数列の一意性

このページでは、漸化式が与えられている数列に初項(初期条件)をさらに与えると、
そのような数列は一つしか存在しないこと(一意性)を示す。

だいそれたことを言っているが、難しいことではない。漸化式は前の項が与えられると、
次の項が定まることを意味しているから、
初項があれば、次々と数列の各項が決まってしまうということだ。
いま述べたことを、帰納法という道具を用いて証明する。

いくつかの仮定を設ける。漸化式は
(1):  a_{n+1} = f(a_n,n)
と与えられるとする。また初項a_1は定まっている。

ここで仮定した漸化式は二項間漸化式である。(1)は、前の項から次の項が1つだけ決まらなければいけないよう仮定している。
たとえばa_{n+1}の2次方程式を仮定すると、ことなる解が2つ存在してしまうためだ。
三項間漸化式の場合は、初項と第2項が必要となる(両方を合わせて初期条件と呼ぶ)。

(1)を満たす数列を2つ考える。\{ a_n \}, \{ b_n \}とする。
初項は定まっているから
a_1 = b_1
である。
次にa_n = b_nを仮定する。(1)を用いると
 a_{n+1} = f(a_n,n) = f(b_n,n) = b_{n+1}
である。したがって初項が同じで、かつ、(1)を満たす数列はただ一つに定まる。

証明をみると明らかなように、初期条件から次々と数列の各項が定まってしまうのである。
しかし、この定理は一般項を求める方法に対して、それの正当性を与える。

たとえば、初期条件と漸化式を満たす数列を適当に見つけたとする。
このとき、他に漸化式と初期条件をみたす数列を探す必要がないことが保証されているのだ。
最終更新:2014年02月26日 20:46