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 壊れているのは、世界?それとも、僕達?

―――――
―――

「……」
 俺は何も語らなくなってしまったユラを、ずっと隣で見守り続けた。
 恋人よりも愛おしく。家族よりも大切で。俺の世界の核を構成する、たった一人の人間であったユラを。
 そんな彼女の瞳は無機質に世界を反射するだけで。
 その心は美しく恐ろしく儚く弱弱しくあっけなく虚しく寂しく哀しく切なく愛おしく狂おしく。悲惨に凄惨に無残に無尽に微塵に無謬に無様に十全に純然に純粋に――壊れていた。

 意識は、ある。ただ、反応しないだけ。呼吸は、している。ただ、動かないだけ。
「ヤクザみたいなおっさんがね……この連鎖を止めるって言ってたよ。君の迷いを、断ち切るためにも。君を幸せにさせるためにも」
「黒いのがね。随分君の事を大切にしていたよ」
「それに、アッシュが待ってるよ……君が元気になるのを」
「ねぇ、ユラ……」
「ユラ……」
 俺の呼びかけに応えるかのように。
 ただ風だけが。周囲で軽く舞い、小さく音を立てて消えた。
「起きてるんだろ……?早く……戻って、こいよっ……!」
 ぱたりと。乾いた地面に黒い染みができる。
「ユラ……目を覚ませよ……!!俺はっ……お前がいなきゃ――!」
 ぎしりと。骨が軋む音が聞こえるくらいに俺はユラを抱きしめる。
 ぽっかりと空いた胸の穴を埋めるかのように。消えない寂しさを、、消すかのように。
「お前がいなきゃ……ダメなんだよ……」
 そっと、彼女に口付けをした。

 俺の流す涙がユラの頬にも伝わる。
 だけど反応は、ない。
「……ユラ」
 そして先ほどとは違い。俺は優しく、ユラを抱きしめた。

 しばらく俺はユラを抱きしめ続けていたが、夜色に染まった空が、淡い光を帯びてるのに気付き、顔を上げた。
 空に浮かぶは、きらきらと光る無数の流星群。
「――そうか、今日は」
 無意識に俺は、星空へと手を伸ばす。
 届かない事を知りながら。それでも短い腕で星を掴もうとしていた。
 流れゆく星屑は俺の指の隙間を縫うように、現れては消え、消えては現れる。
 そして星の動きにあわせるかのように、何もない空中で拳を握る。
 そんな事を、俺は流星群が消えるまで繰り返していた。

 ――誰かが、俺達の壊れた世界を壊してくれることを、願って。



                      ≪Crazy-Love Rhapsody≫ is the END.

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最終更新:2009年06月13日 01:43