Def.![]()
Rem. エルミート行列は正規行列である。 正規行列参照 → 1. ユニタリ行列で対角化可能 1'. 特に対称行列は直交行列で対角化可能 2. スペクトル分解可能
Th. エルミート行列の固有値は実数である。 実際,固有値λに対する固有ベクトルxとして,![]()
より従う。
Th. (Courant-Fischer's minimax theorem) エルミート(対称)行列Aの固有値を大きい順に並べる。このとき
ただし S は部分空間 Cor. 二次形式の抑えこみ
この事実はミニ・マックス定理を経由しなくても次のようにして示せる。 すなわち,エルミート行列は正規行列であるから,スペクトル分解できる。
さらに,
に対して
とおく。
である。
Cor. 分離定理 Cor. 単調定理 注意 一般の正方行列Mに対して、ミニマックス定理は成立しない。 正方行列Mについて、二次形式で生きてくるのは対称成分
のみであるから、この対称成分に対してミニマックス定理が成立する。
定義 エルミート行列(実対称行列)Aに対して、![]()
エルミート形式は実数に値をとる。
エルミート形式の変換 xの基底変換によって不変でなくてはならないから、xが正則行列Tで変換されると、 Aは合同変換で変換される。 合同変換によって固有値は変化する。
定理 Sylvester's law of inertia エルミート行列の固有値の符号は、合同変換によって保たれる。
定義 エルミート行列Aが正定値とは、![]()
例 分散共分散行列など
定理 エルミート行列に対して、(半)正定値性と固有値が全て正(非負)であることは同値
判定法 Schur補行列を用いて、小さなブロックの判定に落としこむ 主座小行列式を用いる方法もある。
定理 正定値行列の和、正数倍もまた正定値である。 また、合同変換不変である(シルベスターの慣性法則)。
定理 正定値行列の分解 A 正定行列に対して、正則行列(または対角要素が正の上三角行列)Pが存在して、上三角の分解を特にCholesky factorization という。 [略証] Aは実対称なので、直交行列Uを用いて対角化することができる。
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Aは半正定値なので、固有値は全て非負であるから、次のような行列を考えることができる。
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これを用いて、Pを次で定義すれば、これが求めるものである。
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系 正定値行列の平方根![]()
定理 ユークリッド空間の任意の内積g(x,y)に対して、正定値行列Pがあって、と表現できる。 逆に、正定値エルミート行列が定める双一次形式は内積である。