零帝”ヒロユキ”の死去により、2ちゃん国は滅亡の道をたどる。
そしてヒロユキの弟”忍帝グロユキ”が政治の実権を握ることになった。
それと同時に”不良族”と呼ばれる農民の集まりが各地で一揆を起こし、
忍帝グロユキは不良族によって暗殺された。
帝のいなくなった瞬間に王になりたいもの同士の戦、戦乱の世が始まった。
不良族も大将”フッサ”を先頭に戦に参加していった。
この物語はギコ猫族の青年”ギコ吉”の物語『武勇伝』である。
第1部 青年ギコ吉
ギコ猫族の村は山奥にあり、どちらかというと寒い。
だがこの村は都へ行くための道にあるため、旅人が訪れるのは珍しいほどではない。
まぁどこにでもある平穏な村だったのだ。あの時までは…
「んじゃー行ってきます」
俺は元気よく家を飛び出した。
背中にはリュックを背負い、満面の笑顔で。
「あ!ギコ吉」
「何だよ、母さん?」
「ここらへんでも戦があるらしいですから、気をつけてね」
「当たり前じゃん、じゃ、行ってきます」
村の人たちに軽く挨拶を交わし、ハニャーン村から出て行った。
俺はきのこ狩りをしに、南の方角へ進んだ。
ここらへんのきのこはウマイので特産物になっている。
30分後…西の方向から大勢の声が聞こえたので、
「戦かな?行ってみよ」
軽い気持ちで西に進路変更した。軽い気持ちで
第2話 『勇ましき武人 モナ朗』
(殺すなどそういう表現の部分があります)
西の草原では予想通り『戦』をしていた。
不良族とネーヨ族の戦。
不良族の耳には@の刻印があり、遠くからでもよく見える。
ネーヨ族は細長い種族であり、あまり戦いに向いていないが、
知能が優れており、その証拠として『ネーヨ谷の岩石』という話がある。
大耳族の一部との戦での出来事で、大耳族3万匹対ネーヨ族1万匹。
ネーヨ族は本当は2万5000匹いるのだが、なぜか1万匹しかいなかった。
どうみても大耳族の方が有利。しかしネーヨ族は実用化されていなかった、
タクシーを使うことで大耳族を追い返すことに成功した。
しかし、本当の恐怖はこれからなのだった。
逃げる途中大耳族は『黄泉谷』を通ったのだが、
なんと黄泉谷の上(山)にネーヨ族1万5000匹が待機していたのだ。
そして大耳族達が通った瞬間、上から岩石を落としてすべてを殺したという。
「すごすぎだ…戦は」
呆然と見てた俺の前を真っ白い馬がものすごいスピードで横切った。
真っ白い馬に乗っていたのは、不良族でもない。ネーヨ族でもない。
ただ、何十人もの武将たちを倒してきたであろうような鋭い瞳をした、
モナー族の男で、一回こちらをみただけでそのまま行ってしまった。
「刻印もないし、ネーヨ族ではない…モナー族の男だったようだが」
勇ましくモナー族の男は不良族を次々と槍で切り裂いていく。
「うぉぉー!このモナ朗の首がとれるもんか!」
モナ朗というモナー族の男は叫びながらネーヨ族を槍で突き刺す。
「どちらの味方でもない…中立!?」
プォォーン
ほら貝の低い音と共に戦が終了した。
結果は不良族の敗北。
不良族は泣きながらそこを去っていった。
するとモナ朗はどうなったのか?
辺りを見回しても、もう白い馬はいなかったが、白い毛ならあった。
白い毛をたどると白い馬が見えたので、
俺は叫びながら走って追いつこうとした。
すると、気付いたモナ朗は馬の足を止めた。
「君は…ギコ猫族モナね」
「ああ。そうだ」
「で、何用モナ?」
「お前はなんで中立なのかなって」
「へぇ、ハニャーン村にはまだ伝わっていなかったモナ」
何気なく意味ありげな『へぇ』をいう。
「そういえば、さっき戦見てたモナ?」
「そーだけど」
モナ朗はかなりにやけている。
「じゃあ、兄貴」
「兄貴って!」
すかさずツッコミを入れる俺だった。
続く