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11話


「あ、あれ?」
鳥の様な衣装を着て、その上から鎖を巻き付けた少年はそう呟いていた。

とんでもない展開。
そう言うに相応しい状況の中を彼はただ呆然としていた。




真庭忍軍の頭領の一人、
あまりにも幸運の星の下に生まれた彼。
悪運と言うには生易しく、
強運と言うにも生温い、
そんな運の強さを持つ彼。

そんな彼は今————何もなく殺風景な部屋の中に居た。

「あれ?」

死んだはずの自分がなぜ、
左右田右衛門左衛門に、
あの炎刀『銃』によって口から頭を撃ち抜かれた筈の自分が、
なぜ、今生きているのか理解が出来なかった。

最初にあの謎の部屋で目を覚ましてからもそうだ。

な、なぜ死んだはずの…………こ、蝙蝠さんがあの場に居たんだ?
な、なぜ死んだはずの…………か、川獺さんがあの場に居たんだ?
な、なぜ死んだはずの…………お、鴛鴦さんがあの場に居たんだ?

なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ?

こ、ここに鳳凰さまが居たらあっさりと答えて…………くれるだろうか?
と、とりあえず、あの時の状況を、あの部屋での状況を思い返してみよう。

影谷蛇之と呼ばれていたあの男。
首に着いている首輪…………
ルールを破れば爆発すると言っていた。

あっさりと、あまりにもあっさりと、
ぼくと鳳凰さまと狂犬さん以外を殺したこの首輪。

優勝すれば、如何なる望み叶えると言っていた。
叶えるとしたら何が良いかな?
た、確かに毒刀『鍍』で斬り付けられた傷は何故か治っている。
それから考えれば夢を叶えられるかも知れない…………

————そ、そんな事は後だ!
内容……内容は殺し合いゲーム、バトルロワイヤル。
た、確か……最後の一人になるまで殺し合えと言っていたか?

き、君達の力はある程度制限させてもらったとも言っていた。
ち、力?身体能力の事で良いのだろうか?
死んだ蝙蝠さんが『手裏剣砲』を使えていたから技術は使用が出来るのか?
ぼ、ぼくの『忍法運命崩し』はあくまでも運だけだから制限は出来ないだろう。
………………多分。

ろ、6時間毎に誰が殺された情報が入ると言っていた。
24時間以内に自分以外の全員を殺さなければ皆殺しだと言った。
そして、殺し合いの場所に送ってやると言った水倉神檎。

そ、そ、そう言えば、6時間毎に誰が殺された情報が入る時に、
戦闘区域が狭くなるとも言っていたか?
情報を注意して聞いておかないと…………

そして目の前が段々暗くなったと思ったら何時の間にかこの殺風景な部屋に居る。


情報収集は得意分野では有る。
し、し、しかし、判らない。
なななななな、何が何だか判らない。

は、は、は早くこの部屋から出て情報収集を開始した方が良いのだろうか?
と、とりあえず鳳凰さまと合流すれば何とかなるか?
窓の外を見れば真っ暗な事からまだ夜中の様だとは判る。
その上、高さから考えて…………2階?

そ、そそ、外に出ようか?それとも、今はまだ待った方が良いのか?
と、とりあえず支給品を確認をしてから行動した方が良いのか?
ど、ど、ど、どうしようか…………

ギシィ…………

え?あ、足音?

ギシィ…………

だ、誰かがぼくが部屋に居る事に気が付いたのか!?
い、いや、まだ、まだそう思うにはまだ早い。
偶然、偶然近くを通り掛っているだけかも知れない!
で、でも…………隠れていよう。

ギシィ…………

ギシィ…………

ギシィ…………

ギシィ…………

ギシィ…………

ギシィ…………

ギ…………


と、止まった?


キィィ…………


は、入ってきた!
そ、そそ、そんな!?気が付かれてはないと思ったのに!?

「いーたん居るかーい?」

『いーたん』?誰だ『いーたん』って?
普段この部屋に住んでいる人の名前?
と言う事はその人もバトルロワイヤルに参加してるって事!?

「おっかしいなー?
いーたんが大好きな奴はここに集まるだろうと思ってたんだけどなぁ?」

あ、集まる?事前に集合場所に指定されていたのか?
いや、それにしては確信が無さそうだから「居るかも知れない」
その程度の予想か?

「まあいいか…………いーたんでは無さそうだけど出て来い」

な!?

「おいおいおいおいおいおい。
まさかこの人類最強の請負人が気が付かないとでも思ったのか?」

人類最強の請負人?

「いいから出て来いよ。こっちはこっちで忙しいんだからな?
さっさと、哀川潤を探し出して殺す予定なんだからな」

「え?」
人探し中?あ、し、しまった!

「あ、口滑らせちまったか?まあ、やっと声だけでも出してくれたし、まあいいや。
早く出て来いよ?まあ、出て来ても殺すし出て来なくても殺すけどなぁ。」
なっ!?

「十数えるまでに出てこないと殺すぞ?はい、じゅー」
え、あ

「きゅー」
あ、あ

「はーち」
ほ、ほ、

「ななー」
鳳凰さま!

「ろーく」
た、たたた、

「ごー」
戦わなければならないのですかッ!

「よーん」
でも、でもぼくは

「さーん」
ぼ、ぼぼぼぼぼぼ、

「にぃー」
ぼくはッ!

「いーちっ」
「た、戦いたくないッ!」

「はいっ、ぜ……」
「………………」
「お前、今何て言ったんだ?」


「ぼ、ぼ、ぼくは…………戦いたくない」
流れ出る沈黙、まだ姿を見せないぼくをどう思っているのか?


諦めているのか?
呆れているのか?
飽きているのか?
嘲っているのか?
怒っているのか?
疑っているのか?
恨んでいるのか?
驚いているのか?
考えているのか?
困っているのか?
狙っているのか?
呪っているのか?
迷っているのか?
許しているのか?
弱っているのか?
判っているのか?
染まっているのか?
楽しんでいるのか?
伝わっているのか?
戸惑っているのか?


どう思っているんだろうか?

「くくく」
笑っている?


諦めている訳でもなく、
呆れている訳でもなく、
飽きている訳でもなく、
嘲っている訳でもなく、
怒っている訳でもなく、
疑っている訳でもなく、
恨んでいる訳でもなく、
驚いている訳でもなく、
考えている訳でもなく、
困っている訳でもなく、
狙っている訳でもなく、
呪っている訳でもなく、
迷っている訳でもなく、
許している訳でもなく、
弱っている訳でもなく、
判っている訳でもなく、
染まっている訳でもなく、
楽しんでいる訳でもなく、
伝わっている訳でもなく、
戸惑っている訳でもなく、


ただ、笑っている?


「はぁ…………あーあ、ばからしい。
とりあえず殺す気なくなったから顔だけ出せ。」
————え?殺す気は、なくなったのか?

「さっさと天井裏から出て来い!ズルズル待たせるとぶっ殺すぞ!!」
「ひッ」
こ、こここ、殺される!は、は、早く降りないと殺される!

ガタ、ゴト、バキ ドサッ
お、落ちたけども…………とりあえず降りられた。

「はぁ……やっと降りてきやがったか」

目を玄関の方に向けると、そこに居たのは、
何処までも紅く、何処までも世界を皮肉っている様な笑みを浮かべた,

凄まじく綺麗な女性だった。

何処までも紅く、
「さーてと」
何処までも皮肉ったよな笑みを浮かべながら、
「降りて来た所で」
ポケットから何かを取り出し……
「私の願いを叶える為だ」
倒れている僕の頭を狙って構え……
「死ね」
気が抜けた様な音が一つ鳴ったと思うと…………

「——ああ?」
床に穴が一つつ開いた、だけだった。
「この距離で外した?」

「そ、そそそそ、それは、炎と」
「うるさい、黙れ、死ね」
また一つ、気が抜けた様な音が鳴ったが…………

「あれぇ?おっかしいな……
なんでこの距離であたらねえんだ?」
床の穴が二つになった、だけだった。

「…………運命崩し」
喋りだす僕
「は?」
まだ何が起こったか判っていない様子の自称・人類最強さん

「ぼくの使う忍法の名前は運命崩し。
運命崩しの前では飛び道具は決して当たりません」
とりあえず無駄だと言う事を説明してみた。

「————へえ?だとしたら……キング・クリムゾンみたいなもんか?」
試す様にまた音が一つ鳴って穴が三つになった、だけ。

前は、左右田右衛門左衛門に跳弾を使われて飛び道具からも怪我を負ったが、
ここの壁は薄いお陰で外に貫通している為に跳弾の心配は無い。
そのために運命崩しの効果は存分に発揮できる。


「はい?き、きんぐくりむぞん…………な、何かは知りませんが……少なくとも今は飛び道具は当たりません」
「————ふ〜ん……でもその言い方からすると飛び道具限定か?だったら」
直接殺すまでだ!そう言って一歩彼女が踏み出す前に倒れたままのぼくは、
楕円形の黒い球を二つ投げた、だけだった。

「?」
警戒してか、自称・人類最強は避け、
「おっ?」
壁に当たり跳ね、人類最強に当たり跳ねる。壁に当たり跳ね、また人類最強に当たり跳ねる。

「…………はぁ、
こんな遊び道具なんかで、この人類最強を止められると思ったのか?ん?」
飽きれた様な顔でこちらを見ながら近付こうとするが、
気が付いたようだ。

「あぁ?球の速度が上がってる?
しかし何で玄関が空いてるのに外に出て行かねえんだ、これ?」
跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。
光速に限りなく近い速度で跳ねる!

「なッ!こ、これは!?」
「忍法柔球術」
柔球術——それは球状のゴムのように柔らかい球を室内で投げ、
その球が建物内で何度も反射しながらスピードを増していくと言う物。

そのあまりの速さゆえに球を止める方法は皆無、
そのあまりの速さゆえに球を避ける方法は絶無。
あまりの、あまりの速度に球が百や二百にも見える。
そう、それが増殖の人鳥と言われる訳。

本当なら、自分にも球が当たる為に捨て身の業の筈だが、
『忍法運命崩し』の前では飛び道具は決して当たらない。

つまり、


運が良いぼくには全く当たらずに
自称・人類最強さんに当たり続ける。


普通なら玄関が空いている上に、天井に僕が下に落ちた時に開いた穴、
それか窓ガラスを割って外に飛び出すだろう。
そう、普通なら。

しかし、
『忍法運命崩し』の効果で僕には当たらない、
更に脆い部分に当たる回数も最小限!
なぜなら、

ぼくは運が良いから!

ふぅ…………一体どれ程の時間が経っただろうか?

球の一個は割とすぐに玄関から出て行ってしまった。

自称であれ、人類最強と言うだけあってしぶとかった…………
しかし、顎に当たったせいでか倒れた彼女。
それから一分も経たずに残り一個だった光速に近い速度の球はガラスを突き破って出て行ってしまった。

「————————」
倒れている自称・人類最強さんのすぐ横で、
真庭人鳥は考え込んでいた。

やろうと思えば、やろうと思えばだが、
ここでこの人を殺す事は簡単に出来るだろう。
しかし、思い出してしまう。

鳳凰さまが毒刀『鍍』の力で狂った時、
その時に斬り付けられて怪我を負い、
そのまま放って置かれれば死んでいたであろう僕を助けてくれた。
あの時の奇策士とがめと鑢七花の二人組…………

情けをかけてか?
理由までは判らないけど敵である筈のぼくを助けてくれた。
あの時の二人を思い出すと殺す事が出来なかった。

でも、なぜだろうか?
今まで生き残る為に殺す事を厭わなかったぼくが、
この人を殺す事を躊躇うなんて?

「ぼくは戦いたくなんかなかった」

一度、死ぬ直前に言ったあの言葉…………
あの時に死にたくなかった為だけに言ったのか?
それとも…………あの言葉が本心だったとしたら?

——————首輪か…………
何をやるにしてもこの首輪は邪魔だ。

情報収集は得意だ
何とかしてこの首輪を外す方法を探せば…………
あるいは…………

な、何をやるにしても、自称・人類最強さんが起きたら協力を頼めるだろうか?
最強を名乗るんだから強いだろうし、
せ、せめて鳳凰さまと会うまでの間お願い出来るだろうか?

で、でも、仮にも一度は殺そうとした相手を目の前に見逃す上に手伝ってなんかくれるだろうか?
————あ、そう言えば請負人って言っていたから交渉すれば雇われてくれるだろうか?
請負人と言う事が本当なら、鳳凰さまに会えるまでの間だけでも護衛をお願い出来るだろうか?

——————悩んでいても仕方が無い。
自称・人類最強さんが起きるまでの間は看病をして置いてあげよう、うん。
とりあえず…………玄関を閉めてからかな?

あっ、そう言えば外に出て行った球は…………
ま、まあ、あの球は武器と言うほどの物じゃないから、
武器と判断されなかったのか、取り上げられていなかったおかげでまだいくつかある。
放って置いても大丈夫…………かな?

と、とりあえず交渉材料としてと炎刀『銃』とか持ち物は預かっておこうかな?


【1日目 深夜 骨董アパートD−6】

【真庭人鳥@刀語シリーズ】
[状態] 健康
[装備]柔球術用の球
[道具]炎刀『銃』の回転式の方@戯言シリーズ、支給品一式×2、ランダム支給品(1〜3)×2
[思考]
 基本 鳳凰様と合流したい。
 1 どうやれば首輪を外せるかな?
 2 と、とりあえず、起きるまでの間は看病しておこう。
 3 あ、この人の名前って何だろう?
 ※球を放って置いたのは取りに行く事が今はまだ危険だろうと思っての事です。
 ※球は見る人が見れば真庭人鳥の持ち物だと判ります。


【誰でもない彼女@戯言シリーズ】
[状態] 全身打撲、気絶 (現在の姿は、哀川潤)
[装備] なし
[道具] なし
[思考]
 基本 哀川潤を殺して私が本物に成り代わる。それを邪魔する奴も殺す。
 1  気絶中
 ※参戦時期は哀川潤に成り代わると玖渚友の住むマンションで戯言遣いに言った頃より後です。
 ※いーちゃんの部屋に居れば本物の方から現れるだろうと思って待ち伏せする予定でした。


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最終更新:2009年04月11日 09:42