死闘(四闘)
ここは『絶望の果て』である。
この表現は殺し合い——バトルロワイアル——が行われているからでなく、この場所が『絶望の果て』ということである。
本来ならこの赤神イリアの屋敷は鴉の濡れ羽島にあるべきものであるが、現在は地図のH-4に建っている。
鴉の濡れ羽島とはロシア語で《絶望の果て》という意味である。
そこに建つ建物というものは、いったいなんであろうか。
絶望の上に建つ建物とは。
どれだけの恐怖を、破壊を、混乱を、そして絶望を生み出したのであろうか。
そして今生まれているのは、死闘。
◆ ◆
命を懸けた戦いで最も恐怖すべきであるのは、
体に口——にしては、凶暴さを滲み出している——を生やしている一人の少女である。
闘う姿はまるで妖怪ものであった。
その力は主催者と同じ『魔法』の一種であり、彼女はその力をあの男——
水倉神檎——に与えられたのであった。
『魔法』といっても様々なものがあり、魔法使いそれぞれの個性がある。
あの真っ赤な、安全ピンの様な、ジャケットの男は『属性』が『光』、『種類』が『物体操作』の魔法使いであったが、
対する少女は『属性』が『肉』、種類が『分解』の魔法使いである。
体に口を持つ少女の攻撃は、人ならざる攻撃であった。
しかし、身体性能の差であろうか、他の者との戦闘センスの差であろうか。
その絶大なる力をもってしても闘いに終わりを告げることは出来ていない。
そうして額の口が、不機嫌そうに、歯軋りをした。
『ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ』
最も破壊している者は——周りの豪華絢爛な装飾などを構いもせずに、
いやわざと壊すことにより戦いを有利にしているのかもしれないが——最も素早い動きで手に持つ拳銃を使う者である。
彼は最初に殺された忍者集団と同じような装束をしていた。
確かにその動きはただならないものではあった。
彼は殺人を厭わない忍者集団のなかの、
12人の頭領——口から刃物を出すものと同等の者たち——の中でも抜きん出た実力を持つ者であった。
さらに、その左手は彼のものとは思えない形ではあるが、
彼が彼の時代とは形が全く違う拳銃を使えているのは——忍法記録辿り——そのおかげであるのだ。
「忍法断罪円!!」
最も混乱を生んでいるのはそれらあらゆるものをかわし続ける女である。
彼女は艶やかな若草色の和装であり、それに似合う和風美人である。
そして、全ての攻撃をかわし続けるだけではなく、着物の裾すら、乱さずに攻撃を避けている。
誰もがその技術——空蝉——を見破れず、困惑しているようだ。
一方彼女は余裕の表情で、その様子は明らかに相手の疲れを待ち反撃の機会を伺っているようだ。
「若い・・・・・・」
そして最も絶望を生み出しているのはメイド服の彼女であった。
彼女はこの屋敷のお嬢様——赤神イリア——の警護担当として戦闘訓練を受けた戦闘メイドであった。
しかし、本来ならばこのような化物たちのなかでは彼女も霞んでしまう存在であったかもしれなかった。
では、なぜ彼女が絶望を生み出せているのだろうか。
それはこの屋敷をくまなく知りえているからではない。
確かにそれも原因の一つかもしれないが主なものではない。
主な原因とは彼女の胸に刺さっている一つの刀である。
それを刀とよんでいいのかは、悩むところだが——明らかに苦無の形をしている——つくった本人が
刀だというのだから間違いはないのだろう。
その刀、悪刀『鐚』は『活性力』に主眼が置かれた、
所有者の疲弊も死も許さず人体を無理矢理に生かし続ける凶悪な刀である。
そんな刀を接近戦のエキスパートが使えばどうなるだろうか。
どれだけ動きを高めるだろうか。
どれだけタフになるだろうか。
そういった理由からして彼女は絶望を生むにいたっているのである。
「埒があきません
こんなスリリングな削り合いかわし合いなどに——全く意味はありません。そうは思いませんか?皆さん。
あなた達は一度死んで見ませんか?」
しかし誰も決定打を打つことが出来ないままであった。
◆ ◆
その四人からなる死闘——四闘——を・・・・・・
じいっ、と。
まるっ、と。
ぎょろり、と。
ぐるり、と。
まじまじ、と。
しっとり、と
女は——眼を凝らすようにして、死闘と、それをする者たちに——眼を向ける。
時には全体に。
時には個々に。
時には口に削られた残骸に。
時には所々にある銃創に。
時にはあらゆるものをかわし続ける者が次にかわす技に、方向に。
時には服の上からでは分りにくいが、——推測ではあるが——自分が以前使っていた刀に
眼を。
その——両のまなこで。
見る——視る——観る——診る——看る。
全て——総て——凡て——観察するように——舐めるように診察する。
「・・・・・・ふうん。なるほど、理解したわ」
やがて、屋敷のそとから覗く彼女はそう呟く。
「個々の基礎体力、技術、経験、特殊能力、道具、見取れるものすべてを。そしてこの死闘の先もね」
◆ ◆
彼女が持つ特異性それは、
天才性の発露——見稽古。
それは『天才』が持つものにしては、行き過ぎたもので、
まるで『天災』といった人にはわからざるものと同じカテゴリーに含まれるものである。
見た技をそのまま自分のものとして習得できる戦闘技術。
また、その『眼』の力は、他人の戦闘技術を習得するだけにとどまらない——ありとあらゆるものを看破する、そんな眼である。
どんな技も、どんな動きも。
どんな弱点も。
ひとつ残らず見通せる——
鑢七実の見稽古
いったい彼女はなにを見取ったのであろうか。
◆ ◆
「もう、見取れるものは見取ったし、この死闘がこのまま終わるのは、
わたしにとって良いことは一つもないわね。草は、草が如くむしってやりましょう」
彼女が手にするはRPG-7。
本来ならこのような広い場所で、このような者たちに効果覿面な道具ではないが、
使うのが死闘の結果すらも見通す『眼』を持つ彼女である。
「いつまでも、綺麗に立ち回れると思わないことね」
発射と同時に、ふぅー。と、よく似合うため息をつくのだった。
◆ ◆
一方、屋敷内は悲惨な事態になっていた。
屋 敷の装飾はもとの絢爛さのみる影もなく、屋敷内は台風でも通ったあとかのようだった。
そこにあるのは残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、
残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、草、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、
残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸、残骸であった。
その草は所々赤い、若草色であった。少しづつ、少しづつ、赤く染まっていくそれはよく見れば和装であった。
『天災』である『天才』はその様子を見ながら踏みつける。
まだ息があるのだろうか。
闇口である彼女は——売りが主人以外の誰からも攻撃を受けたことも、
触れられたことも無いということもあり——未だ息をしていた。
彼女は自分を死に至らせただろう者の足をつかむ。
実際のところ、意識はなかったかもしれないが。
鑢七実は深く、深くため息ををつき。
そして——眼を細め、非常に冷酷な死線を彼女に向け。
「何を勝手に、わたしの肌に触っているのですか——この、草が。」
つかまれたのと反対の足で——女の頭を踏みつけた。
繰り返し。繰り返し。繰り返し。
相手の反応などまるで構わず——踏みつける。
「草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。
草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。
草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。草が。」
程なく——女の頭部は失われた。
跡形もなく——ただの血だまりに、肉だまりと化した。
それでも若者の手は女の足首をつかんだまま放さなかったが——女は無情にも、足首を軽く振るだけで、その指を払った。
【闇口 憑依@零崎一賊シリーズ 死亡】
◆ ◆
「はぁ、はぁ、なんなのよ。魔法も使っている様子もないのに、化物かあいつら」
身体に口を生やした少女
ツナギは走っていた。
その様子には闘いの最中の威圧感はなく、今は心なしか焦っているようにみえる。
彼女は主催者である水倉神檎によって「魔法」使いにされた少女である。
そして彼に殺されることをも同時に願っている。
彼女は体に512の口をもち、2000年以上生きている「魔法」使いではあるが、
そんな彼女からしても先ほどの死闘を繰り広げた者たちは、埒外に感じたのである。
「まずはあのコーヒーショップに向かうか」
いくら戦闘に自信がある彼女でも不安に感じたのであろう。
仲間がいるかもしれない場所に魔女は向かった。
【1日目 深夜 H-4】
【ツナギ/繋場いたち@新本格魔法少女りすか】
[状態]身体中にかすり傷、疲労(中)、口の出現により服が所々破れています
[装備]なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜3)
[思考]
基本 「
水倉りすか」「
供犠創貴」 を探す
1 コーヒーショップに向かう
館からは離れたところに忍者はいた。
流石忍者とでもいうべきか、戦線から離脱する早さは誰よりも早いものであった。
「あの爆発に直接巻き込まれてしまっては、我でも危なかったであろうな」
忍者集団の頭領の中の頭領、
真庭鳳凰は偶然にも爆風から逃れることが出来たのだ。
「しかし、この忌々しい首輪のせいで、頭領のうち残っているのは我を含めて三人か。
もし生き残り、もとの世界に戻っても我一人ではどうしようもないな。狙うは優勝して願いを叶えてもらうことか」
しかしそれを本当に信じてよいのだろうか。
まずは生き残った頭領たちとあうことをめざすか。
そのために目指すのは真庭の里であろうな。
此処からは遠いみたいだが、地図の果てがどうなっているかも気になるな。
【1日目 深夜 H-5】
【真庭鳳凰@刀語シリーズ】
[状態]身体中にかすり傷、疲労(小)
[装備]ジェリコ941
[道具]支給品一式、ジェリコ941の予備銃弾(残り60パーセント)、ランダム支給品(1〜2)
[思考]
基本 真庭頭領を探す
1 地図の果てを確かめる。
2 主催者が本当に願いを叶えるだろうか・・・?
フラフラと歩く姿は、メイド服でありながらも、メイド服は破れ、焦げボロボロである。
しかし、余計にその姿が本来このような場には相応しくないメイドであることと相反して、奇妙な威圧感を生み出している。
何も考えていないように見えるその姿。
しかし、彼女には確固たる意思、目的がある。
「あらゆることはお嬢様のために」
【1日目 深夜 H-4】
【
千賀てる子@戯言シリーズ】
[状態]軽い火傷、疲労(小)、悪刀『鐚』により回復が早いです
[装備] 悪刀『鐚』
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)
[思考]
基本 すべてはお嬢様のために
1 お嬢様を探しだし、いない場合優勝を目指す。
※悪刀『鐚』の力により体の「活性力」が高められています。
程度はどれぐらいであるかは後の書き手さんに任せます。
◆ ◆
「ふふ、でも面白いわね。これ」
すでに肉塊となった者の支給品を見ながら呟く。
見ているものは、ある心臓である。
なぜかその心臓は切り離されているというのに、バクバクと脈を打っている。
その心臓は、五百年の時を生きる最強クラスの怪異、
自称「鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼」キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードのものである。と、説明書きと一緒にあったものだ。
そして他にもパーツが支給品としてあると。
この心臓は本来、吸血鬼とその知り合いにとってしか意味を成さないものであった。
しかし、手に入れたのは『眼』を持つ彼女であった。
彼女の『眼』にも『健康』までは見取れない。
しかし吸血鬼の『再生力』は?
凍空一族の筋力による怪力ではない、能力的である『怪力』を見取れた彼女にはそれは不可能だろうか。
否
可能であった。
しかしあくまでも『吸血鬼』の一部であるものからは、一部の『再生力』しか見取れなかった。
しかし『再生力』に特化した吸血鬼の、それも心臓である。
一部といえども、その『再生力』は並み知れないものであった。
最強の『再生力』を見取った彼女は、礫の山を歩きながら再度呟く。
「この『再生力』があればわたしでも本気をだせるかもしれない……
出してみたい。わたしの本気を。あの子にも見せてやりたい。わたしの本気を」
ふふっ、天才は笑う。
「この後はどうしようかしら。
いくあてもないし、地図にある不承島にでもいってみるかな。
もしかしたら、あの子もいるかもしれないしね」
そして、血に染まった草鞋を気にする風もなく、何事もなかったかのように——歩みを再開させた。
【鑢七実@刀語シリーズ】
[状態]健康
[装備] なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1〜2)、キスショットの心臓
闇口憑依の支給品(確認済み)
[思考]
基本 不承島にいってみる
1 七花とあってみたい
2 完璧な『再生力』を見取るために吸血鬼のパーツを集める
3 『再生力』を見取り自分の本気を出してみたい
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ツナギ/繋場いたち |
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真庭鳳凰 |
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千賀てる子 |
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鑢七実 |
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最終更新:2009年07月20日 23:55