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Blue Swear―――蒼い誓い - (2010/01/08 (金) 16:58:30) の最新版との変更点
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Blue Swear―――蒼い誓い ◆7pf62HiyTE
―――求めていたのは何だろう?―――
「リイン―――あのおばさん確か放送でこんな事言っていなかったっけ―――」
泉こなたはリインに放送でプレシア・テスタロッサがフェイト・T・ハラオウンの事を娘だと言っていた事についてリインフォースⅡに確認する。
この時、スバル・ナカジマはアニメイト跡地である物を探していた。探す物が物だった為、こなたの手伝いをスバルは断っており、こなたはリインと共に傍で待っていた。
リインは魔力の消耗が激しかった為、休息及び周囲の警戒とこなたの護衛の為彼女の傍にいる。
こなたの問いに対し、リインは言いにくそうな顔をしていたが、
「本当はリインの口からは言いにくい事ですけど……」
放送での言葉でフェイトに疑心を持つ可能性は否定出来ない。フェイト個人の事情をむやみに明かしたくはなかったが、誤解を招かない為にリインは今まで伏せていたプレシアとフェイトの関係を話す事にした。
プレシアがアリシア・テスタロッサ復活の為にフェイトを作った事、そしてアリシアでは無かったフェイトを嫌悪しその存在を否定した事を―――
アカデミアで聞いた時同様プレシアの心情そのものは理解出来なくはない。だが、こなたはなおの事憤りを感じていた。
アリシアの代わりとしてフェイトを作った事自体に関しては別段気にしていない。似たような話を何処かで聞いた事はあるのでこなたにとっては大した問題ではない。こなたが憤ったのは別の事だ。
自分がアリシアの代わりとして作り出しておいて、望んだ物と違ったら捨てるという事だ。あまりにも身勝手過ぎるではないか?
そもそも、フェイトはアリシアの外見を持っていて、アリシアの記憶も完全ではないもののコピーは出来ている。にもかかわらずプレシアはそれを認めなかった。
いや、月並みな話だが誰もアリシアの代わりなど出来ないからそれ自体は別に良い。しかし、失ったアリシアを求める余り周囲に対して我が侭が過ぎるのではないか?
自分が生み出したフェイトやPT事件に巻き込まれた人達を何だと思っているのだろうか? 何故、そこまでしてアリシアを求めるのだろうか?
いや、何となくだが只アリシアが生き返ってもプレシアは満たされないのでは? プレシアが本当に求めている物は―――
「結局はアリシアちゃんを生き返らせたいんじゃなくて、アリシアちゃんのいた頃に戻りたかっただけじゃないのかなぁ?」
―――時間は遡る―――
「ルルーシュとシャーリーとヴィヴィオがいた……?」
アニメイトを炎の巨人が襲った際、スバルはこなたとリインを守る為にすぐさまアニメイトから撤退した。
その時点では彼女達を守れた事に安堵していたが、こなたから聞かされた話は彼女に大きなショックを与えた。信じがたい話ではあったがそれは真実だろう。あの炎では既に3人とも―――
だが、何故この3人なのだろうか? 行動を共にしていたルルーシュ・ランペルージと一緒なのはまだわかる。
しかしシャーリー・フェネットとヴィヴィオの名前が何故出てくる? 近くにいたであろうシャーリーはまだ良いが、ヴィヴィオも近くにいたというのか?
また、早乙女レイの名前が出てこないのも気になる、彼女は何処に行ったのだろうか?
その最中、リインが意識を取り戻す。疲労こそ大きかったもののダメージは少なかった為すぐさま目を覚ますことが出来たのだ。
「スバル……こなた……何かあったですか……?」
込み入った話になりそうだった為、別行動を取ってからの互いの出来事を整理する事にした。まずはこなた達の話だ。
2人は担当していた場所の探索を終えた後、外の煙を確認しスバル達と合流する為にエントランスに向かった。その際にレイとも合流した。
「今にして思えば、レイにもう少し気を配れば良かったと思う……」
放送で遊城十代の名前が呼ばれていた。その事でレイはショックを受けていたのだろう。彼女の一人称が『私』から『ボク』に変わっていたのがその現れかも知れないとこなたは語った。
その後、気絶していたルルーシュを発見したが、その後目を覚ましたルルーシュがいきなりレイに『俺に従え』とギアスをかけようとしたのだ。
この時点ではルルーシュの奇行の理由がわからなかったが、恐らくシャーリーと会った時に何かあったのだろう。
「それにレイの状態に気づいていたと思うし」
実際、現場こそ見なかったがギアスを放った要因はその瞬間レイがルルーシュに拳銃を向けていたのもある。
とはいえ、ルルーシュの行動理由に気付いたのはあくまでもヴィヴィオからシャーリーとのいきさつを聞いた時だという事を補足した。スバルもシャーリーとのいきさつは把握している為それは理解した。
さて、そのタイミングで何者かの襲撃により瓦礫が崩落しルルーシュの腕から再び出血し気絶したが、更に悪い事が起こった。
ギアス自体は不発に終わったが、その事でレイが逆上しルルーシュに向けて発砲したのだ。
銃弾はリインが防いだものの危険な状況は変わらない。こなたは気絶したルルーシュを背負い荷物を何も持たずそのままアカデミアから逃げだしたのである。
「あれ、だったらどうしてこなたのデイパックがここにあるの?」
「あー……うん、実はあたしもなんでかはわからないんだけど……」
逃げたこなた達はアニメイトの前でヴィヴィオと遭遇しレイから身を隠す為に一旦アニメイトに入った。そして、ルルーシュの手当てをする傍らヴィヴィオと彼女が持っていたクラールヴィントから詳しい事情を聞いたのだ。
彼女は最初に浅倉威という男性と出会い、その後半裸の男とスーツの男に襲われた。
その後、温泉で天道総司とシャーリーと出会い、天道が去った後3人で彼の後を追った。
そしてその天道を連れて温泉に向かうキングと遭遇した。キングは天道を治療すると言っており、天道をキングに任せ3人は市街地に向かった。
その後、浅倉が暴れだし2人の元を去っていき、ヴィヴィオの前にザフィーラが現れたがすぐに消えたという話だった。
「ねぇ、こなた達の話を聞く限り浅倉って人危なさそうな気がするけど……気のせい?」
「気のせいじゃないと思う」
「どうしてザフィーラいきなり消えたんですかね?」
「近くで戦いがあって、ヴィヴィオ達を巻き込まない様にしたんじゃないのかな?」
浅倉やザフィーラ、そしてメールにあったキングが気にならないではないがひとまず保留にし話を進めていく。
その後、2人は駅へ向かいその近くに15人以下になれば開く車庫の存在を確認してデュエルアカデミアに向かい―――
「ルルーシュと出会った―――でも、どうして? 確かルルーシュの友達だったはずじゃ……」
スバルにはその状況は把握していたがその理由はどうしてもわからなかった。その時のルルーシュの表情から何か悲しい事があったのはわかるが、その事はどうしてもルルーシュに聞けなかったのだ。
「……」
こなたの表情が重い。こなたはその理由を知っている、だがそれはこなたの口から語って良い事ではなかった。しかし、誤解に巻き込まれた者もいる以上、誤解を解く為には説明しなければならない事だ。
その一方、事情の知らない小娘が口に出来る程軽い事ではない事は理解している。
「ルルーシュ……ごめん」
一言彼に謝罪した。自分の判断で口にして良い事ではないが、スバルにルルーシュの事について誤解して欲しくなかったのだ。ルルーシュが誰よりも守りたかった人に―――故に―――
「ちょっと長くなるけど―――」
―――一旦、舞台を戻そう―――
スバルはこなたの証言を元に瓦礫や炭化した物体をどけていきある物を探していた。
「ルルーシュ……ヴィヴィオ……シャーリー……」
炎の巨人の規模を考えれば何も残らず灰になっている可能性は高い。それでも、スバルは探していたのだ。
「!! もしかしてこれ……」
そうして『それ』は見つかった―――いや、正確には『それらしい』物だ。
それはルルーシュとシャーリーの遺体である。スバルは首輪を回収する為にここに来たのだ。
当初の予定ではアカデミアに戻りそこに放置している2つの首輪を回収するつもりであった。だが事態は急を要する上、倒壊する可能性があるアカデミアにこなたを連れて戻るのは危険だ。
故に、チンクには悪いがアカデミアには戻らず、アニメイトにある首輪を回収する事にしたのだ。
正直な所、仲間の死体から首輪を取る事には抵抗はある。ましてはスバルの首輪採集の手段はあまりにも残酷なものだ。
スバル達の手元には都合の良い刃物はない為首輪採集は難しい。しかしスバルには自身のIS振動破砕がある。これを使い頭部を破壊すれば首輪採集は可能だろう。
だが、あまりにも強力すぎる為、首輪までも粉砕してしまう可能性はあった。いや、それ以前に死体とはいえそれ以上傷付けたくは無かった。
しかし脱出の為には首輪は確保しなければならない。その為にルルーシュ達の死を無駄にする事だけは決して許されない。故に死体の破壊という残酷な行為をスバルは行おうとしていたのだ。
が、結論を言えばスバルが振動破砕を使う必要は無かった。その理由は簡単な事、既に2人の遺体はバラバラになっていたからだ。そして、その残骸の中に2つの首輪があったのだ。
何故、2人の遺体がバラバラになっていたのだろうか?
2人の傍にはシャーリーが所持していたルルーシュとシャーリーのデイパックがあった。重要なのはルルーシュのデイパック、その中には小タル爆弾と火炎瓶があった。そう、炎がデイパックを焼いた際にそれらに引火し爆発したという事だ。
業火と至近距離からの爆発、これらにより2人の遺体はバラバラとなって焼かれ、どれが誰のどの部位のものかの判断がつけられなくなってしまったのだ。
あまりにも無惨な話と言える、しかし不幸中の幸いか首輪は頑丈だったせいかその形を保っていた。スバルはその2つの首輪を手に取って眺める。
「守れなくてごめん……」
こなたはスバルにルルーシュがこの殺し合いに連れて来られるまでに何をしてきたのかを話した。
妹ナナリー・ランペルージと共に祖国に捨てられ日本に送られ、その日本もその祖国によって侵攻を受けた事、
魔女C.C.と出会い彼女からギアスを与えられ、最愛の妹ナナリーが望む優しい世界を手に入れる為に漆黒の魔王ゼロとなって立ち上がった事、
仮面を身に付け素顔を隠し、多くの者を騙し続け、数多の犠牲を出してきた事、
心を傷付けてしまったシャーリーの記憶、初恋を抱いた皇女の命、そして親友との絆を自身の行動によって失い続けていった事を―――
客観的に言えば、ルルーシュのしてきた事は決して許される事ではなく、同時にそれによって自身の大切な物を失うというのは自業自得でしかない。
―――だけどルルーシュはずっとその事を悔やんでいたよ
あたしが口にして良い事じゃないけどさ―――
こなたはそう口にし、それらの事やこの場に来てからも自分を守る為にディエチが犠牲になった事を語った時のルルーシュは辛そうにしていた事を話した。
―――これはあたしの想像だけど……ルルーシュもきっとあたし達と同じだったと思う―――
―――あたしがかがみんやゆーちゃん達、それにお父さんやゆい姉さん達と楽しく過ごす様に―――
―――きっとルルーシュもナナリーちゃんやシャーリー達とそうしたかったんだと思うよ―――
―――もしかしたら、同じ立場だったらあたしだってそうしていたかも知れないし―――
―――それって、そんなにいけないことなのかな?―――
ルルーシュの世界にいた自分は彼の事を何処まで知っていたのだろうか? いや、ルルーシュの様子を見る限り、きっと全てを知っていただろう。
恐らく、その世界の自分はそれでも彼を守ろうとしていたのだろう。
ここにいる自分でもルルーシュの心情はある程度理解出来る。家族や友人といった身近な人間の幸せを願うのは誰だって同じだ。
スバル自身詳しくは知らないがフェイト・T・ハラオウンやシグナム達がPT事件や闇の書事件を起こしたのと何も変わらない。
行動そのものは許されざる事であっても、その根底にある願いだけは誰にも否定する事は出来ないのだ。
故に、スバルはルルーシュの行動を否定したりはしない。
だが、ある程度の理解は出来ても所詮そこまで、一般的な見解の域を出るものではない。
助けたいとは思っても、具体的にどうすれば良かったのかは全く答えられないし安易に答えてはいけないと感じた。
彼を助ける事が出来たのはやはり彼の世界にいた自分でしかないという事だ。
確かにルルーシュはどんな世界にいても変わらないと言ってくれたが自分が彼の知る自分では無い事を知って全くショックを受けないわけがない。
あれだけの目に遭ってようやく出会えた自分がルルーシュの事を全く知らないと知ったらどれだけ辛いだろう? 一番支えてあげられる人物がそうではなかったと知ったら―――考えるまでもない。
何より辛いのはそんな彼を真の意味で助けてあげられない事だ、スバルはそれが何よりも辛かった。
守れなかった少年とその友人の首輪を眺めながらスバルは自分の無力さを悔やんだ。何度と無く同じ事を感じては立ち直ってきたが辛い現実に直面する度にまたしても同じ事を感じてしまう。
今回に関しても何処かに自分のミスがあったかも知れない。仮の話だがアニメイトに踏み込む時に周囲をもう少し注意深く警戒していたならば違う結果もあり得たかも知れない。
ある意味ではルルーシュ達を殺したのは自分と言える、それはとても辛い事だ。
だが、いつまでも俯いているつもりはない。
そんな姿をルルーシュが望むか? シャーリーが望むか? ヴィヴィオが望むか? チンクが望むか? 死亡した高町なのはが望むか? ティアナ・ランスターが望むか? ギンガ・ナカジマが望むか?
答えは否、断じて否、誰もそんな事を望んだりはしない。
『いつも笑顔で、楽しそうで……精一杯真っ直ぐに生きてる、スバル・ナカジマだ』
そうだ、皆それを望むはずだ。ならばどうするかなど考えるまでもない、最後の最後まで精一杯生きるだけだ―――
『……進むことだけが、その死者への弔いだと思っていた』
こなたに自身の事を語る時、ルルーシュはそう口にしていた。死んでしまった者はそれ以上前に進む事は出来ない。ならば生きている者が前に進まなければならないだろう。
ここで足を止める事など論外だ、死んでしまった者達の為にも生きている自分達は前に進む―――精一杯生きるのだ。
そうしなければ彼等の死が無駄になってしまう、それこそ彼等に対する最大の裏切り、絶対に許されない。
その為にも、何としてでもこの殺し合いを破壊しなければならない。スバルは決意を新たにした。
その最中、スバルは改めて考える。一体誰が炎の巨人を繰り出したのだろうか? 巨人そのものは参加者というより何かの召喚獣と言った所だろう。
と、ここでスバルの脳裏に2人の召喚術師が浮かび上がる。だが、すぐさまそれを否定した。炎の巨人は2人が使役するものではないからだ。
その一方で冷静に考えてみる。召喚術師の召喚がそのまま使えるという事があるだろうか? デバイス同様他の人に使える様にしつつ本人にはそう簡単に使えない様にした方が自然だ。
更にこの場では他にも召喚を行う方法が存在する事をスバルは把握している。1つがデュエルモンスターズのモンスター、そして仮面ライダーの繰り出すモンスターだ。
だが、スバルの見立てではどちらも違う様に思えた。仮面ライダーのモンスターにしてはあまりにも大きすぎだし、デュエルモンスターズのモンスターだと考えるには引っかかる点があったのだ。
なお、スバルはチンクの両腕を焼いたのもあの炎の巨人だと考えている。チンクからは詳しくは聞けなかった為断定は出来ないが瞬時にチンクの両腕を一気に炭化させた事からその可能性は高いだろう。
だとすればデュエルモンスターズのモンスターの可能性は低くなる。レイの話ではカードによる召喚は使い捨てらしいからだ。故に同じカードが複数無い限りその可能性は低いと言えよう。
が、召喚方法が他に無いとは言えない。何者かが他の召喚手段を使い召喚を行った可能性はあるし、もしかしたら自分の仮説そのものにも何処か穴があるかも知れないだろう。
これ以上考えても仕方が無いと思い、残るヴィヴィオの遺体を探す事にした。
「たしか事務室に寝かせていたって言っていたから……この辺かな?」
事務室があったであろう場所に向かうが、
「え?」
―――再び時間は遡る―――
「それで、ルルーシュとシャーリーの間に何があったの?」
こなたからルルーシュの動向を聞いたスバルとしてはその事について何か思う所はある。しかし、今重要なのはアカデミアにてルルーシュとシャーリーの間に何が起こったのかだ。
「ルルーシュの話だと、シャーリーの記憶を消したという事だったよね」
「確かゼロがシャーリーのお父さんを殺して、ルルーシュがゼロだという事をシャーリーが知って傷付けた……という話でしたよ」
「だけどシャーリーはルルーシュの事を覚えていたらしいんだ。でも、ルルーシュがゼロだという事は知らなかったらしいんだ」
「ヴィヴィオの話では天道って人の事をゼロだと呼んでいたらしいですよ」
「ちょっと待って……どうして天道という人をゼロって呼んだの?」
「「さぁ?」」
ゼロの仮面を天道が持っていたからなのだが、その事を知らない3人にはその理由がわからなかった。
「あれ、おかしくない? ルルーシュの話が事実だったらシャーリーがそこまでルルーシュに会いたが……あ!」
スバルはその理由に気が付いた。
「そういう事だったんだ」
「え、どうしたの?」
「一人で納得してないで説明してくださいよ!」
「うん……」
スバルは2人に参加者は異なる平行世界だけではなく、異なる時間軸から連れて来られている可能性がある事を話した。そして今回の事はそれによるものだという事を話したのだ。
つまり、ルルーシュが連れて来られたのはシャーリーの記憶を消した後から、一方シャーリーは記憶を消される前からだという事だ。
こなた達もその事はある程度予想できていたためその事については容易に理解出来た。
「だからあの時、ルルーシュは……」
スバルがルルーシュからその可能性を聞かされたのはシャーリーがアカデミアを去った後、ルルーシュもそこでその事を知ったからスバルに話したのだろう。
ともかく、シャーリーはあの場でルルーシュがゼロだと知り、ルルーシュに自分を殺すかと迫られそのまま去っていったという事だ。
その後、アニメイト前にヴィヴィオを置いて再びアカデミアに向かったという話だった。
一方でヴィヴィオはこなた達と合流したわけだが、そこでルルーシュの治療を行う一方で服を着替えたのだ。
その後、治療が終わりルルーシュの意識も戻り一段落付いたらシャーリーが戻ってきたのだ。その際に今度は2人でちゃんと話し合い無事に和解出来たのだ。
「で、2人の邪魔にならない様にと思ってあたしとリインは戸締まりしてヴィヴィオが眠っているのを確認してから見張りに行こうとしたら」
「あたしがいたと……」
こなた達のいきさつは以上の通りだ。さて、ここでこなたの持っているデイパックの問題が出てくる。これは見張りに行く際にシャーリーが持っていたのを持ち出したという話だが、
「他にもルルーシュが持っていたはずのライフルも持って行ったんだけどね……でも、途中で落としたみたいだけど」
「でも、こなた達の話が確かならレイが持っているんじゃ……」
「何でシャーリーが持っていたのって話だよね」
「……あ!!」
「どうしたんですかリイン曹長?」
「こなた! 確か彼女こう言っていたですよ、赤いジャケットの女の子を撃ったって……」
赤いジャケットの女の子が示す人物、それはレイの事に違いない。レイが持っている筈の荷物をシャーリーが持っていた事から考え、シャーリーがレイと遭遇した際に彼女を射殺しその後倒れたレイの荷物を持ち去っていったのだろう。
シャーリーがアカデミアに向かっていた事からレイと遭遇する可能性は高いのでこなた達もそれを予想していた。
もっとも、その結末に関してはレイがシャーリーを殺す事しか予想していなかった為、逆の可能性は全く考えていなかったわけであるが。
「シャーリーがレイを撃ったのは……ルルーシュを守る為だったのかな……」
「衝動的だったと思うですよ」
レイがルルーシュを殺そうとしていたのは間違いない。その事を知ってシャーリーは衝動的に彼女を撃ったのだろう。アニメイトでの彼女の様子から強いショックを受けていたのは明らかだ。
レイの凶行を止める事が出来ず、またシャーリーに彼女を撃たせ死なせてしまった事についてスバルはまたしても沈んだ気持ちになった。
こなたにしてもヤンデレ化したレイには二度と会いたくはなかったが死んで欲しいと思ってはいなかった為、やはりショックを受けていた。当然、リインにしても仲間だった人物の死を望むわけがない。
とはいえ何時までも悲しんでいるわけにもいかない為話を進めていく。
今度はスバルの方で起こった事だ。探索を終えて戻るとエントランスには悲しげな表情をしたルルーシュがいた。これまでの話を統合して、シャーリーとルルーシュが出会い別れたのだろう。
その後スバルはシャーリーを探しに周辺を回ったが彼女と出会う事は出来ず、その代わりに全身に火傷を負い両腕を失ったチンクを見つけた。
「火傷? それってもしかして……」
「多分……アニメイトを焼いたのと同じ可能性が高いと思います」
その後、彼女を連れてルルーシュの元に戻り、ルルーシュは保健室に向かった。そしてチンクから詳しい話を聞いたのだ。
チンクの話では天上院明日香、ユーノ・スクライア、アンジール・ヒューレーが味方でアレクサンド・アンデルセン、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、黒いコートの少年は殺し合いに乗っているという話だった。黒いコートの少年は恐らく万丈目準の事だろう。
そして放送後、新たな来訪者が現れたのだ。
「じゃあその人が?」
「はい……」
その来訪者の攻撃によりアカデミアは致命的な打撃を受け、さらに来訪者の繰り出したモンスターにチンクが殺されたという話だ。そして、その来訪者は仮面ライダーに変身し襲いかかって来たのだ。
スバルは戦いにこなた達を巻き込まない為にアカデミアから離れたのである。
「その人はどんな人だったですか?」
「そ、それは……」
「さっきからどうも歯切れが悪いですけど、どうしたんですか?」
リインの指摘通り、新たな来訪者の話になってからスバルは何処か口ごもっていた。その様子を見て、
「……っち?」
こなたが口を開いた。
「こなた?」
「どっちだったの?」
「『どっち』って事は2人まで絞ったって事ですよね? どういうこ……」
「……かがみんだったの? それともつかさだったの?」
こなたの示した答えはどちらも自身の友人だった。
「ちょ……まさかこなた、自分の友達が殺し合いに乗っているなんていうんじゃないですよね? 駄目ですよ、そんな事言ったら……スバルも違うって否て……」
そこまで口にしてリインも何故スバルの歯切れが悪くなったのかに気が付いた。
「ち、違うですよね。シャマルかヴィータだったんですよね? だから言い辛かったんですよね?」
だが―――
「かがみさんだった……」
それはまさしくこなたの推測通りだった。
「そっか……」
意外にもこなたは落ち着いていた。
「で、でも、かがみさんが殺し合いに乗っていたのはバクラが操っていたからだから……」
何とか取り繕うとするものの、
「大丈夫、予想していなかったわけじゃないからさ。みんな殺して全部元通りにするとか考えたり、違う世界の連中だから殺しても大丈夫だって考えたりとかさ……」
そう答えるこなたに対しこれ以上強くは言えなかった。
柊かがみとの戦いでレヴァンティンを奪われ、左腕も負傷したものの何とか対処した後、こなた達を探していたらアニメイトの前でハイパーゼクターを見つけ、中に入ろうとして、
「あたし達に出会ったわけだ」
そんな中、スバルは1枚の名簿を取り出す。それはチンクが所持していた既に死亡しているフェイトの名簿である。そこには彼女が協力者、保護対象、要注意人物がグループ分けして記載されていた。
「あれ? あたしやかがみん、それにつかさの名前があるよ。もしかして……」
それを持っていたのは自分の世界のフェイトなのではと考える。しかし、
「あ、でもスバルの名前が無いから違うか」
小早川ゆたかのクラスにスバル達が転入していた事から、そのフェイトがスバル達を知らないのはおかしいと考え自身の仮説をすぐさま否定した。
「……多分、フェイトさんはつかささんに会ったと思います」
スバルはつかさはフェイトに保護されたのではと考えていた。しかし、チンクがフェイトの首輪を持っていた事を踏まえ彼女の死亡は恐らく最初の放送からそう間もないタイミングだと推測される。
つまり、つかさはそれ以後独りぼっちになっている可能性が高いという事だ。
「つかさ……」
それを聞いてもこなたは何処か落ち着いていた様だった。
そして、周辺への警戒を怠らず再びアニメイトへと向かったのである―――
―――再び舞台は戻る―――
こなたはかがみとつかさの事を考えていた。かがみが殺し合いに乗り、つかさは保護してくれた人を失ったという状況、気にならないわけがない。当然ショックを受けていないはずがないし信じたくはない内容だ。
このタイミングでリインからプレシアとフェイトの関係を確認しようとしたのはその事から一旦思考を外す為のある種の逃避だったのかも知れない。
とは言え、何時までも逃避するわけにはいかない。かがみとつかさの事について真剣に考えていかなければならないだろう。
ところで、何故こなたは襲撃者がかがみかつかさのどちらだと考えたのだろうか? 友達を信じるならばその思考に至ったりはしないのではなかろうか?
勿論、こなただって友達を疑いたくはないし出来れば違って欲しいと思っていた。
だが、ルルーシュから親友と敵対しているという話、リインから家族が凶行に及ぶ可能性があるという話を聞き、レイやシャーリーが凶行に及んだという現実を目の当たりにしたのだ。故に自分達が例外とは思えなかった。
いや、それ以前にもしかしたらこなた自身でさえも殺し合いに乗っていた可能性があったのだ。
赤いコートの男をこなたのナイフで殺してしまったら?
スバルが自分を助けてくれなかったら?
ルルーシュから彼自身の話を聞かなかったら?
リインから彼女の家族の話を聞かなかったら?
逃げている最中にヴィヴィオを保護出来なかったら?
これらの事が無ければ今のこなたは無かったと言っても良い、何かが違えば違う結果もあったという事だ。
それは間違いなくかがみ達にも言える事だ。半日を越える時間の中での出来事次第でどうなるかなど誰にも予想出来ない。
普通の少女達が何故嬉々として殺し合いに乗る? 有り得ないのではなかろうか? そこまでして彼女達にとって何の意味があるというのか?
単純な理由だ、こなた達の望みは元の日常への帰結。プレシア・テスタロッサの言葉を信じるならば優勝することでそれは叶えられるだろう。
死んだ人達を全員生き返らせる、それが不可能ならば殺し合いに参加していた記憶を全て消して貰う、そうすれば何の問題もなく元の暮らしに戻れると考えてもおかしくはない。
参加者が異なる世界から連れて来られているならばなお都合が良い、違う世界の人物ならば自身の世界には何の影響も無いのだから。
故にかがみ達が殺し合いにのっても何の不思議も無いという事だ。
本題に戻ろう。スバルが襲撃者の話の際に口ごもる様子を見てこなたは気づいたのだ。襲撃者は自分の友人だと―――
リインから家族が殺し合いに乗る可能性を聞かされていた為、スバルとリインは自分達の仲間が殺し合いに乗っていたとしてもそれを受け入れる事が出来ると考えていた。故に言葉を濁す可能性は低い。
また、襲撃者が未知の人物であったとしても、外見やその能力はわかっていただろうからやはり言葉を濁す理由はない。
となれば言葉を濁す理由は自分にかがみかつかさが殺し合いに乗っていた事を聞かせたくなかったからだろう。
スバルが伏せようとした気持ちは理解出来るし、こなたにしてもその事を出来れば信じたくはない。だがそれでなくても足手纏いとなっている自分がこれ以上負担になる事は許されない。故にこなたは非情な現実を受け入れる事にしたのだ。
スバルによるとかがみは何度と無く殺されそうになりその心の隙をバクラに突かれたのではないのかという話だった。
また、つかさにしても仮に目の前で友人であるフェイトが殺されたのならば彼女を含めた全員を生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性があったしその死に耐えきれず精神を病んでしまう可能性もある。
理由や状況はどうあれ2人が元の日常に戻る為に優勝を目指す心情は理解している。こなた自身も元の日常に戻る事を望んで『いた』。
こなたは考えていた―――どの様な形にしろ仮にこの殺し合いから生還出来たとしても本当の意味で元の日常に戻る事など不可能ではないのだろうかと―――
別に日常を構成する要素であるなのはやフェイトがいないから戻れないというわけではない。かがみやつかさ達が元の世界に何も変わらずそこにいたとしても元に戻る事など無いという事だ。
その理由は至極単純だ。ルルーシュやリインからそれぞれの事情を知り、レイやシャーリーの凶行を知り、更に自身のすぐ傍でルルーシュ達が殺されたのだ。
それだけの事を経験しておいて、元の世界に戻って何事もなく元の暮らしに戻れるわけがないだろう。戻れたとしてもこの殺し合いでの経験はずっとこなたの中に生き続けるだろう。
勿論、優勝さえすれば殺し合いでの記憶を消す事も出来るだろうし、仲間達と脱出した場合でも記憶を消す事ぐらいは可能だろう。
だが、こなたにはそんな意志は全く無い―――この場で出会った人達や出来事を忘れたくはなかったのだ―――
その理由はルルーシュと出会い、彼の生き様を見てきたからだろう。
『……進むことだけが、その死者への弔いだと思っていた』
彼は己の目的を果たす為に多くの者を犠牲にしてきた―――
その犠牲の為にも結果を残す為に進み続けた―――
それこそが犠牲になった人達に対しての唯一の償いになると―――
戦争を肯定するつもりはない。しかし、彼が最愛の妹の為に優しい世界を手に入れる為に戦っていた事は理解出来る。
果たして多くの犠牲を払い優しい世界を手に入れた先には何があったのだろうか―――?
『朝は必ず来る』
『朝』―――その先には『明日』があったのではないのだろうか? ルルーシュは『明日』を迎える為に戦っていたのではないのだろうか?
『昨日』でも『今日』でもなく『明日』の為に戦っていたのだろう―――今はもう真意を確かめる事は出来ないがそう思えてならないのだ。その為に多くの犠牲を払ってでも進み続けていたのではなかろうか?
その『明日』が『今日』や『昨日』よりも悪くなる可能性を考えなかったのだろうか―――?
いや、きっと良くなると確信していたのだろう―――勿論、確たる証拠なんて何処にもない。
だが―――誰もが『明日』に希望を持っている事は理解している。こなたの知る多くのマンガやアニメのキャラクターもそうだからだ。
スバルやリイン達だって同じ気持ちの筈だろう。そして何より―――漠然としていてはっきりとは見えてはいないがこなた自身もそれを信じている。『明日』はきっと楽しいと―――
『朝は来る。忘れる事なんて出来ない悲しい事はたくさんあるが、それでも朝は来る。』
仮にこの殺し合いに巻き込まれなかったとしても―――いつかは学校を卒業しかがみ達と別れる時が来るだろう。何時までもかがみ達と学生生活を過ごしたいと思ってもそれは間違いなく叶わない―――
だが、悲しい事ばかりじゃない筈だ。きっとその先には楽しい事も待っている。
この殺し合いにしても同じ事だ。陰惨な殺し合いであったとしても、生き残って脱出する事さえ出来ればきっと―――
だから―――
「進むよ―――ルルーシュやシャーリーの分まで―――」
ルルーシュ達もそれを望んでいるだろう。
その為にも出会った人達や出来事を決して忘れてはならない。その人達―――特に死んでいった人達の想いを裏切る事だけは決して許されない。
プレシアがアリシアのいた頃に戻る事も、かがみ達が全てを無かった事にして日常に只戻る事も、所詮は『昨日』や『今日』への渇望でしかない。
だが、自分達は『明日』へ進む―――多くの悲しみを越えて―――その先が楽しいものであると信じて―――
そう思ってはいても、実際問題としてこなたに出来る事など殆ど無い。
出来れば殺し合いに乗ったであろうかがみを止めたいし、つかさの事が気がかりではある。しかし、自分ではどこまで出来るかはわからない。
何も出来ないだけならばまだ良い、問題なのはその結果でスバル達の足を引っ張ってしまう可能性がある事だ。
ルルーシュ達を死なせてしまった事にしてもこなたがアニメイトの鍵を掛けたりしなければまだ違った結果があったかも知れない為、責任は感じている。
それ以前にルルーシュを助ける事についてこなた自身は何も出来なかったのではと今でも感じている。しかし、
『だがお前がここまで俺を背負って逃げてくれたから俺は今もこうして生きているんだ、だから感謝しているよ』
ルルーシュはアニメイトまで運んだだけの自分に感謝してくれた。こなたにとってはそれで十分過ぎた―――
まだ何か出来る事があるはず、それが何かはわからないが少なくてもスバルやリインの足を引っ張らない様にするべきだ―――
その為にも下手に殺し合いにのったかがみの所に向かうべきではないし、何処にいるかもわからないつかさの為にスバル達に対して我が侭を通すわけにはいかない。
だから今は2人が無事でなおかつこれ以上間違いを起こさないで欲しいと只願っていた―――
そう考えていたこなたと彼女の傍にいたリインの元にスバルが戻ってきた。その表情は重く―――ゆっくりとスバルは口を開く―――
―――■■■を信じろ!―――
襲撃者の背にはヴィヴィオが背負われていた。
イフリートの蹂躙に対しヴィヴィオは自身の能力である「聖王の鎧」とクラールヴィントの防御魔法により気絶はしているものの無傷で済んだ。
それだけならば不幸中の幸いではあるが、実際はそうではない。襲撃者はヴィヴィオを連れてある場所に向かっている。それは聖王のゆりかご、襲撃者はヴィヴィオを使いゆりかごを起動させ全ての参加者を一網打尽にしようとしていたのだ―――
更に都合の良い事にゆりかご機動の端末に使える『彼』もある。
後はヴィヴィオの身体に埋め込むレリックさえあれば全てが上手く行く―――全てが襲撃者の思うままに上手く行っていた。
何一つ失敗はない―――あの建物で馬鹿な音を放った奴がいてくれた。そいつがいてくれたからまた多くの参加者も殺せ、なおかつヴィヴィオという切り札も手に入ったのだ。
それ以上、その馬鹿な奴の事を考えたりはしない。どうせあの業火に焼かれて死んだのだろう、姿は見ていないから誰かは知らないが別に興味はない。
そして『彼』を走らせる―――『彼』の力があればそう時間はかからないだろう。仮にゆりかごに誰かがいたとしても何の問題もない。自分にはイフリートがいるのだからそいつを使えば済む話だ―――
一方で襲撃者の足下にいる『彼』はどう思っていたのだろうか?
真面目な話、『彼』は自身の無力さを悔やんでいた。『彼』は殺し合いを全く望んではいないが、結果として『彼』の力は殺し合いに利用されてしまっている。
本当ならば自発的に足を引っ張るべきだったのかも知れない―――だが、自身が捨てられればこれ以上仲間達を助ける事は出来なくなるからそれは出来なかった。
また内心では襲撃者を信じていた所はあった―――本当ならば襲撃者は殺し合いをする様な人じゃないからだ。
だがその結果がこれだ。襲撃者は多くの参加者を襲っては殺していった。それを止められなかった『彼』もある意味では同罪と言えよう。
だが後悔に意味など無い。重要なのはこれから、このままではゆりかごが起動し―――その先など言うまでもない。
それ以上に問題なのはこの最悪な状況に気が付いている者が殆どいない事だ。誰かがヴィヴィオを利用しゆりかごを起動する事を考える事は想定出来たとしても既に寸前まで迫っている事に気づいている可能性はまず低いからだ。
それでも―――『彼』は信じている、『相棒』ならばこの最悪の状況に気づいてくれると―――
襲撃者はイフリートの制御と燃えさかる炎を眺めていた為に気付いていない。いや、仮に気付いていたとしてもヴィヴィオが見つかった以上、固着するつもりは無かっただろうが―――
そう、ほんの一瞬視界に入ったのだ。惨劇の現場から逃げようとする人の姿が。紅蓮の炎の中、一瞬という状況でそれが誰かを正確に判別する事は容易な事ではない―――
いや、あの青い髪の者は間違いなく『相棒』―――己が『相棒』の姿を見間違う事など無い―――
『相棒』は同じ青い髪の者を抱き抱えていた様に見えた。恐らくその者を守る為に待避したのだろう。襲撃者及び自分の存在にはまず気付いていないだろうが―――
推測になるが『相棒』は中を調べる為に入ろうとしていたのだろう。中にヴィヴィオ達がいる事を知っているなら彼女達を放置するわけがないのだからだ。
そしてその時に音を立ててしまい、中にいた誰かと接触したタイミングで襲撃が起こり『相棒』はその者をつれて離脱したのだろう。
ならばその者から中にヴィヴィオがいた事を察知してくれるはずだ。そして再び現場に戻ってそこを調べたならば―――
―――ヴィヴィオ生存の可能性及び襲撃者がヴィヴィオを浚いゆりかごを起動させようとするのを察してくれる筈、襲撃者の正体にも気付いてくれるかも知れない―――
気付いてもらえれば仲間や戦力を集めゆりかごに向かい、襲撃者の思惑を打ち砕いてくれるはず―――その時の『彼』はそう考えていたが―――
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*Blue Swear―――蒼い誓い ◆7pf62HiyTE
―――求めていたのは何だろう?―――
「リイン―――あのおばさん確か放送でこんな事言っていなかったっけ―――」
泉こなたはリインに放送でプレシア・テスタロッサがフェイト・T・ハラオウンの事を娘だと言っていた事についてリインフォースⅡに確認する。
この時、スバル・ナカジマはアニメイト跡地である物を探していた。探す物が物だった為、こなたの手伝いをスバルは断っており、こなたはリインと共に傍で待っていた。
リインは魔力の消耗が激しかった為、休息及び周囲の警戒とこなたの護衛の為彼女の傍にいる。
こなたの問いに対し、リインは言いにくそうな顔をしていたが、
「本当はリインの口からは言いにくい事ですけど……」
放送での言葉でフェイトに疑心を持つ可能性は否定出来ない。フェイト個人の事情をむやみに明かしたくはなかったが、誤解を招かない為にリインは今まで伏せていたプレシアとフェイトの関係を話す事にした。
プレシアがアリシア・テスタロッサ復活の為にフェイトを作った事、そしてアリシアでは無かったフェイトを嫌悪しその存在を否定した事を―――
アカデミアで聞いた時同様プレシアの心情そのものは理解出来なくはない。だが、こなたはなおの事憤りを感じていた。
アリシアの代わりとしてフェイトを作った事自体に関しては別段気にしていない。似たような話を何処かで聞いた事はあるのでこなたにとっては大した問題ではない。こなたが憤ったのは別の事だ。
自分がアリシアの代わりとして作り出しておいて、望んだ物と違ったら捨てるという事だ。あまりにも身勝手過ぎるではないか?
そもそも、フェイトはアリシアの外見を持っていて、アリシアの記憶も完全ではないもののコピーは出来ている。にもかかわらずプレシアはそれを認めなかった。
いや、月並みな話だが誰もアリシアの代わりなど出来ないからそれ自体は別に良い。しかし、失ったアリシアを求める余り周囲に対して我が侭が過ぎるのではないか?
自分が生み出したフェイトやPT事件に巻き込まれた人達を何だと思っているのだろうか? 何故、そこまでしてアリシアを求めるのだろうか?
いや、何となくだが只アリシアが生き返ってもプレシアは満たされないのでは? プレシアが本当に求めている物は―――
「結局はアリシアちゃんを生き返らせたいんじゃなくて、アリシアちゃんのいた頃に戻りたかっただけじゃないのかなぁ?」
―――時間は遡る―――
「ルルーシュとシャーリーとヴィヴィオがいた……?」
アニメイトを炎の巨人が襲った際、スバルはこなたとリインを守る為にすぐさまアニメイトから撤退した。
その時点では彼女達を守れた事に安堵していたが、こなたから聞かされた話は彼女に大きなショックを与えた。信じがたい話ではあったがそれは真実だろう。あの炎では既に3人とも―――
だが、何故この3人なのだろうか? 行動を共にしていたルルーシュ・ランペルージと一緒なのはまだわかる。
しかしシャーリー・フェネットとヴィヴィオの名前が何故出てくる? 近くにいたであろうシャーリーはまだ良いが、ヴィヴィオも近くにいたというのか?
また、早乙女レイの名前が出てこないのも気になる、彼女は何処に行ったのだろうか?
その最中、リインが意識を取り戻す。疲労こそ大きかったもののダメージは少なかった為すぐさま目を覚ますことが出来たのだ。
「スバル……こなた……何かあったですか……?」
込み入った話になりそうだった為、別行動を取ってからの互いの出来事を整理する事にした。まずはこなた達の話だ。
2人は担当していた場所の探索を終えた後、外の煙を確認しスバル達と合流する為にエントランスに向かった。その際にレイとも合流した。
「今にして思えば、レイにもう少し気を配れば良かったと思う……」
放送で遊城十代の名前が呼ばれていた。その事でレイはショックを受けていたのだろう。彼女の一人称が『私』から『ボク』に変わっていたのがその現れかも知れないとこなたは語った。
その後、気絶していたルルーシュを発見したが、その後目を覚ましたルルーシュがいきなりレイに『俺に従え』とギアスをかけようとしたのだ。
この時点ではルルーシュの奇行の理由がわからなかったが、恐らくシャーリーと会った時に何かあったのだろう。
「それにレイの状態に気づいていたと思うし」
実際、現場こそ見なかったがギアスを放った要因はその瞬間レイがルルーシュに拳銃を向けていたのもある。
とはいえ、ルルーシュの行動理由に気付いたのはあくまでもヴィヴィオからシャーリーとのいきさつを聞いた時だという事を補足した。スバルもシャーリーとのいきさつは把握している為それは理解した。
さて、そのタイミングで何者かの襲撃により瓦礫が崩落しルルーシュの腕から再び出血し気絶したが、更に悪い事が起こった。
ギアス自体は不発に終わったが、その事でレイが逆上しルルーシュに向けて発砲したのだ。
銃弾はリインが防いだものの危険な状況は変わらない。こなたは気絶したルルーシュを背負い荷物を何も持たずそのままアカデミアから逃げだしたのである。
「あれ、だったらどうしてこなたのデイパックがここにあるの?」
「あー……うん、実はあたしもなんでかはわからないんだけど……」
逃げたこなた達はアニメイトの前でヴィヴィオと遭遇しレイから身を隠す為に一旦アニメイトに入った。そして、ルルーシュの手当てをする傍らヴィヴィオと彼女が持っていたクラールヴィントから詳しい事情を聞いたのだ。
彼女は最初に浅倉威という男性と出会い、その後半裸の男とスーツの男に襲われた。
その後、温泉で天道総司とシャーリーと出会い、天道が去った後3人で彼の後を追った。
そしてその天道を連れて温泉に向かうキングと遭遇した。キングは天道を治療すると言っており、天道をキングに任せ3人は市街地に向かった。
その後、浅倉が暴れだし2人の元を去っていき、ヴィヴィオの前にザフィーラが現れたがすぐに消えたという話だった。
「ねぇ、こなた達の話を聞く限り浅倉って人危なさそうな気がするけど……気のせい?」
「気のせいじゃないと思う」
「どうしてザフィーラいきなり消えたんですかね?」
「近くで戦いがあって、ヴィヴィオ達を巻き込まない様にしたんじゃないのかな?」
浅倉やザフィーラ、そしてメールにあったキングが気にならないではないがひとまず保留にし話を進めていく。
その後、2人は駅へ向かいその近くに15人以下になれば開く車庫の存在を確認してデュエルアカデミアに向かい―――
「ルルーシュと出会った―――でも、どうして? 確かルルーシュの友達だったはずじゃ……」
スバルにはその状況は把握していたがその理由はどうしてもわからなかった。その時のルルーシュの表情から何か悲しい事があったのはわかるが、その事はどうしてもルルーシュに聞けなかったのだ。
「……」
こなたの表情が重い。こなたはその理由を知っている、だがそれはこなたの口から語って良い事ではなかった。しかし、誤解に巻き込まれた者もいる以上、誤解を解く為には説明しなければならない事だ。
その一方、事情の知らない小娘が口に出来る程軽い事ではない事は理解している。
「ルルーシュ……ごめん」
一言彼に謝罪した。自分の判断で口にして良い事ではないが、スバルにルルーシュの事について誤解して欲しくなかったのだ。ルルーシュが誰よりも守りたかった人に―――故に―――
「ちょっと長くなるけど―――」
―――一旦、舞台を戻そう―――
スバルはこなたの証言を元に瓦礫や炭化した物体をどけていきある物を探していた。
「ルルーシュ……ヴィヴィオ……シャーリー……」
炎の巨人の規模を考えれば何も残らず灰になっている可能性は高い。それでも、スバルは探していたのだ。
「!! もしかしてこれ……」
そうして『それ』は見つかった―――いや、正確には『それらしい』物だ。
それはルルーシュとシャーリーの遺体である。スバルは首輪を回収する為にここに来たのだ。
当初の予定ではアカデミアに戻りそこに放置している2つの首輪を回収するつもりであった。だが事態は急を要する上、倒壊する可能性があるアカデミアにこなたを連れて戻るのは危険だ。
故に、チンクには悪いがアカデミアには戻らず、アニメイトにある首輪を回収する事にしたのだ。
正直な所、仲間の死体から首輪を取る事には抵抗はある。ましてはスバルの首輪採集の手段はあまりにも残酷なものだ。
スバル達の手元には都合の良い刃物はない為首輪採集は難しい。しかしスバルには自身のIS振動破砕がある。これを使い頭部を破壊すれば首輪採集は可能だろう。
だが、あまりにも強力すぎる為、首輪までも粉砕してしまう可能性はあった。いや、それ以前に死体とはいえそれ以上傷付けたくは無かった。
しかし脱出の為には首輪は確保しなければならない。その為にルルーシュ達の死を無駄にする事だけは決して許されない。故に死体の破壊という残酷な行為をスバルは行おうとしていたのだ。
が、結論を言えばスバルが振動破砕を使う必要は無かった。その理由は簡単な事、既に2人の遺体はバラバラになっていたからだ。そして、その残骸の中に2つの首輪があったのだ。
何故、2人の遺体がバラバラになっていたのだろうか?
2人の傍にはシャーリーが所持していたルルーシュとシャーリーのデイパックがあった。重要なのはルルーシュのデイパック、その中には小タル爆弾と火炎瓶があった。そう、炎がデイパックを焼いた際にそれらに引火し爆発したという事だ。
業火と至近距離からの爆発、これらにより2人の遺体はバラバラとなって焼かれ、どれが誰のどの部位のものかの判断がつけられなくなってしまったのだ。
あまりにも無惨な話と言える、しかし不幸中の幸いか首輪は頑丈だったせいかその形を保っていた。スバルはその2つの首輪を手に取って眺める。
「守れなくてごめん……」
こなたはスバルにルルーシュがこの殺し合いに連れて来られるまでに何をしてきたのかを話した。
妹ナナリー・ランペルージと共に祖国に捨てられ日本に送られ、その日本もその祖国によって侵攻を受けた事、
魔女C.C.と出会い彼女からギアスを与えられ、最愛の妹ナナリーが望む優しい世界を手に入れる為に漆黒の魔王ゼロとなって立ち上がった事、
仮面を身に付け素顔を隠し、多くの者を騙し続け、数多の犠牲を出してきた事、
心を傷付けてしまったシャーリーの記憶、初恋を抱いた皇女の命、そして親友との絆を自身の行動によって失い続けていった事を―――
客観的に言えば、ルルーシュのしてきた事は決して許される事ではなく、同時にそれによって自身の大切な物を失うというのは自業自得でしかない。
―――だけどルルーシュはずっとその事を悔やんでいたよ
あたしが口にして良い事じゃないけどさ―――
こなたはそう口にし、それらの事やこの場に来てからも自分を守る為にディエチが犠牲になった事を語った時のルルーシュは辛そうにしていた事を話した。
―――これはあたしの想像だけど……ルルーシュもきっとあたし達と同じだったと思う―――
―――あたしがかがみんやゆーちゃん達、それにお父さんやゆい姉さん達と楽しく過ごす様に―――
―――きっとルルーシュもナナリーちゃんやシャーリー達とそうしたかったんだと思うよ―――
―――もしかしたら、同じ立場だったらあたしだってそうしていたかも知れないし―――
―――それって、そんなにいけないことなのかな?―――
ルルーシュの世界にいた自分は彼の事を何処まで知っていたのだろうか? いや、ルルーシュの様子を見る限り、きっと全てを知っていただろう。
恐らく、その世界の自分はそれでも彼を守ろうとしていたのだろう。
ここにいる自分でもルルーシュの心情はある程度理解出来る。家族や友人といった身近な人間の幸せを願うのは誰だって同じだ。
スバル自身詳しくは知らないがフェイト・T・ハラオウンやシグナム達がPT事件や闇の書事件を起こしたのと何も変わらない。
行動そのものは許されざる事であっても、その根底にある願いだけは誰にも否定する事は出来ないのだ。
故に、スバルはルルーシュの行動を否定したりはしない。
だが、ある程度の理解は出来ても所詮そこまで、一般的な見解の域を出るものではない。
助けたいとは思っても、具体的にどうすれば良かったのかは全く答えられないし安易に答えてはいけないと感じた。
彼を助ける事が出来たのはやはり彼の世界にいた自分でしかないという事だ。
確かにルルーシュはどんな世界にいても変わらないと言ってくれたが自分が彼の知る自分では無い事を知って全くショックを受けないわけがない。
あれだけの目に遭ってようやく出会えた自分がルルーシュの事を全く知らないと知ったらどれだけ辛いだろう? 一番支えてあげられる人物がそうではなかったと知ったら―――考えるまでもない。
何より辛いのはそんな彼を真の意味で助けてあげられない事だ、スバルはそれが何よりも辛かった。
守れなかった少年とその友人の首輪を眺めながらスバルは自分の無力さを悔やんだ。何度と無く同じ事を感じては立ち直ってきたが辛い現実に直面する度にまたしても同じ事を感じてしまう。
今回に関しても何処かに自分のミスがあったかも知れない。仮の話だがアニメイトに踏み込む時に周囲をもう少し注意深く警戒していたならば違う結果もあり得たかも知れない。
ある意味ではルルーシュ達を殺したのは自分と言える、それはとても辛い事だ。
だが、いつまでも俯いているつもりはない。
そんな姿をルルーシュが望むか? シャーリーが望むか? ヴィヴィオが望むか? チンクが望むか? 死亡した高町なのはが望むか? ティアナ・ランスターが望むか? ギンガ・ナカジマが望むか?
答えは否、断じて否、誰もそんな事を望んだりはしない。
『いつも笑顔で、楽しそうで……精一杯真っ直ぐに生きてる、スバル・ナカジマだ』
そうだ、皆それを望むはずだ。ならばどうするかなど考えるまでもない、最後の最後まで精一杯生きるだけだ―――
『……進むことだけが、その死者への弔いだと思っていた』
こなたに自身の事を語る時、ルルーシュはそう口にしていた。死んでしまった者はそれ以上前に進む事は出来ない。ならば生きている者が前に進まなければならないだろう。
ここで足を止める事など論外だ、死んでしまった者達の為にも生きている自分達は前に進む―――精一杯生きるのだ。
そうしなければ彼等の死が無駄になってしまう、それこそ彼等に対する最大の裏切り、絶対に許されない。
その為にも、何としてでもこの殺し合いを破壊しなければならない。スバルは決意を新たにした。
その最中、スバルは改めて考える。一体誰が炎の巨人を繰り出したのだろうか? 巨人そのものは参加者というより何かの召喚獣と言った所だろう。
と、ここでスバルの脳裏に2人の召喚術師が浮かび上がる。だが、すぐさまそれを否定した。炎の巨人は2人が使役するものではないからだ。
その一方で冷静に考えてみる。召喚術師の召喚がそのまま使えるという事があるだろうか? デバイス同様他の人に使える様にしつつ本人にはそう簡単に使えない様にした方が自然だ。
更にこの場では他にも召喚を行う方法が存在する事をスバルは把握している。1つがデュエルモンスターズのモンスター、そして仮面ライダーの繰り出すモンスターだ。
だが、スバルの見立てではどちらも違う様に思えた。仮面ライダーのモンスターにしてはあまりにも大きすぎだし、デュエルモンスターズのモンスターだと考えるには引っかかる点があったのだ。
なお、スバルはチンクの両腕を焼いたのもあの炎の巨人だと考えている。チンクからは詳しくは聞けなかった為断定は出来ないが瞬時にチンクの両腕を一気に炭化させた事からその可能性は高いだろう。
だとすればデュエルモンスターズのモンスターの可能性は低くなる。レイの話ではカードによる召喚は使い捨てらしいからだ。故に同じカードが複数無い限りその可能性は低いと言えよう。
が、召喚方法が他に無いとは言えない。何者かが他の召喚手段を使い召喚を行った可能性はあるし、もしかしたら自分の仮説そのものにも何処か穴があるかも知れないだろう。
これ以上考えても仕方が無いと思い、残るヴィヴィオの遺体を探す事にした。
「たしか事務室に寝かせていたって言っていたから……この辺かな?」
事務室があったであろう場所に向かうが、
「え?」
―――再び時間は遡る―――
「それで、ルルーシュとシャーリーの間に何があったの?」
こなたからルルーシュの動向を聞いたスバルとしてはその事について何か思う所はある。しかし、今重要なのはアカデミアにてルルーシュとシャーリーの間に何が起こったのかだ。
「ルルーシュの話だと、シャーリーの記憶を消したという事だったよね」
「確かゼロがシャーリーのお父さんを殺して、ルルーシュがゼロだという事をシャーリーが知って傷付けた……という話でしたよ」
「だけどシャーリーはルルーシュの事を覚えていたらしいんだ。でも、ルルーシュがゼロだという事は知らなかったらしいんだ」
「ヴィヴィオの話では天道って人の事をゼロだと呼んでいたらしいですよ」
「ちょっと待って……どうして天道という人をゼロって呼んだの?」
「「さぁ?」」
ゼロの仮面を天道が持っていたからなのだが、その事を知らない3人にはその理由がわからなかった。
「あれ、おかしくない? ルルーシュの話が事実だったらシャーリーがそこまでルルーシュに会いたが……あ!」
スバルはその理由に気が付いた。
「そういう事だったんだ」
「え、どうしたの?」
「一人で納得してないで説明してくださいよ!」
「うん……」
スバルは2人に参加者は異なる平行世界だけではなく、異なる時間軸から連れて来られている可能性がある事を話した。そして今回の事はそれによるものだという事を話したのだ。
つまり、ルルーシュが連れて来られたのはシャーリーの記憶を消した後から、一方シャーリーは記憶を消される前からだという事だ。
こなた達もその事はある程度予想できていたためその事については容易に理解出来た。
「だからあの時、ルルーシュは……」
スバルがルルーシュからその可能性を聞かされたのはシャーリーがアカデミアを去った後、ルルーシュもそこでその事を知ったからスバルに話したのだろう。
ともかく、シャーリーはあの場でルルーシュがゼロだと知り、ルルーシュに自分を殺すかと迫られそのまま去っていったという事だ。
その後、アニメイト前にヴィヴィオを置いて再びアカデミアに向かったという話だった。
一方でヴィヴィオはこなた達と合流したわけだが、そこでルルーシュの治療を行う一方で服を着替えたのだ。
その後、治療が終わりルルーシュの意識も戻り一段落付いたらシャーリーが戻ってきたのだ。その際に今度は2人でちゃんと話し合い無事に和解出来たのだ。
「で、2人の邪魔にならない様にと思ってあたしとリインは戸締まりしてヴィヴィオが眠っているのを確認してから見張りに行こうとしたら」
「あたしがいたと……」
こなた達のいきさつは以上の通りだ。さて、ここでこなたの持っているデイパックの問題が出てくる。これは見張りに行く際にシャーリーが持っていたのを持ち出したという話だが、
「他にもルルーシュが持っていたはずのライフルも持って行ったんだけどね……でも、途中で落としたみたいだけど」
「でも、こなた達の話が確かならレイが持っているんじゃ……」
「何でシャーリーが持っていたのって話だよね」
「……あ!!」
「どうしたんですかリイン曹長?」
「こなた! 確か彼女こう言っていたですよ、赤いジャケットの女の子を撃ったって……」
赤いジャケットの女の子が示す人物、それはレイの事に違いない。レイが持っている筈の荷物をシャーリーが持っていた事から考え、シャーリーがレイと遭遇した際に彼女を射殺しその後倒れたレイの荷物を持ち去っていったのだろう。
シャーリーがアカデミアに向かっていた事からレイと遭遇する可能性は高いのでこなた達もそれを予想していた。
もっとも、その結末に関してはレイがシャーリーを殺す事しか予想していなかった為、逆の可能性は全く考えていなかったわけであるが。
「シャーリーがレイを撃ったのは……ルルーシュを守る為だったのかな……」
「衝動的だったと思うですよ」
レイがルルーシュを殺そうとしていたのは間違いない。その事を知ってシャーリーは衝動的に彼女を撃ったのだろう。アニメイトでの彼女の様子から強いショックを受けていたのは明らかだ。
レイの凶行を止める事が出来ず、またシャーリーに彼女を撃たせ死なせてしまった事についてスバルはまたしても沈んだ気持ちになった。
こなたにしてもヤンデレ化したレイには二度と会いたくはなかったが死んで欲しいと思ってはいなかった為、やはりショックを受けていた。当然、リインにしても仲間だった人物の死を望むわけがない。
とはいえ何時までも悲しんでいるわけにもいかない為話を進めていく。
今度はスバルの方で起こった事だ。探索を終えて戻るとエントランスには悲しげな表情をしたルルーシュがいた。これまでの話を統合して、シャーリーとルルーシュが出会い別れたのだろう。
その後スバルはシャーリーを探しに周辺を回ったが彼女と出会う事は出来ず、その代わりに全身に火傷を負い両腕を失ったチンクを見つけた。
「火傷? それってもしかして……」
「多分……アニメイトを焼いたのと同じ可能性が高いと思います」
その後、彼女を連れてルルーシュの元に戻り、ルルーシュは保健室に向かった。そしてチンクから詳しい話を聞いたのだ。
チンクの話では天上院明日香、ユーノ・スクライア、アンジール・ヒューレーが味方でアレクサンド・アンデルセン、ヴァッシュ・ザ・スタンピード、黒いコートの少年は殺し合いに乗っているという話だった。黒いコートの少年は恐らく万丈目準の事だろう。
そして放送後、新たな来訪者が現れたのだ。
「じゃあその人が?」
「はい……」
その来訪者の攻撃によりアカデミアは致命的な打撃を受け、さらに来訪者の繰り出したモンスターにチンクが殺されたという話だ。そして、その来訪者は仮面ライダーに変身し襲いかかって来たのだ。
スバルは戦いにこなた達を巻き込まない為にアカデミアから離れたのである。
「その人はどんな人だったですか?」
「そ、それは……」
「さっきからどうも歯切れが悪いですけど、どうしたんですか?」
リインの指摘通り、新たな来訪者の話になってからスバルは何処か口ごもっていた。その様子を見て、
「……っち?」
こなたが口を開いた。
「こなた?」
「どっちだったの?」
「『どっち』って事は2人まで絞ったって事ですよね? どういうこ……」
「……かがみんだったの? それともつかさだったの?」
こなたの示した答えはどちらも自身の友人だった。
「ちょ……まさかこなた、自分の友達が殺し合いに乗っているなんていうんじゃないですよね? 駄目ですよ、そんな事言ったら……スバルも違うって否て……」
そこまで口にしてリインも何故スバルの歯切れが悪くなったのかに気が付いた。
「ち、違うですよね。シャマルかヴィータだったんですよね? だから言い辛かったんですよね?」
だが―――
「かがみさんだった……」
それはまさしくこなたの推測通りだった。
「そっか……」
意外にもこなたは落ち着いていた。
「で、でも、かがみさんが殺し合いに乗っていたのはバクラが操っていたからだから……」
何とか取り繕うとするものの、
「大丈夫、予想していなかったわけじゃないからさ。みんな殺して全部元通りにするとか考えたり、違う世界の連中だから殺しても大丈夫だって考えたりとかさ……」
そう答えるこなたに対しこれ以上強くは言えなかった。
柊かがみとの戦いでレヴァンティンを奪われ、左腕も負傷したものの何とか対処した後、こなた達を探していたらアニメイトの前でハイパーゼクターを見つけ、中に入ろうとして、
「あたし達に出会ったわけだ」
そんな中、スバルは1枚の名簿を取り出す。それはチンクが所持していた既に死亡しているフェイトの名簿である。そこには彼女が協力者、保護対象、要注意人物がグループ分けして記載されていた。
「あれ? あたしやかがみん、それにつかさの名前があるよ。もしかして……」
それを持っていたのは自分の世界のフェイトなのではと考える。しかし、
「あ、でもスバルの名前が無いから違うか」
小早川ゆたかのクラスにスバル達が転入していた事から、そのフェイトがスバル達を知らないのはおかしいと考え自身の仮説をすぐさま否定した。
「……多分、フェイトさんはつかささんに会ったと思います」
スバルはつかさはフェイトに保護されたのではと考えていた。しかし、チンクがフェイトの首輪を持っていた事を踏まえ彼女の死亡は恐らく最初の放送からそう間もないタイミングだと推測される。
つまり、つかさはそれ以後独りぼっちになっている可能性が高いという事だ。
「つかさ……」
それを聞いてもこなたは何処か落ち着いていた様だった。
そして、周辺への警戒を怠らず再びアニメイトへと向かったのである―――
―――再び舞台は戻る―――
こなたはかがみとつかさの事を考えていた。かがみが殺し合いに乗り、つかさは保護してくれた人を失ったという状況、気にならないわけがない。当然ショックを受けていないはずがないし信じたくはない内容だ。
このタイミングでリインからプレシアとフェイトの関係を確認しようとしたのはその事から一旦思考を外す為のある種の逃避だったのかも知れない。
とは言え、何時までも逃避するわけにはいかない。かがみとつかさの事について真剣に考えていかなければならないだろう。
ところで、何故こなたは襲撃者がかがみかつかさのどちらだと考えたのだろうか? 友達を信じるならばその思考に至ったりはしないのではなかろうか?
勿論、こなただって友達を疑いたくはないし出来れば違って欲しいと思っていた。
だが、ルルーシュから親友と敵対しているという話、リインから家族が凶行に及ぶ可能性があるという話を聞き、レイやシャーリーが凶行に及んだという現実を目の当たりにしたのだ。故に自分達が例外とは思えなかった。
いや、それ以前にもしかしたらこなた自身でさえも殺し合いに乗っていた可能性があったのだ。
赤いコートの男をこなたのナイフで殺してしまったら?
スバルが自分を助けてくれなかったら?
ルルーシュから彼自身の話を聞かなかったら?
リインから彼女の家族の話を聞かなかったら?
逃げている最中にヴィヴィオを保護出来なかったら?
これらの事が無ければ今のこなたは無かったと言っても良い、何かが違えば違う結果もあったという事だ。
それは間違いなくかがみ達にも言える事だ。半日を越える時間の中での出来事次第でどうなるかなど誰にも予想出来ない。
普通の少女達が何故嬉々として殺し合いに乗る? 有り得ないのではなかろうか? そこまでして彼女達にとって何の意味があるというのか?
単純な理由だ、こなた達の望みは元の日常への帰結。プレシア・テスタロッサの言葉を信じるならば優勝することでそれは叶えられるだろう。
死んだ人達を全員生き返らせる、それが不可能ならば殺し合いに参加していた記憶を全て消して貰う、そうすれば何の問題もなく元の暮らしに戻れると考えてもおかしくはない。
参加者が異なる世界から連れて来られているならばなお都合が良い、違う世界の人物ならば自身の世界には何の影響も無いのだから。
故にかがみ達が殺し合いにのっても何の不思議も無いという事だ。
本題に戻ろう。スバルが襲撃者の話の際に口ごもる様子を見てこなたは気づいたのだ。襲撃者は自分の友人だと―――
リインから家族が殺し合いに乗る可能性を聞かされていた為、スバルとリインは自分達の仲間が殺し合いに乗っていたとしてもそれを受け入れる事が出来ると考えていた。故に言葉を濁す可能性は低い。
また、襲撃者が未知の人物であったとしても、外見やその能力はわかっていただろうからやはり言葉を濁す理由はない。
となれば言葉を濁す理由は自分にかがみかつかさが殺し合いに乗っていた事を聞かせたくなかったからだろう。
スバルが伏せようとした気持ちは理解出来るし、こなたにしてもその事を出来れば信じたくはない。だがそれでなくても足手纏いとなっている自分がこれ以上負担になる事は許されない。故にこなたは非情な現実を受け入れる事にしたのだ。
スバルによるとかがみは何度と無く殺されそうになりその心の隙をバクラに突かれたのではないのかという話だった。
また、つかさにしても仮に目の前で友人であるフェイトが殺されたのならば彼女を含めた全員を生き返らせる為に殺し合いに乗る可能性があったしその死に耐えきれず精神を病んでしまう可能性もある。
理由や状況はどうあれ2人が元の日常に戻る為に優勝を目指す心情は理解している。こなた自身も元の日常に戻る事を望んで『いた』。
こなたは考えていた―――どの様な形にしろ仮にこの殺し合いから生還出来たとしても本当の意味で元の日常に戻る事など不可能ではないのだろうかと―――
別に日常を構成する要素であるなのはやフェイトがいないから戻れないというわけではない。かがみやつかさ達が元の世界に何も変わらずそこにいたとしても元に戻る事など無いという事だ。
その理由は至極単純だ。ルルーシュやリインからそれぞれの事情を知り、レイやシャーリーの凶行を知り、更に自身のすぐ傍でルルーシュ達が殺されたのだ。
それだけの事を経験しておいて、元の世界に戻って何事もなく元の暮らしに戻れるわけがないだろう。戻れたとしてもこの殺し合いでの経験はずっとこなたの中に生き続けるだろう。
勿論、優勝さえすれば殺し合いでの記憶を消す事も出来るだろうし、仲間達と脱出した場合でも記憶を消す事ぐらいは可能だろう。
だが、こなたにはそんな意志は全く無い―――この場で出会った人達や出来事を忘れたくはなかったのだ―――
その理由はルルーシュと出会い、彼の生き様を見てきたからだろう。
『……進むことだけが、その死者への弔いだと思っていた』
彼は己の目的を果たす為に多くの者を犠牲にしてきた―――
その犠牲の為にも結果を残す為に進み続けた―――
それこそが犠牲になった人達に対しての唯一の償いになると―――
戦争を肯定するつもりはない。しかし、彼が最愛の妹の為に優しい世界を手に入れる為に戦っていた事は理解出来る。
果たして多くの犠牲を払い優しい世界を手に入れた先には何があったのだろうか―――?
『朝は必ず来る』
『朝』―――その先には『明日』があったのではないのだろうか? ルルーシュは『明日』を迎える為に戦っていたのではないのだろうか?
『昨日』でも『今日』でもなく『明日』の為に戦っていたのだろう―――今はもう真意を確かめる事は出来ないがそう思えてならないのだ。その為に多くの犠牲を払ってでも進み続けていたのではなかろうか?
その『明日』が『今日』や『昨日』よりも悪くなる可能性を考えなかったのだろうか―――?
いや、きっと良くなると確信していたのだろう―――勿論、確たる証拠なんて何処にもない。
だが―――誰もが『明日』に希望を持っている事は理解している。こなたの知る多くのマンガやアニメのキャラクターもそうだからだ。
スバルやリイン達だって同じ気持ちの筈だろう。そして何より―――漠然としていてはっきりとは見えてはいないがこなた自身もそれを信じている。『明日』はきっと楽しいと―――
『朝は来る。忘れる事なんて出来ない悲しい事はたくさんあるが、それでも朝は来る。』
仮にこの殺し合いに巻き込まれなかったとしても―――いつかは学校を卒業しかがみ達と別れる時が来るだろう。何時までもかがみ達と学生生活を過ごしたいと思ってもそれは間違いなく叶わない―――
だが、悲しい事ばかりじゃない筈だ。きっとその先には楽しい事も待っている。
この殺し合いにしても同じ事だ。陰惨な殺し合いであったとしても、生き残って脱出する事さえ出来ればきっと―――
だから―――
「進むよ―――ルルーシュやシャーリーの分まで―――」
ルルーシュ達もそれを望んでいるだろう。
その為にも出会った人達や出来事を決して忘れてはならない。その人達―――特に死んでいった人達の想いを裏切る事だけは決して許されない。
プレシアがアリシアのいた頃に戻る事も、かがみ達が全てを無かった事にして日常に只戻る事も、所詮は『昨日』や『今日』への渇望でしかない。
だが、自分達は『明日』へ進む―――多くの悲しみを越えて―――その先が楽しいものであると信じて―――
そう思ってはいても、実際問題としてこなたに出来る事など殆ど無い。
出来れば殺し合いに乗ったであろうかがみを止めたいし、つかさの事が気がかりではある。しかし、自分ではどこまで出来るかはわからない。
何も出来ないだけならばまだ良い、問題なのはその結果でスバル達の足を引っ張ってしまう可能性がある事だ。
ルルーシュ達を死なせてしまった事にしてもこなたがアニメイトの鍵を掛けたりしなければまだ違った結果があったかも知れない為、責任は感じている。
それ以前にルルーシュを助ける事についてこなた自身は何も出来なかったのではと今でも感じている。しかし、
『だがお前がここまで俺を背負って逃げてくれたから俺は今もこうして生きているんだ、だから感謝しているよ』
ルルーシュはアニメイトまで運んだだけの自分に感謝してくれた。こなたにとってはそれで十分過ぎた―――
まだ何か出来る事があるはず、それが何かはわからないが少なくてもスバルやリインの足を引っ張らない様にするべきだ―――
その為にも下手に殺し合いにのったかがみの所に向かうべきではないし、何処にいるかもわからないつかさの為にスバル達に対して我が侭を通すわけにはいかない。
だから今は2人が無事でなおかつこれ以上間違いを起こさないで欲しいと只願っていた―――
そう考えていたこなたと彼女の傍にいたリインの元にスバルが戻ってきた。その表情は重く―――ゆっくりとスバルは口を開く―――
―――■■■を信じろ!―――
襲撃者の背にはヴィヴィオが背負われていた。
イフリートの蹂躙に対しヴィヴィオは自身の能力である「聖王の鎧」とクラールヴィントの防御魔法により気絶はしているものの無傷で済んだ。
それだけならば不幸中の幸いではあるが、実際はそうではない。襲撃者はヴィヴィオを連れてある場所に向かっている。それは聖王のゆりかご、襲撃者はヴィヴィオを使いゆりかごを起動させ全ての参加者を一網打尽にしようとしていたのだ―――
更に都合の良い事にゆりかご機動の端末に使える『彼』もある。
後はヴィヴィオの身体に埋め込むレリックさえあれば全てが上手く行く―――全てが襲撃者の思うままに上手く行っていた。
何一つ失敗はない―――あの建物で馬鹿な音を放った奴がいてくれた。そいつがいてくれたからまた多くの参加者も殺せ、なおかつヴィヴィオという切り札も手に入ったのだ。
それ以上、その馬鹿な奴の事を考えたりはしない。どうせあの業火に焼かれて死んだのだろう、姿は見ていないから誰かは知らないが別に興味はない。
そして『彼』を走らせる―――『彼』の力があればそう時間はかからないだろう。仮にゆりかごに誰かがいたとしても何の問題もない。自分にはイフリートがいるのだからそいつを使えば済む話だ―――
一方で襲撃者の足下にいる『彼』はどう思っていたのだろうか?
真面目な話、『彼』は自身の無力さを悔やんでいた。『彼』は殺し合いを全く望んではいないが、結果として『彼』の力は殺し合いに利用されてしまっている。
本当ならば自発的に足を引っ張るべきだったのかも知れない―――だが、自身が捨てられればこれ以上仲間達を助ける事は出来なくなるからそれは出来なかった。
また内心では襲撃者を信じていた所はあった―――本当ならば襲撃者は殺し合いをする様な人じゃないからだ。
だがその結果がこれだ。襲撃者は多くの参加者を襲っては殺していった。それを止められなかった『彼』もある意味では同罪と言えよう。
だが後悔に意味など無い。重要なのはこれから、このままではゆりかごが起動し―――その先など言うまでもない。
それ以上に問題なのはこの最悪な状況に気が付いている者が殆どいない事だ。誰かがヴィヴィオを利用しゆりかごを起動する事を考える事は想定出来たとしても既に寸前まで迫っている事に気づいている可能性はまず低いからだ。
それでも―――『彼』は信じている、『相棒』ならばこの最悪の状況に気づいてくれると―――
襲撃者はイフリートの制御と燃えさかる炎を眺めていた為に気付いていない。いや、仮に気付いていたとしてもヴィヴィオが見つかった以上、固着するつもりは無かっただろうが―――
そう、ほんの一瞬視界に入ったのだ。惨劇の現場から逃げようとする人の姿が。紅蓮の炎の中、一瞬という状況でそれが誰かを正確に判別する事は容易な事ではない―――
いや、あの青い髪の者は間違いなく『相棒』―――己が『相棒』の姿を見間違う事など無い―――
『相棒』は同じ青い髪の者を抱き抱えていた様に見えた。恐らくその者を守る為に待避したのだろう。襲撃者及び自分の存在にはまず気付いていないだろうが―――
推測になるが『相棒』は中を調べる為に入ろうとしていたのだろう。中にヴィヴィオ達がいる事を知っているなら彼女達を放置するわけがないのだからだ。
そしてその時に音を立ててしまい、中にいた誰かと接触したタイミングで襲撃が起こり『相棒』はその者をつれて離脱したのだろう。
ならばその者から中にヴィヴィオがいた事を察知してくれるはずだ。そして再び現場に戻ってそこを調べたならば―――
―――ヴィヴィオ生存の可能性及び襲撃者がヴィヴィオを浚いゆりかごを起動させようとするのを察してくれる筈、襲撃者の正体にも気付いてくれるかも知れない―――
気付いてもらえれば仲間や戦力を集めゆりかごに向かい、襲撃者の思惑を打ち砕いてくれるはず―――その時の『彼』はそう考えていたが―――
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