探偵事務所で流也さんと合流した僕達は、一路、
アカノミという樹の許へ向かっていた。
その樹は東の方の平原にあるらしく、今日は幹九朗?とか言う人も一緒らしい。ちなみに僕達の方は、最初の予定の4人に
アズールとアカネさんを加えた6人だ。
「もうすぐだな」
「本当ですか……?」
流也さんの方向音痴ぶりはゲンブから聞いていたけど、実際見て見ると想像以上だ。明らかに違う場所で曲がったり、同じ所をぐるぐる回るのはしょっちゅうで、たった今通った道をもう忘れてたりする。
若干以上の不安を覚えつつもついて行くと、開けた場所に出た。ここが噂の平原かな?
「あれ? 樹がないね……」
ランカが不思議そうに呟く。確かに、この子の言うとおりだ。
アカノミは結構な大木と聞いていたけど、見る限りそんなものはない。ゲンブも首を傾げていると、流也さんが呟いた。
「また『変わった』のか?」
「?」
「行きゃあわかる。こっちだ」
言うと、流也さんはまっすぐに歩きだした。合ってるのかな……。
幸いなことに迷ったりはしなかった。流也さんは開けた場所より、入り組んだ場所の方が苦手らしい。
そして着いた場所にいたのは、大木ではなく、緑色の髪の青年と、薄黄緑の長髪を持った……えぇと、どっちかな? とにかく、そういう子だった。
「あっ、『東』! 来てくれたんだ!」
「流也さんか、意外と早かったな」
「言った以上は実行しねえとな。それが俺の流義だからな」
どこか嬉しそうな長髪の子と、クールそうなのにどこか軽い青年。もしかして、この2人が?
「流也、もしや……」
「ああ。この髪の長いのがアカノミ、隣のは幹久朗だ。幹に久しいに朗報の朗な」
九じゃなかったのか。んー、惜しい。
「おいおい、自己紹介くらい出来るって」
「お? そいつぁ悪いな」
「別にいいよ。さて、聞いての通り俺が幹久朗だ。こっちのアカノミは本来樹なんだが……俺が手を貸して、しばらくの間こうやって人の姿を取ることが出来る。ま、意志疎通のためだとでも思ってくれ」
「ああ。俺は知っているだろうから……スザク」
「ん。僕は
火波 スザクだ」
「私は
ブランカ・白波。この子はアズールです」
「ど、どうも」
「
白波 アカネ、ブランカとアズールの母です。どうぞよろしく」
一通り自己紹介が終わって、さっそく話を始めよう……というところで、「へ?」と
幹久朗さんが魔の抜けた声を上げた。
「母親って……あんた、人間だよな?」
「そうよ。でも、アズールだって私の娘には違いないわ。家族ですもの、当たり前でしょ?」
何でもないことのように、それこそ自明の理を現すようにさらりと言ったアカネさん。だけど、実際にそう思えるかと言われれば、大抵の人は難しいはず。それを素でやってしまうのだから、この人は実際凄いと思う。
「そんな当たり前の話をしに来たわけじゃ、ないでしょ? ほら、流也さん、本題は?」
「ほ、本題っつっても……」
途端に詰まる流也さん。そういえば、「アカノミに今度、全員連れて来るって言った」とだけ聞いたような……。
「もしかして、具体的なことは何も考えてなかったんですか?」
「……ぶっちゃけそうだ。会えば何とかなるんじゃねぇかと、そう思ってた」
「そんな不確かな予測で動くなよ!? まったくあんたは……」
幹久朗さんが思わず、といった調子で怒鳴りつけ、腕を組んでため息をつく横で、アカノミが「まあまあ、そう怒らなくても」と宥めている。
「とりあえず、何から話そうか?」
訪問、それから
(役者は揃った)
(さて、何から始めよう)
最終更新:2011年09月24日 13:48