此処はゆりかご内の施設、大きなモニターの前にレザードとスカリエッティは席を置きチェスを嗜んでいた。
彼等の後ろではウーノとクアットロがガジェットに情報を送っており、
大きなモニターにはリニアレールが映し出されていた。
その中でスカリエッティはポーンを動かしレザードに問いかける。
「どうだろ今回の作戦は……うまく行くと思うかね?」
「……まぁ無理でしょう、十中八九あの六課が動くのは間違いないでしょうし」
顎に手を当てながら即答するレザード、六課の事はドゥーエから聞いており、その戦力は常軌を逸しているという。
今度はレザードがポーンを動かし問いかける。
「もっとも…それを見抗して、あのようなメッセージを刻んだのでしょ?」
「フッ…まぁね」
スカリエッティは笑みを浮かべ今度はナイトを動かし答えた。
「今回は宣戦布告の意味も込めているからね、レザード…君もそうなんだろ?」
「まぁ、否定はしませんよ」
眼鏡に手を当て不敵な笑みで答えるとポーンを動かすレザードであった。
リリカルプロファイル
第十二話 布告
現在、なのはと新人達はヴァイス陸曹がパイロットを務めるヘリで事件現場へと向かっていた。
今回の事件の発端はロストロギアであるレリックを運搬していたリニアレールが、
ガジェットに襲われていると報告を受けた為、六課は速やかに現場へと向かう事となったのだ。
ヘリの中では、なのはを筆頭にモニターを使った作戦会議が行われていた。
映像の上空にはガジェットⅡ型が犇めき合い、車両にはガジェットⅠ型が取り付いていた。
ガジェットドローンⅡ型、前翼機の姿をした空戦型のガジェットで、一般の空戦魔導師と変わらない航行速度を持つガジェットである。
話は戻りガジェットⅡ型は、なのは及び現場で合流予定のフェイトによって応戦、
残りの新人達はリニアレールに取り付いたガジェットを撃破しつつ、レリックを回収するという作戦を立てた。
各々が作戦を確認する中、キャロ一人だけが不安を抱いていた。
それは自分の内に存在する能力の事である。
キャロの能力は竜使役と呼ばれる、その名の通り竜を使役する能力で、
わずか六歳で白銀の飛竜を従わせる程の実力を持っていた。
だがキャロの力は周りの人を傷つけるだけだと部族の仲間から言われ続け、部族から追われる形で追放されたのだ。
その後管理局に保護されるのだが、強力な竜の力を制御できないキャロに、管理局も手を拱いていた。
管理局は殲滅戦による投下以外に役に立たないとキャロにレッテルを張ると、
フェイトが保護責任者として名乗り出てキャロを引き取ったのであった。
部族からの追放以降、キャロは自分の力で仲間を傷つけ、全てを殲滅させるのではないかと、恐れを抱き自分の力に目を背けていた。
そんなキャロの不安さを感じ取ったなのはは、そっとキャロの肩に触れ激励を込める。
「キャロの魔法はみんなを守ってあげられる、優しくて強い力なんだから」
その暖かい言葉にキャロは励まされ、みんなの役に立つ為に自分の力と向き合おうと決心するキャロであった。
その間にヘリは現場に到着、ヘリの後方が開くとそれぞれ降下し、作戦は開始した。
暫く経ち、現場から数キロ離れた森の上空、ここでルーテシアは一人モニターを見つめていた。
モニターにはガジェットが次々と落とされている様子が映し出されていた。
その中でモニターの右上にレザードの顔が映し出される。
「首尾はどうです?ルーテシア」
「博士……見ての通り悪い…」
レザードは眼鏡に手を当て当然か…といった表情を醸し出していた。
そしてレザードは第二陣としてルーテシアに不死者召喚を指示すると、ルーテシアは頷き準備を始めた。
ルーテシアは目をつぶり右手を下にかざし五亡星の陣を張ると詠唱を始めた。
「我は悠久の刻の渦中に身を委ねし者…其は我が名を知るがよい…知らぬ者は己が痴れた者と知るべし……
そして刻め…我が名はルーテシア・アルピーノ…其の名は冥王の烙印と化して其に裁可を下すだろう……
魂の救い与え賜う事を乞うならば…今一度此方へと集うべし……」
長い詠唱の後、森の中に五亡星の陣が現れ陣からは猿の不死者ギボンが十体、
更にルーテシアの左右に五亡星の陣が現れ陣から魚の不死者カーレントフィッシュと、
鳥の不死者バーミンをそれぞれ十体、合計三十体の不死者を召喚させた。
「上出来です、ルーテシア」
「でも博士……下級クラスの不死者でいいの?」
「えぇ充分でしょう」
相手の戦力を、力量を、そして相手に対し宣戦布告を促すには充分だとレザードは内心で呟いた。
そしてルーテシアは不死者達にレリックの回収を命令すると、
カーレントフィッシュは泳ぐように向かい、
バーミンはギボンに向かって急降下すると、ギボンはバーミンの足をつかみ
そのままバーミンはギボンを持ち上げ現場へと飛んでいった。
場所は変わり此処は六課の司令部通称ロングアーチ。
中には大きなモニターが幾つかあり、モニターには各前線メンバーがガジェットを叩き落としている映像が映っていた。
はやてはその光景を見ながら、新人達の訓練の成果は充分に出ていると考えていた。
車両に乗り込んだスバル・ティアナは次々にガジェットを撃破しレリックまで後僅かであるし
車両の屋根に残ったキャロは自分の力と向き合い、竜魂召喚を行ってフリードリヒを本来の姿に戻し、更にその力を操っていた。
エリオはキャロの支援魔法を受け大型のガジェットIII型を撃破など数々の戦績を残していた。
なのは、フェイトの両名も次々にガジェットを撃破し、
作戦もそろそろ終わりに差し掛かった頃、急にオペレーターが慌ただしく状況の変化を説明をする。
「レーダーに反応!これは………アンノウン!?数は三十!!」
「なんやて!?何処に向かっとるか分かるか?」
「待って下さい、この方向は……リニアレールの方向です!」
となると十中八九レリックを狙っているガジェットだと考えるが、アンノウンだと言う事は
新たなガジェットの投下という可能性があるとはやては示唆し、早急に前線チームに情報を送るよう指示をした。
一方前線チームはガジェットを全撃破し、レリックの回収も終了していた。
なのはとフェイトは新人達に激励を送っているとロングアーチから連絡が入り、なのはは新人達に連絡を伝えた。
「スターズ1から各隊員へ、今から此処にアンノウンが来るよ、その数は三十、みんな気を引き締めて!」
ロングアーチの話だと新たなガジェットの可能性があると、
そして今此方に来ているアンノウンはレリックを狙っていると説明する。
するとティアナはスバルに注意を促した、今レリックはスバルが持っているからだ。
キャロもエリオもその場で待機し、なのはとフェイトも上空で待機していると、
遠くに影のような物が近づいてくるのが分かった。
各隊員は気を引き締めていると影は大きくなりサーチポイントまで近づくと唖然とした。
その頃ロングアーチにいたはやて部隊長は、アンノウンの映像を見るや否や思わず叫んだ。
「何やねん!何で魚が飛んどんねん!つか、なんで猿が鳥にぶら下がってん!サーカスかぁ!!」
立場を忘れ思わずツッコむはやて、ハッと我に返り一つ咳をすると、はやては分析班にアンノウンの分析を指示した。
一方現場ではメンバーが呆気にとられている内に、魚がリニアレールの窓めがけて突進、窓を突き破り進入した。
それを皮切りに猿が反動を付けて車両の屋根に飛び移り、猿を運んだ鳥はなのは達に向かい襲いかかっていった。
「各隊員!見た目はあれだけど、レリックを狙っているのは間違いないから!各個撃破を!」
なのはの指令に気を取り直し攻撃を仕掛けるメンバーであった。
リニアレール内ではスバルがマッハキャリバーで加速し拳に魔力を乗せ、力一杯魚を殴った。
ナックルダスターと呼ばれる打撃魔法である。
魚はなす統べなく連結扉に叩き付けられ地面に落ちる、しかしすぐに起きあがると、スバルに襲いかかった。
「そんなっ!!」
スバルは困惑していた。何故ならば今の一撃は並の魔導師ならば一撃で気絶する代物、しかも手応えもあったのだ。
それなのに平然と起き上がり何事も無かったかのように襲い掛かる、そんな異様な状況にスバルは畏怖を感じていた。
一方ティアナは障害物を盾に必死に魚と応戦をしていた。
その中、魚は口から泡を六弾ずつ吐き出してくる、ティアナはクロスミラージュで一つずつ丁寧に撃ち落とし、魚本体にも気絶する数の魔力弾を撃ち込んだ。
魔力弾を撃ち込まれた魚は床に落ちるが、すぐさま起き上がり攻撃を仕掛けてくる。
「どうなってるの!?手応えはあったのに!」
クロスミラージュも本来なら気絶する魔力弾を撃ち込んでいると説明するが、現状は全く打破されていなかった。
その中一つの泡が隣の木箱に触れると炸裂し木箱は中身ごと吹き飛んだ。
ティアナは絶句した、こんな物が直撃すれば、いくらバリアジャケットを装着してあったとしても怪我だけでは済まされない。
ティアナは舌打ちをしながら飛んでくる泡を迎撃しながら次の車両へと移動した。
「エリオ君!」
「キャロはフリードと一緒にいて!」
一方、車両の屋根ではエリオが猿と対峙していた。
猿の動きは思いの外鈍く、ソニックムーブを使うほどではなかった。
だが腕力は高く屋根をへこませる程であった。
しかし今のエリオにはとるに足らない相手ではあった。
「ストラーダ!カートリッジロード!」
槍型アームドデバイス、ストラーダがカートリッジを一つ使用すると、エリオの足元に三角の魔法陣が現れる。
エリオは矛先を猿に向けると矛の端から魔力を噴射しロケット弾の如き加速で突撃、
矛先が猿の横隔膜辺りに突き刺さるとそのまま持ち上げ、他の猿の仲間に投げつけた。
エリオの魔法スピーアアングリフは確実に猿を気絶に追い込む一撃を与えていた、だが猿はすぐに起きあがり、エリオに襲いかかる。
「くっそ~またか!もしかして不死身なんじゃないか…」
鼬ごっことも言える攻防戦にエリオは疲れを見せ始めていた。
そんなエリオの上空ではキャロがエリオの身を案じていた。
それと同時に猿を観察していると、何か違和感を感じていた。
その中フリードがキャロに悲しみと恐怖が入り混じった様子で話しかけて来た。
「えっ彼らは死んでるって!?」
フリードによれば猿は生気もなく意識も無い、つまり死体だと説明する。
ならば死体を操ってレリックを回収しようとしている者がいるとキャロは考えた。
だが、そんな人物は本当に存在するだろうか?寧ろこの情報をフェイト達に教えても理解してくれるだろうか。
だが、今の状況ではこれしか判断できないと考えたキャロはフェイトに念話を送った。
一方上空でも、なのはとフェイトは戸惑っていた。
なのははアクセルシューターで、フェイトはハーケンスラッシュで次々と鳥を撃破するが、
地面スレスレで意識を取り戻し、すぐさまなのは達に攻撃を仕掛けてくるのだ。
これでは埒があかないとなのはは愚痴をこぼしている時、フェイトはキャロからの念話を受信する。
(…どうしたの?キャロ)
(…フェイトさんにどうしても伝えたいことがあって……)
キャロの話に思わず動きを止めるフェイト、その隙をついて鳥は攻撃を仕掛けようとするが、なのはのフォローにより難を逃れた。
「どうしたのフェイトちゃん!動きを止めて!」
「ゴメンなのは、ちょっと動揺して…」
フェイトは気を取り直し、キャロにその内容をロングアーチに伝えるように指示した。
一方ロングアーチではキャロの話に衝撃を受けていた。
「んで何か?アレはゾンビっちゅう訳か?んなホラーじみた話――」
「あながち否定出来ないと思われます」
はやての否定に間髪入れず分析班が割り込んで答えた。
分析班の映像による分析では、アンノウンの肉体は呼吸などの生命活動を行ってない、つまりは死体当然だと説明する。
そしてその肉体をリンカーコアによって維持している可能性があるらしいのだが、
そのリンカーコアは暴走状態になっており、暴走状態によって作成した魔力で肉体の強化をも行っていると語る。
現場の状況、キャロの話、分析班の説明それらは、はやてを納得させるには充分な情報であった。
確かに死んだ肉体では非殺傷設定の攻撃は効くはずがない…
何故ならば魔力に幾らダメージを与え気絶させようとしても死体に意識など元から無いのだからだ。
更にリンカーコアの暴走によって魔力はすぐに回復する為、すぐに行動を開始する事ができる。
ならばアンノウンを撃破するには一つしかない、だが今の新人達に出来るだろうか…
はやては不安を持ちつつ前線メンバーに指示を促した。
「えっ!非殺傷設定解除による攻撃!?」
「せや、今んとこあのアンノウンを撃退するにはそれしかあらへん」
はやての指示に新人達は戸惑いを見せていた。
その様子を見たなのはは新人達にこう命令した。
「よし!みんなは前線から離れて、後は私とフェイトちゃんがやるから!」
いくら命令とは言え、いくら相手が死体当然とは言え、
命を奪うような行為はさせたくないとなのはは考え命令を下したが、スバルはその命令に反発する。
「私達なら大丈夫です!」
「でもスバル…」
「確かに本音は嫌です…でも!だからと言って
なのはさん達ばかりに重荷を背負って貰う訳にはいきませんから!!」
スバルの言葉に皆が頷く、その光景を見たなのはとフェイトは思わず笑みを浮かべた。
スバル達はきちんと強くなっている、技術面だけじゃない精神面も…
そして一番新人達を信じていなかったのは自分じゃないか…
そう思うと自分の頭を叩きフェイトと目を合わせ頷くと命令した。
「分かった…スターズ1から各隊員へ!アンノウンを撃破!」
『了解!!!』
なのはの命令に力強く答え、アンノウンとの戦闘を開始した。
リニアレール内、スバルは魚に向かってナックルダスターを放つ。
ナックルダスターは魚の胴体を捉え、 口から血を吐き出し窓に叩きつけた。
辺りにグシャッと肉が潰れる音が響き渡るが、スバルは気にも止めずリボルバーナックルから一つカートリッジを消費すると、
スピナーが回転し拳に衝撃波が集まると振り返り撃ち抜く。
「リボルバーァァァァシュュュュュトォ!!!」
拳が乗った衝撃波は真っ直ぐ突き進み、魚を三匹巻き込んで窓を突き破った。
三匹の内二匹は衝撃波に巻き込まれバラバラとなり、残り一匹は下半身のみを巻き込んで倒れた。
上半身を残した魚は、光の粒子に変わり消滅、窓に叩きつけた魚も同様に消滅した。
スバルは残り一匹に目を向け、拳を握った。
一方ティアナはスバルがナックルダスターで魚を撃破していた頃、魚を一匹撃破していた。
撃破後、魚は警戒した為か一斉に泡を吹きだし、ティアナはダブルモードで迎撃を行っていた。
すると魔力弾が空になりカートリッジもゼロになると、
カートリッジバレルを排出し障害物に身を潜めバレルを交換する。
そしてカートリッジをロードすると足下に円陣が現れ更にティアナの周りにオレンジ色の魔力弾を構築させる。
「クロスファイア……シュートォ!!」
次の瞬間、クロスファイアが魚に襲いかかり頭を吹き飛ばす。
魚は泡で迎撃を行ってみるも、難なく避けられ次々に魚を光の粒子に変えていったのであった。
一方リニアレールの屋根の上では、キャロが猿に対しアルケミックチェーンで動きを止め、フリードに命令する。
「フリード!ブラストレイ!!」
その命令にフリードは雄叫びをあげると、口から紅蓮の炎を放射
炎は猿に直撃すると消し炭になるまで猿の肉体を焼いた。
消し炭となった肉体は光の粒子となって消滅、辺りには肉を焼いた匂いだけが残っていた。
一方エリオはスピーアアングリフでフリードリヒに乗るキャロの所まで跳ぶと、
キャロに先ほど行ったツインブーストをもう一度かけて欲しいと頼むとキャロは快く応じる。
ツインブーストを受けたエリオはカートリッジを消費し、魔力刃で構成された矛先を猿に向けると気合いを込めて叫んだ。
「スタールメッサー!」
エリオは矢の如き加速で突撃し猿の頭を捉えると魔力刃を縦に切り替え腹部まで切り裂き、更に右に振り抜いた。
振り抜いた先には猿が両手を組み振り下ろそうとしているが、
エリオはストラーダの魔力刃で両腕を切り落とし、更に頭を切り落とした。
更にエリオに迫ってくる猿に対し、右払いで攻撃、猿の肉体は上半身と下半身に分かれた。
すると切り裂いた猿から大量の血が吹きだし、それは血の雨となってエリオの頭上に降り注ぐ。
だが猿の肉体が粒子化すると同時に、血も光の粒子に変化し消滅した。
「……ゴメン」
小さく呟くように猿達に謝ると次の標的に目を向けた。
リニアレールの上空、なのはとフェイトはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで撃破していた。
その中ロングアーチから連絡があり、アンノウンを二~三羽捕縛して欲しいと指示を受けた。
どうやら今後の対処のためのサンプルとしてのようだ。
なのは達は了解すると残り四体の内、二体をなのはがレストリクトロックで縛り上げ、
残りの二羽をフェイトがハーケンスラッシュで撃破した。
「…不死者、二体捕縛されたの以外全滅……」
「そうですか…ではルーテシアはもう戻ってきていいですよ」
「いいの?」
これ以上の戦力の投下は無駄だとレザードは判断し、ルーテシアはそれに従いその場を転移した。
レザードはルーテシアとの連絡を切るとチェスに目を向け顎をなでる。
するとスカリエッティが問いかけてきた。
「不死者…捕縛されたみたいだね」
「えぇ…ですが問題ありませんよ、想定の範疇でしすし、所詮はただの捨て駒です」
「…成る程、つまりあれがレザードの宣戦布告と言うわけだね」
「えぇそうです……これでチェックメイトです」
「なにっ!?」
眼鏡に手を当て笑みを浮かべ宣言するレザード。
スカリエッティはチェスの盤をじっくり眺め、挽回出来ないかと探してみるものの結局見つけられず、
お手上げの表情で敗北を認めたスカリエッティであった。
リニアレール事件から一夜開け、今回回収したガジェットの分析待ちをしているフェイトは、
シャーリーと共に先日の戦闘データを纏めていた。
その中で一つ気になる映像を発見した、それはエリオがガジェットIII型を撃破している映像で
ガジェットの内部を拡大し解像度を上げると、内部に組み込まれた青い結晶を発見する。
「これは?」
「…間違いない……ジュエルシード」
かつてなのはと対峙し、自分にもっとも関係しているロストロギア。
すると分析班から報告書が届き目を通す。
ガジェットは市販されたパーツを改造したものが殆どであるが、
その中にJ.Sと刻まれたプレートが存在していたという。
フェイトは納得した表情を見せるとシャーリーから端末を借り映像を映し出す。
モニターには白衣を着た紫の髪の男性が映り出していた。
ジェイル・スカリエッティ…生命操作や生命改造、精密機械などを手掛ける科学者で
広域指名手配を受けている次元犯罪者でありフェイトが追っている犯罪者でもあった。
「ガジェット、ロストロギア、J.Sと刻まれたプレート、間違いなくこれは………」
モニターを睨みつける様に見つめフェイトはこう言い放った。
―――これはスカリエッティの宣戦布告であると―――
最終更新:2009年02月22日 15:39