メールで周った直しは赤字のとこです
Anesthesiology 2010
1.麻酔中の血圧の変化について知るところを記せ。
(血圧が低下する時)
深麻酔
術前使用薬剤の影響
心不全
脱水、出血
不適合輸血
迷走神経反射
局所麻酔中毒
ショック
低酸素血症(末期)
高炭酸ガス血症(末期)
交感神経遮断
(血圧が上昇する時)
浅麻酔
麻酔薬の影響
血管収縮薬の投与
アシドーシス
過剰輸液、輸血
頭蓋内圧亢進
低酸素血症(初期)
高炭酸ガス血症(初期)
交感神経刺激
術中の高血圧症と低血圧症の定義・症状・対応・予防
高血圧症
低血圧症
定義
日常血圧の30%以上または180/110mmHg以上の持続
日常血圧の30%以下,あるいは90mmHg以下の持続
症状
自覚症状ないが出血量増大、脳内出血・心筋虚血
自覚症状ないが臓器機能不全、脳梗塞・心筋虚血
対応
適切な麻酔深度の維持と鎮痛、酸素化と換気の維持 カルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬の投与
適切な麻酔深度の維持と鎮痛、酸素化と換気の維持原因に応じた治療:輸液・輸血、昇圧薬(エフェドリン、カテコラミン=アドレナリンやノルアドレナリン)
予防
適切な麻酔深度の維持と鎮痛、酸素化と換気の維持
適切な麻酔深度の維持と鎮痛、酸素化と換気の維持
そしたら、覚え方!まず、対になってるものを覚える。麻酔の深さ・低酸素血症・高炭酸ガス血症・交感神経の4つ。あと、血圧低下は心不全とかショックとか元気なくなりそうなやつ、血圧上昇は血管収縮薬とか頭蓋内圧亢進とかくるしくなりそうなやつ。輸血に関しては、不適合なら血圧低下だけど、普通は血圧上昇。
2.麻酔中の呼吸器合併症について知ることを記せ
気道の狭窄・閉塞、誤嚥性肺炎、喉頭けいれん、気管支けいれん、気胸、無気肺、肺水腫、肺塞栓、低酸素血症、高二酸化炭素症
3.麻酔後の合併症について記せ
1)循環器
2)呼吸器
気道狭窄・閉塞
呼吸抑制
無気肺
急性呼吸窮迫きゅうはく症候群
3)中枢神経系
4)ふるえ、シバリング
5)悪心、嘔吐
6)術後疼痛
7)体温上昇
4.電解質の正常値について記せ。また、高カリウム血症の生体への影響を述べよ。
Na:135~145mEq/ℓ Cl:99~107mEq/ℓ K:3.5~4.9mEq/ℓ Ca:9~11mg/㎗ P:2.5~4.5mg/㎗ Mg:1.8~2.6mg/㎗ mEq/ℓの読み方は「メックパーリットル」
Cu:70~130mg/㎗
高K血症 5mEq/ℓ以上
神経症状:深部腱反射の減退
精神症状:意識障害
心筋異常:不整脈、伝導障害、心停止、心電図異常
その他:四肢・口唇のしびれ感、顔面・舌の刺激過敏
細胞内液の性状としてカリウムイオン155 mEq/ℓ、ナトリウムイオン11 mEq/ℓ
5.輸血の副作用について記せ
溶血性輸血反応:血液型不適合輸血、不規則抗体、加熱や過冷血液の輸血により起こる。溶血性反応が疑われたら輸血を中止してショックに対する治療と腎臓に対する治療を行う。
病原体の感染:梅毒、肝炎、HIV、細菌感染などがある。HIVは加熱処理により問題とならなくなったが、輸血後肝炎の発生率は10%程度。
アレルギー反応:蕁麻疹、咽頭浮腫、喘息症状が発生する。
発熱反応:殺菌過程で混入した発熱物質により、よく見られる。
大量輸血による副作用:大量に輸血することにより、低体温・高カリウム血症、クエン酸中毒、代謝性アシドーシス、出血傾向が見られる。
GVHD:予防は放射線照射。
急性肺障害:ABO型不適合に次いで,輸血関連の一般的な死因。
※血液の正常値→血液量は体重の8%(血漿が5%、血球が3%)、白血球WBC4000~9000/mm3、赤血球RBC400万~500万/mm3、ヘモグロビンHb男14~18g/㎗・女11~15g/㎗、ヘマクリット男40~50%・女30~45%、血小板PLT10~40万/mm3
6.自己血輸血の種類、利点、問題点
(種類)
術前貯血式自己血輸血(貯血法):ある程度の出血が予想される患者に前もって採血して保存し、輸血が必要となった際に戻す方法。口腔外科領域では計画手術が多いため前もって血液の採取が可能であり現在多くの施設で試みられている。採血後の造血能の亢進をはかるためにエリスロポイエチンや鉄剤の投与などが行われている。
術中回収式自己血輸血(回収法):ガーゼなどに染み込んだ血液を回収し、洗浄・濃縮して戻す方法。
血液希釈式自己血輸血(希釈法):手術直前に患者から血液を採取し、それに伴う循環血液量の減少を輸液で補填して手術を行い、手術による出血に対して戻す方法。
(利点)
同種血輸血による副作用のほとんどを回避できる
(問題点)
採血時の副作用
貧血
貯血量の限界
緊急時に対応できない
7. 麻酔に関連した高齢者の生理学的特徴について記せ
≪多数の合併疾患≫
糖尿病
高血圧
動脈硬化
慢性気管支炎
虚血性心疾患
脳梗塞
認知症 など
≪呼吸系≫
肺活量の低下と機能的残気量の増加
肺コンプライアンスの低下
1秒量・1秒率の低下
MACが小さい
≪循環系≫
心拍出量や心拍数の低下
血圧上昇
圧受容体反射の亢進(すべての循環器系の反射は低下傾向にあるが、必ずじゃないけどしばしば圧受容体反射は亢進する)
≪その他≫
肝機能の低下
腎機能の低下
免疫系の低下
脳血流の低下
基礎代謝率の低下
薬剤代謝の遷延
8.麻酔に関連した小児の生理学的特徴について記せ。
≪呼吸系≫
換気量増大は1回換気量ではなく、呼吸数増加による
呼吸予備力が少ないので、末梢気道閉塞や低酸素血症を起こしやすい。
酸素消費量/体重 が成人の2倍あるため呼吸不全を起こしやすい
動脈血酸素分圧(PaO2)が低い(小児:60~80mmHg、大人100mmHg)
気管分枝角度が左右とも約55°である。
肺のコンプライアンスは低く、気道抵抗は高い。また気管より細いチューブを使うため換気も困難である。
腹式呼吸である。
気管狭窄部が声門下の輪状軟骨部であり、声門下浮腫が起きやすい
喉頭の位置(声門)が高いため挿管しやすい
MACが大きい(新生児は小さい)→MACが小さいほど麻酔は効きやすい。年齢が増えるごとにMACは小さくなる
≪循環系≫
心拍出量の増加は心拍数の増加でまかなう。
循環血液量が多く、脱水を起こし易い。
血圧は低く、心拍数が多い。
除脈や呼吸性不整脈を起こしやく、乳幼児は頻脈より徐脈が危険である。
≪代謝・体液系≫
新生児のヘモグロビンは多いが、生後3か月では最も低くなる。
細胞内液が多い
6か月まで体温低下しやすい
6か月から1歳半まで基礎代謝最高値。
未熟な尿濃縮力であり、腎機能自体が未発達。
1日あたりの水分交代率は乳児で最高で、脱水になりやすい。
≪神経系≫
吸入麻酔薬に対する感受性低く、成人より高濃度必要。
9.歯科外来麻酔=日帰り全身麻酔の適応について記せ。また、禁忌となる患者を記せ。
適応
1、 治療に非協力的で、意思疎通困難な患者(重度心身障害者、低年齢児、認知症)
2、 局所麻酔薬にアレルギーのある患者
3、 一度に多数歯治療が必要な患者
4、 不随意運動の著しい患者
5、 歯科恐怖症や嘔吐反射の強い患者
6、 頻回の治療が困難な患者
7、 簡単な口腔外科手術
8、 麻酔時間2時間以内の処置、手術
禁忌
1、 全身的合併症を有する患者(ASA分類3以上)
2、 高齢者、6ヶ月未満の乳児
3、 小下顎症等など挿管困難が予想される場合
4、 筋ジストロフィー患者などの骨格筋に異常がある患者
5、 胃内容物がある症例
6、 上気道炎、喉頭炎などの急性症状がある症例
7、 気道確保が困難な症例
8、 帰宅時に責任のある大人の付き添いがない場合
10、長時間の手術、治療(2時間以上)
11、輸血が必要なケース
10.歯科外来麻酔の帰宅条件を記せ。
1、 経口摂取可能で、嘔吐がないこと
2、 意識、判断、運動機能(歩行)が術前と同じように回復していること
3、 循環器系、呼吸器系に異常がないこと
4、 自然排尿があること
5、 付き添い人がいること
6、 出血などの合併症がないこと
7、 バイタルサインに異常がないこと
11.全身麻酔と鎮静法の差異と明示し、意識ある鎮静状態を説明せよ。
精神鎮静法
全身麻酔法
意識
あり
なし
患者の協力
あり
なし
防御反射(嚥下反射・咳嗽反射など)
あり
低下~なし
鎮痛効果
なし~不完全(局麻いる)
あり(局麻いらない)
術前処置
不要
必要
バイタルサイン
安定
不安定
回復
すみやか
遅い
意識ある鎮静状態には以下のものがある。
1意識がある。
2口を開けっ放しにできる。
3深呼吸をしてくださいと言われたらできる
4おだやかな表情で上眼瞼が下垂し半眼となるverrill`s signの出現
5発語が不明瞭だが、会話が可能
このような状態であれば適正な鎮静状態と判断できる。
12.精神鎮静法の概念、目的、適応、種類について述べよ。
概念
治療に対する精神的ストレスを軽減する目的で、鎮静効果のある薬物を用いて意識を残した状態で中枢神経系の機能を抑制し、精神的安静を得させる。
目的
①不安、恐怖、緊張の緩和
②歯科治療に伴う不快刺激の緩和
③バイタルサインの安定化
④歯科治療に対して患者さんの協力を得る
⑤健忘効果
⑥疼痛閾値の上昇(笑気)
適応
①意思の疎通可能
②歯科診療に不安感・恐怖心
③過去に歯科治療で神経性ショックの既往
④強い嘔吐反射
⑤高血圧・心疾患などを合併
種類
①吸入鎮静法(笑気)
②静脈内鎮静法(ベンゾジアゼピン系、プロポフォールなど)
③経口鎮静法
④直腸鎮静法
⑤筋肉内鎮静法
があり、主に①・②が使われる。
13.笑気吸入鎮静法の特徴、適応、禁忌
〈特徴〉
鎮痛作用がある
非観血的で痛みを伴わない
上気道閉塞はまれである
呼吸・循環系に影響が少ない
鼻マスクが必要である
回復はすみやかである
〈適応症例〉
原則として全ての歯科治療が適応だが、特に
歯科治療に不安・恐怖感をもつ患者
嘔吐反射(絞扼こうやく反射)の強い患者
高血圧や心疾患などの全身疾患を有していてストレスを最小限にしたい場合
過去の歯科治療で異常を起こした場合
低年齢児(3歳以上)
長時間・大きな侵襲の歯科治療
〈禁忌症例〉
妊娠初期及び後期の患者
鼻閉→笑気が吸えない
イレウス・気胸などの体内閉鎖腔がある→閉鎖腔増大による破裂のおそれ
重度の知的障害者→意思疎通ができない
中耳疾患
医療ガスの硝子体内残存(眼科手術既往)
14.笑気吸入鎮静法と比較した静脈内鎮静法の利点・欠点
〈利点〉
患者による薬剤投与の様式に差がない
笑気吸入鎮静法で必要な鼻マスクがいらない
鎮静状態が確実である
抗不安作用 ・健忘効果が期待できる
効果発現が早い
〈欠点〉
上気道閉塞を起こしやすい
鎮痛薬の併用が必要である
呼吸・循環系抑制効果を起こすことがある
観血処置で疼痛を伴う
投与薬剤によるアナフィラキシーがある
針刺し事故の可能性がある
この問題の欠点が笑気の利点になり、利点が欠点となる!!
15.ベンゾジアゼピン系薬剤の種類・特徴・および作用機序、合併症およびその対処について
〈種類〉
① ミダゾラム(効果時間最短で短時間処置に適応)
② ジアゼパム(中間の効果持続作用。静脈内投与で血管痛や静脈炎をおこす)
③ フルニトラゼパム(効果時間が最長)
〈特徴〉
個人差が大きく、高齢者では少量でも呼吸抑制を起こす可能性がある
現在最もよく使われる鎮静薬。
作用について
① 抗不安作用 ②鎮静作用 ③睡眠導入作用 ④筋弛緩作用 ⑤抗痙攣作用
⑥自律神経調節作用 ⑦抗ストレス作用
〈作用機序〉
大脳辺縁系(海馬や扁桃体など)に作用し、抑制性のGABA(ガンマ・アミノ酪酸)ニューロンに存在するベンゾジアゼピン受容体に結合し、GABAニューロンの作用を増強して神経活動を抑制する。
<合併症とその対処>
過剰投与や覚醒遅延で呼吸抑制が強く発現したら、拮抗薬のフルマゼニルを投与することで覚醒する。
血管痛や静脈炎(ジアゼパム)に対しては、太い血管より薬剤を投与したり、ゆっくり薬剤を投与する。
動脈内への注入をした場合は、リドカインやヘパリンなどの動脈内注入か神経ブロックなどを行う。
16.静脈内鎮静法における鎮静状態からの回復と帰宅時の注意事項について
帰宅許可の条件→応答が明瞭、バイタルサインに異常ない・ふらつかずに歩行できる・ロンベルグテストが正常・帰宅までの付き添いや交通手段に問題ない
※ロンベルグテストは視覚を遮断して立位姿勢を30秒間保持できるかをみる
呼吸および経皮的動脈血酸素飽和度を注意深く観察し、呼吸抑制がみられたら適切な処置を行う
患者への注意→車・自転車などの運転禁止、交通に十分注意、細かい仕事や重要な判断を要する仕事は避ける、激しい運動は避け安静にする、帰宅後に発熱や嘔気など異常な症状が出たら連絡させる
17.痛覚伝導路について記せ。
痛みを伝える一次求心線維にはAδ線維とC線維がある
Aσ繊維;有髄で速い first pain さす様な痛み
C繊維;無髄で遅い second pain うずく様な痛み
末梢側の神経突起は皮膚、粘膜、骨格筋、内臓など全身に自由神経終末となって分布する。この自由神経終末は侵害受容器の役目を持つ。顎顔面領域では三叉、迷走、顔面Nの知覚繊維が痛覚伝導路の1次ニューロンに相当する。
痛覚の伝導路
刺激 → 受容器 → 脊髄後角 → 視床 → 大脳皮質 → 痛覚
一次ニューロン 二次ニューロン 三次ニューロン
一次求心線維は脊髄の後角でシナプス形成をする。シナプスを介した二次ニューロンは脊髄を対側に交叉し、脊髄視床路を通り、視床まで上行する。二次ニューロンは視床のVPL核で三次ニューロンとシナプスを形成する。三次ニューロンは頭頂葉の中心後回にある感覚野に伝達する。
18.顎顔面口腔領域の神経痛(三又神経痛、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛)の症状と治療法を記せ。
<三又神経痛>
40歳以上の女性に多い。痛みは誘発痛・放散痛・片側痛・自発痛なし・疼痛閾値は低下しない。
症状:三叉神経支配領域に一致した片側性の間欠的電撃痛で、痛みは洗顔、会話などによって誘発される神経因性疼痛である。
治療法:①薬物療法(カルバマゼピン、フェニトイン)②神経ブロック(局所麻酔薬で効果発現を確認してから、神経破壊剤として純アルコール)→まずは末梢枝のブロックから行い、最後に半月神経節(三叉神経節、ガッセル神経節)③手術療法(脳外科医による三叉神経節切除術など)④理学療法
<帯状疱疹>
水痘帯状疱疹ウイルスの感染による。
症状:三叉神経の走行に沿った皮疹,水泡の形成があり、それに前後して疼痛を発症する。口腔内では粘膜面に水泡の形成がみられ、重症例では、これが癒合してびらん,潰瘍の形成をみる。激痛を伴い、口唇および口腔内に症状がある場合は強度の摂食困難を訴える。三叉神経第1枝(眼神経)は、全身の中でも最も発生頻度の高い部位である。
治療:①薬物療法(抗ウイルス剤アシクロビル、消炎鎮痛薬、ビタミンB群)②帯状疱疹後神経痛の予防に星状神経節ブロック
<帯状疱疹後神経痛>
症状:帯状疱疹治癒後に、VZVによる神経障害によって、神経因性疼痛が発現する。痛みは電撃痛、灼熱痛で痛覚過敏やアロディニア(触れただけで痛みがでる)なども生じる。
治療:①薬物療法(抗ウイルス剤アシクロビル、鎮痛薬ノイロトロピン、抗うつ薬アミトリプチリン、神経痛をやわらげるメキシレチン、漢方薬)②星状神経節ブロック③点滴治療(ケタミン、リドカイン)
19.顎顔面口腔領域の麻痺性疾患(三又神経麻痺、顔面神経麻痺)の症状と治療法を記せ。
<三又神経麻痺>
症状: 麻痺の症状は完全な知覚・運動麻痺から正常よりやや低下しただけの軽微なものまである。
障害された神経によって症状が違っていて、眼神経なら、前頭部の知覚麻痺、眼の炎症や潰瘍、毛髪の脱落、白髪化。上顎神経なら、顔面上半部の皮膚や上顎歯牙、粘膜の知覚麻痺。下顎神経なら、顔面下半部の皮膚や下顎歯牙、粘膜の知覚麻痺、舌前2/3の味覚障害、咀嚼障害、末梢部麻痺ではオトガイ部から下口唇の麻痺。
治療:①原因(腫瘍やインプラントなど)の除去②理学療法(レーザー治療、赤外線療法、ハリ、電気療法)③星状神経節ブロック④薬物療法(局所の浮腫軽減にステロイド、神経賦活剤としてビタミンB群、生理的活性物質としてATP製剤)⑤外科的治療
<顔面神経麻痺>
30~50歳代に多く男女差なし
症状:損傷部位により中枢性と末梢性があり症状が異なる。中枢性では、麻痺は非障害側の顔面下部に限局し、末梢性と異なり額にしわをつくれて、前頭筋や眼輪筋の運動障害はみられない。末梢性では症状は障害側にあらわれ、4大徴候として麻痺性兎眼(目が閉じれず、充血や角膜潰瘍を起こす)、ベル症状(目を閉じようとすると眼球が上転する)、鼻唇溝消失、口笛不能、他には味覚障害、聴覚障害、涙分泌の異常、顔面痛などが見られる。
治療:①薬物療法(局所の浮腫軽減にステロイド、神経賦活剤としてビタミンB群、生理的活性物質としてATP製剤)②理学療法(運動訓練、低周波通電治療)③末梢血管を拡張させ循環の改善を目的に星状神経節(交感神経節)ブロック④外科的治療
20.がん性疼痛におけるWHOの治療指針について記せ。
5つの基本原則があり、①経口投与by the mouth②鎮痛作用に切れ目がないように時間を決めて定期的に by the clock③痛みの強さに応じてそれに見合った薬物の使用(三段階ラダーに従う)by the ladder④患者さんごとの個別的な量by the individual⑤以上の4原則を守った上で細かい配慮を行うwith attention to detailである。
三段階ラダーとは、第一段階:NSAIDs使用(必要に応じて抗うつ薬や抗不安薬などの鎮痛補助薬)、第二段階:弱麻薬使用(補助的にNASIDsや鎮痛補助薬)コデイン、第三段階:治療の中心は強麻薬(鎮痛補助薬を効果的に併用)モルヒネ、フェンタニル、ケタミンである。
21.星状神経節ブロックの口腔顔面領域の適応、成功のサイン、合併症とその対処について記せ。
適応
頭痛、顔面神経麻痺、三叉神経麻痺、顔面痛、舌痛症、Ramsay-Hant症候群、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、メニエール、カウザルギー、反射性交感神経萎縮症などがあげられます。
成功のサイン
ホルネルの三徴候と呼ばれ、1)瞳孔縮小 2)眼瞼下垂 3)眼球後退
他には、眼球結膜の充血や鼻閉がある
合併症
①椎骨動脈内への薬液誤注による局所麻酔薬中毒(局所麻酔薬中毒の症状は、初期症状に不安・頻脈・血圧上昇、その後、全身けいれん、末期には徐脈・血圧低下・呼吸停止・意識消失)
対応は、酸素吸入と全身けいれんに対してジアゼパム静注、必要に応じて心肺蘇生
②局所麻酔薬アレルギー
Ⅳ型アレルギーなら経過観察、Ⅰ型アレルギーならただちに酸素吸入と大量輸液、ステロイドと抗ヒスタミン薬の静注を行う、重症例ではアドレナリン静注、必要に応じて心肺蘇生
③反回神経麻痺による嗄声(させい)
対応は、1〜2時間で回復するので経過観察。声がかすれる間は、むせたり、咳き込んだりので、飲食は控えるように指導する。嗄声出現時の患者の不安は大きいので、注意する。
④上腕神経叢ブロックによる麻痺で腕があがらない
対応は、1~2時間で回復するので経過観察。
星状神経節ブロックは注射した側の「血流改善」と「不要な神経活動の鎮静化、ないしは過剰な神経活動の正常化」を期待できる方法です。
22.歯科治療時に起こりうる全身的偶発症とその鑑別診断法について記せ
意識障害の原因鑑別
徐脈から頻脈へ・血圧低下、原因となる基礎疾患なし→血管迷走神経反射
血圧低下・頻呼吸、ステロイド服用の既往→急性副腎不全(副腎クリーゼ)
胸痛、徐脈あるいは頻脈・血圧低下、高血圧患者→心筋梗塞
血圧低下、頻脈→アレルギー反応
顔面蒼白、浅い呼吸、糖尿病患者→低血糖
顔面蒼白、アセトン臭、糖尿病患者→高血糖
全身けいれん、呼吸・循環抑制、局所麻酔薬の多量投与または血管内直接注入→局所麻酔薬中毒
頭痛、高血圧患者→脳血管障害
突発的な意識消失、てんかん既往歴→てんかん
過換気、手足のしびれ、不安感、ヒステリー→過換気症候群
不整脈、冷汗なし→アダムス-ストークス症候群
呼吸困難の原因鑑別
喘鳴、吸気時の鎖骨上窩の陥没→気道内異物
過呼吸発作、テタニー様症状→過換気症候群
喘鳴、乾性ラ音(ラッセル音)→気管支喘息
息切れ、胸痛→特発性自然気胸(細長い青年男子に多い)
咳、起坐呼吸、赤色泡沫状の痰→急性肺水腫
チアノーゼ→肺気腫
胸痛、血痰→肺塞栓
痙攣の原因鑑別
突発的な意識消失、てんかん既往歴→てんかん
糖尿病患者→低血糖
過呼吸、テタニー→過換気症候群
局所麻酔後のけいれん→局所麻酔薬中毒
急激な血圧上昇、高血圧患者→高血圧性脳症
23.ショックの定義、病態の種類、臨床症状および治療について
≪ショックの定義≫
急性の全身性の循環障害で、酸素や栄養素が供給されず末梢組織の代謝が損なわれた状態。循環血液量、心臓、末梢血管抵抗の3つの因子の障害が関与する。
≪種類≫
①神経性ショック②出血性ショック③アナフィラキシーショック④敗血症性ショック⑤心原性ショック⑥その他のショック
≪症状≫
典型的症状は、四肢の蒼白またはチアノーゼ、冷汗、頻脈、血圧低下、無欲、無関心状態、乏尿または無尿。
ショックの初期または敗血症ショックでは皮膚は温かく、神経性ショックでは徐脈を呈する。
蒼白pallor、精神的肉体的虚脱prostration、冷汗perspiration、微弱な脈から脈拍の触知不能pulselessness、呼吸不全pulmonary insufficiencyをショックの症状5Pという。
¥≪ショックの治療≫
①原因の除去②代謝性アシドーシスの補正③輸液、輸血による循環血液量の維持④血管拡張薬による微小循環の改善⑤心機能促進薬、利尿薬、タンパク分解酵素阻害薬の投与
24.生命徴候:Vital signsとその評価方法に関して記せ
①意識状態
JCS(Japan Coms Scale) ・ GCS(Glasgow coma scale)を基準に評価する。
②呼吸
スパイロメトリーにより呼吸型をみる。呼吸数、深さ、リズムも観察する。
③脈拍
触診により脈拍数、リズム、緊張度、大きさを評価する
④血圧
血圧計を用いて測定、評価する。
⑤体温
臨床においては腋窩温や口腔温を体温計で測定し、体温として評価する。
25.救命の連鎖について説明せよ
心肺蘇生法により傷病者を助けるには、一連の救命処置がうまく連携されることが大切である。これを救命の連鎖という。
成人の場合
通報→心肺蘇生(CPR)→AED→二次救命処置へ
小児の場合
心肺蘇生2分間(CPR)→通報→CPR→AED(1歳以上の場合)→二次救命処置へ
小児では心停止の原因の多くが呼吸原性であるため、早期にCRPを行う。
26.気道確保について、BLSおよびACLSで行われる方法を記せ
BLSでは 頸椎損傷がないもしくは下顎挙上法でも気道確保困難なら頭部後屈―あご先挙上法を行う。頸椎損傷が疑われるなら頭部後屈を伴わない下顎挙上法を行う。
ACLSでは基本的補助用具を使用し、意識のない患者には口咽頭エアウェイを、咳反射や咽頭反射のある患者には鼻咽頭エアウェイを使用する。
高度な気道確保としてコンビチューブやLMA(ラリンジアルマスクエアウェイ)、気管挿管がある。
27.傷病者に対する人工呼吸について記せ
傷病者に対する人工呼吸は、口対口と口対マスクの2つに分類できる。感染防止のためマスクがあるならマスクを使用し、ないならフェイスシールドを使って口対口で行うのが理想。マスクにはポケットマスクやバッグバルブマスクBVMなどを用いる。
気道確保し、一秒/一回で呼気吹き込みを2回行い、呼気吹き込み中は傷病者の胸の上がりを確認する。
28.胸骨圧迫心マッサージの方法を成人・小児・乳児に分けて記せ
成人の場合
傷病者の横に位置し左右の乳頭を結ぶ乳頭間線上の胸骨に両手を重ねておき、両腕をまっすぐに伸ばし、両手の直上に両肩が来るようにする。
胸骨が4~5cm沈むように100回/分のペースで圧迫し、圧迫するごとに胸が完全にもとの位置に戻るように行う。このペースで、胸骨圧迫30回、人工呼吸2回を5サイクル継続する。胸骨圧迫の中断は最長でも10秒以内とする。
小児の場合
成人と基本的に同じ方法だが、力が強過ぎると内臓を損傷する可能性があるので胸骨を胸の厚さ1/3沈む程度の力で圧迫する。十分な胸骨圧迫が可能なら片手でも良い。また、救助者が2人以上なら、胸骨圧迫と人工呼吸の比は15:2となる。
乳児の場合
乳頭間線の少し下の位置の胸骨を救助者が一人なら二本指圧迫法で100回/分のテンポで胸の厚さ1/3まで圧迫し、胸骨圧迫と人工呼吸の比は30:2で行う。救助者が2人以上なら胸郭包み込み両拇指圧迫法で行い、胸骨圧迫と人工呼吸の比は15:2となる。
29.ACLSで用いられる薬剤の適応について記せ(アドレナリン、バソプレシン、アトロピン、リドカイン、アミオダロン)
バソプレシン→心室細動(VF・Vf)
無脈性心室頻拍(VT)
心静止
無脈性電気活動(PEA)
アミオダロン→心室細動
無脈性心室頻脈
アドレナリン→心停止
アナフィラキシーショック
喘息発作
リドカイン→心室性期外収縮
心室性頻拍、
心室細動
アトロピン→徐脈性不整脈
房室ブロックによる除脈
無脈性電気活動(PEA)
※心停止を来す不整脈は、心静止、無脈性電気活動、無脈性心室頻拍、心室細動
30.酸素解離曲線と臨床症状について
酸素解離曲線とは、動脈血酸素飽和度と動脈血酸素分圧の関係を表していて、これからパルスオキシメーターにより測定されるSpO2を使うことで間接的にPaO2を予想でき、低酸素血症の検出を行うことができる。SpO2が90%以下になるとPaO2は60mmHg以下になっていることを示しこれは呼吸不全の状態であり呼吸障害を呈しているから酸素吸入を行う。このまま適切な処置を行わないとPaO2が40mmHg以下となり急性低酸素血症という状態になる。すると、患者は興奮し失見当識を認め、不穏状態となる。このとき、大気呼吸下であれば中枢性チアノーゼ、呼吸促迫、心悸亢進、ときに不整脈を認める。さらにPaO2が低下すると患者は昏睡し、ショック、徐脈、チェーンストークス様呼吸が出現し最悪死に至る。
31.局所麻酔の作用機序を説明
神経細胞膜の表面に存在するNaチャネルにおいて、局所麻酔薬の非イオン型が神経線維膜を通過し、細胞内に入り、細胞内でイオン型に変化してNaチャネルを内側から封鎖することでNa+がチャネルを通過できないようにして痛みを感じなくさせる。
32.代表的な局所麻酔薬の構造の違いと薬理学的特性を比較せよ
下図のように局所麻酔薬の化学構造はベンゼン環とアミノ基が中間鎖を介して結合している。中間鎖がエステル結合のものをエステル型、アミド結合のものをアミド型という。
エステル型はアミド型に比べアレルギーを起こしやすい。
エステル型もアミド型も代謝物は腎臓から排泄される。
アミド型は局所麻酔薬中毒を起こしやすい。
33.局麻の麻酔効果に及ぼす物理化学的特性について述べよ。
解離定数pKaが小さいほど作用発現が速い。
脂溶性が大きいほど作用発現速く、麻酔効果が大きい。
タンパク結合性が大きいほど作用持続時間が長く麻酔効果が大きい。
血管拡張性が大きいほど作用持続時間が短い。
組織浸透性が大きいほど効果発現が速い。
34.炎症部位で局麻の効きが悪い理由
①組織が炎症起こすと組織のpHが低下するので局所麻酔薬の作用型である非イオン型の比率が下がり効きにくくなる。
②炎症部位では血管拡張によって局所麻酔薬が血中に吸収されやすく、また浮腫によって局所麻酔薬の濃度が下がるので効きにくくなる。
35.局所麻酔薬を分類し、代謝の違いを述べよ。
二つは構造の違いにより分解酵素が異なる。
エステル型は血液に入るとその血漿内にある偽コリンエステラーゼで代謝される。
アミド型は血液に入っても分解されず、肝臓まで輸送され肝臓のシトクロムP450によって代謝される。
36.局所麻酔注射時に伴う全身的合併症とその鑑別診断について説明せよ。
発症までの時間
血圧
治療
疼痛性ショック(血管迷走神経反射)
瞬時
低下
水平位
異常高血圧
痛みは瞬時
上昇
Ca拮抗薬
アナフィラキシーショック
数分~数十分
低下
救急蘇生法
過換気症候群
不定
不変or上昇
呼気の再呼吸
局所麻酔中毒
2~3分
初期に上昇後に低下
人工呼吸、抗痙攣薬
37.歯科用局所麻酔薬の特徴と製剤における主な添加物を挙げ、説明せよ。
特徴
① 高濃度である(通常2~3%、一般医科用は0,5~1,0%)
口腔内は血管の量が多く、麻酔薬が吸収されやすく局所部位に留まれる薬の量が少なくなる。また感覚に優れた部位であり、痛覚も過敏なので麻酔薬が他の部位に比べ効きにくい。よって一般医科用と比べ高濃度である。
②血管収縮薬が添加されている。
出血の抑制による術野の明視化、局所麻酔の効果の増強、持続時間の延長、中毒発現の予防などを目的としている。アドレナリンやフェリプシンが使われる。
③薬剤師でなくても使えるので歯科材料店でも入手可能
主な添加物
血管収縮薬:アドレナリン、ノルアドレナリン、フェリプシン
防腐剤・・・メチルパラペン(リドカインよりもアレルギーの原因となる。歯科用キシロカインカートリッジ以外は含まれていない)
浸透圧調整剤・・・NaCl
安定化剤(酸化防止)・・・ピロ硫酸ナトリウム
溶解剤・・・HCl
が含まれる。
38.局所麻酔法の利点、欠点および浸潤麻酔施行時の注意点
利点
1.適応範囲が広い。
2.意識が保たれている
3.患者の協力が得られる
4.全身に及ぼす影響が少ない。
5.塗布および注射で施行できる
6.施行するための注射器剤以外には特別な器具、人員を必要としない
欠点
1.意識が保たれているため、患者に精神的負担を与える
2.疼痛を伴うことがあり、神経性ショックをみることがある
3.薬液が口腔内に漏れると非常に強い苦みを与える
4.局所麻酔薬やその添加物により過敏な反応を呈する場合がある
5.急性中毒による全身痙攣、心肺停止を誘発することがある
6.数時間に及ぶ手術には適応出来ない
浸潤麻酔注射施行時の注意事項
1.注射部位の解剖的形態を十分に考慮して行う
2.局所麻酔薬の特性、濃度、添加物などを考慮し、適材適所に使用する
3.針の刺入部位は痛点が少ない、薬液を注入しやすい、骨小孔が多い、炎症がないなどの条件をもとに選択する
4.十分な消毒を行ってから針を刺入し感染や潰瘍を予防する
5.下顎舌側への浸潤麻酔は感染が起こりやすいので避ける
6.局所麻酔薬注入時には必ず注射器の吸引を行い、血管内へ注入しないように確認する
7.刺入時、薬液注入時の疼痛について十分に考慮し、強圧の注入はせず、ゆっくり注入する
8.患者に精神的な不安感や恐怖感を抱かせるような行為を行わない
9.神経性ショックや局所麻酔中毒などの発生を予想して、救急処置法修得および救急器具を用意する
39.伝達麻酔注射施行時の注意事項、および伝達麻酔の利点と欠点
注意事項
①基本的に浸潤麻酔と同じことに気をつける
②伝達麻酔は針が太いので、血管損傷や神経損傷に気をつける
③針を深くまで刺すので刺入部位は十分に消毒し、感染予防に配慮する
④ 定の深さまで針を進めたら、血液の逆流がないか確認する。
伝達麻酔の利点
1.少量の薬液で広範囲な麻酔の効果が期待できる
2.局所に薬液を注入することによる変形が避けられる
3.作用持続時間が長く、効果も大きい
欠点
1.注射バリが太い(25・27G)
2.麻酔液を血管に注入する恐れがある
3.注射バリによって神経や血管を損傷することがある
4.必要以上の範囲まで麻酔が及ぶことがある
40.局所麻酔の注射において局所に現れる偶発症を説明せよ。14個!
疼痛
麻酔効果不全
顔面の腫脹と内出血
顔面の貧血帯(キューンの貧血帯)
開口障害
顔面神経の麻痺
遷延性知覚麻痺
感染
注射部位の潰瘍と壊死
視覚障害
注射針の破折、組織内への迷入
注射針の誤嚥、気道内吸引
口唇や舌の咬傷
誤薬
41.上顎神経と下顎神経の伝達麻酔注射法を説明
上顎神経
①正円孔注射法
正円孔付近に注射して上顎神経幹を麻酔、注射側の上顎神経全体を麻痺させる。
②眼窩下孔注射法
眼窩下孔にて眼窩下神経を麻酔、注射側の上顎前歯部唇側の麻痺が得られる。
③上顎結節注射法
上顎神経の後上歯槽枝の麻酔を目的とする。上顎の片側の大臼歯部を麻痺する。
④大口蓋孔注射法
大口蓋神経支配の同側臼歯部の口蓋粘膜の知覚を麻痺する
⑤切歯孔注射法
切歯孔から出る鼻口蓋神経を麻酔し、上顎前歯部口蓋粘膜が麻痺される。
下顎神経
①卵円孔注射法
第三枝の分布領域を完全に麻痺する。
②下顎孔注射法
下顎孔に注射し、同側の下歯槽神経を麻酔。下顎半側が麻痺される。同時に舌神経も麻酔する。
③オトガイ孔注射法
オトガイ孔及び切歯枝を麻酔する。下口唇、唇側歯肉、オトガイ2/3の皮膚を麻痺させる。
頬神経注射、舌神経注射は普通下顎孔注射時の浸潤麻酔で麻痺される。
42.局所麻酔薬急性中毒症状と対処法を記せ。
初期に中枢神経刺激作用(興奮、多弁、不安、頭痛、四肢の痙攣、呼吸筋が麻痺することで呼吸停止)
症状が進行すると呼吸停止、血圧低下、意識消失、心停止を招く。
(対処法)
まず、歯科治療を中止し、口腔内の器材・異物排除、バイタルサインチェック、酸素吸入、生態情報モニター観察開始、静脈路・気道確保をする。人工呼吸を局所麻酔薬が代謝されるまで行う(約15分)。痙攣に対するフェノバルビタール、ジアゼパムなどの投与を中枢神経刺激症状が消失するまで行う。意識消失、心肺停止時は救急蘇生法を行う。
43.窒息への対応
窒息者に意識ある場合、ハイムリック法を行なう。救助者は背後から腕を患者の腹部に回し、片手で握りこぶしをつくり胸骨とへその間にあてる。もう片方の手で握りこぶしをしっかりつかみ両手を強く引き締めで上腹部を圧迫する。小児の場合は力を弱める。この方法は意識を失ったらすぐにやめる。
意識がない場合、気道確保して人工呼吸を行なう。
乳児の場合は、うつぶせにして、胸部を救助者の手で支え、乳児の背中の肩甲骨の間をたたき背部叩打法を行なう。乳児の場合、ハイムリック法は行なわない。
高度の肥満患者や妊婦には、胸部突き上げを行う。
最終更新:2011年01月08日 23:40