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魁!不良伝説

最終更新:

nwxss

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だれでも歓迎! 編集
『前略。お袋様
 私がここ都立クロマティ高校に入学してからしばらくたちました。
 最初の内こそ見慣れない人たちに囲まれ、上手くやっていけるか不安もありましたが、
今では友人もでき、青春を謳歌しております。ですが・・・・』

「おい!神山外見てみろよ!外!!」
「ロボだぜ!ロボ!!!」
「なんだよ。マジンガーとかゲッターとかじゃねぇのかよ!!?」
「んなのいるわけねーだろ馬鹿。レイバーだよ!パトレイバー!!」
「・・・・・もしかしてあれメカ沢じゃね?」
「い~やガンダムだろ!」
「「「「「!それだ!!!」」」」」

『・・・・・・お袋様。私は今、一風変わった世界にきております。』



 能天気に外を眺めて、やれパトレイバーだの、やれガンダムだのと
一々大はしゃぎしているクラスメイト達の姿に頭が痛くなる。

「はあ・・・。なんでこんなことに・・・。」

 やっぱり授業開始前に全員登校していたのがまずかったんだろうか・・・・?
 あの日に限ってみんな僕より先に来ていたし・・・・。

「お!あっち見ろ!!ロボ同士の喧嘩だ!喧嘩!!」
「おいおい!!なんか武器もった連中が生身で突っ込んでったぞ!?!?!?」

 どうやら極上生徒会の執行部の人達が鎮圧に来たらしい。
あの人達も普通じゃないそうだし外の騒ぎもすぐ終わるだろう。

「やっちまえ-!!」とか、
「行け行けそこだ!!」とか、
「ああ~俺も暴れて~!!!」とか、
「がんばれメカ沢~」などと、皆口々に無責任な野次を飛ばしている。

・・・一応言っておくと、あそこで暴れている中にメカ沢君はいない。

 しばらくして、どうやら騒動も終わったようで、
完全に見物客と化していた皆もつまらなそうに
「なんだよ~もう終わりか~?」だの
「だらしね~ぞ!こら~!!気合見せろ!!!」だのと
 不満を述べながら、好き勝手に適当なイスやら机やらに座ってタバコすったり寝たりしている。

「おいおい。もう終わっちまったのかよ?
せっかく面白そうだから今から参加しに行こうとおもったのによ~」

・・・・・・・・・・はあ~。

 相変わらずバカな事言いながら、
さっきまでトイレに行ってたらしい友人の林田君が僕の前の席に座る。
「あれ?そういや、
神山に『行くな!』って言われてなかったっけ俺等??」
 ふと、思い出したように近くにいたマサさんが呟いた。

「ん~?そういやそうだったな。・・・おい神山~。
せっかくロボとかモンスターとかあっちこっちにいるのによぉ、なんでそいつらと喧嘩しちゃいけね~んだ?」
「っていうか!なんで、てめ~が仕切ってんだよ!?」

「そ~だ。そ~だ~!!」と口々に不満を述べてくる皆。

 流石、アホで有名なクロマティ~高校・・・・
こっちにきてからも不良の皆は、いつもどおり喧嘩する事しか考えていないらしい。
 しかもロボだのモンスターだのあいてに・・・・・。

 まあ、異世界に来たことすら気づいてないだけかもしれないが・・・・。

「・・・・・だから何度も説明したでしょう?皆さん。
あんなロボだのドラゴンだの悪魔だの相手にただの不良が喧嘩しなんて仕掛けたら
あっさり殺されるに決まってるじゃないですか。」

 モヒカンにアホ面の親友林田君にでもわかるよう、もう一度しっかり説明しておく。
 ただでさえここの人たちは学習能力が無い獣みたいな人たちなのだから、
根気よく説明しないと理解してくれない。

「そうゆう危ない事は竹之内君に任せておけばいいんです!」
「?!えっ??」
「何回言えばわかるんですか?まったく。」

その僕の説明でやっと理解してくれたらしく林田君が同意してくれる。
「そっか~。やっぱ竹之内くらいじゃないと無理か~。」
「い!いやいやいや!!」
「そうですよ。あんなガンダムみたいなの相手に竹之内君以外が・・・・」
「って!!ちょ、ちょっとまてこらぁ~!!」
「??おや、どうしたんです竹之内君?」

 このクロ高のウラ番でありクラスメイトの竹之内君がいきなり話しに割り込んできた。

「何だよ竹之内。あ!わかった。お前、あいつらと喧嘩したくてウズウズしてきたんだろ?」
「さっすが竹之内だぜ!!」「ああ、なんたってウチのウラ番だからな!!!」
「やる時はよんでくれよな!竹之内!!!」
クラス内に竹之内コールが響き渡る。

 皆の強い声援に心打たれたらしい竹之内君は感動のあまり肩を震わせながら
「って!!んなわけね~だろうがぁ!!あんなの素手で勝てるわけね~だろう!!お前等俺を殺す気か!!!」

「そうか?」
「あたりまえだ!」
「でもよ~。さっきも生身で突っ込んでった連中いたろ~?」
「だから!あんな手からカミナリとか出すような化け物達と一緒にすんな!!!
つーか他の奴等もでかい大砲だの、へんな刀だのやばそうなの使ってたろあいつ等!!!」

 ふむ、どうやら流石の竹之内君にも分が悪いようだ。
スキンヘッドに血管を浮かび上がらせながら必死に否定している。

「大体なサイズが違うだろうがサイズが!!どうやったって拳が届かねえよあんなの!!!」
「あいつ等みたいに飛びゃあいいじゃね~か?」
「だ!か!ら!俺には出来ねえんだよあんな事!!!」

「「「ええ!!まじか!?」」」

 皆に衝撃が走る。
・・・・なるほど。たしかに、言われてみれば
何メートルもある巨大ロボ相手は流石の竹之内君でもハンデが大きすぎるか。

「いや~おまえなら何とかなるかと思ったんだが・・・」「なるかっ!!」

「わかりました!つまり大きさをどうにかすればいいんですね!?」
「は?い、いや・・だからそうゆう問題じゃ・・・」
「流石だぜ神山!おまえ頭いいな」
「おい!!」
 そうとわかれば話は早い。早速準備に取り掛かろう。
「では!・・・校庭でしばらくお待ちください!!」




三十分後・・・・校庭

「・・・・神山の奴。何する気なんだ?」

「そりゃあお前。でかいロボの大きさをどうにかするんじゃないか?」
「・・・・・てめえに聞いた俺が馬鹿だったよ。」

 クロマティーの校庭で竹之内と林田の二人が神山を待っている。

 他の連中も付いてこようとしたのだが
とりあえず邪魔だったので竹之内が追い払ったのだった。
 正直放って置きたいのが本音だが、とはいえ放っておけば『あの』神山の事だ。
何をしでかすか、予想も付かない以上ここで待ってるしかない。

しばらくすると走ってきたらしい神山がなにやら黒い物体を連れて帰ってきた。

「お待たせしました!こちらが今回、竹之内君の相手を勤めてくださいます『黒龍ガンダム』君です!!」
「よろしくお願いします♪」
ちょこーんと神山と共にやって来た黒い物体『黒龍ガンダム』が挨拶してくる。

 幼稚園児くらいの大きさにランドセル、
ご丁寧に胸元には『こくりゅう』とひらがなで書いた名札までしている。

「・・・おい神山。・・・なんだこいつは?」
「はい!竹之内君が戦える人間サイズのガンダム君です!!」
「名前は黒龍ガンダム!第三武者小学校5年刀組です!!よろしくお願いします♪」
元気にハキハキと黒龍ガンダムが答えるが・・・

「第三武者小学校って・・・小学生じゃね~かぁぁ!!!」
「はい♪」
「そうですね」
淡々と答える神山

「おいおいあのなぁ!!!何考えてんだ神山!!」
とにかく慌てて神山に詰め寄る。

「へー探せばマジでいるんだなガンダムって。あ、そうだアメ食うか?アメ」
「わ~い!!」

 林田からアメ玉もらって喜んでる黒龍ガンダム。
 その姿はどう見ても喧嘩しに来た奴の姿ではない。ついでにガンダムにも見えない。
 まあ、いくらガンダムが相手でもクロ高のウラ番が
まさか本気で小学生相手に喧嘩するわけにも行かないのだが・・・。

「拳が届く範囲のガンダムと戦いたいとの事でしたので・・・」
「誰も、そんなこといってね~よ!!ぶっころがすぞこの野郎!!!」
というか、だからといってなんで小学生なのだ。もっと他に何かいなかったのだろうか。

「?もしかして・・・お気に召しませんでしたか??」
「あたりまえだ!!」
「ええ!?」
「ええ!?じゃねえだろ!!てかどこの世界に小学生と喧嘩して喜ぶ不良がいるってんだよ!?
つーか喜んだらいろいろ拙いだろうが不良として!!!!」
まあ仲にはそういうゲス野郎もいるかもしれないが。

「いえ、彼も武者第三小学校の番長だそうなので。」
「はい!そうです!!」
自信満々に黒龍が返事する。小学校の番長って一体・・・・・・。

「はあぁぁ・・・ったく、頭痛くなってきた・・・・・。」
「おや?竹之内君風邪引いていたんですか?
それならそうと先に言ってくれれば」
「頼むからもうだまってろお前は!!!
とにかく!!とっととこのガキを元の学校に連れて帰れ!わかったな!!!」

「なんだよ竹之内。せっかく来てくれたんだからもうちょい遊んでやりゃいいだろ?」
「え~せっかくきたのに~。」
「い・い・か・ら!!さっさと帰れぇぇぇ!!」
校内に竹之内の怒声が響き渡る。

「やれやれ。仕方ね~なぁ。おい坊主お前んとこの学校までの道覚えてるか?」
「はい。大丈夫です。」
「そか。んじゃ竹之内が暴れだす前にさっさと行くとするか。
あ、そうだ。途中のコンビニで何か奢ってやるよ。」
「本当ですか♪♪僕プリンが食べたいです!!」
「プリンだな?よ~しわかった。おい神山、お前も来るか?」
「そうだね。林田君だけじゃ、ちゃんと送れるかどうか不安だし。」
 竹之内が本気で暴れだす前に神山達が黒龍を連れていこうとする。
 竹之内自身叫びすぎて疲れたがとにかくこれで一件落着かと思われた、そのとき

「まっちやがれ!!!」

 皆を制止する声が校舎に響いた



「今度はなんだ!?」
正直うんざりしながら声の聞こえた校門の方に目を向ける。

 そこにいたのは茶色に染めたザンバラ髪、
肘の所まで上げられた長袖のブレザーに首下をゆるくしたネクタイ、
手にはフィンガーレスグローブというクロマティーの生徒達や黒龍の昔ながらの不良スタイルとは違う
今風の不良スタイルで身を包んだ青年だった。

「極上生徒会執行部柊蓮司ただいま参上!!」

 上げる声も高らかに柊蓮司と名乗った男がこっちの方にやってくる。
 極上生徒会という事は、どうやらさっきのロボット達の乱闘騒ぎでやって来た執行部員の一人みたいだが・・・・

「やいやいお前ら!!他校の小学生なんて連れ込んで何してやがる!!
高校生にもなって恥ずかしくねえのか!?
 てめえらみたいな情けない不良の風上にも置けない連中はこの俺!
元『輝明学園の不良学生』柊蓮司が相手になってやらぁ!!!」
言うが早いか宣言とともにダッシュでこっちに向かってくる。

・・・・なんか顔がすごく嬉そうなのが気になるが。

(よっしゃあ!ひさしぶりの喧嘩だ喧嘩。
 なんせ去年はアンゼロットだのベルだのに邪魔されまくって全然喧嘩なんてできなかったもんなぁ~。
・・・だが!今はベルもいねえしアンゼロットは向こうの世界!!
 邪魔する奴がいない以上だれにも俺の喧嘩はとめられねえぇぜ!!!!)
 別にバトルジャンキーというわけではないが、
やはり不良学生だった身としては不良同士の喧嘩が恋しい時もある。

どうやら小学生もまだ無事のようだし、
さっきのアッシュフォード学園のナイトメアフレームとマジシャンズ・アカデミーのゴーレムとの乱闘は
他の奴があっさり片付けてしまってこっちは暇だったし、たまには元不良学生らしく喧嘩するのも悪くないだろう。
いつもみたいな命のやり取りと、拳と拳、意地と意地をぶつけ合う喧嘩はやっぱ違うものだ。
くれは達はあんま理解してくんねーけど・・・。

 嬉しさのあまりだったかだったった~♪だったかだったった~♪と鼻歌交じりで突撃する柊。
(とりあえず!まずはあの小学生ガンダムを逃がして!!)
 そっから喧嘩だ~!!わっふう~♪♪♪
・・・が、しかし


「おいおいちょっと待てよ。
俺たちはただこれからコンビ二行ってプリン買ってこいつを小学校に送り届けようとしてただけだぞ?」
突っ込んできた柊に林田が待ったをかける。
「へ??」

「その通りです。僕たちはただこの黒龍ガンダム君と親睦を深めていただけですよ?」
「アメ玉もらった~♪」
神山と黒龍がそれに続く。

連れてこられたらしい本人まで嬉しそうに弁護してくる。
ということは彼等の言うとおり本当に何もおきてなかったというわけで・・・・。

「・・・・・マジで?」「マジです。」「マジだな」「マジ~♪」

ひゅるるるる~とむなしい風が通り過ぎる。
「え?じゃ、じゃあもう喧嘩なし?拳と拳の勝負は!?意地と意地のぶつかり合いは!??」
予想外の展開に思わず食い下がってみるが・・・。

「ないな。」「ないよ~。」「ありません。」

・・・・ガックリ。
せっかく久しぶりの喧嘩に胸躍らせたというのに、柊蓮司どこまでも運のない男である・・・・。

「・・・あ~。そこのバカが勝手にそのガキ連れてきたのは事実なんだが・・・・。
まあ、その・・なんだ・・・。ご苦労さん。」
 よっぽど喧嘩したかったらしい柊を流石に気の毒に思ってぽん、と柊の肩に手をやって竹之内が慰める・・
なんの慰めにもなっていないが。



 こうして、
微妙になってしまったこの空気をさてどうしたものか?
 と、落ち込んでる柊を尻目に神山達が悩んでいると校舎のほうから

「・・・・ひ、柊蓮司だと?ま、まさか!!!」

と、やたら渋い声が聞こえてきた。

 ん?と玄関のほうを見てみるとそこには、なにやらワナワナと震えている謎のドラム缶・・・
もとい、神山達の友人(?)にしてどうみてもロボットであるメカ沢新一がおり、柊を指差しながらこちらに近寄ってきた。

「な、なんだあいつ?・・・ドラム缶??」
 メカ沢を始めてみた柊が思わず疑問の声を上げる。

「おいおいなに言ってんだよ?あいつはうちの学校の生徒のメカ沢だぞ。」
「そうですよ。
ドラム缶だなんて・・・・彼みたいな人なんて駅とか行けばよくみかけるでしょう。」
 柊の失礼な発言に林田と神山が反論する。
・・・・いつぞや似たような事言ってたのが何処の誰だったか・・・・突っ込む者は誰もいない。

 (いや!あんな奴ふつういね~よ!!)

 と、柊自信突っ込みたいが、横には何せ、小学生のガンダムまでいるわけだし。
 もしかしたらこいつ等の世界では当たり前の光景なのかもしれないと考えると下手な事は言えなかった。

「全く。ところでメカ沢君?こちらの彼を知っているんですか?」
 あのメカ沢君がここまで驚いているというのもめずらしい・・・などと考えながら柊蓮司の事を尋ねてみる。

「知っているも何も・・・・。と言うより神山!お前こそ知らねえのか!?」

「!?どう言う事です?メカ沢君!?!?」
 予想外のメカ沢の言葉にこちらが混乱してしまう。全く意味がわからない。
それともこの柊という人物はそれほど有名な人なのだろうか?
 疑惑の目で柊を見つめる。・・・・目線の先の柊自身困惑しているようだが。
 皆の混乱をよそに、メカ沢が柊の事を語りだす。

「柊蓮司。こいつは、こいつこそは今までに数々の伝説を生み出してきた伝説の不良!!!」
「伝説の!?」
「不良だと!?」
 皆の目が柊一人に集中する。
 伝説の不良と言われてちょっと気を良くしたのか、困惑しながらも柊の顔には少し笑みが浮かんでいる。

 どこぞの『世界の守護者』の所為でなかなか喧嘩にありつけなかったが、
元々クロ高の連中と同じ不良学生の柊だ。
当然他の不良達に不良として名前が知れ渡っているのは嬉しいものである。

・・・・なんかその知っている奴が、どうみてもドラム缶ロボなのが気になるが。


「そう!こいつこそ、全国の不良達に恐れられる伝説の不良!!!
『下がる男』ひぃ~らぎれんじぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

「ってちょっとまってえぇぇい!!!!」


 そのメカ沢の発言に皆が一斉に衝撃を受ける!
「な、なんだって!!」
「あの『下がる男』かよ!?」
「下がる男って言うな!!下がる男って!!!!」
 皆が驚愕の表情で柊を見る。当然であろう。
 生きた伝説として不良達に語り継がれているあの『下がる男』が目の前にいると言われて驚かない不良なぞ、まずいないだろう。

「本当にあの『下がる男』だってのかよ!?」
「噂には聞いていたが・・・・『下がる男』!実在したのか!?」
「ああ、間違いねえ。こいつこそ数々の伝説を生み出し、
指名手配されたがついには警察の手に負えず軍の特殊部隊『ロンギヌス』と激戦を繰り広げたと言われるあの『下がる男』!!」
「ちょっとまて!!なんでロンギヌス知ってんだよ?お前等!!」
「『生意気な中坊を徹底的にしめたい』という理由だけでわざわざ自分も中学生に下がったというあの『下がる男』か!?」
「ふざけんな!!誰が好き好んで中坊なんぞになるかぁぁぁ!!」
「そのあまりの下がりっぷりから『よるな!さわるな!学年が下がる!!』と
全国各校の落第ギリギリの不良達を震え上がらせたあの『下がる男』かよ!?」
「恐れられるってそうゆう意味かぁぁぁぁぁ!!!!!」

 それを聞いていたらしい校舎の方から一斉にぎゃあああ~という不良達の悲鳴が上がる。
 留年停学なんでもござれの彼等でも、どうやら学年が下がるのは恐ろしいらしい。
 今、クロマティー高校は阿鼻叫喚の渦に飲み込まれていた。

 しかし、そんな中
「なるほど、あなたがあの『下がる男』さんだったんですね!」
「おい!」
「お会いできて光栄です『下がる男』さん!」
「だから下がる男ってゆうな!!」
「そうだ!!よろしければサインをいただけませんか?『下がる男』さん。」
「なんでだよ!?」
「記念にです。」
「何の記念だ!!!」

「お、おい神山お前『下がる男』が恐ろしくねぇのか!?」
 不良達が下がってしまう事を恐れて『下がる男』と距離を取る中、普通に『下がる男』と会話する神山に竹之内が思わず声を掛ける。

 ちなみに林田は黒龍を連れてとっくに離れていた。

「うん?・・・ああ。大丈夫ですよ。」
 余裕の表情で神山が答える。

「なんで?」

 当然の疑問に、いつもの真面目顔で拳を握り締め

「だって、僕は皆さんと違って不良じゃありませんから!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「「「「お~!なるほど!!!」」」」」

「って!納得すんのかよおまえら!??」
「と、いうわけで!さあ、お願いします『下がる男』さん!!」

ガコン!とメカ沢の頭部のフタを開けて中から数枚のサイン色紙をとりだす神山
「ビー!!警告!!エラー!!エラー!!!」

「おい!」
「さあ!このサイン色紙にお願いします『下がる男』さん!さあ!」
すでに柊に突っ込む暇も与えない。
「い、いや、だから・・・」
「あ!ここに『神山君へ』って入れてください!『下がる男』さん!!」
「お~い。神山ぁ~。俺の分も頼むわ。」
「ぼくも~♪
あ、そうだ後、『龍之介』と『ママさん』の分もお願い。」
離れた所にいた林田と黒龍が要求してくる。

「仕方がないなぁ二人とも。黒龍君『龍之介君へ』と『ママさんへ』でいいんだね?」
「うん♪」
「では。お手数ですが彼等の分もお願いできますでしょうか?『下がる男』さん。」

「・・・・・・」

返事が無い。

「?どうしたんですか『下がる男』さん?気分が悪いんですか『下がる男』さん?」

「・・・・・・しょう・・・・。」

「え?聞こえませんよ『下がる男』さん。
もしかして、何か気に障ることでもしたでしょうか『下がる男』さん?
何かあったのなら教えて下さい『下がる男』さん。お願いします『下がる男』さん!!!」

「ちくしょおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

うわああああぁぁぁぁぁぁぁん!!と、涙を流しながらダッシュで柊は校門の方へ走って行った。

「ああ!?どうしたんですか『下がる男』さん!
待ってください『下がる男』さん!!
せめて、せめて黒龍君の分だけでもお願いします『下がる男』さん!!『下がる男』さああぁぁぁぁん!!!!」

「うるせえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」

そう捨て台詞を残しながら『下がる男』柊蓮司はクロマティー高校から去っていった。



「・・・・なんだよあいつ?サインくらいしてくれてもよかっただろ~によ~。」
「う~サイン~。」
 サインしてもらえなかった不満を言いながら林田と黒龍が神山によってくる。

「・・・・もしかしたら彼くらいの有名人だと一々サインを頼むのも失礼だったのかもしれない。」

「でもよう。せめてこいつの分くらいしてくれてもよかったんじゃねーか?」
そう言ってサインもらえなくて落ち込んでいる黒龍の頭を撫でてやる林田
「サイン~~」
『下がる男』の事はよく知らなくても、有名人のサインと言うものはほしいものなのだろう。
 黒龍は目に見えて落ち込んでいた。

「・・・・しかたないよ林田君。
やっぱりココで僕等にだけサインしてしまったら不公平になるからね。有名人には有名人なりの苦労があるんだよ」
「ふ~ん。そんなもんかねぇ。」
「僕とした事が有名人にあった嬉しさからはしゃぎすぎて失礼を働いてしまったようだ。」
己の軽率な行動を深く恥じる

「しかたない。期待させてしまったお詫びに麻帆良学園の有名店のプリンを奢ろう。」
「え!ほんとう!!」
「おいおいやけに太っ腹じゃねえか神山!!」
「せっかく来てもらったのに黒龍君には特に期待を裏切ってしまったからね・・・・さ、行こうか。
今ならまだ他の学校も授業中だから店もすいているだろうしね。」
「まあそうだよな。よし、行くぞ黒龍。」
「うん♪」
プリン♪プリン~♪と歌いながらスキップしてる黒龍を真ん中に三人が麻帆良の商店街に向かう。
その楽しそうな後ろ姿を見ながらクロ高に残った竹之内がボソリとつぶやいた。

「・・・・アイツは鬼か悪魔か何かか?」

「エラー!!エラー!!エラー!!エラー!!!!」
「メカラッタ!!メカラッタ!!!メカラッタ!!」
「うるせえぇぇぇ!!!!」
竹之内の叫びが誰もいなくなった校庭に響いた。






一時間後・・・・・・輝明学園理事長室

「・・・・・・・は、はわわぁ・・・・どしたの柊?」

る~る~るる~。

「ふ、ふふふ・・・・下がる・・・下がる男、下がる男・・・・下がるって・・・・下がるって。」

 十分ほど前にいきなり理事長室の扉を開けてやって来た柊なのだが、
入ってくるなり別に何かするでもなく理事長室の隅っこに行って、
三角座りしてずっとシクシク泣きながらブツブツ独り言を呟き始めたのであった。

・・・・正直仕事している横でブツブツ独り言呟かれるのは、ものすごく邪魔なのだが・・・・
まあ、ほっとく訳にもいかないし・・。

「は、はわあぁ・・・・・。まあ、いいけどさ・・・・私も仕事急がしいからもうちょっと静かにしててよね?柊。」
あまり邪険に扱うことも出来ずやんわりと静かにするようお願いするくれはなのだが・・・・。

「下がる・・・下がった・・・下がる・・・・ふ、ふふふ。ふふふふふ・・・・。」

 少なくとも今の柊には意味が通じてなさそうである。

「はわあぁぁ・・・・。ねえ一体どうしちゃったの柊ぃ~?」
 半分涙目になって何があったか聞くのだが・・・・今の柊は答えてもくれないようだ・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・

「ふ、ふふふ・・・・・・・・下がる・・・・・下がる・・・下、下!!ふ、ふふふふふ!はははははは!!あ~ははははははははははははは!!!!」
「・・・・・あ~もう!!柊!ちょっとうるさいよ!!!」
ガッコン!!

「は~はははっは?あ?あ!あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ~~~!?!?!?!?!?!」

 流石に怒ったくれはが、とりあえず黙らす為に理事長室に備え付けられた
『柊蓮司落下用』の紐を引っ張って理事長室の地下に柊を放り込んだ。

・・・・・・なんでこんな物がここにまであったのかは、くれはも知らないのだが。

(まあ、地下に放り込んだだけだし仕事終わった後に回収に行けばいいか。
柊が悪いんだからね?せめて何があったか言ってくれればさぁ~。)

などと軽く考えながらとりあえず今残っている仕事を片付ける。

 すると・・・・・

「・・・・・あの、くれはさん・・・・?」
 一部始終をみていたくれはの護衛である真行寺命が恐る恐る声を掛けてきた。

「何!今忙しいんだけど命君?」

ギロリ!!

 ・・・・・・ただでさえオーバーワークで余裕がないのに柊が横でブツブツ言っていた所為で、
くれはのイライラは既にピークに達していた。

「い、いえ・・・なんでもないです・・・。」

 くれはの発する不機嫌オーラに怖気づいた命が思わず口を紡ぐ。

「あ、そう?」

 特に気にする事も無く、鬼気迫る表情で書類に判子を押す作業に戻るくれは。

「全く。柊の馬鹿。馬鹿。」
馬鹿馬鹿言いながら判子を押しいている。


「・・・・・。」
その表情に怖気づいた命はもう何も言わない。

 そう、なにも言えない。

(ごめんなさい柊先輩。・・・・どうかご無事で。)

 さっきくれはが引っ張った紐。
 くれはは理事長室の地下室に送ったつもりのようなのだが、命は見た・・・・。
その紐にはこう書かれていたのだ

『スクール・メイズ地下最下層行き』

と・・・・・。




「ちっくしょおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!なんで!!なんで俺ばっかこんな目にっぃぃぃぃ!!!!!!!!!」

・・・・・スクール・メイズ最下層に柊の悲鳴が木霊する。

 周りには高レベルの魔物の群れ、
 当然こんなとこに都合よく、他のウィザードなぞいるわけもなく、
前のめりの魔剣使い一人でどうこう出来るわけもない。

 ただひたすらに逃げ惑う柊の叫び声だけが響いていた。

 ちなみに、
くれはが紐を間違えた事に気づいて柊が無事救出されたのは三日後だった事をここに付け加えておく。

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