犬国奇憚夢日記 外伝3 特別編3
もはや洪水のようになった割れ目を触ろうと、マサミはカナの股間へ指をすべり込ませる。
まるで誘い込むような腰の動きに、マサミの中指がズブっと一瞬で飲み込まれていった。
触りなれた暖かい穴。マサミは気まぐれに指を少し動かす。
クチュッ・・・・ あぁんんっ!
急に穴が狭まると同時にカナはビクっと体を震わせた。
カナの声と仕草にマサミの理性は少しずつ失われていき、興奮しながら彼女の股間にむしゃぶりつく。
「あんっ、はぁっ・・・はぁっ・・あっ・・・ぁんっ・・あああぁぁっっ・・・・・きゃあぁぁぁぁ、あんっ、あんっ、ああぁぁっ・・・・」
いつもと違い、まるで獣のように襲い掛かる夫マサミ。
されるがままのカナは抱かれる事にトラウマを持っている筈なのだが・・・・
「かな!」
そう呼びかけながらマサミの気まぐれな指と舌がカナを絶頂へと導いていく。
「ンフフ、カナも可愛い!」
カナを支えていたアリスもほくそ笑んだ。
股間から顔を起したマサミの舌は、そのまま下腹部から乳房を通って舐めあげる。
ざらつく舌が通った後には艶かしい濡れ後が残り、全身敏感になったカナにはまるで火が付いてるかのようだ。
「よっこいしょ」
後ろからカナを抱えていたアリスごと押し倒したマサミ。
カナをひょいと持ち上げると前後逆に入れ替えてやれば、アリスとカナの乳房がぶつかっている。
「さて、どっちにしようかなぁ」
グヘヘと厭らしく笑うマサミのペニスはまるでこん棒のように太くハチ切れそうな程だ。
後ろから2人分を抱えて狙いを定めるマサミの視線が一瞬交差する。
グチュ!
「んぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁ・・・・・・!」
カナを狙って突き立てたはずのペニスはアリスの蜜壷へと押し込まれた。
予想外の一撃にアリスが一瞬うろたえる。
「あはは、アリス震えてる!」
ちょっと壊れたカナが笑いながらアリスと舌を絡ませている。
それほど濡れていなかったアリスの中から急激に溢れ出す痴蜜。
顔を顰めよがるアリスをカナの手が攻め立てる。
「ほら、アリスもビンビンだね♪」
「カナ!カナ!カナ!カナ! ダメェェェ~~~」
力強く押し込まれるマサミのペニスにあわせ、カナはアリスのクリトリスを弄っていた。
全身の力が抜けていくアリスの様子を伺いながらマサミがにやりと笑う。
「おし!攻めなおし!」
ズボッと音を立てて引き抜かれたマサミのペニス。
ツーっと糸を引いて繋がるマサミとアリスの愛の絆がプツッと途切れた。
「今度はこっち」
「あんっ!」
後ろ向きの体制からマサミのペニスに貫かれ、カナもまた体の力が抜けていく。
「かなぁ~ 覚悟しなさ~い」
一番下で押しつぶされるはずのアリスが、両手を使ってカナの乳房をモミモミしている。
そしてそれだけでなくて、長い尻尾をクルリと曲げて、マサミのペニスが突き刺さった辺りのちょっと前。
小さく膨らんだカナの陰核を尻尾でシャラシャラと弄っていた。
「あっ・・・ぁんっ・・あああぁぁっっ・・・・・きゃあぁぁぁぁ!!! あんっ!あんっ!! ああぁぁっ・・・・」
一番後ろでカナを抱えているマサミの両手がカナを左右から挟みこんでアリスの胸をいじっていた。
「あぁぁん!! もう! ずるいわよ! どっちかに!」
「あ!あ!あ!あり!!ありす!!!そこダメ!!!ダメ!!! ぁぁぁああああああんんん!!!!!!」
小刻みに震えるカナの体がギューッと一瞬延びて、そしてそのまま全身の筋肉が弛緩した。
「かな、イッちゃった?」
「んふ!」
カナの両手がアリスの頭を抱きかかえてディープキスしている。
「おしおし、んじゃ、もういっぺん」
再びズボッと引き抜かれたマサミの愛情棒はまだまだ太く逞しい。
もう一度狙いを定めたマサミが腰を押し込んだ・・・・・
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雲ひとつ無い蒼天のロッソム。
春を待つスキャッパーの上空にはまだまだ凛と冷えた寒気が居座り、黒々しい程の空が広がっている。
2月に入りヒトの世界なら節分だね・・・・などと笑いながらカナは紅朱舘の中を忙しく動いていた。
目の見えない頃ならば気にしなかったであろう事も、一度目に入ってしまうと気になってしかたが無い。
基本的に綺麗好きで片付け上手で、おまけに掃除も大好きと言う性格のカナ。
キックとメルが中心になって整理整頓していた筈の紅朱舘ですら、この数週間で驚くほど広く感じられるようになってきた。
「カナさん。午後のお茶にしましょう。アリス様もひと段落です」
まだまだ若いキックとカナが慌しく動く隣。
そろそろ老齢期に入ったメルはカイト老と共にお茶の支度を整えていた。
「あ、メルさん、すいません。私がするべきでしたね」
「いえいえ、婦長の仕事は先頭に立って働く事じゃなくてよ。先頭に立つのはともかく、まずは指示を出さないとね」
「はい、気をつけます」
フフフと笑いながらセッティングされたテーブルへ向かい椅子を引いてアリスとポールの到着を待つカナ。
やや有って書類の束と図面を広げ真剣に話をするマサミとアリスが外からやってきた。
「だから、こっちの沢のほうが底が浅い筈です。丘を削るならこっちを埋めたほうが早い」
「なるほどね。でも、削ったところで泥よ?作物は育たない気がするけど」
「裏山の雑木林から腐葉土を運び込み、定着させます。2シーズン目には豊作確定です」
「・・・・あとでフェルおじさんのところへ行きましょう。人手を借りたほうが早そうね」
雪が融け切る前に次の一手を決めておくのも重要な案件だろうか。
話しは尽きないのだがお茶の待つテーブルへ来ればとりあえず一旦中断だ。
アリスを椅子に座らせたマサミはその隣へカナを座らせると、一人立ってポールを待っていた。
「マサミ、あなたも座ったら?」
「いや、そう言うわけには。仮にも私は執事ですからね」
ニッと笑うマサミの笑顔にカナも笑い出す。
「座ると途端に眠くなるから立ってるんでしょ?」
「それを言うなよ。格好付けてるんだからさ」
アハハ!と笑いながら過ごしているとポールがユウジをつれて部屋へとやってきた。
「スマンスマン、遅くなった」
「申し訳ありません。ちょっと手間取りまして」
多段管制射撃の戦術理論講習を行っていたユウジの講義には、この地域に展開するイヌの国軍の士官級が勢ぞろいしていたようだ。
銃火器による様々な局面での戦術と戦略。
騎兵による白刃突撃と集団密集魔法戦闘を好むイヌの国軍の次なる近代化は、案外この辺がスタートラインなのかもしれない。
「ところで、今日はラムゼン商会から荷物が来る日では?」
「あ、そうだ!。私も忘れてました。今日は納品日ですね。ユウジさん、いつもすいません」
皆が席に着いたところでマサミが最後に腰を下ろす。
メルもキックもカイト老ですらも席へと腰掛けるとカナがそっと立ち上がり、皆にお茶を注いで歩いた。
干しガマズミの実を使ったフルーツタルトを切り分けお茶受けに配れば、楽しい午後のお茶の時間が始まる。
「カナの作るこのケーキは本当に美味しいわね」
「うむ、城下のケーキ職人が勉強に来たいと言うのも分かる気がするよ」
「それほどでもないですよ。もう少しお砂糖が使えれば良いんですけど、貴重品ですし」
実験的にビートから甜菜糖を作ってみたマサミだが、苦味のほうが強くて失敗作になってしまっていた。
何度か挑戦するうちにある程度は味を作る事が出来るようになったのだが、それでも大量生産するには不安定だ。
「もうちょっと研究するよ。そしたら甜菜糖で一儲けできる。天然の甜菜がそこらにいくらでも生えてるからね、ここには」
モシャモシャとタルトを頬張りながらマサミは外を指差した。
皆が笑いながら外を見ると、窓の外の遠くに空に浮かぶ一粒の点を見るのだった。
「あ、来たようです。皆さんそのままで。私が受け取ってきます」
一人席を外したカナが紅朱舘の裏手へとんで行った。
その後姿を見送るテーブルの一同。
「カナが楽しそうだと毎日が華やぐわね」
「アリス様にそう言っていただけるとありがたいです」
優しい笑みで見ているアリスとポール。
キックもメルも、カイト老ですらも笑ってみていた。
「皆さんお茶が冷めてしまいます。さぁ、続けましょう」
厭味にならぬよう控えめに切り出すカイト老の心配り。
実質的な執事としての心配りや振る舞いは、マサミにとって学ぶべき先達だった。
裏庭へと出たカナが空を見上げると、大きな翼を広げた翼竜が降下体勢になっていた。
ラムゼン商会のデリバリー部門は鳥類人が跨る翼竜だ。
使役される竜族の中にあって一際大きな翼と強い筋力を持つ中型翼竜種。
同じ一頭でも馬のおよそ3倍の量を馬の5倍の速度で届けられる翼竜のネットワーク。
この世界の物流において魔法転送を除けば最も早く確実な流通手段といえる。
「ちゃ~っす! まいどぉ~! いつもお世話んなりや~す!」
「寒いところをおつかれさま!」
ドスンと地響きを立てて着陸する翼竜。
「商」の大きな染め抜きが映える黒半纏を着込んでいるのはワシかタカの鳥類人だろうか。
背なの翼に挟まれるように背負ったその文字は、ラムゼン商会のトレードマークでもあった。
「あなたもお疲れ様。重かったでしょ?」
ゴロゴロと喉を鳴らす翼竜の顔は、傍から見れば恐ろしい竜そのものだ。
しかし、卵からかえった頃から鳥類人と一緒に寝起きして育てられた翼竜は馬と一緒だ。
カナの優しい手で喉を摩られると、目を細め甘える仕草をする。
「はい、あなたもお駄賃ね」
カナが籠から取り出したのは雪に埋めておいた大根やにんじんといった根菜類。
手渡しで餌を与えるのは噛付かれる危険が有ると言う事なので、地面において食べさせることが徹底されている。
土の上に大きくシートを敷いて野菜を山盛りにすると、翼竜はわき目も振らずにガツガツと食べ始める。
「こいつはホントに食意地が張ってるんですよ、婦長さんも気をつけておくんなさい」
「でも、野菜食じゃないんですか?」
「いやいや、肉も食いますよ。翼竜って言ったって、要するにワイバーンっすからね」
アハハハ!と笑う猛禽類系の顔立ちをした男はぺロリと舌を出して笑う。
「それこそ頭からガブリとやられるとトラやら獅子やらでも一撃っすから」
ちょっと驚く顔のカナをハハハ!と笑いつつ、その鳥類人はメッセンジャーバックから納品書を取り出した。
「納品チェックお願いします。えっと、拳銃弾3ケース」
「はい」
「ライフル弾4種10ケース」
「はい」
「大型弾丸2ケース」
「はい」
「砂糖10キロ、米20キロ」
「はい」
「えっと、これなんだろう?調味料って書いてありますが」
「多分お味噌ですね。前回の時にお願いした分です」
「あ、そうですか。それが1ケース」
「はい」
「あと、これは婦長さんの注文ですね。チョコレートブロック2キロ」
「あ、来た来た!楽しみにしてました」
「あと、こっちが領主様ご注文分ですね。開封厳禁と書いてありますから手渡し願います」
「はい」
「で、こっちが・・・・」
紙袋に入っているその荷物は軽いのだがやたらに嵩張っている。
不思議そうに伝票を見る鳥類人の男は首をかしげた。
「これ、なんですか?」
手渡されたカナが中を覗くと・・・・
「あぁ、これは・・・・ ヒト用の生理用品です。私たちはこういうのが必要なんですよ」
「あ、それは失礼しました」
「いえいえ。お気になさらず。私たちは毎月なんです」
「・・・・大変っすね」
さてと・・・・
荷物を受け取ると、今度はこっちから送る分になる。
送ると言ってもまだまだ産業が立ち行かないスキャッパーでは、僅かな農産物を馬匹輸送すれば事足りる。
しかし、銃弾各種や諸々の日用品をラムゼン商会から買ってる以上は支払い代わりの物を出さねばならない。
マサミが考えた手はブランデーだった。
幸い、スキャッパー周囲の山ではワインに適した山葡萄が豊富に取れ、ロッソム市民の貴重な食料ともなっている。
その山葡萄で作ったワインは安くて美味しいと評判なのだが、市場価格の低下はスキャッパーの収入にも影響を及ぼす。
ワインを捨てず、なおかつ価格を維持する手段として。また、来るウィスキー製造の為に蒸留技術を研究するため。
街の鍛冶屋と作った蒸留釜はワインを蒸留し、シンプルだが味わい深いブランデーを少量ながら生産していた。
そのブランデーの小さな樽を4つ。化膿止めに使われる薬草を干した物を少量。
香草代わりに使われる干しピートのブロックをおよそ20キロ。
この辺でワイバーンのペイロードは一杯だ。
最後に、ユウジの書いた報告書やマサミが書いたスキャッパーの事業計画に関する迂回投資の相談信書などなど。
その手の紙物類を渡すと、彼はカバンに納めてから翼を広げた。
「さて、ご利用ありがとうございました。また伺います。領主様によろしくお伝えください」
「はい、確かに承りました。お気をつけて」
颯爽とワイバーンへ跨った鳥類人の男は手綱をしごいて顔を起させると、風の吹く方へ向きを代え翼を広げさせた。
「ドウ!ハイヤ!」
およそ20メートル程の助走をつけて大きな翼をはためかせると、翼竜は空へと舞い上がる。
高性能VTOL機ですらなかなかこんな機動は出来まいと言う動きで上空へと羽ばたく姿に、カナは見とれていた。
紅朱館や聖導協会の建物に当たる風で起きるビル風と上昇気流を捕まえた翼竜は、ルカパヤン目掛け飛んでいく。
「カナ。お茶が冷めるから片付けは後にすれば?とりあえず入りなさいよ」
「あ、アリス様。でも、ちょっとだけ整理しておきます。あと、これはアリス様に」
アリス宛の荷物を手渡すカナ。
ブリーフケース大の書類入れをあけると、中から出てきたのは・・・・
「あれ?アリス様、そのチョコレートは?」
「これ?バレンタインであげるの。へん?」
「いや、そうでなくて。ル・ガルにもバレンタインの文化があるんですか?」
「あったりまえじゃな~い♪」
アハハと笑うアリス。カナは不思議そうに見ている。
「でも、ここには無かったわ。一昨年にね、マサミが教えてくれたの」
「そうなんですか」
荷物を整理し持っては入れるものは部屋へと運び込むカナ。
すぐにマサミが立ち上がってそれを受け取りにいく。
「俺を呼べよ」
「あ、そうね。気が付かなかった」
「まったく・・・・」
銃弾類をユウジへと渡したカナが一抱えも有る大きな袋を持っている。
ポールはクンクンと鼻を鳴らして確かめるのだが・・・・
「ん?カナ、中身はなんだ?匂いがわからない」
「あ、大成功!ポール様にもアリス様にもばれないように工夫してあります。まだ内緒です」
チョコレートの入った袋を抱えてニヤッと笑うカナ。
普段なら匂いで何でも確かめられるイヌ故だろうか、かなり怪訝な表情でポールは思案している。
「チョコレートの匂いがするんだが」
「それは私のこれね」
アリスは袋の中からチョコレートの入った袋を取り出す。
カナの袋から僅かに漏れていた匂いがアリスのチョコで誤魔化され、ポールは益々訝しげだ。
「カナ。危険物や劇毒物じゃないだろうな?」
「えぇ、もちろんです」
ニコリと笑ったカナが荷物をキッチンへと降ろした。
その姿をポールはジッと見ている。
「楽しみにしていてくださいね」
「あぁ・・・・」
再び席に着いたカナのカップへキックが暖かいお茶を注ぐ。
ふんわりと湯気の上がるお茶を飲みながらカナはずっとニコニコしていた。
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「んぁぁぁぁぁ!!!!! もう! 一言いってよ!」
「急にされると不安?」
2人分を抱えあげたマサミがベットの上にひっくり返った。
アリスの中に差し込まれたままのペニスがより深く押し込まれる。
騎乗位へと変わった体位の3人。
あの夜と同じように、カナはアリスを支えている。
「今夜は気持ちよくイッっていいよ」
「うん」
マサミの下腹部へ跨った女2人。
普段ならさすがに重いのだろうが、マサミは気にせずさらに突き上げている。
「あんっ、はぁっ・・・ぁんっ・・あああぁぁっっ」
「よし!反撃!」
アリスの身体を抱えていたカナの右手が離れ、太く逞しいマサミのペニスに貫かれる割れ目の前側をいじっている。
そして、左手はアリスの背中へ回され、尻尾の付け根辺りをグリグリとしごき始めた。
「か!か!か!かな!かな!かな! ダメ!ダメ!ダメ!ダメ! ぁぁぁぁあああああ!!!!かな! 尻尾だめぇ!!!」
「そっか ここが弱点ね♪」
「あぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!! ずるいぃぃぃぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
クチャックチャックチャックチャックチャックチャッ
なんとも淫猥な音を立てて暴れるベットの上。
僅かに浮き上がったカナの腰の隙間を狙ってマサミがそっと指を差し込んだ。
「あぁ・・・」
最初は中指だけ。
「んん!!!!! ぁあんっ!!!!」
「んぁぁぁぁぁ・・・・ ぁぁああああああ・・・・ あんっ・・・・」
一瞬の合間に薬指が加わる。
「ぁあんぁんぁんぁんんん!!! んだめぇぇ!!!」
「はぁっ・・あっ・・・ぁんっ・・あああぁぁっっ・・・・・」
ゼィゼィと肩で息をしながらマサミの努力が続いているのだが、その前にアリスが上り詰めたようだ。
抱きついていたカナをギュッと閉めこむと、カナの背骨がギュギュギュときしむ。
「イタッ!! イタイィィ!!!」
「かな!ごめ!ああぁぁぁぁ!!!!」
力を緩めたアリスの体がカナへともたれかかった。
完全に弛緩しきった体の重さに耐え切れず、カナはアリスごとマサミへ倒れこむ。
2人分の重さを受け止めたマサミがそのまま横へおろして二人を広げると、やおらカナの両足を抱きかかえて正常位で押し込んだ。
「カナ! いい? 出すよ!」
「うん」
クチャ!クチャ!クチャ!クチャ!クチャ!
声を上げる事も無く背骨をギューッと撓らせ快感の波に踊るカナ。
マサミの腰が一際強く押し込まれ、そのままの姿勢で固まっているのをアリスは見ていた・・・・
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荷物が届いた日の晩。
ポールが駐屯地へ向けて出かけて行ったあと。カナはキッチンでミートソースを煮始めた。
氷室から取り出したトマトをボイルしてからホールしてつぶしていく。
途端に紅朱館の中が青臭いトマト匂いで埋まっていくのだが、カナは気にせず作業を続けていた。
大きな鍋で潰したトマトに数種類の香草を入れ、いつもよりちょっと多めのシナモンを削るカナ。
だんだんと鼻を突く酸っぱい系の香りがあふれ出す。
イヌの鼻には辛いであろうコショウや、トラの国から取り寄せたガラムマサラを加えた鍋の香りは芳ばしい程だ。
最後に、二度挽きの挽肉を加え灰汁を取りながらグツグツと煮込めば、紅朱館のキッチンは良い匂いであふれ出す。
「カナ?何を作っているの?」
匂いに釣られてやってきたアリスがキッチンを覗くと、カナはこれ以上ない位ビックリして何かを隠した。
「あ、なっ 何でもないで・・・・す・・・・ ちょっと大目にミートソースを仕込んでおこうか・・・・と」
そんな仕草のカナをアリスは笑う。
「カナは本当に隠し事が出来ないのね」
「そんな事は・・・・」
「内緒にしてるから見せて♪」
キッチンへと入ってくるアリスだが、カナはまだ隠して見せない。
「ダメ?」
「あ、あの・・・・」
カナはとうとう観念したようだ。
「内緒ですよ?」
ガサリと音を立てて袋から出てきたのは、煉瓦のブロック程もある大きなチョコレートの塊だった。
鍋で煮られたミートソースの匂いでチョコレートの香りが消えている。
あふれ出すスパイスの香りは見事に香りを隠していた。
「なるほど。こう言う事ね。私達の鼻でも分からないんだから」
「これでも必死で考えたんですよ?絶対ばれないように」
「でも、こんなにあったらマサミが大変じゃない」
確かに、一人で食べるなら鼻血でも出そうな量だろう。
「ポールさまにもユウジさんにも用意します。それだけじゃなくて、カイトさんやフェルディナンドさまの分も。あと」
「あと?」
「アリス様にも」
「え?」
「バレンタインは男性に贈るだけじゃないんですよ。友人や恩人にも贈るものです」
「そうなんだ」
「ですから、私がアリス様に贈っても何ら問題ないですよね」
「なんで?」
「主へ贈るのは変な事ですか?」
ニコッと笑うカナの表情にアリスも笑わざるを得なかった。
溢れるほど幸せそうな顔で言われたら、『ありがとう』って言うしかないじゃないか。
この世界へやってきて何年経ったのだろうか。カナは初めて安心して毎日を過ごせる環境に来たのかもしれない。
「それにしても多くない?」
「多いですね」
「どうするの?」
「小さく分けて街の人に配ります。少しずつですが」
「それは良いアイディアね」
「えぇ。夫に聞いたんです。チョコレートなど口にした事も無い貧しい者が沢山いる筈だと」
ミートソースの鍋を焦げないようにかき混ぜながら、カナは鍋にお湯を沸かし小さな手鍋へチョコを砕いて入れると湯煎している。
少しずつ融けるチョコレートの匂いが僅かに漏れだしているが、それでもスパイス溢れるソースの匂いの方が強いようだ。
しばらく黙ってみていたアリスは何も言わずにカナから鍋をかき混ぜるヘラを取ると、鍋をかき混ぜ始めた。
「アリス様。それも私の仕事です」
「あなたが作るものは興味あるし、私も女よ。見ていたいから手伝うわね」
「でも!」
「良いから続けなさいよ。それとも・・・・ こんな夜は友達でいるほうが良いでしょ?」
つまり、命令させるなと言いたいのだろうか?
苦笑いしたカナがウンウンと頷いた。
「そうね。その通りね」
「そうよ」
大きな鍋の中でグツグツと煮えるソースが少しずつ目減りするに従い、ハートマークの形になったチョコレートが増えていく。
トロトロに融けたチョコレートを型に流し込んで作るそれは、まだまだ寒いスキャッパーの冷気で冷やされて良い形になっていた。
卵ほどのサイズになった立体的なハートマークに僅かなホワイトシュガーをまぶし、ガマズミの実を一つずつ載せて出来上がり。
今日の為に数日前からチマチマと作っておいた包装紙へ一個ずつ丁寧に包んでやれば完成だ。
1キロのチョコレートは200個ほどに膨れ上がり、カナは包装紙一個ずつに自分のサインを入れてトレーに並べた。
「アリス様、ありがとう御座います。おかげさまで完成です」
「こっちもそろそろ良さそうね」
「そうですね」
鍋の中身をザルで漉して煮出した肉屑やトマト屑を取り除くと、蓋をかけてカマドの隅へと動かし一晩遠火で暖めてやる作戦だ。
少しずつスパイスのきつい部分が馴染んでいき、最後の最後にもう一度挽肉を入れて火を通せば出来上がり。
「これでミートドリアを作りますね」
「じゃぁ、また米が要るわね」
「今日の昼間に届きましたから大丈夫でしょう。それともグラタンにしましょうか?」
「ドリアが良いな。美味しいから」
「はい、承りました」
キッチンの魔洸ランプを細くして出てきた二人。
アリスはカナを引き寄せて服に付いた匂いを確かめた。
「あ、これじゃダメね。着てるものを全部洗わないとポールにバレるわよ」
カナも自分の袖やエプロンの匂いを嗅いでみた。
「あ、ほんとだ。私にも分かるんですからポール様には」
「そうね・・・・」
自分の服の匂いを嗅いでいるカナを見ながら、アリスの頭にムクムクと悪戯の虫が這いだしてきた。
「カナ。昼間チョコレートを隠すときってどうやったの?」
「え?あ、いや・・・・ 種明かしが必要ですか?」
「うん、ちょっとね」
「えっと・・・・・
ゴニョゴニョと小声で秘密の種明かしをするカナ。
耳をそばだてて聞いていたアリスが思わずニヤリとする。
「なるほどね。それじゃぁ私達にも匂いがわからないわね」
「でも、どうするんですか?」
「あのね、どうせならと思って・・・・ まぁ良いわ。カナ、もう一度チョコレートを溶かす仕度してくれる?私のも溶かしちゃうから」
「あ、はい、すぐにやりますが・・・・」
ニヤリと笑うアリスの笑みはまるで、悪戯を思いついて準備する少年のようだ。
何となくやばい事になりそうな予感を感じつつ、カナもまた悪戯の片棒を担ぐ。
「アリス様。それ、絶対よく無い事ですよね?」
「たぶん・・・・ね」
カナもつられてニヤッと笑い、再びキッチンへと入ってカマドの火を強くしなおす。
最初は面食らったレンガピートのカマドは、その扱い方に慣れてくるとガス台より使いやすい印象だ。
強い火力を使えるこのキッチンは、料理好きなカナにとって天国とも言える環境なのだった。
「カナ、これ全部溶かして」
アリスが持ってきたチョコレートの板を全部湯煎して溶かしたカナ。
トロトロになった状態で鍋を揺すり液状化したチョコから浮き出てくる脂肪分をすくっている。
「アリス様、そろそろ良いようです」
「そう、じゃぁ、隠し味にこれを入れてくれる?」
「はい ・・・・・って、え゙?」
「い・い・か・ら♪」
小さな瓶の蓋を開けて中の液体をタラリタラリと少しだけ混ぜるアリス。
カナが青ざめて見つめるその瓶は、過日オオカミの酋長から預かった男向けの強力な媚薬だった。
「あ・・・・ アリス・・・・ さま? 本気ですか?」
ムフフフフフ・・・・・
口を手で隠すようにして嫌な笑い方のアリス。
キラキラ輝くような眼差しがカナを見てる。
「大丈夫! マサミはあなたが面倒見てね♪」
「ア、アリス様は?」
「私の旦那を搾り取るから だ・い・じょ・う・ぶ・♪」
「で! でも、これはあのオオカミの・・・・
慌てて抗議するカナの口へ人差し指を当てて、シーっと沈黙を求めるように言葉を封じたアリス。
「後でリコに聞いたの、これの使い方を」
「リコさんに?」
「そう。研究してたって言ってたでしょ?」
「えぇ」
過日、レーベンハイトを呼び出したアリスは薬の使い方について問いただした。
リコが言うには、オス用とメス用。二つの薬が対になっていて、それぞれの魔導術式が揃わないと発動しない仕組みらしい。
それぞれを単品で使えばそれほど危険性は無いと言うのだが、どうにも含みのある言い方がアリスは気になった。
更に問い詰めるアリスに対し、レーベンハイトは慎重に言葉を選びながら答えた。
それは、ごく稀なケースとして父母が同じ生物でも、さらに別種の子種が足されると霊魂の多重化現象が発生してしまうと言う。
つまりヒトの女と男がまぐわってさらにイヌでもネコでもオオカミでも、別の男が子種を注ぐと霊魂の多階層妊娠をするらしい。
その時に生まれてくる子は生物の形を成していない奇形か、さもなくば恐ろしい魔力を持った精神に障害を持つ存在。
または、一国の軍隊ですらも滅ぼしかねない生態兵器になるそうだ。
一頃、ネコの国で盛んに研究されたキメラ生物の出発点とも言われているそうだが、リコにも知らぬ事があると言う。
研究の途上でリコは個人的な信念と事情により研究を離脱したそうだ。
それ以後、あの国の暗部で何が行われていたのか、それを知る方法は無いと言う。
魂の多階層化とは何か。それが何を引き起こすのか。
アリスはどうしてもそれを知りたがったのだが、リコは最後まで黙して語らなかった。
―― アリス様、あの薬は熱を通して使いなさると良いでしょう。魔導結合効果が弱くなります。
―― むしろ熱を通して使うのが標準でしょうな。ある意味で下手な媚薬よりよほど強力で、しかも常習性がありません。
リコは終始一貫して奥歯に物の引っかかる話し方だった。
もっと何かを知っているはずだ。
それを問いただしたかったのだが、600歳近い人生のベテランは手強かった。
たかが100年にも満たないイヌの小娘など赤子の手をひねるように煙に巻かれてしまう。
「教えてくれないなら試してみれば良いじゃない。リコは言ったわ、スプーン一杯なら、まぁ死ぬ事は無いでしょうってね」
慎重な生き方のカナとは対極にあるその無鉄砲さぶりに、カナはいつも驚く。
しかし、今回だけはそれが常軌を逸脱してるとしか思えなかった。
「アリス様。あの、いくらなんでもそれは・・・・」
「リコが言う話しの肝心な部分は同じ生物って所だと思うのよ。だから」
「だから?」
「あなたはマサミと。私はポールと。それで良いでしょ?」
ニヤニヤしながら能天気に話すアリスを見ながら、カナは力無く笑うしか出来なかった。
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「カナは愛されてるね。本当に」
「ごめんね」
「謝っても仕方が無いじゃない。だってあなたはマサミの正妻なんだから。本来なら独り占めしてても良いはずなのに」
幸せそうな笑みを浮かべて横たわるカナと、ベットの上に座って見下ろしているアリス。
マサミはその隣でアリスの身体に付いた色んな液体の飛び汁を拭き取っていた。
綺麗に拭き清めた後で手ぬぐいをひっくり返し、今度はカナを綺麗に拭いているマサミ。
その手付きの滑らかで愛情溢れる姿は、アリスがちょっぴり嫉妬したところで罰も当たらぬものだろうか。
「そうだ! マサミ、あなたにもこれ」
アリスがベットサイドに置いてあったのは、アリスのサインが入ったチョコレートの包み。
「貰ってもよろしいのですか?」
「カナが良いって言ったらね。女房にヤキモチ焼かれると辛いでしょ?」
マサミが苦笑いしながらカナを見ると、カナはちょっと引きつった笑いだった。
「い・・・・ 良いんじゃ・・・ ない?」
「ほんとか?」
「・・・・う・・・・ うん・・・・」
そうかそうか。
ちょっと苦笑いしたマサミが包みをほどいて、袋の中からチョコレートを取り出した。
カナの作ったチョコレートに似ているけど、微妙にデザインの違うそのチョコレート。
丁寧に作られたそれは中が空洞になっていて、その中には少量のブランデーが入っていた。
「ブランデーボンボンですね」
ヒョイと口に入れてかみ締めるとチョコレートの間からブランデーが染み出てきて独特の味がする。
これは美味いなぁと呟いて2つ目も口に運んで食べてしまったマサミ。
アリスはちょっと離れたところから様子を伺っている。
「ヒック!!」
突然ひゃっくりが出だしたマサミ。
横隔膜が痙攣している。
「ヒック!」
「大丈夫?」
心配そうに覗き込むカナ。
マサミは優しく抱き寄せて笑みを浮かべている。
「ひっく! 変だな」
「マサミ、大丈夫なの?」
擦り寄ってきたアリスをも抱き寄せて両手に華のマサミ。
女2人が心配そうに覗き込むマサミの顔は、少しずつ赤みが差し始めた。
「酔ってる訳じゃないんだけどなぁ。おかしいな」
そのまましばらくジッとしていたマサミ。
しかし、左右のアリスとカナはマサミの呼吸が少しずつ荒くなっているのに気が付いた。
「マサミさん、どうした・・・・ の?」
「マサミ、へいき?」
「あ、あぁ、うん。問題ない」
いつもより深い呼吸が少しずつ荒くなっているマサミ。
ややあって、先ほどカナの中へ精を注いだマサミのペニスが再びムクリムクリと屹立しつつあるのにカナは気が付いた。
「マサミさん、どうしたの?」
そのペニスへカナはそっと触れた。
先ほどよりもさらに太く逞しく起き上がったペニス。
アリスもウットリとしながら手を伸ばす。
「なんか凄いわね」
指先でグリグリっと弄ると、粘っこい汁がタラリタラリと流れ始めている。
「あらあら」
そっと顔を近づけそのペニスへ舌を伸ばすアリス。
口に含むでもなく、そっと舌を這わせて半分だけ苛めている。
『カナもする?』
そう言わんばかりの目で見られると、カナもまた顔を近づけ反対側から舌を這わせた。
「ウッ! ウワァァァァ!!!!!」
ペニスの付け根から肛門まで、まるで高圧電流でも流れたかのようにビリビリとしているマサミ。
自分のペニス近くにある女2人の頭を抱えながら、刺激に耐えているマサミだが、もはや我慢も限界に近かった。
「アァッ!! ウッ!
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チョコレートを仕込んだ翌日。
夕暮れの空を見ながら紅朱舘へ帰ってきたポールは、屋敷の中が異様なムードになっているのに気が付いた。
街の住人へチョコレートを配ったと言うカナと、そのお礼にチョコレートを貰った家の女から届いた野菜やら果物やら牛乳やら、そんな食料の数々。
薪の束や大きな織物のロール、見事な絵画。そして、貴金属。
それほど多く施した訳ではないのに、チョコレートのお礼とバレンタイン文化の第一歩と言う事で、街の女達がポールとマサミにプレゼントしたようだ。
張り切ってプレゼントの整理をするカナの隣、マサミはその隣で頭を抱えていた。
「マサミ、これだけあればしばらく食うものには困るまい」
「だけどなぁ、これだけ貰うとお礼が・・・・」
「お礼?」
「ホワイトデーってのがあるんだよ、ヒトの文化には」
貰ったら御礼をする。
当たり前の話しなのだが、これだけ貰うとお礼が大変だ。
マサミはそれで困っていた。
「しかしマサミ。そもそも最初にプレゼントしたのはカナだ。その返礼なのだろう?」
「確かにそうだけどな。それでも、貰っておいて知らん顔は出来ないだろう」
「まぁ、それも正論だが」
生鮮産品とそうで無いものへ分別し終わったカナは、全体の量をメモすると何かを計算し始めた。
「ポール様? これだけあると街の人全員に食事を振舞えますね。春節祭の時に炊き出しをして暖かい物を食べさせましょう」
「・・・・うむ、それが良いな。名案だ。カナ、メニューを考えておいてくれ。アリス、どうだろうな?」
「良い案だけど、それまで持つかしら?」
「野菜類と牛乳は雪に埋めておきましょう。果物はジャムにしてしまうのが良いかと思います。穀類は保存食にも使えます」
「うむ、決まりだな」
ようやく上着を脱いだポール。
馬の鞍を受け取ったカイト老は馬屋へ消えていった。
2階の自室へと入ったポールが着替えながら振り返ると、テーブルの上に見つけたのは小さな包みのプレゼント。
片方にはカナ。もう片方にはアリスのサインが入っている。
「ほぉ、俺も貰って良いんだな?」
「お、そうか。アリス様とカナからか」
ポールの衣類を整理していたマサミもそれを見つけて笑う。
「どれ」
ポールは最初にカナの包みを開けた。
袋の中から香ってくるのは炒った茶葉の香り。
チョコレートの香りはまったくしない。
「ほほぉ、これは上手く考えたな」
小さな塊のチョコレートを取り出し一口で食べると、口の中に広がるのはチョコレートの甘みとガマズミの酸っぱい味。
シュガーパウダーの甘みが後を引くその味は、甘いものが高価なスキャッパーではたまらない逸品だろう。
「おぉ~これは美味い! お礼の品が来るわけだ」
フフン!と鼻を鳴らしてご機嫌なポール。
続いて妻アリスの用意したチョコレートの包みに手を掛けるのだが・・・・
『ポール様ぁ~ お食事の用意が整いましたぁ~』
階段の下からカナの声が聞こえる。
「あいつめ、下から呼びつけるとは何事だ・・・・」
「良いじゃないか。きっとチョコを食べてると思って邪魔したくなかったんだろう。気が利くな」
「そう言ってくれると助かる」
部屋着へと着替えたポールがマサミと階段を降りれば、今宵のディナーが待っている。
「カナ、すまんな。早速貰ったよ」
ご機嫌なポールがそう言うとカナは一瞬だけ口ごもった。
「あの、私の分だけ・・・・ですか?」
「あぁそうだ。アリスから貰った分は後で貰う。いや、実は食べようとしたんだが・・・・」
「その前に呼ばれたって訳さ。かな、下から主を呼びつけるのはどうかと思うぞ」
「あ、そうですね。大変失礼しました」
「まぁいいさ。それより食事だ」
カナはちょっと引きつって笑っているのだが、ポールもマサミも特に気にして無い風だ。
おどおどとするカナの表情にばれるか?と心配していたアリスも少し安心する。
カナがキックと運んできた今宵のメニューは、昨晩仕込んでいたミートソースのミートドリアが中心だ。
案外質素な食事ともいえるのだが、それでも実際この地域の供食事情から思えば豪華なメニューとも言える。
笑い声の混じる楽しい食卓。これこそアリスが最も望んでいたものかもしれない。
「軍団長!」
楽しい食事の時間を唐突に突き破ったのは駐屯地の伝令兵だった。
「どうした?」
「国境線付近で不審な集団が行動中との報告が入りました。各駐屯地に待機命令が発令されましたので至急お越しください!」
それだけ言い残し伝令兵は紅朱館を飛び出していった。
一瞬静まり返る紅朱館のホール。
あらら・・・・
目論見の外れたアリスがガッカリといった表情だ。
ポールもまた良い匂いのドリアがお預けになって憮然としている。
「またか・・・・くそ!」
「今月既に何回目かしら」
悪態をつくポールとアリス。マサミは冷静に手帖を取り出すとメモを読んだ。
「今月既に7回目ですね。何処の誰かは知りませんけど、迷惑な話です」
「まったくだ。俺に晩飯と女房のチョコをお預けさせるんだからな。随分と良い度胸じゃないか」
苦虫を噛み潰したようなポールは手元にあったワイングラスを一気に煽る。
ゲフッと一息吐くと、ドリアボウル一杯のミートドリアをガツガツと食べ始めた。
「行儀が悪くてスマンがこれは食べて行きたい。カナのこれは逸品だからな」
「でもどうせ、また捕まらないんでしょ?ゆっくりしてけば?」
「或いは、嫌がらせまがいの事が目的かもしれません」
核心を突いたかのようなカナの一言にポールは食事の手を止め何かを思案している。
「いずれにせよ。ポール様、どうかお気をつけて」
「あぁ、そうだな。どうせ今夜もカラ待機だろ。あぁ、まったく忌々しい」
ほんの数分で自分の割り当てを全部食べつくしたポール。
いつの間にかマサミはポールの軍装一式と馬の鞍を用意して待っていた。
「マサミ、スマンな。ここを頼む」
「あぁ、気をつけて」
「うむ」
忌々しいといった表情を浮かべつつ、ポールはファミリーを見回してから紅朱館を出て行った。
残ったものはアレコレと賊の正体を思案しつつ静かに食事を取る。
やがて来る嵐の前の静けさ。
不思議と上機嫌のアリスと、やや心配そうなカナ。
マサミは特に気にする風でもなく、淡々と食事をしているのだった。
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「アリス様? 夫と遊ぶのは構いませんが、それは私のです」
我慢ならず大爆発したマサミの精液がアリスの顔にべっチャリと張り付いていた。
カナはアリスの顔を押さえると、頬や鼻先に残る夫の精液を舐めている。
「カナはケチね、少しくらいくれても良いじゃない、ずるいよ、こんな良い男」
今度はアリスがカナの顔を押さえて額やこめかみに残っているマサミの精液を舐め取っている。
ぺロリと舐められたカナがアリスの顔へ急接近して、アリスの舌先へ自分の舌をくっ付けた。
「あ!横取りずるい!」
「だ~って私は正妻ですからぁ~♪」
アハハハハハと笑うカナとアリス。
初めはどうなるかと心配したマサミだが、2人の仲良く笑う姿に安心している。
だが。
安心ならぬのはマサミのペニスだ。
普段より多い発射をしたのだが、それでもまだまだビンビンだった。
「ねぇマサミ!」
アリスはベットサイドにあったポール用のチョコレートを取り出した。
「それはポールに・・・『また作れば良いよ!』
ちょっとノリノリになってるアリスが手に持ったチョコレートをギュッと握ると、手の熱で純チョコは溶け始める。
その溶けたチョコをアリスは何を思ったかカナの乳房にペトリと塗りつけた。
「アリス?」
「マサミ!舐めてぇ~!」
オイオイと笑うマサミは言われるままにカナの乳房へとむしゃぶりついた。
ジリジリと痺れるような刺激がカナに襲い掛かる。
カナはアリスの手に残っているチョコレートを手に取ると、アリスの乳房にもべチャリと塗りつけた。
「今度こっち!」
「ヘイヘイ」
まるで噛み付くんじゃないか?と思うような角度で襲い掛かったマサミ。
胸を突き出したアリスの豊かな乳房を綺麗に舐めながら、マサミは再び湧き上がる激情の波を必死に押さえようとしていた。
「さて、じゃぁ今度はぁ~ マサミに聞いてみよぉ~!」
アリスは手の上に残っているチョコレートをカナのクリトリスに塗りつけた。
「やったわねぇ!」
カナも手に付いているチョコレートでアリスに襲い掛かり、膨らんだクリトリスへ塗りつける。
「マサミ!どっちから襲う?」
「マサミさん、どっちが良い?」
ベットの上に膝立ちしたアリスが足を開いている。 その隣で同じような姿勢になったカナも足を開いた。
2人とも、茂みに囲われた割れ目の辺りがチョコレート色に染まり、なんとも言えない卑猥な姿だ。
「ねぇ!どっち?」
「そう!どっち?どっち?」
「当然私よね?」
「正妻の私よね?」
ムクムクと膨らんだペニスからビローンと垂れた粘っこい液体。
マサミはそれを見ながらやっと気が付いたようだ。
「ああぁぁぁぁぁ!!!!!! 一服盛ったなぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「私のカナのばれんたいーん!」
「で、どっちから食べるの?」
おぉぉぉぉぉ!!!!!!!!
獣の咆哮をあげて襲い掛かるマサミ。
2人まとめてドサリと押し倒し、両方の手を使って二人の女の胎内へ指を突っ込んでいる。
「まさみぃ~ 指じゃいやぁ~」
「私もぉ~ ねぇ~ あ・な・たぁ~」
階下の従者控え室。
ベットの上でウトウトしていたキックはミシリミシリと軋む梁の音で目を覚ました。
―― マサミさま、今夜は獣ですね。どうされたんでしょう・・・・
―― 結局、マサミ様にもポール様にもこのチョコ渡しそびれちゃったなぁ・・・・
―― 良いなぁ・・・・アリス様もカナさんも・・・・
深く布団を被りなおして寝に入る努力をするキック。
胸の奥底の一番深いところ、何かがジクジクと疼いているのをキックは感じていた。
「んんんんんんん!!!!! んぁぁああああああ!!!!! あはん!!! あぁぁぁぁ!」
「そりゃぁ! 行くぞ!」
「あぁぁ もう! ずるい!!」
「順番だからな!カナ!順番だからなぁ!覚悟しとけよぉ!」
弓なりに撓ったアリスの背中を抱えながら、一番深いところで大爆発するマサミのペニス。
大きく開けたマサミの口へ、チャンスとばかりアリスが残っていた媚薬入りチョコを放り込んで、蓋をするようにキスした。
逃げ場無く飲み込んでしまったマサミ。
アリスはにやりと笑う。
「まだまだ夜は長いわよぉ~
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ガチャリ
「ふぅ・・・・ またカラ待機だったよ」
疲れ果てた表情で朝食中の紅朱館へとポールは帰ってきた。
前夜の食事中からそのまま出て行って一睡もしてないのだろうか。
目の下にはクマが出来ていて、艶やかなはずの毛並みがくすんでいる。
「あら、ポール様。お食事は?」
「まだ食べてない。いやいや、すきっ腹だ。何か食わせてくれ」
「そうですか。風呂の支度も整ってますが。でも、実は夫が入りそうなので・・・・」
立ち上がったカナは優しい笑みを浮かべて階段を駆け上がっていった。
純白のエプロンを椅子にかけ、緋色のワンピース姿のままカナは動いている。
その隣。アリスは綺麗に着替えて食事待ちだった。
2人とも顔色良く、そして肌がツヤツヤしている。
―― ん?
「アリス、マサミはどうした?」
「え?あ・・・・ ちょっと・・・・ 調子が悪そうなんでまだ寝てるわよ」
「そうか、珍しい事もあるな」
楽しそうに答えるアリス。
不思議そうに見上げたポールの眼差しは階段へと注がれている。
カナが消えていった先に続く廊下の途中。
階段を下りていったアリスを見届け、マサミは自室のベッドの上で再びウツラウツラとし始めていた。
やがて、階下が賑やかになったと思うと、ポールの声が聞こえはじめる。
夢と現の間を漂っていたマサミ。
・・・・・・あぁ、待機は解除になったんだな、そうか・・・・・
「マサミさん、大丈夫?」
唐突に声を掛けてきたのはカナ。
妻の声にマサミの脳が再び覚醒する。
「・・・・カナ、大丈夫かぁ?」
「うん、平気よ。あなたからしっかり精気を貰ったから」
「おいおい」
「たっぷり注いでもらったから。そろそろ出来るかもね♪」
よっこいしょ!
そんな掛け声をかけて立ち上がったマサミ、手近な服を羽織って伸びをする。
ベットから起き上がって窓の外を見れば、既に太陽は随分な高さまで昇っている。
一夜の夢の残り香は、ボンヤリとした不安と共に部屋を漂っていた。
「ポール様がお戻りなんで食事にするけど、大丈夫?」
「あぁ、問題ない。でも、ちょっと臭いかな」
「うん、かなり臭い。私に分かるんだからポール様にはもろバレね。お風呂にすれば? 支度しといたから」
「・・・・あぁ、そうするよ。ありがとう」
フフンと楽しそうに笑うカナの笑顔にマサミは随分癒される。
「カナ」
「なに?」
「毎日楽しいな」
「うん」
僅かな会話と長い沈黙。
言葉に出来ない不安。
抱えきれない程の複雑な想い。
「さぁ行こう」
「うん」
廊下を歩けば階下からポールの声が聞こえてくる。
随分疲れた声だな・・・・
心配そうに階段を下りるマサミをポールが見上げていた。
カナをつれて階段を降りてきたマサミはげっそりとして頬がこけている。
無精髭はだらしなく伸びていて、寝癖だらけの頭だ。
「マサミ!大丈夫か!何処が悪いんだ?」
「あぁ、お帰りポール。いや、なんでもない。ちょっと・・・・疲れだな」
「・・・・そうか」
階段を下りてきたマサミから只ならぬ異臭がしている。
それはつまり、愛の営みと、そして、チョコレートの匂い。
昨夜もしっかりアリスに絞り取られたのか・・・・
嫉妬ではなく同情と憫哀に満ちたポールの眼差しがマサミに注がれる。
その眼差しの意味をよく分かっているマサミは、力無く笑っているだけだった。
「そうだ。カイト、その背嚢に荷物が入ってる。ちょっと出してくれ」
何かを思い出したようにカイト老を呼ぶポール。
僅かに頷いたカイト老が背嚢を縛っていた紐をほどいて中身を取り出した。
上等な包み紙で包装された小さな包みが姿を現す。
ポールはそれを持ちマサミに突き出して言った。
「駐屯地に挨拶に来たルハスの女達が元気印のチョコレートを持ってきたぞ。食べるか?」
アリスとカナはニコリと笑うのだが、マサミは『うぇぇぇぇ』っと嫌そうな表情を浮かべた。
そして、これ以上無い深いため息と共につぶやく。
「ありがとう。 でも、すまない チョコはしばらく・・・・ 見たくない・・・・・・」
外伝第3話 了