼓が仕様されている。神楽の衣裳と面はかつて徳川家から奉納されたものとのことだが、現在の衣裳は新調されたものだそうだ。神楽が奉納される品川神社の祭りは以下の通り。

元 旦【1座】 1/1 1:00~
春 祭【6座】 4/15後の日曜 14:00~
例大祭【2座】 6/7に近い金曜 19:00~
新嘗祭【3座】 11/23 18:00~

また付近は、東海道の一番目の宿場として栄えた品川宿の史跡も数多い。しながわ観光協会作成のまち歩き地図もあるので、品川歴史散策をしてみてもよいだろう。

▼しながわ観光協会 東海道品川宿
http://www.sinakan.jp/htmb/sina/


【取材記】


 品川神社で神楽をやるらしい、という情報を知ったのは偶然だった。たまたま予定のあいた日曜に近場で観にいける民俗芸能イベントはないかと探していた時、たまたま検索にひっかかったのだ。前情報はネットの小さな告知だけ、当日は身一つで品川へ。最寄り駅は京急の新馬場駅なのだが、JRの品川駅から歩いた。それでも徒歩15分ほどだ。品川のビル街を抜け、第一京浜沿いをてくてく歩いていくと、小高い丘の前に鳥居が。そこが品川神社だった。一応、鳥居の脇には「例大祭」の看板が出ているものの、「お祭り」感は特になく人のざわめきやお囃子も聞えてこない。大丈夫か?とおもいつつ階段を上っていくと、境内にはスーツの集団が。まるで法事に集まったような人びとが2、30人。神職、職人風の人がちらほら、そしてギャラリーのカメラマンや、学生風の若者、外国人ら数名が遠巻きに祭りの開始を待っている。なるほど、氏子や身内中心の静かな祭りなのだなと納得しつつ、境内を撮影してまわる。境内には様々な祠や碑があり、品川神社がこのあたりの信仰のハブになっていたことがよくわかった。中でも目を引いたのが富士塚だ。富士を信仰し詣でる富士講の人びとが作った築山があるのだ。落語の「富士参り」を思い出し江戸の町人文化に思いを馳せていたところ、春祭が始まったようだ。先ほどのスーツの氏子衆が中に入り、神職の方が奥の扉を開け、太太神楽の奉納がはじまる。

 春祭の舞いは6座。拝殿の四方を祓い清める四方拝の舞、三光尉の面をつけ籾を蒔く稲荷の舞、矢を持った天狐が勇壮に舞う矢天狐の舞、花童子が桜の花を持って舞う花鎮の舞、青い幣帛と白い幣帛を持った二人の舞人による青白幣帛の舞、そして最後に猿田彦と真似天狗による猿田の舞。

 基本的には淡々粛々とで舞う。ただ竜笛、大拍子、太太鼓による囃子の音色は鮮やかで一聴の価値がある。神楽奉納後は、氏子らが奥に参拝し、祭りは終わった。その後、氏子らは社務所で直会があったようだが、私はここで失礼した。東京の山の手近くだからといって変に観光化されず、祭りが行われているのは発見だった。きっとまだまだこういう祭りが数多くあるのだろう。また、氏子の職人さんでオシャレな根付に小物入れを下げ、鼓気味よい身のこなしをしている方がいて、その粋な様に感嘆した。 
最終更新:2011年10月28日 11:21
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