それは最悪の始まりなの ◆UOleKa/vQo
「……のは、なのは!」
「ふぇ……クロノ君……?」
「ふぇ……クロノ君……?」
暗い室内、栗色の髪を二つに括った少女が知り合いの呼びかけに目を覚ます。
周囲を見回してみるが明かりがほとんどなく、状況がまったくわからない。
イスに座らされているようだが、辛うじてすぐ隣にいたクロノの姿を確認できるだけだ。
とにかく側に行こうと考え——
周囲を見回してみるが明かりがほとんどなく、状況がまったくわからない。
イスに座らされているようだが、辛うじてすぐ隣にいたクロノの姿を確認できるだけだ。
とにかく側に行こうと考え——
「え……バインド!?」
身動きが取れず、自分の体がバインドによってイスに縛りつけられていることに気づく。
慌ててそれを破ろうと強引に魔力を込めるが、そのバインドはなのはの魔力を受けてもビクともしない。
慌ててそれを破ろうと強引に魔力を込めるが、そのバインドはなのはの魔力を受けてもビクともしない。
「落ち着くんだ、これはただのバインドじゃない。さっきから解除を試みているがどうにもならない」
「だ、だけど、クロノ君でも解けないなんて……」
「だ、だけど、クロノ君でも解けないなんて……」
困惑しながら言葉を続けようとするなのはを遮るように、前方の一人分程度の空間がスポットライトが当てられたかのように明るくなる。
そこに立っていた人物に目を向け、二人は目を見開く。
そこに立っていた人物に目を向け、二人は目を見開く。
「「プレシア……!?」」
「「母さん!?」」
「「母さん!?」」
部屋のあちこちからいくつもの声が重なる。
その中に、決して重なる訳がないはずの言葉が重なったことになのはは気づく。
その中に、決して重なる訳がないはずの言葉が重なったことになのはは気づく。
「フェイトちゃん……? でも、何で……」
「静かにしてもらえるかしら」
「静かにしてもらえるかしら」
ざわつく部屋の中でプレシアは言うが、その程度でこの混乱が止まるはずもない。
溜息を吐きながら手を一振りした途端、なのは達の首にかけられていたバインドが絞まりだす。
溜息を吐きながら手を一振りした途端、なのは達の首にかけられていたバインドが絞まりだす。
『っ……』
強制的に黙らされ、意識が飛びそうになる直前に解放される。
「状況は理解できたかしら? あなたたちは私に逆らうことはできない」
抵抗したかったが、この状態ではプレシアを睨みつけることしかできない。
その様子を見ながら、プレシアは言葉を続ける。
その様子を見ながら、プレシアは言葉を続ける。
「これから、あなた達に殺し合いをしてもらうわ」
——時が止まる。
彼女を知らない者は、あまりにも突拍子もない内容に頭がついていかなかったため。
彼女を知っている者は、その言葉が決してふざけて言われていることではないと理解したため。
彼女を知らない者は、あまりにも突拍子もない内容に頭がついていかなかったため。
彼女を知っている者は、その言葉が決してふざけて言われていることではないと理解したため。
「これから会場へあなた達を転移させる、そこで最後の一人になるまで殺し合いなさい。
力の無い者にもチャンスをあげる、あなたたちの武装は全て解除して、こちらで用意したいくつかの道具と混ぜてランダムで支給するわ、精々あがきなさい。
それからあなた達に付けているその首輪」
力の無い者にもチャンスをあげる、あなたたちの武装は全て解除して、こちらで用意したいくつかの道具と混ぜてランダムで支給するわ、精々あがきなさい。
それからあなた達に付けているその首輪」
そこでようやく自分の首に何か巻かれているような違和感に気づく。
「全員で逃げ回られても困るわ、24時間一人も死ななければその首輪に仕掛けた爆弾を爆発させる。
それから6時間毎にそれまでに死んだ者の名前と、禁止エリアを伝えるわ。その禁止エリアに入っても首輪は爆発する」
「——っざけんじゃないわよ!」
それから6時間毎にそれまでに死んだ者の名前と、禁止エリアを伝えるわ。その禁止エリアに入っても首輪は爆発する」
「——っざけんじゃないわよ!」
淡々と告げていくプレシアを、少女の声が遮った。
プレシアがそちらへ目を向けると、先ほどと同じように光が灯り少女の姿を照らし出す。
プレシアがそちらへ目を向けると、先ほどと同じように光が灯り少女の姿を照らし出す。
「アリサちゃん!?」
「なのは!? あんたもいたの!?」
「なのは!? あんたもいたの!?」
——少し誤解を招いているかもしれないので補足しておこう。
いま少女の……大学生ほどの彼女の名前を呼んだのはクロノと会話していたなのはではない。
彼女は見知らぬ自分の親友と同じ名前である女性から、自分の名前が出てきたことにきょとんとしている。
しかも、彼女とその名前を呼んだ声は不自然なまでに自分とその親友にそっくりだ、偶然の一致と言うにはあまりにも出来過ぎている。
いま少女の……大学生ほどの彼女の名前を呼んだのはクロノと会話していたなのはではない。
彼女は見知らぬ自分の親友と同じ名前である女性から、自分の名前が出てきたことにきょとんとしている。
しかも、彼女とその名前を呼んだ声は不自然なまでに自分とその親友にそっくりだ、偶然の一致と言うにはあまりにも出来過ぎている。
「なのは、何黙って聞いてるのよ! そこのオバサン! さっきから聞いてりゃ好き勝手言って! 殺し合い!? ふざけんじゃないわよ!」
「だ、ダメ、アリサ、刺激しないで……」
「って、フェイトもいるの!? 頭きた! さっさとこの変なの解いて帰しなさいよ!」
「だ、ダメ、アリサ、刺激しないで……」
「って、フェイトもいるの!? 頭きた! さっさとこの変なの解いて帰しなさいよ!」
またも親友と同じ名前、声の人物の登場になのはは更に混乱する。
隣のクロノも困惑した表情でこちらを見ていて、ただの聞き間違えという思考の逃げ道を塞いでいる。
理解できないこの状況に思考が停止し始め……唐突に起きた爆発音によって我に返る。
何が起きたのか、その音の方向へと目を向け——
隣のクロノも困惑した表情でこちらを見ていて、ただの聞き間違えという思考の逃げ道を塞いでいる。
理解できないこの状況に思考が停止し始め……唐突に起きた爆発音によって我に返る。
何が起きたのか、その音の方向へと目を向け——
『———————っ!?』
「アリサちゃん!? アリサちゃん!!!」
「アリサちゃん!? アリサちゃん!!!」
何重もの悲鳴が上がり、先ほどのなのはと同じ声の持ち主が必死にアリサへと呼びかける。
だが、その呼びかけへの返答はない。
首から上を爆破された人間に、返事を返せるはずがなかった。
だが、その呼びかけへの返答はない。
首から上を爆破された人間に、返事を返せるはずがなかった。
「母さん! 何で……何でアリサを!!」
「判ったかしら、さっき言った条件を満たしたらこうなる……生き延びたければ、最後の一人になるしかないのよ」
「判ったかしら、さっき言った条件を満たしたらこうなる……生き延びたければ、最後の一人になるしかないのよ」
フェイトの声が聞こえるが、それを無視してプレシアは喋り続ける。
どうしてこうも冷静なのか、人を殺した直後だというのに表情一つ変えないプレシアになのはは背筋を凍らせる。
未だにやまない悲鳴の中、プレシアが手を振りかざすと同時になのは達の足元に魔方陣が展開される。
どうしてこうも冷静なのか、人を殺した直後だというのに表情一つ変えないプレシアになのはは背筋を凍らせる。
未だにやまない悲鳴の中、プレシアが手を振りかざすと同時になのは達の足元に魔方陣が展開される。
「転移魔法!?」
「さぁ、デスゲームの始まりよ」
「さぁ、デスゲームの始まりよ」
【一日目 AM0:00】
バトルロワイアル 開始
バトルロワイアル 開始
【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡】
<<主催>>
【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
【プレシア・テスタロッサ@魔法少女リリカルなのは】
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