猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)内検索 / 「愛こそ全て」で検索した結果

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  • 愛こそ全て
    愛こそ全て   血婚礼闘―― 獅子の国の剣士、馬連と太院は恋人同士であったが、所属する道場同士の諍いから決闘を余儀なくされる。 試合前日、馬連が刺客に襲われ傷を負ったことを聞いた太院は、「手負いの相手に全力を出したとあっては武門の名折れ。血が足りぬなら、私のを使えばよい」と自らの血を抜き馬連に贈ったという。 話を聞いた双方の道場主は深く感銘を受けると共に自分たちの行いを反省し、以後諍いを起こすことは無かった。 チョコレートを恋人に贈る習慣は、太院が血を贈ったのを真似て製菓会社が大々的に宣伝したことに端を発すると言われている。 長年、バレンタインデーの起源は聖バレンタインの処刑された日と誤解されてきたが、馬連と太院の名から分かるとおり二人の結婚記念日という説が有力である。 「猫明書房刊 『年中行事に見る獅子国の故事』より抜粋」 猫というのはとにかくイベント好きである。 単に賑やかで刹那的な...
  • 僕の奴隷は愚鈍で困る 02
    僕の奴隷は愚鈍で困る 2話 「今日は君の部屋を作ろうと思う」  今年最後の朝。対面の少女が我が家に来てから急に味の良くなったコーヒーを流し込みながら、内心前々から決めていた予定を告げる。 「私の部屋、ですか」  お、反応したな。 「そうだ。いままでは客間で寝起きしてもらっていたが、いつまでもそういうわけにはいかないだろう。 一つ物置になっている部屋があるんだが、そこを片して使ってもらおうと考えていてね」  僕の書斎に入りきらない本やら資料やらを放り込んでいた部屋なのだが、長年の蓄積の結果やすやすと手をつけられない魔窟と化している。  この休みを丸々一日費やして、一気に決着をつけてしまおうというわけだ。 「ですが、私は奴隷です。部屋など」 「そのフレーズは禁止したぞユキカ。いいから手伝いなさい」  なんだかんだで年頃の女の子だ。本来部屋の一つも無くては色々と困るはずだろう。  ……なぜ普段...
  • 『桃源郷』へようこそ
    『桃源郷』へようこそ  ざわめく森。  木々の向こうから聞こえてくる怒声。  俺は、逃げていた。  何から? あの汚れた生き物たちからだ。  あいつらは、俺を捕まえ、奴隷にして売ろうとしている……。  『人身売買』  その概念は理解し、知っていたが、俺がその対象になるなんて、  元々暮らしていた世界にいたときには考えたこともなかった。  けれど残念ながら、今こうやって山の中で走っていることはまぎれもない事実だ。  こんなイカれた世界に迷い込み、もうどれくらい時が経ったのか。  逃亡に逃亡を重ねる日々だったせいか、あまり覚えていない。  なんてことのない普通の公立高校に入学し、青春のために用いられる時間を無為に費やし、  とある休日にたまには遠出で遊びに行こうか、と電車に乗ろうと駅までいったら、  プラットホームで不意に、こっちの世界に『落ち』た。  こちらの世界へやってきて、わけのわから...
  • 狗国見聞録04b
    狗国見聞録 第4話(中編)           ※     ※     ※     < 6 >     ※     ※     ※            ヒエクスの末の一柱が氏族、銀なる針の森のルクディアンサ。      マルコ・サイアスは、かつて存在したそのオオカミの氏族が一部族の末の王子だった。      本当の名は、ルン・ウパシノチウ・ルクディアンサ・ヒエクシノゥエ。      ……最早捨てた、誰も呼ぶ事のない名前ではあるが。      重斧を構えて疾走しながら、回転させる刃先から単発の火線を絶え間なく飛ばす。  反対側からはアイニィが、自分のジンに無数の礫を打たせているが。 (…くそったれが!)  やはりというか、いずれも一つとて当たらない。  ただでさえ音も空気も、表情さえ動かさずにちょこまか変則的に動くところに、  辛うじて射線上に捉えたと思った一撃も、おかしな軌道を描いて背後...
  • モテない王国小ネタ
    モテない王国小ネタ 俺は……弱者だった。 この世界に落ちてきて以来、奴隷としての時を過ごし、誰に必要とされることもなく生きてきた。 ただの道具として。ただの玩具として。ヒトとしての尊厳さえ、全てを捨てさせられた。 だが、もう違う。俺は力を手に入れた。 誰も逆らうことのできない、無敵の力を。 「フハハッハハーーーー!!!見ていろよ!俺を奴隷として扱ってきたバカ者ども!! 今度は貴様らが奴隷になる番だ!! 全ての種族の女をかき集めて!ハーレムを作ってやる!! そしてハーレム王国の王として、俺が君臨する!! 我が智と力の元に、全ての女は跪き、その股間を差し出すんだ!!!」 これからが、俺の戦いだ。俺はただひたすら、世界への復讐をしてやるんだ。 世界中の女を俺のものにしてやる。 そして世界中の無様な男どもよ。俺を羨むがいい。 今まで、性悪の雌豚どもの奴隷になっていた俺を、蔑んできた罰だ。 何処か...
  • 狗国見聞録04c
    狗国見聞録 第4話(後編)           ※     ※     ※     < 8 >     ※     ※     ※        周囲のあちこちで、パチパチとはぜる火。    どん、と地面に放り出されるという事はなく。  崩れ落ちる砂、蟻地獄の流砂に乗っかるような形で、あたしはずるずると、  崩れゆく土人形に座り込むような格好、地面へと降ろされつつあった。    あたしの視点からして見れば、雑巾の姿が揺らめき消えたと思ったら、  気がつけば崩れ落ちる鱗女の隣に佇むその姿があった、としか見えなくて。   ――ああ、でも。 ――問題なのはそこじゃあなく。      即座に踵を返した雑巾が、炎と死体と残骸の中。  何かを見回したと思ったら、おもむろに屈み込んで。    ……比較的使用と損傷が少ないと思われる、手ごろな両刃のロングソードを。     ――その瞬間、雑巾が何をするつも...
  • 犬国奇憚夢日記12g
     ~承前  静寂に包まれた王都城下の高級ホテル。  最上階にあるスイートルームは寝室だけで7つもある豪華な作りだった。  ル・ガルの各地に所領を持つ公爵家など、国内の超高階層にある者達にとっての常宿でもあるここは、様々に 『金儲け』を行えるホンの一握りの高所得者層だけの、いわば別世界でもあった。  王都の中でもかなり格式の高いホテル内のレストランから持ち込まれるルームサービスのディナーは、席に付 くだけで5トゥンを必要とする5つ星だけの事はある味だった。  飢える国内の末端状況など、全く関係ないと言わんばかりの豪華なメニュー。  一夜の寝床を得るだけで下手な公務員の一か月分程度の俸給額を要する、いわば、地獄の中に作られた有料天 国でもあった。 「へぇ・・・・ 驚きました」  席に着いた義三の眼前にあるのは、王都のダウンタウンで警邏部隊に喰...
  • 最高で最低の奴隷04
    最高で最低の奴隷Ⅱ 下劣な金儲け 第1話      広々とする荒れ地の中、ポツリと建築物が建っている。 その建築物は俗に砦と呼ばれる物だった。 高く堅牢な外壁は大砲の砲丸さえはじき返し歩兵を阻み、巨大な鉄扉は一度閉ざされれば何物も受け入れぬ鋼鉄の盾と化す。 拠点防御に置いて最高に有力で、最大に労力と手間と維持費が掛かる建築物。  それ程大きな物でなくても、小さな領地の一年分の収入を僅か一月で食い尽くす金食い虫。 その真新しい巨大な壁に穴が空く。 否、巨大なそれは穴ではない。 大人の虎人が余裕で通れる程の道、 堅牢さがその存在意義である外壁は、いとも容易く粉砕されその存在意義を否定される。 一瞬遅れて砲撃のような爆発音が響く。 それからは簡単だった。    次々と壁が粉砕されて開いていく道、そして一瞬遅れて響く砲撃音。 僅か十数秒で砦の壁は囓られたリンゴのような痛々しい姿を晒していた。 しか...
  • 狗国見聞録06a
    狗国見聞録 第6話(前編)      それは不思議な音程と韻律だった         「イグナ・ロデ・アダマ アダマ・エクサ・メタリカ メタリカ・ウル・ハイドレ       ハイドレ・リザリス・シルフェ エト・エルア シルフェ・セルケ・イグナ リダーン」    鼓膜を打った意味不明の言葉が、だけど頭の中に直接『理解』として流れ込んでくる。         《"か"もえて"ど"をうみ "ど"うちに"ごん"をふくみ "ごん"おもてに"すい"をはり       "すい"のぼりて"ふう"をなし そして"ふう"あおりつよむは"か"のりゅうせい》    歌と踊り、言霊と舞踏、世界の法則すら書き換えてのける...
  • 狗国見聞録05c
    狗国見聞録 第5話(後編)           ※     ※     ※     < 5 >     ※     ※     ※        あまりに大きな轟音を聞いた時、人の耳は静寂を前にしたのと同じ状態になるらしい。       ――無音 ――冷たい    あたしは死んだんだろうかと。  鉛のように鈍重な意識、もう裸同然、節々に痛む体に思って。   ――『節々に痛む体』?       「はは…」    ぐっと力を『瞼』に込めて持ち上げてみるのと、その声が聞こえてくるのとは同時だった。   「ははははははははははははははは!!」  痛む頭にいちいち響く哄笑。  開けた眼前に広がるのは…、……信じられない光景。 「これだから! これだからお前達はボクを飽きさせない! 楽しませてくれる!!」  あたし達のいる場所を中心として、頼りにならぬ目測に、はたして半径、100mか200mか。  積...
  • 最高で最低の奴隷14
    最高で最低の奴隷Ⅳ 歪みし忠節 序章(中編)     それは、金属の箱だった。 直方体の巨大な金属塊がいくつも連結しており、それが広大な地下道を疾走している。 しかし、魔法金属を何層にも重ね複合させた装甲面は虹色に輝き、その表面には一流の職人達が何人も協力して作り上げた精緻な装飾が施されていた。 箱は箱でも、それは見る者に宝石箱のような印象を抱かせる程豪華絢爛な箱だ。 その箱が、下に付いた車輪を回しレールの上を疾走している。 『鋼の処女』の名を冠するその箱の正体は、白虎総合商社が大陸中に誇る乗り物にして、その主要産業の一つである鉄道を支える電動機関車の一つだ。 国と国を繋ぐ交通手段が貧弱なこの世界において、白虎総合商社が作り上げたこの国外直通鉄道網は正に金の卵を産むダチョウの集団である。 大陸の端から端までを繋ぐ鉄道網は、長距離大量運輸をほぼ独占し、それこそ国家予算レベルの利益を各国から吸...
  • 共通基本設定まとめ
    共通基本設定まとめ 世界観 ここは人間の住む世界とはちょっと違う、ケモノ達の住む世界です。 周りを見渡せば、そこらじゅうに猫耳・犬耳・etc。 一方人間はというと、時々人間界から迷い込んで(落ちて)来る程度で数も少なく、 希少価値も高い事から、貴族の召使いとして重宝がられる事が多かったり少なかったりします。 けど、微妙にヒエラルキーの下の方にいるヒトの中にも、例えば猫耳のお姫様に拾われて 『元の世界に帰る方法は知らないにゃ。知っていても絶対帰さないにゃあ……』 なんて言われて押し倒され、エロエロどろどろ、けっこうラブラブ、 時折ハートフルな毎日を過ごすことを強要される者もいるわけで……。 このスレッドは、こんな感じのヒト召使いと、こんな感じのケモノ耳のご主人様との、 あんな毎日やそんな毎日を描いたオリジナルSSを投下するスレです。 獣人 基本的にど...
  • 狗国見聞録05a
    狗国見聞録 第5話(前編)      ――いかに沢山の矢が束になって【賢者】に射られようとも、それはさして問題ではない。  なぜなら【賢者】は誰にも射抜かれないからである。    ――【賢者】は、一般人が恥とか哀れとか思うような事柄は何一つ顧慮しない。  彼は民衆の行く道を行かず、ちょうど諸々の星々が天空の反対の軌道を運行するように、  万人の意見に反して、ただの独りでも歩んで行く事ができる。    ――【賢者】以外の全ての人間には熟慮などなく、故に真理の存在余地はない。  あるのはただ欺瞞であり、反逆であり、精神の錯乱した衝動……すなわち幻影でしかなく、  よって【賢者】はこれらを偶発事項のうちに数え、寛大な慈笑でもって相対する。    ――他人からの軽蔑以上に酷いものはないと思うのは、心の弱さであり貧しさだ。  【賢者】はそれを知るが故に、軽蔑を意に介さず、むしろ笑う事でもってそれらに...
  • 俺とクゥ
    俺とクゥ 夕暮れ・・・ 半袖にマフラーの少年が呟く 「・・・・楽しくねぇな・・。」 意味のない宿題も、話を聞かない教師も、ファッションとしてのマフラーを否定するやつらも、彼は嫌いだった。 『意味のある勉強をさせてくれ、人の話を聞いてくれ、マフラー流行ってたんじゃねぇのか?少し標準とズレたらこれか・・』 黒髪が耳とうなじをくすぐる、ワックスいらずのツンツン髪。1人の人間というよりも大量の制服がアスファルトの上を歩いている。高校・・世の中という1つの生き物。 その生き物のカケラが、鋭い犬歯を限界まで見せ、幼なさの残る目を見開き、しかし誰にも気づかれぬまま陽炎の中に消えた。 気がつくと森の中に居た。体はだるくて起き上がれないし、まだ目が開かないから確かめたわけじゃないが木の匂いがするから多分森の中だ。一度だけ森の中に入ったことがあるからなんとなく分かる。 あとは・・・水が流れる音が聞...
  • 昨日よりも、明日よりも プロローグ
    昨日よりも、明日よりも プロローグ    路地裏を青年が小走りに駆けていた。  耳もなければ尻尾もない。  ヒトだ。  肩には狐の耳と一本の尻尾を備えた女性を前後逆に担いでいる。  まるで人攫いか何かのようだが、女性は何やらこの状況を楽しんでいるようで、その犬や猫に比べて遥かにふわふわとした尻尾もぱたぱたと左右に振られていた。 「おい、主人」 「ん。なんじゃ奴隷?」 「何故こうなる?」 「ふむ…まあ待て。今思い出しとる最中じゃ」  数分前、彼らは表通り(とは言え今いる路地裏と比べれば多少は表と言える程度ではあるが)で乱闘騒ぎに関わった。  関わったと言うよりもその中心人物だった。  更に言えば乱闘の原因は今現在青年の肩に担がれている狐主人の朱風(あけかぜ)であり、参加者かつ勝者は朱風を担いでいるヒト奴隷のカルトだった。  相手の方が多勢で明らかにゴロツキだったとは言え、ヒト奴隷が乱闘騒ぎを...
  • 春のこちむい祭
    春のこちむい祭り  やあ (´・ω・`)    ようこそ、バーボンハウスへ。    このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。    うん、「また」なんだ。済まない。    仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。    でも、このお知らせを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない    「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。    殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい    そう思って、このSSを書いたんだ。    じゃあ、注文を聞こうか。 昔まだ地球に居た頃、春というのは何となく心躍る季節であったように思う。 冬が明けて寒さが和らぎ、日は長くなり、色とりどりの花は咲き、様々な動物が冬眠から還ったり新しく子を産んだりする。 まあ、全てが全てめでたいというわけでもなかっただろうが、何せ遠い記憶の中の話であり、この歳になって思い出...
  • 犬国奇憚夢日記12a
     ル・ガル南部最大の建築物として、その威容を誇る聖導協会の大聖堂と対峙する様にそびえるスロゥチャイム家の本拠、紅朱館。  栄えるスキャッパー地方の象徴として機能するこの巨大な建造物は、それ自体が一つの観光スポットとなっている。  そして、春の陽気になり始めたこの地方に観光客を呼び込むもう一つのコンテンツが、紅朱館まえから続く大通りにあった。  かつてトラの国を旅したマサミとカナが持ち帰ったのは、ヒトの世界の桜に良く似ている花樹の苗木。  根付いて次の花を咲かせ始めた頃から、ロッソムの街の至る所で春を迎える頃合を美しく彩る風物詩になっていた。  それだけでなく、いつの間にかこの地方の春の観光風物として秋の収穫祭と共に大層な評判を呼ぶようになっている。  見事に続く桜並木は大通りを挟んでトンネル状に枝を伸ばし、実に500本余を数えるほどに育っていた。早くも散り始め...
  • 小さな龍と猫の姫 三話
    小さな龍と猫の姫 三話  眼が覚めて、ぼんやりとしたまま目の前にあるものを意識した。  蒼玉色の瞳に、淡い紫の髪。恐ろしいほどに整った女性の顔。  孔龍は、幾度か瞬きをして自分の頭が回転し始めるのを待った。全身がまだ、まどろみに包まれたように気だるい。ぼんやりと、上にある顔を見上げていると、女がにっこりと笑った。 「おはよう、異邦人君。私の言葉が通じるかな?」  問いかける言葉は、男性的な響きをしていた。なのに声音は鈴を転がしたような澄んだもの。 「……」  孔龍は、目覚めのぼんやりとした感覚を頭から振り落とすように頷いた。「十全だ」と頷く姿は、どこをどう見ても年頃の少女――それも極めて美しい――にしか見えない。  描いたような細く優美な眉に、宝石のような青い瞳。微かな紫色の混ざった長い銀髪は、纏めることもなく流すままにしている。彼女が身じろぎをするたび、髪の末端が優雅に踊った。身に纏っ...
  • 狗国見聞録06b
    狗国見聞録 第6話(後編)           ※     ※     ※     < 5 >     ※     ※     ※             対生物用究極攻撃魔法、インプロージョン《内裂》。       ディンスレイフが編み出した魔法の中で、最も強く。…そうして最も、つまらぬ魔法。         ──最も強く強力な、破壊と殺傷の為の魔法とは?       男の魔法使いなら誰もが一度は夢見るコンセプトに囚われたのが70を過ぎた頃。       以来彼なりに研究を重ね、改善を重ね、修行と研鑽と熟練を積み、       そうして100年近い年月を掛けて磨き上げた、一つの魔法の究極的に極まった形。         一から自分用にカスタムして術式を構築し、余分な物を極限まで削ぎ落として。       天才たる彼のこの魔力のパワー(力)とテクニック(技)とアモウント(量)、      ...
  • ブタと真珠様 二話
    ブタと真珠様 二話 「い…いきなりぶつ事ないじゃないかよう!」  ブヒブヒと鼻を鳴らしながら、豚男は涙ながらに抗議している。  状況を忘れてぽかんとその顔を見た。――泣いている。豚が。喋るのに合わせてぱくぱくと口が動いている。  どうやら被り物ではないらしい。正真正銘これが奴の頭部なのだ。CG映画か、漫画の中か、まさに幼いころ読んだ『三匹の子ぶた』を彷彿とさせる姿。 「何だお前は!!!?」 「おまえこそ何だよお! ヒトの癖にぃ!」  これは夢だろうか。夢ならば全て説明がつくのだが、ではいつのまに眠ってしまったというのだろう。  それに、どこまでが夢? まさか中野さんとのプレイから?  しかし五感のすべてを研ぎ澄ましても、今ここで起こっていることは全て現実であるようにしか思えないのである。  依然としてポーカーフェイスを保ちつつ、内心では非常に焦っていた。  なぜなら、中野さんは従順な奴隷...
  • 狗国見聞録07b
    狗国見聞録 第7話(後編)           ※     ※     ※     < 5 >     ※     ※     ※       ──むかしむかし、今から2000年以上も前の、遠いむかし。   その頃の世界では、『魔法』は今みたいに万人に広く開かれた物ではありませんでした。 『機械』や『魔法科学』、『魔洸』なんて便利なものは、勿論ありません。 民が火を起こそうと思うなら何度も火打石を鳴らさなければならず、 あるいは苦労して木と木を擦り合わせなければならなかった、そんないにしえの時代。 ……そうして『魔法』が、最も力を持っていた時代です。   無限の野があり、高き山々があり、果てなき草原が広がり、深い森が広がり。 国はそれほど大きな力は持たず、村は山間に、町は野に城壁に囲まれて点々と点在し。 …そうしてそこに、『本物の魔法使い』と『本物の魔女』がいたのでした。   そこには「早...
  • 国家まとめ
    国家まとめ 世界観 種族ではなく、国家(&都市&市町村&地方領地)に関してのまとめ 国家 国家形態 位置 気候風土 国力 主要産業&名物 備考 ネコの国 王政独裁 扇の要 四季豊か 富裕 商業 工業 魔法科学 商業大国 イヌの国 王政封建 中央部 冷涼荒野 貧困 農業 魔剣 加工産業 軍事大国 ヘビの国 戦国状態 南西部 乾燥砂漠 質素 遊牧 絨毯 砂海特産 旧帝国領 カモシカの国 内乱状態 西部 山岳高地 疲弊 金鉱 銀鉱 精進料理 陸の孤島 オオカミの国 部族合同 北部 冷涼山森 並 鉄鉱 石炭 鍛冶製鉄 中央と辺境 キツネの国 議会共和 東部 四季豊か 並 観光 伝統工芸 女権国家 トラの国 王政封建 南東部 多様 豊か 農業 酪農 遺物発掘 農業大国 ウサギの国 王政協賛 極北 年中吹雪 豊か 細工 果樹 性活産業 魔法大国 ネズミの国 議会王政 南東部 温暖湿潤...
  • 万獣の詩01a
    万獣の詩 ~猫井社員北へ往く~ 第1話(前編)     =─<Chapter 1『C.E.S.』in>───────────────────────‐=      音封石への魔力注入を一旦切る。  …この先を求めてインタビューを続けるべきか、一瞬迷ったからだ。  確かに僕はジャーナリストだけど、それでも他人の、  それも一個人が密かに胸の内に秘めた秘密や過去の過ちを暴き立てて喜ぶほど  性根の卑しいイヌではないと自覚しているつもりだった。  でも――   「あの……」 「あらあら、構いませんわ」 「そうそう、僕達の事をよく分かってもらう為のインタビューなんだしね」  ――当の本人達にニコニコと笑って許可を出されては、  人々に真実を伝えるジャーナリストとして、もう目を逸らす事は僕にはできない。    音封石への魔力注入を再開しながら、意を決して核心をつく質問を放ち、 「ではその、奥さんが今...
  • こちむいⅡあしたあえたら02
    こちむいⅡ 明日会えたらⅠ 第2話      王宮、謁見室。不本意ながら、玉座でのトラブルだったために王女預かり となってしまったのだ。もはや穏便に済ます事が出来ず、火のように 言い争う二人の姫君。  「貴女の召使いが性悪なのが全ての原因ですわ!! 」  ミルフィ姫が足を踏み鳴らさんばかりに飛び跳ね、エキサイトして腰に 『ザン』と手を当てて言えば、一呼吸遅れて、『ブルン』と跳ね上がった胸が 落ちてきた。その後ろに控えているのは無表情のソラヤ。  「何を言うか・・・手クセの悪い第一王女どのの召使いをたしなめて やっただけではないか」  せせら笑い、青い前髪をかきあげて優雅に言い放つエイディア。すらりと した手足といい、アンニュイな雰囲気はスーパーモデルもかくやというもの。 前髪で隠れていた右目には黒のエナメルのアイパッチがつけてある。なんと この姫様は隻眼なのだ。そのお館様の背後で炎のように...
  • 万獣の詩01b
    万獣の詩 ~猫井社員、北へ往く~ 第1話(後編)     =― 1-7 the bell of closing time 5th day PM5 00 ─────────────=      ――――ラーー……ン……    ――――ローー……ン……              ――――ラーー……ン……    ――――ローー……ン……      ふと、鈍い、鈍い重低音が聞こえてくる。    この街に来た最初の日こそ正体不明で違和感の対象だったけど、  もう滞在五日目となれば、いい加減馴染みも深いもの。      ――――ラーー……ン……    ――――ローー……ン……              ――――ラーー……ン……    ――――ローー……ン……      兎の王城の敷地内、大聖堂の鐘楼にて鳴らされる、国で一番大きな鐘の金属音。  鐘のくせに「カンコン」とか「カラーンコローン」...
  • 魔法少女ホーネットべすぺ04
    魔法少女ホーネットべすぺ 第4話     ニ日の間はまだ良かったのだ。 あの戦いで見せた貫禄は、姉として、主人としては十分なものだったから。 二日くらいは、べすぱとしても姉の看護をするのに文句も何もなかった。 が、べすぺが回復してきて、戦いの余韻も収まってくると――これである。   「さて。そろそろ姉様の容態も回復したようですから、トール様は貰っていきますわよ」 「はぁ?」 毒が抜けたのを確認するために、べすぺが軽く運動をしていたところにこの台詞である。 さしもの魔法少女もこれには唖然としたものだ。 「ですから。トール様も、もう姉様の看病をする必要はなくなったということでしょう?  それならもう手も離れるでしょうから。わたくしが頂いてもよろしいですわよね」 「……あんたねぇ。負けを認めたんじゃなかったの?」 「ただ一戦の敗北で、何もかもが決まるものではないでしょう。  むしろ何度敗北しよう...
  • 短編SS一覧(メイン)
    最終更新日 : 2014年12月30日02時12分06秒 青字以外は全て何らかの形で性的描写・官能表現・18禁要素を伴います。 必然的に「猫耳(少女&少年)」「獣人(ケモ)」「人外」属性の作品がほとんどです。 □ 読切 中編 : 20KB~の長い読み切り作品 □ 短編 掌編 : ~19KBの短い読み切り作品 □ ネタ100% : ひょっとしなくてもギャグ 赤字 : ♂×♂、♀×♀等の同性愛要素を含む 青字 : 非エロ作品 □ 読切 中編 初出 メイン 作者(敬称略) =文量= 狼耳モノ@辺境(仮題) 初版 3=78 オオカミ - 24KB 狼耳モノ@辺境(仮題) 改版 5=60 オオカミ - 41KB 狐耳っ子と剣術少女 6=21 キツネ♂ カモシカ担当 32KB 時の最果て 9=561 人魚 - 20KB 『桃源郷』へようこそ 10=12 ガゼル キュンキ...
  • 万獣の詩外伝02
    万獣の詩外伝  MONOGURUI 002     □ 猫♂(赤猫) チーフカメラマン    Age:63(640)  Height:170cm  Weight:75kg Eye.C:gold Fur.C:vermilion red □ 鷹♂(白鷹) カメラマン    Age:35(160)  Height:190cm  Weight:85kg Eye.C:black Feather.C:white      猫井の子らにも休日はある。 「ヘイ彼女!」 「お茶しませんかー?」  イヌの国ル・ガルはその王都、ソティス。  ラフな出で立ちで夏の繁華街に立つのは、己のリビドーに正直な二名の男。  わざわざ二人徒党を組み、なるべく相手も二人連れを選んで声を掛けるのは、  多対多を装いハント対象の警戒感を少しでも解きほぐす為。  1on1ではなく、2on2ないし3on3の状況下を作り出す事は、ナンパ...
  • 狗国見聞録07a
    狗国見聞録 第7話(前編)     イヌの国の伝承説話の一節に、【ティンダロス】と呼ばれる魔犬が登場する。   創世の時、世界が「過去」と「未来」に分けられる――すなわち時間の流れが始まる前。 まず「浄」と「不浄」に分けられた世界の中で、不浄の側、 汚泥の中より立ち上がった、イヌに似た姿の四足の生き物として、御伽話の中には登場する。 彼らの母は原初の不浄そのものであり、故に彼ら自身「汚れの化身」と見なされる事が多い。   性格は貪欲にして獰猛、粘着質で極めてしつこい、ストーカーの代名詞のごとき性情。 汚れた空に映る、眺める事しか出来ない「清浄の世界」の全ての生き物達を憎み、妬み、 また全ての「美しさ」「清らかさ」「生の気配」に常に飢え、乾き、ゆえに敵意を抱き、 ギラギラとした瞳に憎悪と呪詛を浮かべながら、今日も泥濘の中を這い彷徨うのだと言う。   伝承の中で担うのは、時越えの【禁忌】を侵し...
  • 最高で最低の奴隷07
    最高で最低の奴隷Ⅲ 嘲笑われた常識 第1話     「つまり、この電磁加速砲と言うのは、今までの火薬の爆発によって弾丸を飛ばしていた従来の銃などとは違い、磁力によって弾丸を飛ばすんです」 瓶底の厚いメガネを掛けた猫の少女の言葉に従い、中空に映し出された立体映像が筒型の兵器を映し出している。 「利点としては、弾丸の速度を上げるために通常なら火薬を増量し、その増量に伴う爆発力に耐えられる強度や銃の口径の増加などが必須となっていた訳ですが、電磁加速砲はそれらの束縛から解放されたという事です」 グラフと映像に注釈が加えられ細分化される。 「これにより、発射速度が指数関数的に増大し、全体の軽量化にも成功しました」 猫少女の言葉に反応するように次々グラフや数式が映し出され、立体映像の上に重ねられる。 「攻撃力も、貫通力という点に置いては従来の中で最高の物です。エネルギー消費量が多いという欠点もあります...
  • 万獣の詩02a
    万獣の詩 ~猫井社員、北へ往く~ 第2話(前編)     =─<Chapter 2 『Q.E.D.』in>───────────────────────‐=      ――【ホテル・アリアンロッド】。  アトシャーマという街の中でも比較的中央に所在を構えた、  ウサギの国でも数少ない外国人用の宿泊施設である。    ホテル名がやや安直な事この上ないように思えるかも知れないが、  これは経営管理しているのがアリアンロッド家の分家だからという  単純な事実に則して付けられたものであり、  経営者側にネームバリューを利用しようなどといった他意は存在していない。    ……というか、ここしかホテルがない。  旅館民宿その他を含め、この建物だけがこの国唯一の通常宿泊施設。    貴人公人のための迎賓館はあるようなのだが、  そういった所に泊まるのは各国の王家筋名家筋、または領主様ご一行といった、  ...
  • 狗国見聞録04a
    狗国見聞録 第4話(前半)           ※     ※     ※     < 1 >     ※     ※     ※        体格とあそこのデカさというのが、少なからず比例するのかどうかは知らないが。 「しゃぶりな」  ムッとするような不快な匂いと共に、あたしの目の前に突きつけられるのは、  どす黒い先端部分を残して深い剛毛に覆われた、グロテスクな肉の棒。    実物を見るのが二度目でも、間近で見るのは初めてで。  あたしの腕くらいはありそうなそれは、昔保健体育の教科書などで見た物と違い、  なまじ毛で覆われているだけあって、余計に凶悪な代物に見えた。   「…聞こえなかったか? 口を大きく開けて、しゃぶって見せなってんだ」  まるで聞き分けの悪い子供を宥めるような、優しさすら滲ませる猫なで声に、  だけど半ば強引に、その汚い物をぐりぐりと顔に押し付けられたって。  …...
  • 木登りと朱いピューマ07
    木登りと朱いピューマ 第7話     ------------------------------------------------------------------------------------------                   ~   7   ~ ------------------------------------------------------------------------------------------     「サヤ・ピスカ・ピュマーラ、陛下の娘が参内いたしました」  入り口に垂れ下がる幕の向うに朱奈が言う。  一拍の間の後、彼女はその幕をくぐり、  俺も道中で言われたとおりの作法で、左右に振れる尻尾に着いて歩き出した。  広い板間の中央まで進み、設けられた円形のクッションのようなものに俺たちは着座した。 「よくぞ参った、妾が娘」  前面...
  • 土の恵み プロローグ
      土の恵み プロローグ  土のにおいが嫌いだった。  湿った土、乾いた土、腐葉土。化学肥料にまみれた土、牛糞を混ぜた土、粘土質の泥。  何もかもが嫌いだ。アニキは好きだっていうけど、オレは嫌いだ。大っ嫌いだった。  だから、逃げ出してやった。何もかも捨てるつもりで。    そして、オレは全てを失った。      ※      太陽は既に風車小屋の翼を逃れ、遠く見える山々に向けて傾き始めていた。青い空の下、影は徐々にその長さを伸ばし始める。 「もうこんな時間か。おーいガキども、メシにすっぞー!」  オレがそう呼びかけても、ガキどもはひとりも姿を現そうとしない。そうまでしてオレに見つけて欲しいか、おい。 「タリィな、ったくよぉ」  ガリガリと髪を掻きむしりながらオレはひとつ盛大にため息を落とした。こいつらにメシ食わせねえと親御さんたちに怒られるのはオレなんだぞ、全くよぉ。  好かれてる? ...
  • 万獣の詩外伝01
    万獣の詩外伝  MONOGURUI 001      兎国アトシャーマがネコ以上に魔道に優れての魔法大国の名を貰いながら、  ネコやイヌと比べて遥かにその名や姿を他国で見かけないのは、  大国の様態にあるまじき色狂いぶりと引き篭もりぶりを咎められての事である。    世に出回るウサギの淫乱伝説は数多く、  「出会って即押し倒した」とか「種族レベルでホモレズアナルが当たり前」等あるが、  それらは全て噂や俗説であり、事実である事を証明できない。    信憑すべき記録も少なからずあるが、いずれも一般庶民の手に入るものではない。  扇の要たる猫国とその隣接国ならいざ知らず、  ヒトの世界に比べて移動手段に乏しく、観光旅行が未だ危険極まるこの世界において、  扇の最北端、街道の終点に位置するアトシャーマがかように世より隔絶されるは、  なるべくしての当然の結果であったと言えよう。        ―...
  • もしも こちむいワールドに2chがあったら
    もしも こちむいワールドに2chがあったら 1.アトシャーマレイプ被害者数23x1000+(802) 2.【百合も】ヒトとのセクロス実況スレ32【薔薇も】(377) 3.ヒト奴隷持ってないケモノども涙目wwwwwww(934) 4.同族に相手されないキモケモは一生オナホ犯してろ(449) 5.落ちたてのヒトを拾ったらAGEるスレ(201) 6.ル・ガルの国境警備だけど質問ある?(32) 7.ここだけヒト世界に落ちるスレ(622) 8.ご主人様を喜ばす体位を考えたり実況スレ97(21) 9.イワシ姫がコロッケ買ってたwwwwwwwwwwww(95)1.アトシャーマレイプ被害者数23x1000+(802) 1. 名前 名無しさん@えっちだぴょん  アトシャーマで童貞卒業しちゃったり夫婦の貞操をまとめて奪われたりした経験を報告するスレ。 2. 名前 名無しさん@えっちだぴょん  >1乙 3. ...
  • ルカパヤン戦役05
     平原戦闘を諦め篭城戦へと切り替えて早2ヶ月。  街の中心部はまだ何とか生活感があるものの、街の郊外にある住居地区はすっかり廃墟になっていた。  厭戦気分の蔓延する傭兵や下級兵士らによる略奪と強盗が後を絶たず、街の治安担当らも諦めムードが漂っている。  そんな中、全てのヒトを中心部へと集め守備を固め篭城するルカパヤンの防衛軍は街の改造をほぼ終えていた。  もはや見通しの良い戦場での、ロングレンジ戦闘は望めない。  手を伸ばせば相手の髭を握れる距離で、足を止めて剣で斬り合うような凄惨な戦闘が待ち受けている。  腕力・膂力に劣るヒトにとって、そんな戦闘はすなわち、文字通りの自殺行為だ。  自ずと、有利な闘い方を模索する事になったヒトの側の篭城戦術といえば、巨大な罠を張るしかない。  街の郊外から中心部へと繋がる大通りは入り口の門を常時開け放している。  まるで食虫植物が獲物を待つように、...
  • 続虎の威19
     港を抜けて立ち並ぶ倉庫を横目にしばらく歩くと、ひどく奇抜な概観をした技師装具店が見えてくる。最後にカブラがここを訪れたのは 数週間前。そのときのことを思い出すと、いまだに怒りでめまいがする。だが交渉が決裂してからというもの町中の技師職人をたずねて回り、 カブラはこの店で作られる義足の質の良さを実感していた。 「やや。お客さんのお見えにゃね」  猫が大口を開けているような、いつ見ても不愉快なデザインの扉に近づくと、そこにケダマのネコとマダラのイヌがしゃがみこんでいた。 かたわらにはジュースのビンと、スルメの袋が置いてある。 「何してんの? こんなとこで」  千宏が怪訝そうにたずねると、店主であるミーネはスルメをくちゃくちゃといわせながら不機嫌そうに顔をしかめた。 「それがひどい話でにゃあ。言うも涙、語るも涙!」 「聞くほうは涙しなくていいのね……」 「うちの神経質のシャ...
  • オスヒトとマダラネコ
    オスヒトとケダマネコ    父に教えられて登山をはじめて、もう二十年になる。  最初は傾斜のゆるい岩肌を這うように登ることから初めて、今では傾斜九十度の難所も平然 と登れるようになっていた。  岩肌をよじ登るなんて、なにが楽しいのか分からないと言う奴は多いが、俺もなにが楽しい のかはわからない。ただ、トレーニングをさぼって登れなくなるのは嫌だった。かんが鈍るの も耐えられなかった。だから、半ば義務感に駆られるようにひたすらに登っていた。  そんなある日、命綱なしでやってみないか、と誰かが言った。  俺は命を捨てたいわけではないから当然断ったが、ほんの十メートルだから大丈夫だろうと 拝み倒され、ほんのお遊びの気分で付き合うことに決めた。  たどり着いたのは森の中だ。断崖絶壁の十メートルほど上の方に、それなりの広さの岩棚が 見える。傾斜はほぼ垂直に近いが、まぁ八十度といった所か。落下した場合、...
  • この加齢は辛え
    この加齢は辛え     「次のニュースです。  今日午後、シュバルツカッツェ警察本部は、商取引法違反等の疑いで逮捕されたカナーリ・ニセモン容疑者の自宅を家宅捜索し、  偽造のバー○ントカレー300箱とジャ○カレー250箱を押収しました。  ニセモン容疑者は容疑を認めており、『ギャンブルにハマり、金が必要になったのでやった』と供述しているとのことで、  警察では売り上げは借金の返済に使ったと見て、捜査を進めています」 「むー。これは非道いね卑怯だね」 アルジャーノン博士はスプーンを咥えたまま腕を組み、今し方報道された卑劣な犯罪に憤っていた。 まあ、少なくともカレーを食ってる最中に見て面白いニュースではない。 俺からして見れば、騙される方も騙される方だと思うのだが。 「助手君助手君、ウチのカレーは大丈夫だよね?」 「はっはっは。カレー粉はガネーシャさんの所から直接仕入れてますから。間違っても、...
  • オオカミの騎士設定
    『偉大なる狼王ロボ』 <古き良き時代>以前に実在したとされる、偉大なるオオカミの王。ウォーダン教の創始者 にして全てのオオカミの男性の理想像とされている。彼に関しては様々な伝説が諸説残され ており、その一端は御伽噺でも語られている。特に王妃フランカに生涯を通して絶対の愛を 捧げた逸話は有名。それに影響されてか、<古き良き時代>前後のオオカミの男女は貞潔 が固かったとされている。 『ウォーダン教』 戦争と死の神にして魔術の達人とされる主神ウォーダンと彼に仕える神々を崇拝する宗教。 愛徳、清貧、貞潔、謙遜、従順を旨とし、宗教的に優れた人格の持ち主の育成を目標としており、 同教の聖職者には神父や修道士以外に、邪悪な存在と戦う事を専門とする修道騎士や聖堂 騎士を始めとした宗教騎士がいる。ちなみにウォーダン教の聖職者は妻帯を許されている という非常に珍しい宗教であるが、妻帯...
  • 華蝶楓月設定
    キャラ設定 天藍 狐耳国の第1王女で、国の最大機関である巫女連の姫巫女 神の声を聞いたり神自身をその身に降ろしたりして国政に当たっている 普段はポケーっとしているが儀式の際には自分にも他人にも厳しくなる 日向ぼっこしながらお茶を飲むのが趣味 性に対して奥手であるが、降ろす神によってはとてつもない淫乱になったりも 菫青とHすることによって急速に性に目覚める 毛の色はオーソドックスに狐色、微妙に金色が入っていて日の光に輝く、尻尾は5本 紅簾 天藍の年の離れた妹で、見習い巫女をしている 完全なロリキャラだが結構な耳年増で姉よりも進んでいる 基本的に元気、落ちてきた菫青に一発で懐く アルビノであるため肌や毛にいたるまで白く、瞳は紅い、尻尾は2本 第1話には登場予定なし 巫女長翡翠 そのまんま巫女連の長、王族ではない ちょっと口うるさいがそれは全てその人を思っ...
  • 魔法少女ホーネットべすぺ07
    魔法少女ホーネットべすぺ 第7話   ロープでぐるぐる巻きにされた女性を、複数名の男女が取り囲む。 こう書くとまるで悪人の行いのようだが、どちらかというと、多分、逆の立場のはずだ。 取り囲むのは魔法少女達。そして取り囲まれているのは、教団のエージェントなのだから。 薄目を開いたそのエージェントに、まずべすぺが指を突きつける。 「忍法狸寝入りとは驚いたけど、こうして目覚めてしまえば最早忍術も私の敵じゃないわね」 「……は?」 いきなり意味不明なことをのたまっている。 かのエージェント――一応、忍者であることだけは確からしいその人物は、寝起きに無茶なことを言われて目を白黒させた。 見かねてか、トールがぽんと肩に手を置く。 「黙ってよう、べすぺ」 「え、だって忍者なんだからこう、忍者的な」 「いいから黙ってよう」 後ろに引っ込む。 この場はとりあえず、べすぺを引っ込めておいた方が良さそうなものだ...
  • 十六夜賛歌外伝01
    十六夜賛歌 外伝1     another silver moon in   この兎達が住んでいる国には、天窓が付けられている建物が非常に多い。 それは太陽の光をではなく、この国において神聖視されている月の光を取り入れるため。 それは教会から一般住宅、さらにはここ、魔法騎士団の室内訓練場にまで……。   「あふっ……、あっ、あっ……………………あんんっッッ!!」 一羽の兎が、夜空に浮かぶ2つの月を仰いだ。 彼女は“先ほどまで”騎士だった。 膝立ちになり、天窓越しに差し込む光を浴びるその姿は、 さながら戦いに疲れ打ちひしがれた身体を、その身に当たる雨で癒す勇者といったところか。 しかし今の彼女は騎士ではない。 「くッ、……ま、また、またイっ…………っあああああッッッ!!!!」 手足をびくびくと痙攣させて今日何度目かの絶頂を迎える。 口の端からだらしなく涎を垂らし、恍惚とした表情のその...
  • 狼耳モノ@辺境(仮題) 改版
    狼モノ@辺境(仮題)  一章  俺は、剣道部を退部することになった。  もう、どうでもいい。  唯一、続けていたことだったのけれど。  でも、どうでもいい。  今の、名目上の保護者は、年若い叔母――姉と呼ばないと怒るくらいに――だ。   基本だな!? と本人は言っていた。何がかはさっぱり解らない。  彼女はいい人かつ頭もキレるがちょっとアレで、ともかく恩人で一人だけの身内だった。  幼くして両親をなくし、親戚中をたらいまわしにされていた俺は、中学進学と同時に、  彼女の支援の元部屋を借り、僅かに残った両親の遺産、そして保険金と、  当初は新聞配達、今ではコンビニが加わったアルバイト代、  幾らかのカンパとで、なんとか一人暮らしを成り立たせていた。  その、酷く暗くて古いアパート。電気さえついておらず、本当に暗い。  俺は玄関に着くなり、靴も脱がずに腰をかけ、  何もせず、ただただため息とた...
  • 続虎の威21
     茶色く乾いた大地を蛇行する小さな川が、うっそうと生い茂った雑木林へと流れ込 んでいた。  荒地の只中に一点だけあるその緑の集合体は、砂地の箱庭に放り込まれた森の玩具 のように周囲の景色から浮いている。土地の養分を一点に集中させる技術があるため、 荒野に森や畑が点在する景色は別段珍しいものではないのだと前にハンスに説明を 受けたが、それでも千宏の目からすると、荒地で無理矢理育ったような緑はひどく滑 稽に思えた。  魚の跳ねる穏やかな川に、風うねる緑の草原。視界一杯に広がる黒い森に、空を覆 う高い山。そういった景色が千宏は好きだ。  そこにレンガ造りの建物と、三人の白いトラがいれば申し分ない。可能ならば一人 はマダラであるといい。  そんなことを思いながら、千宏は隣を歩くトラのマダラを伺い見た。 「マダラが珍しいか?」 「あ、いや! いやその……知り合いにもマダラが...
  • 玄成_2話
    玄成_2話 鼠を雇っていて便利なことの一つは、卓越した危機感知能力である。 鼠達が何をどう感じ取っているのかは謎だが、六識の発達した狐をして及びもつかない程に危機に対して敏感である。 逢難狐衆の筆頭に対して刺客を仕向けるのは他の七狐機関の筆頭達の共通した趣味であるらしく、玄成も筆頭の地位に就いてからの二十年は刺客に困ったことがない。 ミネルヴァを雇う前は自前で気配を察知して撃退していたのが、今では小間使いの起き出す気配を察知するだけで良いのはありがたい。 以前はなんとか彼女より早く敵襲を察知しようと色々試していたのだが、手入れが面倒な上に誤検知が多いので結局は止めてしまった。 簡単に済むなら、それに越したことはないのである。 その日も、一番最初にそれを関知したのはミネルヴァだった。 怯えた小間使いが自分の部屋に向かって走ってくる足音を聞きながら、間の悪さに舌打ちする...
  • 魔法少女ホーネットべすぺ01
    魔法少女ホーネットべすぺ 第1話     「ご、ご、ごめんなさい。わたしが、わ、わたしが道を間違えたりしたから」 深い、深い山の奥である。 木々は鬱蒼と生い茂り、どこからか聞こえる鳥の声が奇妙に響く。 「いや、だからもう、いいって。ね? どうせ俺は地図の読み方もわからないんだし」 「で、で、でも、わたしが、間違えなかったら、そもそも」 「……だからいいんだってば」 そんな山の中に、少年と少女の組み合わせがある。 二人とも旅装束なので、山の中にいるという事自体にはあまり不思議はない。 ただ、珍しいと言えば珍しいのは、少年の方が「ヒト」である事だろう。 この世界にあっては、自然に生まれてくる事の少ないヒトは極めて希少なのだ。 それが、こんな山の奥にいる。まったく珍しい事である。 「あ、あの……その。ごめんなさい」 その一方、少女の種族は外見からは掴みづらい。 少年と同様の旅装束なのに、フードを...
  • 昨日よりも、明日よりも 05
    離れ際に頚動脈を掻き切る。 手に持つのはただ薄さと切れ味を追求したナイフだ。 骨はもちろんの事、下手をすれば筋肉にすら阻まれかねないが、首筋を狙うのであればあまり気にする必要はない。 問題なのはむしろ血や脂だが…たかだか六人。何とかなる。 仲間の首から噴水のように噴出した血に驚愕している隙を突き、二人目に貼り付くように密着する。 「ひっ」 悲鳴をあげるな。こっちの殺意が鈍る。 殺意が鈍れば動きも鈍る。 だから相手の悲鳴は消す必要があり、必要があるのであれば俺はそうする。 はたして、一切の遠慮なく無造作にそうした。 「…んな…て…!」 煩い喧しい黙れ。 苛立つ。 苛立つが殺気は邪魔だ。 殺意だけがあればいい。 だからまずは苛立つ相手を消す必要があり、そうしてから次へ。 必要な事から優先的に。 料理だろうが仕事だろうが、それが当然。そうして当然。 残りは三人。そしてこれで二人。 楽しい...
  • 狗国見聞録03
    狗国見聞録 第3話     「王都のね、軍の落下物研究所の方で引き取ってもらえる事になったから」 「……は?」    いきなり言われた内容を理解できず、間抜けな声をあげるあたしに、  ほんの少しだけ寂しそうに顔を歪め、雑巾は静かに言葉を続ける。   「……お別れ、って事」          ※     ※     ※    < 1 >    ※     ※     ※        あの日から、更に三週間ほど過ぎた日の事。    気まずさの局地、  今や針のむしろとなり果てたここでの生活の中で、  精神的に困憊の極みにあったあたしを、なぜかその日の夜、雑巾が改まって通信室  ――この建物の二階部分、妙な機械やら設備がごまんとある司令室めいた部屋――  へと呼び出して。  ……告げられたのが、この言葉だった。   「【落ち物】と【上の世界】の研究で一番進んでるのはネコの国だから、 本当はそっ...
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