「・・・よう、あの子の様子はどうだい」
白い壁と照明に照らされ、ガラスの向こうは闇。そんな空間・・・ウスワイヤのロビーで、一人の男が一人の少女に話しかけていた。
男の方はスーツ姿。鋭い眼をサングラスで隠した、危険な空気を纏う男。
少女の方は白い服にジーンズ、黒い髪をした大人しげな感じ。
その顔が、男の声を聞いて振り返った途端恐怖に歪む。
男が話しかけるが、チサト、と呼ばれた少女の返事はない。しかし、男はまるで返事が来たかのように一人、口を開く。
「・・・それを言われるとな。だが、翻す気はねぇぞ。能力者(オレタチ)は、異物なんだ。能力者(オレタチ)に未来はねぇ。うちのリーダーさんが言ってんだろ」
言われたチサトは、ただじっと男を見返す。
「極論だと? そうさ、その通りだ。ただ、リーダーの言う事ももっともだからここにいる。それだけだ。それより、あの子はどうなんだよ」
いい加減苛立ったように男が言うと、チサトはふいっ、と視線を明後日の方向に反らした。それを追った男は、ため息を一つついた。
「・・・相も変わらずの眠り姫か。ったく、何がいけねぇのかね」
それだけいうと、男はチサトから完全に興味をなくし、踵を返して去って行った。
一言、呟いて。
「・・・啓介・・・てめぇも、まさか・・・」
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最終更新:2013年06月12日 22:04