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希望の国のエクソダス

2002
文春文庫
村上 龍

★×3

読んでるうちに日本脱出したくなってくる本。

そして龍がエロを書いてない本。エロの片鱗すらないよ!
イコン」や「共生虫」より時代が進んだITの小説という感じです。
ITだけじゃなくて経済やら世界情勢やら、カタい内容だったー。「龍はブンガク」っていうのがだんだん納得できてきました。
そもそも「龍=エロ」の図式から、「エロ=軟弱」と思い込んでいたのですが、文庫版後書きの文章を見て、本文のカタさとあいまってめちゃ骨太な印象に塗り替えられました。

この小説の単行本が出版されたとき、村上龍は中学生に期待し希望を託しているのか、
などという馬鹿げた批判があった。
わたしは中学生の反乱を通して、現在の日本社会の危機感と適応力のなさを示したかっただけで、
中学生であれ、誰であれ、期待などしない。

期待などしない。
今の脳内龍像は海原雄山ぽいかんじです。

作中の、
この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。
だが、希望だけがない。
っていう一文もいいな。印象に残る本でした。
最後に主人公が子供を持つのが、あたりまえというか、行くべきところに着いたねというか、意外性はないけど納得できるラストというやつでした。



ISBN:4-16-719005-2






最終更新:2011年02月16日 13:43