2009年 部分床義歯補綴学 四年生 後期
1
部分床義歯とは、上下顎歯列内の部分的な歯の喪失と、それに伴った(歯周組織)、(歯槽骨)の実質欠損の補綴を目的として、(歯根膜)、 (粘膜)を支台とする有床可徹方式の義歯のことであり、部分床義歯補綴学とは、部分床義歯の装着によって失われた(外観(形態))(顔貌および審美性)と(機能)(咀嚼、発音など)を回復して、(QOL)の維持・向上を図る基本研究体系である。
(主訴)、すなわち患者が診療を希望する理由をもって、来院した患者に処置を行う場合、(医療面接(問診))を通してこれを的確に把握し、既往歴、家族歴、現症などを把握する必要がある。
また、疾患だけを見るのではなく、来院するに至った患者の(社会的背景)を把握することも重要である。
さらに診察・検査から患者の異常な状態を正確に把握することによって、(診断)を行い、これをもとに(治療計画)を立案することが必要である。
なお、使用中の義歯の不具合がもたらした顎底粘膜の異常や筋・顎関節の異常が発見された場合は、新義歯の製作に先立って、前者のための(粘膜調整(ティッシュコンディショニング))や、後者のための(咬合調整(咬合治療))を行う必要がある。なお、このための義歯は(治療義歯)と呼ばれる。
また、部分床義歯補綴診療では、(レストシート)の形成、支台歯となる歯のう蝕予防および(歯冠形態)の改善のため、歯冠補綴をする場合がある。
また、歯冠補綴を行わない場合でも支台歯となる残存歯に対して、(最終(精密))印象前に(レストシート)や(ガイドプレーン(誘導面))の形成を完了しておく必要である。
なお、これらの操作は、(前処置)と呼ばれる。さらに、実際に支台歯となる残存歯に設計線を付与するためには(概形)印象から製作した(研究用模型)に(診断)の結果を基にあらかじめ義歯の仮設計を行う必要がある。
部分床義歯は支台歯となる残存歯上に(支台装置)が設計され、一方、欠損部顎堤上には(義歯床)が設定され、これらが連結され、義歯を構成する。
部分床義歯には咬合圧のほとんどを支台歯のみで支持する(歯根膜負担性)義歯と、顎堤粘膜のみで支持する(粘膜負担性)義歯およびこれらの混合型である(歯根膜・粘膜負担性)義歯があり、ほとんどの義歯が(歯根膜・粘膜負担性)義歯である。
このタイプの義歯では義歯床に加わる咬合圧は(支台装置)およびに(義歯床(有床部))双方に分配されるが,これは上記の連結部の連結の強さ(連結強度)に依存する.
部分床義歯の設計は、まず(支持)をどのように求めるかを検討する。
通常、支台歯に設定される(レストシート)、印象採得により決定される(義歯床外形)に決定される。
次に、(把持)要素を付与する。これには支台装置の(把持鉤腕)、(ガイドプレーン)と(隣接面板)との接触、リジッドで剛性の有る(大連結子)の選択等が含まれる。最後に(維持)要素を検討し、その設定する(維持)は、(支持)と(把持)の2要素が十分に与えられていれば、最小の(維持)力と設定することで十分であるとされている。
部分床義歯の製作のための印象採得は全部床義歯の製作のための印象採得と同じく通常、2段階に分けて行われる。すなわち、(概形)印象と(最終)印象である。そして、通常、前者には、弾性のある(アルジネート)印象材が用いられる。
部分床義歯補綴治療の印象採得では、印象と顎堤粘膜の(加圧)印象を同時に採得する方法が広く用いられている。
一方で、主に(下)顎の(遊離端)欠損症例においては、残存歯部の印象と顎堤粘膜の印象を別に採得し、両者を組み合わせる印象法として(オルタードキャスト)法を選択することがあり、歯根膜と粘膜との(被圧変位量)の差を補償し、部分床義歯の機能時における義歯床と粘膜との良好な適合をはかることができる。
この印象法における粘膜面の印象には非弾性である(ワックス)が印象材として用いられる。機能的に採得された印象には(欠損歯槽部の削除)が施された後、石膏が注入され、(作業用)模型が製作される。
部分床義歯における咬合採得では、残存歯列のみで上下顎の模型を対咬させ咬合が可能な場合、診療室内で行う手順としては(咬合採得)の直後にチェックバイトを採得できる。また、遊離端欠損であるものの残存歯の咬合接触がある場合には、口腔内では(中心咬合位)が決まるが、模型では不安定で(中心咬合位)が明確でない場合、(作業用)模型上で(咬合床)を製作し、用いる必要がある。
また、(すれ違い)咬合などの残存歯の咬合接触のない場合には口腔内でも(中心咬合位)が決まらない症例であり、(全部床義歯)補綴に準じた咬合採得を行
う。
咬合採得後、これらの口腔内で採得された顎間関係記録を用いて、(咬合器装着)を行い、必要に応じて(切歯路)などの下顎運動要素の調整を行う。
(支台装置)ならびに(大連結子)を含む(フレームワーク)は一度鋳造されることが多く、その最終設計は(作業用)模型上で(シートワックス)を用いて行う。(フレームワーク)の製作には、金合金や(金銀パラジウム)合金が用いられることが多く。
(リン酸塩系)埋没材を用いて
(フレームワーク)の完成後、隣在歯や対合歯などの残存歯と調和がとれるように(人工歯選択)を行いながら、その排列を行い、ろう義歯を完成する。
なお、種類は、部分床義歯用の人工歯として(レジン)歯が最も多く使われている。
部分床義歯製作のためのろう義歯試適時においては、義歯床・(咬合)・外観(審美性)に関する点検の前に、(フレームワーク)の(レスト)の適合を確認しなければならない。
試適が終了した義歯は(スプリットキャスト)法などにより、咬合器に再装着のための準備が行われ、その後フラスクに埋没される。多くの部分床義歯の~においては、一般的に(フランス法とアメリカ法の折衷)埋没法が用いられる。また、一部の少数欠損では、(アメリカ)埋没法も用いられる。
重合後の咬合調整(削合)および最終的な(研磨)の終わった義歯は患者の口腔内に装着される。なお、部分床義歯においても、装着後の経過観察が重要であるのはいうまでもない。
2
実習中の小テストより出題。
選択肢群
QOL
アクリル系
アルジネート
ガイドプレーン
コンパウンド
支台装置
可動部
非可動部
義歯床
維持
維持鈎腕
支持
支台歯
支台装置
把持
把持鈎腕
医療面接
診断
アメリカ法
フランス法
アメリカフランス折衷法
加圧
粘膜支持型
下顎安静位
歯冠形態
歯槽突起
歯根膜粘膜支持型
歯根膜支持型
維持鈎腕
インプラント
中間
研磨
概形
概形印象
精密
精密印象
粘膜治療
保存的前処置
補綴的前処置
隣接面板
耐火
シリコンラバー
シートワックス
被圧変位量
陶
コバルトクロム
ニッケルクロム
クリストバライト
リン酸塩系
形態
機能
レスト
レストシート
硬質レジン
レジン
歯肉
歯肉形成
残存歯
歯周組織
ユージノール
咬頭嵌合位
咬合床
研究用
作業用
下顎安静位
オルタードキャスト
スプリットキャスト
交叉
すれ違い
遊離端
上
下
前処置
大連結子
辺縁形態
辺縁歯肉
治療義歯
ワックス
解剖学的
治療計画
ダイナミック印象
最終更新:2011年01月10日 10:28