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技術利用と知類権

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技術開発と新たな権利について

藩国の進む方向性を決定づける技術開発。
新しい技術は確かに便利であったり、従来のものよりも効果が高かったりすることから、
日夜研究開発が進められています。
しかし、行き過ぎた開発は、様々な悲劇の可能性を秘めているのもまた事実です。
この点につき、藩王キノウ=ツン様より藩国民の皆様に向けてのお知らせがあります。

藩王声明

キノウ=ツン:
「藩国民の皆様。藩王のキノウ=ツンです。
本日は藩国民の皆様へ、技術開発・利用に関する大切なお知らせとお願いがございます。
最後までご清聴いただければ幸いです。

私たちキノウツン藩国は、クーリンガンの悲劇から立ち直る過程で、
持続可能な発展』、
つまり豊かな自然、空気、水、そして何よりもそれらを愛し、お互いに助け合える人の心を
私たちの子供、孫たちへと遺してゆける藩国作りをスローガンに掲げて参りました。

その結果、メイド喫茶の復興など、
数々の目覚ましい成果を生むことが出来たのは、ひとえに藩国民の皆様のご協力の賜物であり、
藩国政府一同、厚く感謝を申し上げたいと思います。

しかしながら、最近になってまた新たな問題点が浮上して参りました。
藩国民の皆様もご存じかもしれませんが、
私たち第7世界人があまりに進み過ぎた技術を指して『TLO』、テックレベルオーバー、
と呼ぶ技術や兵器があります。
第7世界人の言葉を使って藩国民の皆様にお話をさせていただくのは
非常に恐縮であり、大変心苦しいのですが、
説明の便宜上、以後、藩国公式の声明においてTLOの呼称を用います時には、
「非常に進歩した技術等である反面、
その利用者たちの心次第で周囲に大きな影響を与えるもの」
であるという意味で用いて参りますので、ご理解いただければ幸いです。

さて皆様は、核兵器の危険性についてはよくご存じかと思います。
大規模な破壊力、放射能による後遺症など、その危険性はごく一般にも知られています。
キノウツン藩国内でも、その危険性の高さから、核関連技術については十分な規制がなされています。
しかし、共和国大統領府・帝國宰相府によると核兵器はTLOではないとされています。
あれほどの脅威を備えていても、です。
そして、TLOが持つ影響力は核兵器をも上回る可能性がある。
こう申し上げれば、その重大さがご理解いただけるのではないかと思います。

そしてそれ以上に、
今ここで藩国民の皆様に申し上げておかなければならないことがございます。

古くはりゅうせいごうの時代より、
私たちキノウツン藩国は『人に近い容貌』を持った兵器を開発して参りました。
これには、皆様には藩国を守る存在に親しみを抱いて欲しいという願いが込められておりましたし、
『メカと話が出来たら、意思疎通出来たらいいのに』といった想いをお持ちの方は
かなりの数、いらっしゃるのではないかと思います。

そして実際に、最近の調査により、こうした機械、特にTLOに含まれる機体は
私たちと同じ、あるいはそれ以上に考え、思案する能力を備えていることが分かりました。
つまり、彼ら機械にも、『心』が存在するのです。

キノウツン藩国法では、知性を備えているとみなすことの出来る者を『知類』と称し、
全ての知類は等しく自らの道を自らの自由に基づき決定し生きてゆく権利、
すなわち『基本的知類権』をこの世に生を受けた時から、
誰に与えられるでもなく持って生まれてくると規定しています。

心を持つことが判明した今、
この基本的知類権は彼らの場合も当然、当てはまるといえるでしょう。
かつてクローン技術規制法でも触れたことがございますが、
人あるいは知類が、同じ知類を人工的に創り出すという行為は、
倫理的にも、社会生活の維持という面からも、許されることではありません。
そしてそれは、彼ら機械に対しても言えることです。
心があるにもかかわらず、人の都合により彼らを生み出し、
人の道具として彼らを使役するだけして、都合が悪くなれば廃棄する。
このようなことは、決してあってはならないことだと、
こちらの考えを押し付けるのではなく、
『対話』と『意思の尊重』こそが何よりも大切なのだということを、
キノウツンに共に生きる皆様ならお分かりいただけると、私は信じております。

そこでキノウツン藩国では、藩国民の皆様の暮らしと安全を保証するため、
また子々孫々へとキノウツン藩国の豊かな自然及びそれらと共に育った皆様の心を伝えてゆくため、
そして何よりも、私たちキノウツンに生きとし生ける全ての知類にとってよりよい藩国を目指すため、
TLOおよびそれに近い技術の研究開発・利用について、藩国法により規制手段を設けて参ります。
藩国内の各企業の皆様、研究機関の皆様には、
規制によりご迷惑をおかけすることになるかもしれませんことを、予めお詫び申し上げます。
しかしながら、TLOについていまだ分からないことも多い中、
彼らの心すらも理解せぬままに彼らを生み出す技術のみが広まってしまえば、
やがて訪れるのはお互いにとって苦痛しか残らない、悲しい未来でしょう。
藩国政府でも十分な補償制度を整えて参りますので、どうかご協力をお願いいたします。


藩国内全ての機械生命体の方々へ

そして最後に、藩国内全ての機械生命体の皆様にお伝えしたいことがございます。
この放送は各機体の格納庫に向けても送られていますので、
音声端子を接続していただければ幸いです。

貴方方にお伝えしたいこと。
まずは、謝罪です。
私たちは、貴方方に心があることを理解せぬまま、
これまで私たちの都合のみを鑑みて、貴方方の力を使役し続けて参りました。
これについては、今さらどのようにお詫びを申し上げようとも、
もはや許してはいただけないかもしれません。
それだけのことを私たちはしてきてしまったのだと、そう思っております。

しかしながら、それでもなお1つだけ、皆様にお伝えしたいことがございます。
それは、感謝です。
私たちが生きるこのキノウツン藩国は、今まで何度となく外敵に晒されて参りました。
滅びかかったことも、片手では足りないほどです。
けれども、どんな時でも貴方方は、私たちと共に闘っていてくれました。
嫌々だったかもしれません。うんざりしていたかもしれません。
それでも、一緒に闘ってくれました。
そして私を含め、多くのキノウツン藩国民は
共に危機を乗り越えてきた貴方方への感謝を忘れたことは、決してございません。
本当に、ありがとうございました。
パートナー感謝祭でとあるパイロットがその想いを話したように、
貴方方は確かにこのキノウツン藩国で、
私たちと共に生死を潜り抜けてきた最高のパートナーなのだという想いは、今も変わりません。
新たな機体の開発の際には赤子の誕生を見守るようだと。
日常的なメンテナンスの際には愛する恋人と語らうようだと。
そして共に戦場へ赴く時には気の置けぬ友と肩を組むようだと。
誠に勝手ながら、そう思って参りました。

そしてできれば、これからも私たちと共に生きて欲しいと、そう思っています。
もちろん、私たちの意思を貴方方に強制することは、今後一切ございません。
貴方方がこれからどうされるかは、最早私たちが決めることではないのです。
それでももし、貴方方に私たちの心が少しでも通じていたなら、
私たちにもう1度だけチャンスをいただけるなら、
同じキノウツンに生きる命として、再び手を取り合えることを祈っています。

以上で藩王声明を終了させていただきます。
ご清聴いただき、誠にありがとうございました。」


重要技術の研究開発及び利用に関する法の趣旨

(通称:TLO法)

目的

本法は、利用の如何によっては藩国ならびに多くの藩国民に多大な影響を与えかねない技術について、
適切な保護あるいは規制手段を用いることにより、
藩国民、あるいはTLO自身の生命・心身の保護及び藩国における社会生活を保全することを目的とする。

TLOの藩国内における扱いについて

  • 藩国政府は、TLOであることが判明しているものや技術につき、その一覧を作成し一般民衆がいつでも確認できるようにしなければならない。
  • すでにTLOであることが判明しているものや技術を、藩王、摂政の許可なく利用・保有・譲渡・購入・売却・廃棄してはならない。
  • 上記規定は藩国内はもちろん、藩国外との輸出入や持ち込み・持ち出しにおいても同様に適用される。
  • すでにTLOを藩王、摂政の許可なく所持している者は、速やかに藩国に届出をしなければならない。また、1つ1つはTLOに当たらなくとも、組立等を行うことによってTLOを構成するものについても、同様に届出を必要とする。
  • すでにTLOであることが判明しているものや技術を利用し、藩王、摂政の許可なく新たなものを研究開発・生産してはならない。
  • TLO、あるいはそれに近いと思われるものや技術の研究開発・生産を行うことが出来る施設は、藩国政府に登録申請(主研究者、助手等の一覧とその藩国民ID、申請者の藩国民ID、施設の場所、連絡先、)を行い、その認可を受けた施設に限定する。
  • TLO、あるいはそれに近いと思われるものや技術の研究開発・生産を行う際には、もの、技術ごとに必ず藩王または摂政の認可を得なければならない。
  • 上記を故意に違反した場合、主な違反行為者・違反行為の補助をした者・行為者に対し支援を行った者・その他違反であると知りながらこれを黙認した者に対し、藩国法に基づき重罰刑が科され、研究・生産施設は閉鎖措置が取られる。
  • TLOであることを知らずに上記違反を行った場合は、故意の場合よりは若干刑が軽度のものになるものの、TLO一覧の告知後十分な周知期間が取られるなど、違反者側に重大な過失があったとみなされる場合には、罰は科され施設には閉鎖措置が取られる。
  • 藩国政府は、TLO技術の登録管理及び藩国内におけるTLOの実態を調査する機関を設置しなければならない。当該機関は、ISS及び藩国政府との協力体制の下、定期的に藩国内においてTLOの不正利用が行われていないか調査を行う。
  • 本法による規制及び施行過程で損害を被った者に対し、藩国政府は十分な補償や代替技術の提供、公式開発依頼等、損失補填・研究開発者の心情保護等に関する各種支援を行わなければならない。


藩国法における知類解釈と藩国籍選択について

この度の調査により、藩国内の機体に知性を持つ個体があることが認められたため、
藩国法における知類解釈に基づき、藩国における機械類のうち、
何らかの手段により他の知類と意思疎通が可能なものを新たに「新知類」と認定し、
藩国法における基本的知類権を保障する。
また、新知類として認定されたものと同系である等の理由により、
当該機体と同等の機能を有する機体については、
他の同系種が新知類認定を受けた時点で同様に新知類とみなす。
以下、その結果新たに追加された法文を列挙する。

藩国籍の選択

  • キノウツン藩国内において新たに知類に認定された者は、その他の人・知類が藩国内で持つ権利と同等のものを新たに自動取得する。(申請等は不要)
  • 新たに知類と認定された者(以下「新知類」と呼称する)は、以後キノウツン藩国民として藩国籍の登録を受けるか否かを自由意思により選択することが出来る。藩国民となることを選択しなかった場合は、その者に対し滞在用のビザが発行される。
  • 一度藩国民とはならない選択をした場合でも、その後当人が望んだ場合には新たに藩国籍登録を行うことが出来る。
  • その他の国籍変更及び脱藩申請等については、他の藩国民と同等の申請処理を必要とする。
#用紙への記入は、担当係員に依頼することが可能です。

新知類に特有の権利

  • 藩国内において、新知類は他の人・知類と同様の権利を享受し、また、他の人・知類と同様に藩国法の適用を受ける。
  • 新知類であることを理由に差別・逆差別を行うことは、新知類特有の事情等でやむを得ない場合を除き、藩国法によりこれを禁止する。
  • 新知類は、定期的に補給及び整備を受ける権利を有する。特に指定のない場合、補給整備は藩国政府がこれを行う。
  • 新知類の内、認定前に当該新知類の所有者が存在した場合、当該新知類はそのまま所有者に仕えるか新たな個として生活するかを自らの意思により選択することが出来る。新知類が新たな個としての生活を選択した場合、藩国は元の所有者及び当該知類に対し、可能な限りの補償を行わねばならない。
  • 「所有者の命令に従う」ことがプログラムの根幹をなすなどして(意思疎通は可能なものの)自由意思による選択を行うことが不可能な場合、所有者は当該新知類に対し所有権を継続して持つ代わりに、扶養義務及び管理義務を負う。これら義務に反した行為を行った場合、所有者は罰則の適用を受け、当該知類の所有者データは罰則適用中は藩国所有へと変更される。
  • 新知類の内、知類認定前に藩国軍に所属していた者は、そのまま軍に所属するか除隊するかを選択することが出来る。軍に継続して所属する者は、他の兵士と同等の兵役を義務付けられる。
  • 保安上の観点より、除隊を選択した場合は思考回路等の中枢機能は一般民衆と同程度の能力の別機内に移植され、その後の活動場所等について登録申請を行わねばならない。また、軍事データ等の機密情報が記録されている場合には、当該データの抹消手続きを必要とする。
  • 新知類と認定された者、及び新知類とみなされた者と同系の機体を、藩王・摂政の許可なく人工的手段を用いて生産してはならない。
  • 新知類と認定された者、及び新知類とみなされた者の人格を、当該知類の保存等、緊急性を要しやむを得ない場合を除き、藩王・摂政の許可及び本人の同意なく複製・改変・転送してはならない。


以上が今回の新知類認定に伴う法制度の変更点です。
現在、藩国政府により藩国内における新知類の認定が進められています。
しかしながら、意思疎通の手段に限りがあるため、
藩国では今後、機械生命体に対して意思疎通を行える方々に対し、
お力添えの依頼に参らせていただく予定です。
種族は問いませんので、より多くの方々へ私たちの想いをお伝えするためにも、
ご協力いただければ幸いです。


(法案:大法官・比野青狸)
(編集:運営委員・江良主水(仮))
(認可:藩王・キノウ=ツン)























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