ロリッ!幼女だらけのクリスマスパーティー ~ボインもあるよ!~(後編)◆Vj6e1anjAc
◆
あれ……
一体、何が起こったんだろう……
何だかよく分からないけど、胸がすごく痛い。
すぅっと力が抜けていって、身体を起こすこともできない。
おかしいな。
一体、どうしちゃったのかな。
早く立たなきゃいけないのに、身体がぴくりとも動かない。
エリオ君を助けなきゃいけないのに、身体が起きたくないみたい。
一体、何が起こったんだろう……
何だかよく分からないけど、胸がすごく痛い。
すぅっと力が抜けていって、身体を起こすこともできない。
おかしいな。
一体、どうしちゃったのかな。
早く立たなきゃいけないのに、身体がぴくりとも動かない。
エリオ君を助けなきゃいけないのに、身体が起きたくないみたい。
――キャロ。
エリオ、君……?
よかった……また、会いに来てくれたんだね……
待ってて、エリオ君。もう少しで、また一緒になれるから。
このゆりかごでみんな殺せば、生き返らせてあげられるから。
よかった……また、会いに来てくれたんだね……
待ってて、エリオ君。もう少しで、また一緒になれるから。
このゆりかごでみんな殺せば、生き返らせてあげられるから。
――もうやめるんだ。こんなことをしちゃいけない。
……え……?
何で……?
どうして、急にそんなことを言うの?
私のしたいようにすればいいって、エリオ君は言ってくれたじゃない。
なのに、何で……そんなことを……?
何で……?
どうして、急にそんなことを言うの?
私のしたいようにすればいいって、エリオ君は言ってくれたじゃない。
なのに、何で……そんなことを……?
――確かに、そう言ったかもしれない……でも、これは本当にキャロの望んでることなの?
おかしなことを言うんだね、エリオ君。
私はのぞんで殺し合いに乗ったんだよ?
私はエリオ君のためなら、他の人を殺してもいいって、自分からそうおもったんだよ?
私はのぞんで殺し合いに乗ったんだよ?
私はエリオ君のためなら、他の人を殺してもいいって、自分からそうおもったんだよ?
――なら、何故……君は今、泣いているの?
これは……たぶん、胸が痛いから。
私の目が涙でかすんでるのは、胸がきゅうに痛んだから……
私の目が涙でかすんでるのは、胸がきゅうに痛んだから……
――そうじゃない。君はルーを殺した時から、ずっと涙を流していた。
こんなことをしたくなかった、殺したくなんてなかった……
実際に人を殺しちゃった瞬間に、自分でも気付かないうちに、君はそう思って、泣いてたんだよ。
こんなことをしたくなかった、殺したくなんてなかった……
実際に人を殺しちゃった瞬間に、自分でも気付かないうちに、君はそう思って、泣いてたんだよ。
……?
よく、分かんない。
エリオ君のいってること、むずかしくて、よく分からないよ。
よく、分かんない。
エリオ君のいってること、むずかしくて、よく分からないよ。
――僕も君の涙は見たくない。だから、もう休むんだ。もう、無理をしなくていいんだよ。
……まぁ、いいや。
やっと、またあえたんだもんね。
ずっと会いたかった、エリオ君に。
なんだか、ねむくなっちゃった。
エリオ君は、もういなくなったりしないよね?
私をおいていっちゃったりしないよね?
あんしんして、ねちゃってもいいんだよね?
やっと、またあえたんだもんね。
ずっと会いたかった、エリオ君に。
なんだか、ねむくなっちゃった。
エリオ君は、もういなくなったりしないよね?
私をおいていっちゃったりしないよね?
あんしんして、ねちゃってもいいんだよね?
――大丈夫。もう、大丈夫だから。もう僕は、どこにも行ったりしないから。
よかった……やっと、ゆっくりやすめる……
えへへ……あんしんしたら、よけいにねむくなっちゃった。
ありがとう、エリオ君。
いっしょにいるっていってくれて。
わたしといっしょにいてくれて。
えへへ……あんしんしたら、よけいにねむくなっちゃった。
ありがとう、エリオ君。
いっしょにいるっていってくれて。
わたしといっしょにいてくれて。
――僕は、ここにいるから。
だいすきだよ……エリオくん――
【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】
◆
「やっ、た……」
蚊の哭くような掠れ声で。
全てを傍観していたフェイト・T・ハラオウンは、1人満足げに呟いていた。
あのルーちゃんなる少女を目撃した瞬間から、何もかもが彼女の思うままに進んでいた。
腕を切り落とされたこの身では、キャロとまともに戦えない。
ならば彼女とぶつけ合わせて、生き残った方を殺せばいい。
幸いあれから時間が経っただけあって、一発分の弾丸を撃つだけの魔力は回復していた。
それを確実に命中させるために、この瞬間を待ち続けた。
案外一方的な勝負になってしまった時には、さすがにもう駄目かとも思ったが、上手いこと警戒を解いてくれたことが幸いした。
ああ、それでももう駄目なようだ。
がちゃり、とオーバーフラッグを取り落とす。
魔力はちゃんと回復したが、体力はこれっぽっちも残っていない。
ちゃんと止血をしておけばよかったと、今頃になって気付く辺り、もう自分は終わりなのだろう。
生き残るための戦いの果てに、無理をして命を落とすなど、本末転倒もいいところではないか。
それでも、最後に残された力を振り絞り、這うようにして歩みを進める。
ふらふらとよろめき、血の雫の道を作りながら。
黒服のミンチを通り過ぎた辺りで、遂に両足が動かなくなった。
どさり、と倒れたのろまな身体を、左腕だけで引きずった。
胸を撃たれた死体の脇を、芋虫のようにして進んでいく。
「ん……」
光り輝く宝石の向こうで、微かに声が漏れていた。
震える瞼の向こうには、新緑の色と烈火の色。
グリーンとレッドのオッドアイが、柔らかな金髪を揺らして開く。
「ひっ……」
びくり、と身体を震わせる。
まぁ、普通はそうなんだろうな。
傍らには風穴の空いたキャロの死体、向こうにはぐちゃぐちゃの肉塊になったルーテシア。
普通なら、誰もが嫌悪して当然の惨状。
それでも平然としているのだから、いい加減自分の感覚も麻痺してきたと見て間違いない。
「……フェイト、ママ……?」
そう呼ばれて、我に返った。
自分よりも年下のこの少女は、ようやく自分の存在に気付いたらしい。
言うことを聞かぬ首を強引に持ち上げ、顔と顔とを向き合わせる。
「やっぱり……君が、ヴィヴィオなんだね……」
彼女のことは聞いていた。
このヴィヴィオという娘のことは、生前のキャロから聞かされていた。
未来のなのはが養子として引き取り、彼女と自分をママと呼び慕う少女。
過酷な運命を辿った先に、彼女と深い絆で結ばれた少女。
それが、ヴィヴィオという娘だった。
「待って、て……今……外す、から……」
手探りで玉座を弄り、拘束を解く。
身体を固定していた手枷が、かしゃんと音を立てて解除される。
これでヴィヴィオは自由だ。
身を縛る枷もない。命を狙う敵もいない。
心残りがあるとすれば、キャロが最後に施した処置だ。
何をしたかは知らないが、あれはさすがに戻せない。もはや、時間が残されていない。
「フェイトママ……どうしたの……? どこか、痛いの……?」
「うん……多分、私は……もう……死んじゃう、から……」
そうだ。
ここまでに自分は血を流しすぎた。
もはやこの命は風前の灯火。残り数分ともたず消えるだろう。
「そんな……やだ、やだよフェイトママ! せっかく……せっかく会えたのに……!」
ああ、嬉しいな、と。
不謹慎かもしれないが、そう思えた。
こんなことになってなお、自分を求めてくれる人がいる。
こんな空虚な自分のために、涙を流してくれる人がいる。
こんな人殺しの命を、惜しんでくれる人がいるのだ。
「最後に、1つ……お願い、したい……ことが……あるんだ……」
まだくたばるわけにはいかない。
まだ意識を手放すには早い。
最後の力を出しきった身体から、更に力捻り出す。
魔力が生命力に変わるなら、それを使ったって構わない。
「私のっ、こと……嫌いに……ならないで、ほしいんだ……
私は、なのはを助けたくて……人を、殺しちゃった……
許されないって、分かってても……独りで……いるのが……耐えられ、なかった……」
言えば嫌われるかもしれない。
幻滅され、嫌悪されてしまうかもしれない。
フェイトママを信じていたヴィヴィオを、裏切ることになるだろう。
「わがまま、だってことは……分かってる……
でも……私の、こと……こんなに、悪い私でも……こんなに……弱い、私でも……嫌いに……ならないで……
誰からも、愛されなくて……誰からも嫌われて、死ぬなんて……そんなの……寂しすぎるから……」
それでも。
だとしても。
言わずに死ぬことはできなかった。
こんな小さな子を騙して、聖人君子のふりをして死ぬなんてことは、もっと耐えられなかったから。
ああ、分かっている。
これも所詮は自分のためだ。
最期まで自分可愛さに、懺悔することしかできなかったのだ。
「嫌わないよ……フェイトママを嫌いになんて、なれないよ……! だから……だから、死なないでっ!」
ああ、もうそれだけで十分だ。
一体その一言で、どれだけ救われたことだろうか。
これでもう安心して逝ける。
死の恐怖とだって向き合うことができる。
何者でもないあやふやな存在でなく、フェイト・T・ハラオウンとして死ぬことができる。
世界でたった独りになったと思っていた。
それでも、自分は独りじゃなかった。
こんなに愛してくれる人に、自分は看取ってもらえるのだ。
こんなに幸せな気持ちで、自分はなのは達の元へと旅立てるのだ。
「ありが、とう……」
できるなら、もう泣かないでほしい。
自分を愛してくれる人が悲しむ顔は見たくない。
その涙を拭いたくて、重い左手を持ち上げる。
「最期に……会え、て……」
本当に――よかった。
蚊の哭くような掠れ声で。
全てを傍観していたフェイト・T・ハラオウンは、1人満足げに呟いていた。
あのルーちゃんなる少女を目撃した瞬間から、何もかもが彼女の思うままに進んでいた。
腕を切り落とされたこの身では、キャロとまともに戦えない。
ならば彼女とぶつけ合わせて、生き残った方を殺せばいい。
幸いあれから時間が経っただけあって、一発分の弾丸を撃つだけの魔力は回復していた。
それを確実に命中させるために、この瞬間を待ち続けた。
案外一方的な勝負になってしまった時には、さすがにもう駄目かとも思ったが、上手いこと警戒を解いてくれたことが幸いした。
ああ、それでももう駄目なようだ。
がちゃり、とオーバーフラッグを取り落とす。
魔力はちゃんと回復したが、体力はこれっぽっちも残っていない。
ちゃんと止血をしておけばよかったと、今頃になって気付く辺り、もう自分は終わりなのだろう。
生き残るための戦いの果てに、無理をして命を落とすなど、本末転倒もいいところではないか。
それでも、最後に残された力を振り絞り、這うようにして歩みを進める。
ふらふらとよろめき、血の雫の道を作りながら。
黒服のミンチを通り過ぎた辺りで、遂に両足が動かなくなった。
どさり、と倒れたのろまな身体を、左腕だけで引きずった。
胸を撃たれた死体の脇を、芋虫のようにして進んでいく。
「ん……」
光り輝く宝石の向こうで、微かに声が漏れていた。
震える瞼の向こうには、新緑の色と烈火の色。
グリーンとレッドのオッドアイが、柔らかな金髪を揺らして開く。
「ひっ……」
びくり、と身体を震わせる。
まぁ、普通はそうなんだろうな。
傍らには風穴の空いたキャロの死体、向こうにはぐちゃぐちゃの肉塊になったルーテシア。
普通なら、誰もが嫌悪して当然の惨状。
それでも平然としているのだから、いい加減自分の感覚も麻痺してきたと見て間違いない。
「……フェイト、ママ……?」
そう呼ばれて、我に返った。
自分よりも年下のこの少女は、ようやく自分の存在に気付いたらしい。
言うことを聞かぬ首を強引に持ち上げ、顔と顔とを向き合わせる。
「やっぱり……君が、ヴィヴィオなんだね……」
彼女のことは聞いていた。
このヴィヴィオという娘のことは、生前のキャロから聞かされていた。
未来のなのはが養子として引き取り、彼女と自分をママと呼び慕う少女。
過酷な運命を辿った先に、彼女と深い絆で結ばれた少女。
それが、ヴィヴィオという娘だった。
「待って、て……今……外す、から……」
手探りで玉座を弄り、拘束を解く。
身体を固定していた手枷が、かしゃんと音を立てて解除される。
これでヴィヴィオは自由だ。
身を縛る枷もない。命を狙う敵もいない。
心残りがあるとすれば、キャロが最後に施した処置だ。
何をしたかは知らないが、あれはさすがに戻せない。もはや、時間が残されていない。
「フェイトママ……どうしたの……? どこか、痛いの……?」
「うん……多分、私は……もう……死んじゃう、から……」
そうだ。
ここまでに自分は血を流しすぎた。
もはやこの命は風前の灯火。残り数分ともたず消えるだろう。
「そんな……やだ、やだよフェイトママ! せっかく……せっかく会えたのに……!」
ああ、嬉しいな、と。
不謹慎かもしれないが、そう思えた。
こんなことになってなお、自分を求めてくれる人がいる。
こんな空虚な自分のために、涙を流してくれる人がいる。
こんな人殺しの命を、惜しんでくれる人がいるのだ。
「最後に、1つ……お願い、したい……ことが……あるんだ……」
まだくたばるわけにはいかない。
まだ意識を手放すには早い。
最後の力を出しきった身体から、更に力捻り出す。
魔力が生命力に変わるなら、それを使ったって構わない。
「私のっ、こと……嫌いに……ならないで、ほしいんだ……
私は、なのはを助けたくて……人を、殺しちゃった……
許されないって、分かってても……独りで……いるのが……耐えられ、なかった……」
言えば嫌われるかもしれない。
幻滅され、嫌悪されてしまうかもしれない。
フェイトママを信じていたヴィヴィオを、裏切ることになるだろう。
「わがまま、だってことは……分かってる……
でも……私の、こと……こんなに、悪い私でも……こんなに……弱い、私でも……嫌いに……ならないで……
誰からも、愛されなくて……誰からも嫌われて、死ぬなんて……そんなの……寂しすぎるから……」
それでも。
だとしても。
言わずに死ぬことはできなかった。
こんな小さな子を騙して、聖人君子のふりをして死ぬなんてことは、もっと耐えられなかったから。
ああ、分かっている。
これも所詮は自分のためだ。
最期まで自分可愛さに、懺悔することしかできなかったのだ。
「嫌わないよ……フェイトママを嫌いになんて、なれないよ……! だから……だから、死なないでっ!」
ああ、もうそれだけで十分だ。
一体その一言で、どれだけ救われたことだろうか。
これでもう安心して逝ける。
死の恐怖とだって向き合うことができる。
何者でもないあやふやな存在でなく、フェイト・T・ハラオウンとして死ぬことができる。
世界でたった独りになったと思っていた。
それでも、自分は独りじゃなかった。
こんなに愛してくれる人に、自分は看取ってもらえるのだ。
こんなに幸せな気持ちで、自分はなのは達の元へと旅立てるのだ。
「ありが、とう……」
できるなら、もう泣かないでほしい。
自分を愛してくれる人が悲しむ顔は見たくない。
その涙を拭いたくて、重い左手を持ち上げる。
「最期に……会え、て……」
本当に――よかった。
「フェイトママァァァァァァァ――――――ッ!!!」
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's 死亡確認】
【残り:30人】
【残り:30人】
◆
意識を取り戻した瞬間、最初に知覚したものは、見覚えのある天井だった。
続いて両手が動かないことに気付き、目の前にレリックがあることに気付く。
何故、私はまたここにいるのだろう。
何故、あの聖王のゆりかごにいるのだろう。
昔の夢でも見ているのだろうか。
愛するママと、本当の家族になった瞬間の夢を、今まさに見ているのだろうか。
しかしそんな考えは、充満した鉄の臭いに断ち切られた。
機動六課のキャロ・ル・ルシエが、背中に穴を空けて死んでいる。
自分をさらった少女の身体が、ぐちゃぐちゃのひき肉みたいになっている。
そして――死んでしまったはずのフェイトママが、腕から血を流して苦しんでいた。
目の前にいたフェイトママは、何故か小さな子供のようになっていた。
どうしてそんなことになってしまったのか。確かにそれは気になった。
だが、重要なのはそこではなく、彼女の命が消えようとしていること。
そして数分と経たぬうちに、フェイトママは事切れた。
この目の涙を拭うこともできず、命を落としてしまったのだ。
もう、何を叫んだかも分からない。
ひたすらにフェイトママの名を叫んでいただけなのかもしれない。
ただひたすらに悲しくて、ただひたすらに苦しかった。
やがて胸に沸き上がるのは、かつて経験した激情の奔流。
変わっていく。
身体と心が、変わっていく。
抑えきれぬ感情と共に、身体を駆け巡った凄まじいエネルギー。
それがいけないことだとは分かっていた。
それを取り込んでしまった結果、なのはママを傷つけたことも覚えていた。
この力は殺戮を呼ぶ。
かつて古代ベルカの地を、究極の闇の淵へと落とした、凄まじき戦士の力が蘇る。
また、大勢の人々を傷つけてしまう。
それでも。
そうだと分かっていても。
もう、拒むことはできなかった。
拒む理由が見つからなかった。
今度は自ら望んで、なのはママを裏切ってしまった。
続いて両手が動かないことに気付き、目の前にレリックがあることに気付く。
何故、私はまたここにいるのだろう。
何故、あの聖王のゆりかごにいるのだろう。
昔の夢でも見ているのだろうか。
愛するママと、本当の家族になった瞬間の夢を、今まさに見ているのだろうか。
しかしそんな考えは、充満した鉄の臭いに断ち切られた。
機動六課のキャロ・ル・ルシエが、背中に穴を空けて死んでいる。
自分をさらった少女の身体が、ぐちゃぐちゃのひき肉みたいになっている。
そして――死んでしまったはずのフェイトママが、腕から血を流して苦しんでいた。
目の前にいたフェイトママは、何故か小さな子供のようになっていた。
どうしてそんなことになってしまったのか。確かにそれは気になった。
だが、重要なのはそこではなく、彼女の命が消えようとしていること。
そして数分と経たぬうちに、フェイトママは事切れた。
この目の涙を拭うこともできず、命を落としてしまったのだ。
もう、何を叫んだかも分からない。
ひたすらにフェイトママの名を叫んでいただけなのかもしれない。
ただひたすらに悲しくて、ただひたすらに苦しかった。
やがて胸に沸き上がるのは、かつて経験した激情の奔流。
変わっていく。
身体と心が、変わっていく。
抑えきれぬ感情と共に、身体を駆け巡った凄まじいエネルギー。
それがいけないことだとは分かっていた。
それを取り込んでしまった結果、なのはママを傷つけたことも覚えていた。
この力は殺戮を呼ぶ。
かつて古代ベルカの地を、究極の闇の淵へと落とした、凄まじき戦士の力が蘇る。
また、大勢の人々を傷つけてしまう。
それでも。
そうだと分かっていても。
もう、拒むことはできなかった。
拒む理由が見つからなかった。
今度は自ら望んで、なのはママを裏切ってしまった。
そうして私は――この怒りと憎しみを、受け入れた。
◆
コンシデレーション・コンソール。
特定の条件下を満たした対象の自我を奪い、怒りや悲しみの感情を増幅。
情動のバランスを欠いた人造魔導師を暴走させ、自己の生存を度外視した破壊活動を強要するための技術である。
かつてルーテシアを狂わせ、意のままに操った悪魔の技術は、今まさに古代の聖王へと向けられていた。
幼く小さな娘の姿は、もはやどこにも残されていない。
巨大戦艦の玉座に立つのは、美貌と豊満な肢体を持ち合わせた1人の女性。
金の長髪をサイドポニーにし、しなやかなスタイルを黒の騎士甲冑に包み。
その双眸に宿すのは、緑と赤の危険な光。
聖王ヴィヴィオ、遂にここに覚醒す。
世界に究極の闇すらもたらす、凄まじき戦士の再誕だ。
「………」
金のポニーテールを揺らし、恐怖の聖王が歩みを進める。
堂々とした立ち振舞いには、あどけない童女の面影はない。
存在そのものがプレッシャーの塊。下手に触れようものなら、即座に圧殺されんばかりの圧倒的存在感。
ぐい、と。
何かに導かれるようにして。
さぞ大事そうにキャロが抱いていた球体を、強引にその手から引ったくった。
「許さない……」
ぽつり、と呟く。
かっ、と発光。
稲妻と闇色に染まる憑神鎌(スケィス)が、一瞬にして臨戦態勢へ移行。
心に虚がいるのなら、とっくに条件は満たしている。
心の力がいるのなら、この憤怒と憎悪を刃としよう。
「なのはママとフェイトママを傷つける人は……もう絶対に許さない!」
復讐だ。
この身を突き動かすのはその一念だ。
もはや許しておくわけにはいかない。
自分の大切なものを奪うというのなら、ぶち殺してでも止めてみせる。
誰も手出しができないように、1人残らずぶち殺してやる。
かつてのゆりかご攻防戦の折、クアットロに洗脳されたヴィヴィオは、一時的にそれまでの記憶を喪失していた。
その方がまだよかったのかもしれない。
殺し合いという状況が飲み込めないままに、大人しくしていた方がよかったのかもしれない。
されど、今は違う。
それでは面白くないと踏んだ主催者側が、記憶喪失の措置を無効化する仕掛けを組んだのだろうか。
今のヴィヴィオには、確固たる戦う理由がある。
記憶に残る愛する母を、血に染まってでも救う覚悟が。
沸き上がる怒りと憎しみに従い、母の敵を皆殺しにする意志が。
「みんな、みんな……殺してやるッ!!」
かつり、かつりと歩き出して、聖王は玉座の間を後にした。
先ほどゆりかごを起動させようとはしたが、その時謎のエラーが発生し、起動シークエンスが中断された。
死んだ人間の数が足りないのか、はたまた特定の時間を過ぎる必要があるのか。
いずれにせよ、まだ時期ではないということなのだろう。
であれば、動かぬ居城に用はない。
自ら戦場へとうって出て、直接標的を抹殺する。
古代の聖王と、古代の刃鎌。
最強にして禁断の組み合わせが、今まさに野へと解き放たれた。
特定の条件下を満たした対象の自我を奪い、怒りや悲しみの感情を増幅。
情動のバランスを欠いた人造魔導師を暴走させ、自己の生存を度外視した破壊活動を強要するための技術である。
かつてルーテシアを狂わせ、意のままに操った悪魔の技術は、今まさに古代の聖王へと向けられていた。
幼く小さな娘の姿は、もはやどこにも残されていない。
巨大戦艦の玉座に立つのは、美貌と豊満な肢体を持ち合わせた1人の女性。
金の長髪をサイドポニーにし、しなやかなスタイルを黒の騎士甲冑に包み。
その双眸に宿すのは、緑と赤の危険な光。
聖王ヴィヴィオ、遂にここに覚醒す。
世界に究極の闇すらもたらす、凄まじき戦士の再誕だ。
「………」
金のポニーテールを揺らし、恐怖の聖王が歩みを進める。
堂々とした立ち振舞いには、あどけない童女の面影はない。
存在そのものがプレッシャーの塊。下手に触れようものなら、即座に圧殺されんばかりの圧倒的存在感。
ぐい、と。
何かに導かれるようにして。
さぞ大事そうにキャロが抱いていた球体を、強引にその手から引ったくった。
「許さない……」
ぽつり、と呟く。
かっ、と発光。
稲妻と闇色に染まる憑神鎌(スケィス)が、一瞬にして臨戦態勢へ移行。
心に虚がいるのなら、とっくに条件は満たしている。
心の力がいるのなら、この憤怒と憎悪を刃としよう。
「なのはママとフェイトママを傷つける人は……もう絶対に許さない!」
復讐だ。
この身を突き動かすのはその一念だ。
もはや許しておくわけにはいかない。
自分の大切なものを奪うというのなら、ぶち殺してでも止めてみせる。
誰も手出しができないように、1人残らずぶち殺してやる。
かつてのゆりかご攻防戦の折、クアットロに洗脳されたヴィヴィオは、一時的にそれまでの記憶を喪失していた。
その方がまだよかったのかもしれない。
殺し合いという状況が飲み込めないままに、大人しくしていた方がよかったのかもしれない。
されど、今は違う。
それでは面白くないと踏んだ主催者側が、記憶喪失の措置を無効化する仕掛けを組んだのだろうか。
今のヴィヴィオには、確固たる戦う理由がある。
記憶に残る愛する母を、血に染まってでも救う覚悟が。
沸き上がる怒りと憎しみに従い、母の敵を皆殺しにする意志が。
「みんな、みんな……殺してやるッ!!」
かつり、かつりと歩き出して、聖王は玉座の間を後にした。
先ほどゆりかごを起動させようとはしたが、その時謎のエラーが発生し、起動シークエンスが中断された。
死んだ人間の数が足りないのか、はたまた特定の時間を過ぎる必要があるのか。
いずれにせよ、まだ時期ではないということなのだろう。
であれば、動かぬ居城に用はない。
自ら戦場へとうって出て、直接標的を抹殺する。
古代の聖王と、古代の刃鎌。
最強にして禁断の組み合わせが、今まさに野へと解き放たれた。
【1日目・夕方】
【I-5/聖王のゆりかご・玉座の間】
【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、聖王モード、洗脳下による激しい怒り
【装備】レリック(ルーテシアの体内にあったもの・シリアルナンバー不明・ヴィヴィオと融合している)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning、
【道具】支給品一式、フェルの衣装、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、レークイヴェムゼンゼ@なのは×終わクロ、
ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
基本:ママの敵を皆殺しにする
1.なのはママとフェイトママを殺した人は優先的に殺す
2.頃合を見て、再びゆりかごを動かすために戻ってくる
【備考】
※浅倉は襲い掛かって来た矢車(名前は知らない)から自分を救ってくれたヒーローだと思っています。
※浅倉をまだ信頼しており、殴りかかったのは何か理由があるのだと思っています。
※矢車とエネル(名前は知らない)を危険視しています。キングは天道を助けてくれるいい人だと思っています。
※クラールヴィントは浅倉を警戒しています。
※ヴィヴィオの身体に適合しないレリックと融合しました。どのような弊害が生じるかは、後続の書き手さんにお任せします。
【I-5/聖王のゆりかご・玉座の間】
【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康、聖王モード、洗脳下による激しい怒り
【装備】レリック(ルーテシアの体内にあったもの・シリアルナンバー不明・ヴィヴィオと融合している)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、
憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning、
【道具】支給品一式、フェルの衣装、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、レークイヴェムゼンゼ@なのは×終わクロ、
ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
【思考】
基本:ママの敵を皆殺しにする
1.なのはママとフェイトママを殺した人は優先的に殺す
2.頃合を見て、再びゆりかごを動かすために戻ってくる
【備考】
※浅倉は襲い掛かって来た矢車(名前は知らない)から自分を救ってくれたヒーローだと思っています。
※浅倉をまだ信頼しており、殴りかかったのは何か理由があるのだと思っています。
※矢車とエネル(名前は知らない)を危険視しています。キングは天道を助けてくれるいい人だと思っています。
※クラールヴィントは浅倉を警戒しています。
※ヴィヴィオの身体に適合しないレリックと融合しました。どのような弊害が生じるかは、後続の書き手さんにお任せします。
◆
最初に入ってきたルーテシアは、キャロに首を落とされ死んだ。
続いて入ってきたキャロは、フェイトに背後から撃たれて死んだ。
続いて入ってきたフェイトは、斬られた傷からの出血で死んだ。
最後まで残っていたヴィヴィオは、戦うために自ら出ていった。
《気をつけてください、相棒……》
そしてそれら全ての経緯を、横から俯瞰する者がいた。
正確にはそれは人ではなく、インテリジェントデバイスのAIなのだが。
スバル・ナカジマが走具――マッハキャリバーは、遥か彼方の相棒を想う。
《今の彼女と……ヴィヴィオと戦ってはいけない》
それは警告。
凄まじき戦士と出会ってはいけない。
聖王ヴィヴィオと戦ってはならない。
全てを見ていたマッハキャリバーだからこそ、その理論的危険性を理解できる。
高町なのはと互角の実力者の手に、魔導師殺しのデータドレインが渡ったのだ。
たとえ一度の戦闘において、一撃ずつしか撃てずとも、聖王の圧倒的戦闘スキルをもってすれば、命中させることなど容易いこと。
そして魔法を封じられれば、勝てる可能性は微塵も残らない。
否、生き延びる保障すらありはしない。
《我々では――彼女には、勝てない》
続いて入ってきたキャロは、フェイトに背後から撃たれて死んだ。
続いて入ってきたフェイトは、斬られた傷からの出血で死んだ。
最後まで残っていたヴィヴィオは、戦うために自ら出ていった。
《気をつけてください、相棒……》
そしてそれら全ての経緯を、横から俯瞰する者がいた。
正確にはそれは人ではなく、インテリジェントデバイスのAIなのだが。
スバル・ナカジマが走具――マッハキャリバーは、遥か彼方の相棒を想う。
《今の彼女と……ヴィヴィオと戦ってはいけない》
それは警告。
凄まじき戦士と出会ってはいけない。
聖王ヴィヴィオと戦ってはならない。
全てを見ていたマッハキャリバーだからこそ、その理論的危険性を理解できる。
高町なのはと互角の実力者の手に、魔導師殺しのデータドレインが渡ったのだ。
たとえ一度の戦闘において、一撃ずつしか撃てずとも、聖王の圧倒的戦闘スキルをもってすれば、命中させることなど容易いこと。
そして魔法を封じられれば、勝てる可能性は微塵も残らない。
否、生き延びる保障すらありはしない。
《我々では――彼女には、勝てない》
【全体の備考】
※聖王のゆりかごの起動には、特定の条件を満たす必要があります。少なくとも、現段階では起動しません。
※聖王のゆりかご・玉座の間に、以下のものが散らばっています。
フェイト・T・ハラオウン(A's)の死体、キャロ・ル・ルシエの死体、ルーテシア・アルピーノの死体、
首輪(ルーテシア)、オーバーフラッグ(仕込み刀なし・カートリッジ残量0)@魔法妖怪リリカル殺生丸、
支給品一式、医療品(消毒液、包帯など)、パピヨンスーツ@なのは×錬金、憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning、
マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ウィルナイフ@フェレットゾンダー出現!、
キャロのデイパック(支給品一式×2、かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、
葉巻のケース@NANOSING、オーバーフラッグの仕込み刀@魔法妖怪リリカル殺生丸)、
ルーテシアのデイパック(支給品一式、召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、
エボニー(9/10)@Devil never strikers、エボニー&アイズリー用の予備マガジン×1、
レギオンのアサルトライフル(100/100)@アンリミテッド・エンドライン、
ラウズカード(クラブのK)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、支給品一式(名簿の裏に記述あり、内容は情報交換のメモと同じ)、
SIG P220(8/9)@リリカル・パニック、情報交換のまとめメモ(内容は守りたいもの参照)、
支給品一式、フリーズベント@仮面ライダーリリカル龍騎、光の護封剣@リリカル遊戯王GX、レイとフェイト(A’s)のデイパック)
※聖王のゆりかごの起動には、特定の条件を満たす必要があります。少なくとも、現段階では起動しません。
※聖王のゆりかご・玉座の間に、以下のものが散らばっています。
フェイト・T・ハラオウン(A's)の死体、キャロ・ル・ルシエの死体、ルーテシア・アルピーノの死体、
首輪(ルーテシア)、オーバーフラッグ(仕込み刀なし・カートリッジ残量0)@魔法妖怪リリカル殺生丸、
支給品一式、医療品(消毒液、包帯など)、パピヨンスーツ@なのは×錬金、憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning、
マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ウィルナイフ@フェレットゾンダー出現!、
キャロのデイパック(支給品一式×2、かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、
葉巻のケース@NANOSING、オーバーフラッグの仕込み刀@魔法妖怪リリカル殺生丸)、
ルーテシアのデイパック(支給品一式、召喚マテリア(イフリート)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、
エボニー(9/10)@Devil never strikers、エボニー&アイズリー用の予備マガジン×1、
レギオンのアサルトライフル(100/100)@アンリミテッド・エンドライン、
ラウズカード(クラブのK)@魔法少女リリカルなのは マスカレード、支給品一式(名簿の裏に記述あり、内容は情報交換のメモと同じ)、
SIG P220(8/9)@リリカル・パニック、情報交換のまとめメモ(内容は守りたいもの参照)、
支給品一式、フリーズベント@仮面ライダーリリカル龍騎、光の護封剣@リリカル遊戯王GX、レイとフェイト(A’s)のデイパック)
◆
それは小さな願いでした。
何事もない穏やかな日々、大好きなママと過ごす日々……何よりも愛しかった日々に、暗く、静かに落ちた影……
私の力で、誰かを救うことができるなら、ママの助けになることができるなら……どんなにつらくても、頑張ろうと思えました。
だけど――もう、いいんです。
願いなんて……もう、どこにもありません――
Back:ロリッ!幼女だらけのクリスマスパーティー ~ボインもあるよ!~(前編) | 時系列順で読む | Next:Blue Swear―――蒼い誓い |
投下順で読む | Next:キングの狂宴/狙われた天道(前編) | |
ヴィヴィオ | Next:13人の超新星(1) | |
フェイト・T・ハラオウン(A's) | GAME OVER | |
キャロ・ル・ルシエ | GAME OVER | |
ルーテシア・アルピーノ | GAME OVER |