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この小説にはオリジナルキャラが埋め尽くす可能性が非常に高く、オリ7:3概存の割合でストーリーが進行していきます。
その手のキャラに嫌悪感を覚える人、または荒らしを目的に来ている人は、直ちにブラウザバックでお戻り下さい。
◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆―◆
息が苦しい、まるで胸が締め付けられるかのように。
当然といえば当然だ、チューブが数本取り付けられたマスクを口に当てられ、なおかつ緑色の培養液の中につけられているのだから。
首から下、左半身は痛々しくも断面がちぎれたようにしてなくなっており、血も流れずわずかながら細胞が収縮して再生していく。
本来ならば激痛で動くことすら儘ならないが、鈍く響いてくる靴音にゆっくりと目を開けた。
「気分はどうだ?“紅き魔剣杖 ”」
ガラスと培養液のせいで表情こそは霞んで見えなかったが、マスクの下で自然と口元に笑みが浮かんだ。
「ああ。最ッ高に悪い」
くぐもった低い声が、ガラス越しに男に伝わった。
歪んだ表情の中、ただ一つ口元だけの笑みを浮かべる。
「そうか、ならいい。全力を尽くそう」
「誉め言葉で言ったつもりは無いけどな」
「ふふ、まあこちらにはどうでもいい話だ。ただ“祭り”に間に合ってもらえばいい」
カッと革靴を鳴らし、踵を返す。
「“神々の黄昏 ”、楽しみにしているよ」
アースガルド歴1893年、初秋のとある会話。
運命は、この3年後から急速に歩を進めることとなる。
【モラリスト(英:moralist)】
道徳至上主義の人、道徳家。
log.01 日常、異変
貿易においてそこに勝る街はあらず、それによってわずか20年で急速に成長した臨海都市、バミューダ。
常に潮風が部屋の中まで漂ってきており、毎年恒例「水神祭り」はここらで最も盛んといわれている。
まあ地理とか歴史とかは置いておくとして、ただ自分は潮の匂いがあまり好きではない。
何故かと話せば長くなるが、短くまとめれば小さいときに船から海へと落ちたのが原因と見られる(もっとも、そのときの記憶は無いが)。
自分にはそれ以降、海が恐ろしいものとしか感じられなくなり、ただでさえこんな街は早急に出て内陸にでも行きたいものであった。
なぜそうしないのかというと、これもきちんと理由がある。
「ロ~キ~♪」
・・・こいつだ。
相も変わらず一定周期で服が変わっていき、オレンジ色の体の上から今日は水色のTシャツに青のジーパン。
いつも通りならば、次はオレンジ色の服を着てくるはずだ。
それはさておき、ロキ・・・まあ、俺の事だが、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
黒い体が所々見える中、赤・黄・緑の三色が入り混じった民族衣装のようなバンダナを締め、そでの長い黒Tシャツの上から紺のローブを着、仕上げに赤色の宝石がはめ込まれた首飾りをかけローブの内側にしまいこんだ。
突然着始めたのはもちろん彼女・・・フレイヤのせいなのだが。
「おやおや、今日はどこにお出かけですか?」
「とりあえずお前がいないところ。ついてくんなよ」
はっきり言ってしまえば、出来る限りこいつから離れて仕事がしたい。
何故なら彼女はラフメ・・・もとい、トラブルメイカー。
この前高さ30メートルの鉄塔からこけて落ちそうになった彼女を助け、代わりに俺がまっさかさま。
結果として全治2週間の(自分にとっては)重症。
いや、これは俺にも非があったかもしれないがそれはさておき。
駄々をこねてローブの端を引っかんで引きずられてまでフレイヤはついて来ようとする。
アパートの一室のドアが乱暴に閉められ、鍵をかけると懐にしまいこんだ。
未だ彼女はローブの端を引っつかみ、潤んだ目で自分の顔を見上げるようにして訴えている。
見下ろすような視線と視線がぶつかり合い、数秒間の睨めっこが続く。
ゆっくりと、大きなため息がロキの口から出た。
「仕様がないな。でも、自分の身くらい護れよ?」
さんさんと輝く太陽と同じく、彼女の顔に微笑が戻る。
意気揚々と立ち上がり、準備をしにいくのかアパートの二階から階段を使わずに降りる。
ようは、普通にへいに脚をかけて飛び降りたわけで。
着地音はほとんどせず、ふと見ればすでに40メートルほど前方へと走っている。
やれやれ、世話が焼けるな、全く。
まあ、彼女が俺をこの街にとどめる原因なのだ。
しかし、なんだか忘れているような気がする。
いつだっただろうか、時々そのシーンがフラッシュバックして蘇るときが多々あるが、何度考えても思い出せない。
まあいいだろう。
後に思えば、今はその時、その時間を生きることだけで精一杯だった。
この小説にはオリジナルキャラが埋め尽くす可能性が非常に高く、オリ7:3概存の割合でストーリーが進行していきます。
その手のキャラに嫌悪感を覚える人、または荒らしを目的に来ている人は、直ちにブラウザバックでお戻り下さい。
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息が苦しい、まるで胸が締め付けられるかのように。
当然といえば当然だ、チューブが数本取り付けられたマスクを口に当てられ、なおかつ緑色の培養液の中につけられているのだから。
首から下、左半身は痛々しくも断面がちぎれたようにしてなくなっており、血も流れずわずかながら細胞が収縮して再生していく。
本来ならば激痛で動くことすら儘ならないが、鈍く響いてくる靴音にゆっくりと目を開けた。
「気分はどうだ?“
ガラスと培養液のせいで表情こそは霞んで見えなかったが、マスクの下で自然と口元に笑みが浮かんだ。
「ああ。最ッ高に悪い」
くぐもった低い声が、ガラス越しに男に伝わった。
歪んだ表情の中、ただ一つ口元だけの笑みを浮かべる。
「そうか、ならいい。全力を尽くそう」
「誉め言葉で言ったつもりは無いけどな」
「ふふ、まあこちらにはどうでもいい話だ。ただ“祭り”に間に合ってもらえばいい」
カッと革靴を鳴らし、踵を返す。
「“
アースガルド歴1893年、初秋のとある会話。
運命は、この3年後から急速に歩を進めることとなる。
【モラリスト(英:moralist)】
道徳至上主義の人、道徳家。
log.01 日常、異変
貿易においてそこに勝る街はあらず、それによってわずか20年で急速に成長した臨海都市、バミューダ。
常に潮風が部屋の中まで漂ってきており、毎年恒例「水神祭り」はここらで最も盛んといわれている。
まあ地理とか歴史とかは置いておくとして、ただ自分は潮の匂いがあまり好きではない。
何故かと話せば長くなるが、短くまとめれば小さいときに船から海へと落ちたのが原因と見られる(もっとも、そのときの記憶は無いが)。
自分にはそれ以降、海が恐ろしいものとしか感じられなくなり、ただでさえこんな街は早急に出て内陸にでも行きたいものであった。
なぜそうしないのかというと、これもきちんと理由がある。
「ロ~キ~♪」
・・・こいつだ。
相も変わらず一定周期で服が変わっていき、オレンジ色の体の上から今日は水色のTシャツに青のジーパン。
いつも通りならば、次はオレンジ色の服を着てくるはずだ。
それはさておき、ロキ・・・まあ、俺の事だが、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
黒い体が所々見える中、赤・黄・緑の三色が入り混じった民族衣装のようなバンダナを締め、そでの長い黒Tシャツの上から紺のローブを着、仕上げに赤色の宝石がはめ込まれた首飾りをかけローブの内側にしまいこんだ。
突然着始めたのはもちろん彼女・・・フレイヤのせいなのだが。
「おやおや、今日はどこにお出かけですか?」
「とりあえずお前がいないところ。ついてくんなよ」
はっきり言ってしまえば、出来る限りこいつから離れて仕事がしたい。
何故なら彼女はラフメ・・・もとい、トラブルメイカー。
この前高さ30メートルの鉄塔からこけて落ちそうになった彼女を助け、代わりに俺がまっさかさま。
結果として全治2週間の(自分にとっては)重症。
いや、これは俺にも非があったかもしれないがそれはさておき。
駄々をこねてローブの端を引っかんで引きずられてまでフレイヤはついて来ようとする。
アパートの一室のドアが乱暴に閉められ、鍵をかけると懐にしまいこんだ。
未だ彼女はローブの端を引っつかみ、潤んだ目で自分の顔を見上げるようにして訴えている。
見下ろすような視線と視線がぶつかり合い、数秒間の睨めっこが続く。
ゆっくりと、大きなため息がロキの口から出た。
「仕様がないな。でも、自分の身くらい護れよ?」
さんさんと輝く太陽と同じく、彼女の顔に微笑が戻る。
意気揚々と立ち上がり、準備をしにいくのかアパートの二階から階段を使わずに降りる。
ようは、普通にへいに脚をかけて飛び降りたわけで。
着地音はほとんどせず、ふと見ればすでに40メートルほど前方へと走っている。
やれやれ、世話が焼けるな、全く。
まあ、彼女が俺をこの街にとどめる原因なのだ。
しかし、なんだか忘れているような気がする。
いつだっただろうか、時々そのシーンがフラッシュバックして蘇るときが多々あるが、何度考えても思い出せない。
まあいいだろう。
後に思えば、今はその時、その時間を生きることだけで精一杯だった。