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感想002-R

作品No. 002-R
タイトル 鷺沢文香「愛と妄執のファムファタル」
感想者名 超ボルボックス
感想本文 "

『ファムファタル』、男性にとっての運命的な女性を指す言葉であり、また、男を破滅させる魔性の女を指す言葉でもある。
この作品における文香はまさにPにとってのファムファタルだった。

今回この感想を書くに当たり、前提知識が必要かと思い、谷崎潤一郎作の『痴人の愛』にも触れてみた。
主人公である「私(譲治)」と、ヒロインであり私にとってのファムファタルでもあるヒロインの「ナオミ」の成す、
恋愛小説と言って良いのかどうか分からない長編小説。
少なくともおおっぴらに人に勧めることは出来ない内容だったが、この機会に知り、触れることが出来てよかったと思う。
そしてこのSSは、やはりそれに通じるものがあった。

文香が自らの性的な部分を認識し、それに伴い「プロデューサーが自分のことをどう思っているのだろう」という
疑問を抱えるところから始まる今作。
自らが全幅の信頼を寄せている相手に性的な目で見られて、それをひた隠しにされているという可能性に気づき、
自分の中にあるプロデューサーへのある種狂気をはらんだ感情をあらわにする文香。
初情事のシーン前後にある文香の独白が、プロデューサーへの思いの深さと、それが単純な親愛や恋慕の情の
それではないということを告げる。指と指を絡ませるPと文香のシーンに、まだ直接的な行為の描写もないのに持つ
この文香を形容する言葉を、私は持ち合わせていない。勃起してしまった。
誘い受け、いや襲い受けと言うのだろうか、自分がそのジャンルに明るくないために正しい言葉を選択できているかは
分からないが、誘惑し相手の性的な欲望を昂ぶらせてから、相手に全てをゆだねる文香に情欲を抑えきれない。
「いいですよ」というその一言で、その一言だけで相手の心を壊し、自制心の箍を外す。
「頑張って我慢している男の人は愛しいし、欲に屈する姿は可愛らしい。」と思える文香にどこまで沈んでいきたいと思った。
男に求められる感覚を甘美だと言ってのけた彼女に、昨今の「バブみ」とは違ったえもいわれぬ感情を抱き、
動悸が止まらなくなる。

行為の描写もこの作者様独特のしっとりと、丁寧ながらも激しく、本能的な描写にお世話になる。
「安全日」と文香に言われ、更に相手の体を求めるP。Pも理性では「マズい」とかそういったことを考えて居たのだろう。
しかし本能が文香をむさぼろうとする。これも文香に言わせれば「可愛らしい」と言うものなのだろうか。
犯しているのかむさぼられているのか、これが私には分からない。そしてこの曖昧な感覚がやけに心地よい。
その後の駐車場内でのカーセックスもまた素晴らしいものだったが、それ以上に階段の下でのディープキスのシーンが
心に残っている。ここでも男の理性を崩し、自分を襲わせる文香。人間が普段行き交いする場所でも、
褒められるべきでない行為に励むその姿に背徳感を覚える。キスは本来セックスではないが、ここではもうセックスだった。
何を言っていると思われてしまうかもしれないが、私にとって、このキスの描写はまさしくセックスそのものだったのだ。
求め、求められ、受け入れ、受け入れられ…これをセックスと言わず何というのだろうか。このキスの描写が後の車中での
シーンを一層盛り上げるものになっている。

グラビア撮影の後にある、虚実のセックス描写。作者様の構成力の高さには毎度驚かされる。
また同作者様の感想でも述べたように、「地の文にモノローグと台詞を混ぜる手法」が今作でも猛威を振るう。
文香が実際には言わないような言葉も、モノローグか台詞かを曖昧にすることで、その「卑猥な言葉」を文香が
実際口に出したのかそうでないのかをぼやけさせ、読者一人一人の解釈にゆだねる。文香が淫語を実際言っているのかどうか。
文学的な表現ではない、理性というフィルターを取っ払ってその言葉を実際に言ったのかどうか。
この解釈を一つとっても読み味は幾重にも変化するだろう。

終盤はそれまでに比べ「痴人の愛」にまつわる描写が多かった。そんなことをするつもりなんて毛頭ないくせに
「ナオミのように」と男を挑発する文香。好きだからこそ、他になびくと言う言葉が相手によく効くことを理解している彼女に、
逆らうことの出来る術などもうないのだろう。またパイズリのシーンにおける表現の深さはまさに圧巻。
チンコを挟んで柔らかく変形している胸の情景が瞳孔にはっきりと浮かぶほど鮮明で、感動を覚える。
精飲のシーンなどはもうたまらない。飲み下す音が確実に耳に入ってくる。
その後Pの上をマウンティングする文香、これも痴人の愛とリンクした所だった。痴人の愛ではナオミが「私」の上に乗り、
自らのわがままを全て許容することを「私」に強いるシーンがある。自らの思い通りにするという点において、
このシーンのナオミと文香はリンクしていた。しかしナオミは「自らの自由」を求めるが、文香は「相手の自由」
を求める。ここに大きな違いが現れている。文香は間違いなくPを愛しているだろう。
しかし、それを正しい愛かと問われたら口を濁してしまう。愛しているから、自由を欲する。愛おしい彼を心の底から
欲する。ヤンデレ、と言う一言では片付けられないだろう思考を持つこの文香を形容する言葉を、私は持ち合わせていない。
病的なまでに相手に依存し、相手のことを欲する文香に、少しの恐怖心を私は覚えた。しかし、その文香を「美しい」
とも感じた。はかないものに対する感覚と同じなのだろうか?決して音に戻ることの出来ない文香に、
私は股ぐらをいきり立て続ける。騎乗位で男を求め続ける文香の心理描写には、愚息を握る手の力をついつい強くして
しまうことしか出来なかった。

ファムファタル、男を破滅させる魔性の女を指す言葉だが、今回破滅したのは果たしてどちらなのだろうか。
この関係が漏れ出せば、二人とも社会的な破滅を迎えるだろう。しかし、真に破滅しているのは文香自身ではないだろうか。
自らの欲望に潔すぎるほど正直で、相手を求め、求められることを望む。もう元には戻れないであろう文香こそが、
破滅を迎えているのではないかと思った。深く考えさせられる、最高の作品だった。
終盤の騎乗位逆レ中出しは本当に素晴らしいのでみなさんにも読んでいただきたい。

そして、この作品を書き上げてくださった作者様に、感謝と多大なる敬意を表し、この感想を閉めさせていただこうと思います。本当にありがとうございました。
"

作品No. 002-R
タイトル 鷺沢文香「愛と妄執のファムファタル」
感想者名 関西ちくわ
感想本文 "超攻撃型鷺沢文香。

どこかの国の作家の言葉だったと思いますが(うろ覚え御免なさい)「強盗は金か命かと迫る。女は金も命も要求する」
なんていうのがあるらしいです。
そんな言葉がずっとチラついていたんですが、なんといっても、破滅しても構わないという文香のスタンスが
質悪すぎました。
こういう肉食系の文香ってあんまり見たことがなかったので、読んでいてとても新鮮でした。
淫乱としか言いようのない本作での描かれ方も、「文香だしなぁ…」としっくりハマっているように
感じてしまうのが面白いです。
鷺沢文香って一体何なんでしょうね?(哲学)

初めて一線を越えたホテルのシーンでは、男に絶対手を出させるガールと化してる感がすごかったです。
あぁ、これは断れない、断れるわけないなぁ、と思わずにはいられない湿った雰囲気でした。
特にレス4の文香の『いいですよ』には、コイツぁ酷ぇ!と軽く笑ってしまいました。そこまで誘惑しておいて、
結局Pに責任を押し付けるのかと。

それ以降も魔性すぎて、あぁもう…。
Pの上位に立っていると感じているのが文香の思考の端々に滲み出ている演出、かなり好きです。
『こちらからもキスしてあげます(レス8)』とか『おちんちんを挿入させてあげると(レス10)』とか
『私が上になって搾り取ってあげるのですから(レス16)』とか。
そういうのを見つけると、あぁ~~(恍惚)、でした。

(実は『痴人の愛』は高校生の頃に一度だけ読んだだけで、しかもあまり響かなくてほとんど覚えていないのです。
本作ではなんとなくオマージュっぽいシーンもあり、もし、覚えていたらもっと愉しめたのかなぁと残念に感じております)

最後に「ヒェ~」となった個所をお伝えします。
(レス12)してくれないのなら、他所へ行きますよ。→こんなの言われたら勝ち目無しです"

作品No. 002-R
タイトル 鷺沢文香「愛と妄執のファムファタル」
感想者名 新居ゆあ
感想本文 "文香視点で地の分で語りながらな形式ですが、
描写が丁寧でかつ説明くさくもなく、ちょうど良い塩梅の情報量に、
惹き込まれて眼が離せない作品です。
おそるべし。

>ほとんど会話したこともない相手に、よくここまで言えるものです。

推測雑言は群衆の中で、無知さをエサに
尾ひれ背びれを生やして成長していきます。
こういうのはむしろ、ほとんど会話したことがないからこそ
言えるんじゃないでしょうか。

>比較対象を知らないので分かりませんが

ここの、どこか冷静めいた表現がたまらないですね。
本をよく読むとはいえ、えっちぃ本を除けば
そうそう見る機会なんてないですよね。
保険体育の教科書くらいじゃアレで、人体解剖図でもないと、
そういう比較できそうなくらい詳細に図解がありませんでしょうし。
実物を見たことないのはもちろん、そういった類の本も読んでなくて、
知識としてもハッキリともってなかった、
というのがこの一文に込められているようでゾクゾクします。

(『解剖図より大きい』だの『本とカタチですね』だの、
そこまで沈着冷静に分析されると…というのもありますが)

堕ちていく様を描くうえで、重要なのは、堕ちることを厭わないこと。
堕ちることを拒絶するなら、それ以上に受け入れること。
個人的に、そう想ってます。

だからでしょうか。
文香はむしろ最初から拒絶なんてしていませんし、
プロデューサーも多少のガマンを経てそれ以上に堕ちてくれましたから、
嫌悪感を抱くことなく、飲まれる感覚に、
じわりと、ずぶりと、どっぷりと、浸れたように想います。"

作品No. 002-R
タイトル 鷺沢文香「愛と妄執のファムファタル」
感想者名 ポンカワP
感想本文 "初め電車で読もうと思っていたのですが、何行か読んですっと「あっ、これダメな奴や」と察して家で読みました。
何がダメかはそっとしておいてください、公正わいせつ罪で捕まりたくないのです
私はR18系統のSSはあまり読まないのですが、
あぁ、こんなにもじわりじわりとせり上げてくる文章を書ける人がいるのかと凄くビックリしました。
文香の好奇心、独占力、そしてちょっと()した悪戯心が混じり合ってもう何がナニしました。
じわりじわりと二人がのめり込んでいって理性も何も溶けていく表現が丁寧で頭に自然と入ってきて
こちらさえも溶かすようなそんな印象さえ覚えます。
最後の最後の一文がボディブロー過ぎてヤメロォ!
こんな風にふみふみのふみふみをふにふにしたいです。

物足りなかった点としては、プロデューサーに話した後の展開ですかね。
もうちょっとプロデューサーの駆け引きを入れてもよかったのではないかなとは
感じました。
イベントホテル行く前に少しずつ、少しずつ文香を意識させて、最後に
ダメ押し一手で・・・ってのも良かったのかと思います。"

作品No. 002-R
タイトル 鷺沢文香「愛と妄執のファムファタル」
感想者名 Freege(患部)
感想本文 "
>一人ならぬ男性から、女として、性欲のはけ口として見られていると改めて自覚すると、
>それまでに感じたことのない衝撃があったのです。


自分の肉体が「性欲のはけ口と見られている」と知ったときの女性の精神状態は、
男性の身ではわかりかねるところがあります。

なにせ男というものは、かの三島由紀夫の言説を引くならば、

>男というものは、もし相手の女が彼の肉体だけを求めていたのだとわかると、一等自尊心を鼓舞されて、
大得意になるという妙なケダモノであります。(『不道徳教育講座』痴漢を歓迎すべしより)

という生き物なので。


ただ、女性についても、想い人から求められたときぐらいは、
ケダモノのように大得意になって欲しいなぁと夢見てしまうのです。


それはさておき、

>そう考えるとプロデューサーというのもなかなか因果な職業です。
>自分のものにしてはいけないものを探し求めて磨き上げなければならないなんて。

序盤ですが、この矛盾はプロデューサーとアイドルの恋愛を描く上で避けて通りたくないところですね。
これを意識させると、甘ったるいだけの恋愛模様に、
山椒みたいなちょっとしたスパイスが利いていい感じに食欲もとい肉欲をそそります。
ここに配慮しているアイマスえっちSSにハズレなし!(Freege調べ)


>頑張って我慢してる男の人は愛しいし、欲に屈する姿は可愛らしい。

文香の独白ゆえにちょっとぼかした書き方になっていますが、
「文香に惹かれているが双方の立場を守ろうと我慢する」のが(文香からみて)愛しく、
「文香の誘惑に屈する」のが(文香からみて)可愛らしいのですね。
愛しい→から可愛らしいが上位に来ました。この瞬間、あとへの期待感からゾクゾクきましたよ。


>私の初めてを奪った時にはあんなに後ろめたそうにしていたのに、二回目になるとこんなに積極的で、
>避妊具まで用意しているなんて。
>すっかり夢中になってもらえたようで嬉しかったです。
>濡れぬ先こそ露をも厭え、というやつでしょうか。

私この慣用句だいすきです(唐突
実に順調にズブズブいってます。


>ただ単に胸を寄せるのと、愛しい男の生殖器を谷間に挟んだときのことを思い出しながら寄せるのとでは、
>同じポーズでも当然雰囲気が変わりますよね。
>ごくっごくっと喉の動きを強調してみせると、もっと粘っこくて匂いの強いものを飲んだときのフラッシュバック。

パイズリ、精飲はアジフせんせぇのお家芸ですが、今回は趣を変えて間接的に攻めてきましたね。ふふふ。
今に日常生活のあらゆることにプロデューサーとの情事を連想するようになりますよ。
それって精神的には常にプロデューサーとえっちしてつながっているのと同じではないでしょうか。たぎりますね。


>後部座席のドアを開け、身を滑り込ませ、運転席に向かいかけるプロデューサーさんの手を引きます。


と思ったらあとに続くのはカーセックスですよ奥さん。
この感想はSSを読みながら随時書いているのですが、いやぁ期待の延長線上にぶち込んでこられて興奮が収まりません。
カーセックス。性行為とそれ以外の時の線引がぐちょぐちょに滲んで乱れきって曖昧になってしまっている
象徴のような行為です。


>実際に身体を重ねるのと同じくらい、私のお願いに彼が屈してくれる、この瞬間が好きです。

セックスは肉体がぶつかり合っていると同時に精神もぶつかり合っているものだと思うので、
肉欲だけでなく精神的な充足も欲しいし、二つが絡み合うと、もし数値化できるなら単なる加算ではなく
累乗ぐらいの爆発的な破壊力を生み出すと思います。


>もうすぐ、私は20歳になります。

あと非常に印象的だったのがこの結びです。
これ、カットしてもSSは成り立つんですけど、とても心に残ります。
理由はわかりません。

……だけでは感想にならないので、必死こいて考えます。
そういえば確か、『痴人の愛』で譲治がナオミに完全にヤられるのは、ナオミが19歳のときでしたね。
冒頭にわざわざ引用したということは、これを意識している?

あと20歳というと「両親の許可無く当人の意志だけで結婚できる年齢」ですね。
もし妊娠と結婚を結びつけるなら、20歳とは文香が当人の意志で勝手にPの子を孕めるようになった、
ということを暗示しているのでしょうか。むむむーん。作者サンに聞いてみたいです。
"
最終更新:2017年07月24日 23:36