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ティロ・フィナーレ!野獣と化した先輩 - (2012/04/06 (金) 04:44:53) のソース
*ティロ・フィナーレ!野獣と化した先輩 ◆aWSXUOcrjU ---- 微かな月光だけが頼りとなる、薄暗い深夜の森の中。 夜風がひんやりと肌を撫で、その気持ちさえも凍えさせる。 「こういう冗談やめてくれよなー。頼むよー……」 特にあんなことがあった後では、それもまた倍増というものだろう。 森の中で頭を抱え、1人ぼやく青年の姿があった。 田所――便宜上、野獣先輩と通称するのがいいだろう――という名のこの男は、 本来であれば、殺し合いとは無縁のはずの若者である。 学校の水泳部で練習にいそしみ、好意を寄せていた後輩を家に誘い、胸の想いを伝えるつもりだった。 男しか愛せないホモであったり、告白の手段が強姦であったりと、 いくつか問題はあるものの、それでも殺人などとは縁のない、普通の学生であるはずだった。 (それが何でこんなことになってんだよ……!) にもかかわらず、彼は関係者になってしまった。 本来味わうはずのなかった、殺し合いの場の空気を吸わされてしまった。 首を吹き飛ばされた女性、ニヤニヤとせせら笑う外国人。 先ほど見せられてしまった、バトルロワイアルの開会式の様子は、今でもありありと思い出せる。 ここはもう違うのだ。 暢気に部活の愚痴をこぼしながら、平和に談笑できていた、そんな日常とは違うのだ。 「……とにかく隠れないとな。じっとしてたら見つかっちゃう、ヤバイヤバイ」 ショックは簡単にはぬぐい去れないが、それでも死にたくないのは確かだ。 何か行動を起こさなければと、自分を奮い立たせるように呟く。 武器こそ支給されているようだが、野獣先輩には武道の経験も、ましてや戦闘訓練の経験もない。 気を抜けば即死亡に繋がるかもしれないのだ。怯える身体に鞭を打ち、身を隠すべく歩きだした。 「――うっ……ぅう……」 と。 その時、耳に入ってきたのは、消え入るような女の声だ。 響きからして、涙を流しているのだろうか。 自分以外の参加者とは、無暗に接触すべきではない。それくらい素人にだって分かる。 「おっ、大丈夫か?」 それでもどうしても放っておけず、野獣先輩は声の方向へと向かった。 がさがさと茂みを掻き分けた先にいたのは、眩い金髪の少女だ。 背丈や声色を考えると、大体中学生くらいだろうか。明らかに野獣先輩より歳下だろう。 一方で、コスプレのような衣装から窺えるのは、歳不相応に成熟したグラマラスなボディだ。 きゅっと絞られたウエストや、バレーボールのような豊満なバストは、男を惹きつけてやまない凶器と言えよう。 (もっともホモである野獣先輩にとっては、さして意味のない特徴ではあったが) 「怖いのは俺もお互い様だからさー。泣くなよー」 ぽんぽんと背中を軽く叩き、泣きじゃくる少女をなだめる。 泣いている人を見ていると、自分も悲しくなるものだ。 こんな絶望的な状況で、これ以上気持ちまで沈められれば、それこそたまったものではない。 話しかけるべきじゃなかったかな、と思いつつも、そのまま見捨てるわけにもいかず、野獣先輩は彼女を慰めた。 「……ぐすっ……」 その時。 じゃきん――と音を立て。 「はうっ……!?」 野獣先輩に突き付けられたのは、冷やかな光を放つ銃口だった。 白い銃身を基調とし、ところどころが黒く塗られた、モノクロ配色のライフルだ。 彼には到底知るよしもないが、マスケット銃という名称の、極めてクラシックな銃である。 一体何があったのだ?――野獣先輩は混乱した。 この銃はどこから現れた? こんな長いライフルは、先ほどまでどこにもなかったはずだ。 大体、この銃は誰が持っているのだ? 見下ろした先にあったのは、白い長袖の右腕だ。 そしてその視線を上へと向ければ、 「こんなことになってしまったのなら――」 金色の瞳を涙で濡らす、少女の顔がそこにあった。 「――みんな死ぬしかないじゃないッ!」 雫に震える悲痛な絶叫。 打ち鳴らされる火打ちのハンマー。 瞬間、鋭く轟いたのは、雷鳴のような銃声だ。 「ファッ!」 条件反射的な動作だった。 ほとんど考える暇もないままに、野獣先輩は背後へと飛び退いた。 ずどん、と響いたマズルフラッシュ。 光と爆音の先にあるのは、木の幹にめり込んだ鉛の弾丸。 茶色い幹に生まれた弾痕は、本物のライフルの破壊力を、雄弁に物語る物証となった。 「ちょっと何だよ! 危ねぇなあ!」 虚勢を張るようにして野獣先輩が叫ぶ。 そうでもしなければ、頭がどうにかなりそうだった。 本物の発砲を目の当たりにしたことなど、今までに一度もなかったのだ。 テレビや映画などを通して、他人事のように見てきた銃。 その本物が目の前にあって、それが自分に向けられている。 あの弾丸が自分に当たれば、映画のように殺されてしまう。 その事実が胸に突き刺さり、野獣先輩から余裕を奪っていく。 「こんなことに巻き込まれたら、誰もかれもが死んでしまう……」 一方の少女は答えもせずに、ぶつぶつと独り言をつぶやくだけだ。 撃ち終えたマスケット銃を放り出すと、その手で被っていたベレー帽を降ろす。 さっ、と円弧を描いた帽子から、次の瞬間現れたのは、新たな5丁のマスケット銃だ。 こいつはまずい。 明らかにヤバイ。 相手はこちらの言葉も聞かず、引き金を引き続けるだけのイカれ女だ。 おまけに超能力か何かのような、訳の分からない力を使っている。 どちらも理解の範疇を超えていた。 明らかに野獣先輩には、対処不可能なレベルの相手だった。 「だったら苦しまないうちに、みんなで死ぬしかないじゃない!」 ずどん、ずどん、続けてずどん。 地面に突き刺さった状態から、次々と引き抜かれる銃身。 余裕のない様子とは裏腹に、淀みのない動作で引かれるトリガー。 たちまち静かな深夜の森は、銃弾の嵐に飲み込まれた。 「う、うわぁああああっ!」 続々と押し寄せる魔弾の中、それでも叫ぶ余裕のあった野獣先輩は、まだ幸運であったと言えるだろう。 俗に言うホモ特有のステップ、というやつだ。 無我夢中で絶叫しながら、彼は華麗に弾丸を回避し続け、一目散に退散した。 ◆ 「はぁ……ホントなんなんだよ……」 あれからどれくらい走っただろうか。 いつしか野獣先輩は森を抜け、開けた土地へと踏み出していた。 目と鼻の先に見えるのは、文明的な街並みだ。あるいはあの街の中なら、安全な場所もあるかもしれない。 (何なんだよアイツはよー) 汗だくの顔を拭いながら、思い返すのは先ほどの少女だ。 見たこともない力を使い、強力な銃を無数に生み出し、自分を殺そうと襲いかかってきた。 おまけにその手際のよさは、彼女があの銃を日頃から使い、鍛錬を積んできた証拠である。 殺し合いに乗っている上、自分より遥かに強い相手だった。 できれば金輪際関わり合いたくない相手だ。下手に近づこうものなら、今度は殺されてしまうかもしれない。 (でもアイツ、泣いてたな……) そんな時、ふと思い出したのは、彼女の目に込み上げていた光だ。 あの名前も知らない金髪の少女は、確かにこの殺し合いの場で泣いていた。 あるいは彼女も自分のように、この状況に恐怖していたのかもしれない。 それが彼女の精神を追いつめ、遂には破壊してしまい、恐慌に走らせてしまったのかもしれない。 (……あー駄目だ駄目! あんなの関わってたらこっちが危ねぇよ!) しかし、だからといって何ができるというのだ。 赤の他人である彼女のために、命を危険に晒せるものか。 いたいけな少女の涙を無視すると、野獣先輩は保身のため、街を目指して歩いていった。 やっぱり人間の屑じゃないか(憤怒)。 【E-02 森林(ゲキド街の目の前)/1日目・深夜】 【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】 【状態】疲労(中)、狼狽、恐怖 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品0~3 【思考・状況】 基本:とにかく生き残りたい 1:とりあえず街に身を隠す。それから今後どうするかを考える 2:あのイカれた女の子(=巴マミ)は無視 【備考】 ※「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」本編開始直前からの参戦です ◆ 突き付けられたのは絶望だった。 倒すべき悪であるはずの敵は、自分達魔法少女の末路であった。 だとするならば、殺すしかない。 この身が人の世に仇なすのなら、いつかそうなってしまう前に、可能性を断つしかない。 仲間が人を喰い殺すのなら、いつかそうなってしまう前に、全てを消し去ってしまうしかない。 人を守らなければならない。この身はそのために使い切らねばならない。 「ソウルジェムが魔女を生むなら……」 みんなまとめて死ぬしかない。 それが魔法少女の義務なのだ。 この巴マミに残された存在意義など、もはやそれくらいのものなのだ。 両親を失い、友を失い、自己すらも失ってしまった自分には、それ以外の結論などあるはずもないのだ。 「……みんな、みんな死ぬしかないじゃない」 先ほどのパフォーマンスの中には、何人か見知った顔があった。 いずれも死すべき魔法少女だ。せめて自分自身の手で、苦しませず引導を渡さなければ。 そして他の参加者達も、同様に殺してやるしかない。 この身の魔法の力をもってしても、主催者の凶行は止められなかった。 敵の力は、魔法少女の力ですら、どうこうできるものではなかったのだ。 だとすれば殺し合いの宿命からは、誰もかれも逃れられない。 なればこそせめて苦しむことも、自分達のように絶望することもなく、安らかに逝かせてあげるしかないのだ。 「死ぬしか、ないのよ……」 涙と共にこぼれた声が、静かに森の中に響いていた。 【E-02 森林/1日目・深夜】 【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ(死ぬしかないじゃないシリーズ)】 【状態】SGの穢れ(大)、絶望 【装備】ソウルジェム(マミ)、魔法少女服、マスケット銃 【道具】基本支給品一式、不明支給品0~3 【思考・状況】 基本:みんな死ぬしかないじゃない! 1:魔法少女の仲間達も、魔女化する前に殺すしかないじゃない! 2:他の参加者も苦しまない内に殺してあげるしかないじゃない! 【死ぬしかないじゃないシリーズ】 原作「魔法少女まどか☆マギカ」の第10話には、 魔法少女の真実を知った巴マミが、絶望し仲間との心中を図るシーンが存在する。 本動画シリーズは、このシーンを素材としたネタMADシリーズである。 要するにマミが泣きながら、やたらと仲間を殺したがる動画と考えれば、大体それで合っている。 ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm16825524 (参考動画。このシリーズの元祖というわけではないが、シリーズの傾向が分かりやすい) ttp://dic.nicovideo.jp/a/%E6%AD%BB%E3%81%AC%E3%81%97%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA (ニコニコ大百科の該当項目) |sm04:[[ボーガーオペラミルキィボーグズ]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm06:[[あい殺(さつ)の魔法]]| |sm04:[[ボーガーオペラミルキィボーグズ]]|[[投下順>00~50]]|sm06:[[あい殺(さつ)の魔法]]| ||野獣先輩|sm30:[[真夏の夜の淫夢!グレイト・クレイジー・ティロフィナーレ]]| ||巴マミ|sm30:[[真夏の夜の淫夢!グレイト・クレイジー・ティロフィナーレ]]|