正義のミカタ(side 保安顧問教師)
学園世界は、意外と広い。
文字通りの意味で街1つに匹敵する大きさと人口を持つ、"都市級"の学園だけでも両の手に余るほど。百人、千人単位の生徒数を持つ学園ならば数え切れぬほどある。
学園がひしめき合う。そんな表現がぴったりとくる学園世界だが、その"密度"は中心から離れるにつれて薄くなる。
そんな、学園世界においての中心、『極上生徒会管理棟』から、直線距離で数百km離れた辺鄙な場所。
そこで、赤羽くれはから依頼を受けてやって着た、2人のウィザードが戦いを終えた。
学園がひしめき合う。そんな表現がぴったりとくる学園世界だが、その"密度"は中心から離れるにつれて薄くなる。
そんな、学園世界においての中心、『極上生徒会管理棟』から、直線距離で数百km離れた辺鄙な場所。
そこで、赤羽くれはから依頼を受けてやって着た、2人のウィザードが戦いを終えた。
「ふぅ…大丈夫?あかりん」
学園世界の片隅で発生した侵魔の群れ。
その中の最後の一体をヒルコで斬り倒し、真行寺命は後ろで一緒に戦っていた"恋人"へと顔を向けた。
「…私は大丈夫。だけど…」
真行寺命の恋人にして絶滅社の敏腕ウィザード、緋室灯は無表情…だが心なし落ち込んだ様子で自らの"愛機"に顔を向ける。
「…メイン機関をやられた。修理しないと、使えない」
肉薄された侵魔の攻撃を咄嗟に受け流した際、その攻撃がブースターに命中したのだ。
その結果、彼女の箒は使用不能となっていた。
「修理用の部品が足りない。現状の装備では修理は無理」
「…そっか。う~ん。どうしよう?」
それを聞き、命が灯と同じくしょんぼりとする。
ここから輝明学園まではおよそ数百km。
箒に乗ればあっという間の距離であるが徒歩であればウィザードの足でも丸1日以上かかる距離である。
周りに学園もロクにないこの辺りには転送魔法陣も無い。
「とりあえず、くれはに聞いてみる」
灯が0-phoneを取り出し、学園世界での2人の後見人的存在であるくれはに電話をする。
くれはが色々と喋り、対照的に灯が頷いたりごく短く返事を返す電話での会話が続くことしばし。
「…分かった。行ってみる」
その言葉を最後に灯が電話を切る。どうやら話しがまとまったらしい。
「で、どうなったの?」
「ここから2kmほど離れたところに箒が配備された学園があるらしい。それを借りる」
灯は向うへの連絡はくれはの方からしておくので自分たちは行くだけで良いとくれはが言っていた、なんてなことを命に言う。
「そうなんだ…で、なんて言う学園なの?」
命の問いかけに答え、灯はその"地区"の名前を口にした。
「辺境学区」
と。
学園世界の片隅で発生した侵魔の群れ。
その中の最後の一体をヒルコで斬り倒し、真行寺命は後ろで一緒に戦っていた"恋人"へと顔を向けた。
「…私は大丈夫。だけど…」
真行寺命の恋人にして絶滅社の敏腕ウィザード、緋室灯は無表情…だが心なし落ち込んだ様子で自らの"愛機"に顔を向ける。
「…メイン機関をやられた。修理しないと、使えない」
肉薄された侵魔の攻撃を咄嗟に受け流した際、その攻撃がブースターに命中したのだ。
その結果、彼女の箒は使用不能となっていた。
「修理用の部品が足りない。現状の装備では修理は無理」
「…そっか。う~ん。どうしよう?」
それを聞き、命が灯と同じくしょんぼりとする。
ここから輝明学園まではおよそ数百km。
箒に乗ればあっという間の距離であるが徒歩であればウィザードの足でも丸1日以上かかる距離である。
周りに学園もロクにないこの辺りには転送魔法陣も無い。
「とりあえず、くれはに聞いてみる」
灯が0-phoneを取り出し、学園世界での2人の後見人的存在であるくれはに電話をする。
くれはが色々と喋り、対照的に灯が頷いたりごく短く返事を返す電話での会話が続くことしばし。
「…分かった。行ってみる」
その言葉を最後に灯が電話を切る。どうやら話しがまとまったらしい。
「で、どうなったの?」
「ここから2kmほど離れたところに箒が配備された学園があるらしい。それを借りる」
灯は向うへの連絡はくれはの方からしておくので自分たちは行くだけで良いとくれはが言っていた、なんてなことを命に言う。
「そうなんだ…で、なんて言う学園なの?」
命の問いかけに答え、灯はその"地区"の名前を口にした。
「辺境学区」
と。
―――辺境学区
「なんだか、変わったところだね」
その光景に目を奪われ、命が言う。
それは、少しだけ奇妙な光景だった。
学園の中心に位置する"広場"と、それを取り囲むように立ち並ぶのは、数十にも及ぶ小さな"校舎"
1階建てか2階建ての小さな校舎ばかりなせいか、校舎の群れのそばに建てられた、居住区ではお馴染みの一般学園用の寮が大きく見える。
「ねぇねぇ、お兄ちゃんたち、ごくじょーのひと?」
そんな光景に目を奪われていた命に声をかけてくるのは、幼い少年。
"外"からやってきた、珍しいお客に興味を示した、この"学区"の生徒たちである。
「おねえちゃん、かみがあかいけどヨマコせんせーのおともだち?」
灯に無邪気に問いかける少女は、小学校低学年ほど。
よく見ればこの"学園"の生徒はほとんどが幼い子供たちだった。
彼らは2人を取り囲みながら、好き勝手に話をする。
「そういやヨマコせんせーは?」
「"ほあんこもんかいぎ"に行ってるって。この前がユウリィせんせーだったから、今日はヨマコせんせーの番だって朝、言ってたよ」
「おい。だれかユウリィ先生よんで来いよ」
「あ、それならさっきトニーが呼びに行った」
「ユウリィ先生来たぞ!」
「ユウリィせんせ、こっちこっち!」
1人の少年が手を引いて1人の女性を連れてくる。
セミロングの茶色い髪に落ち着いた雰囲気の服。如何にも優しいお姉さんと言った感じの、大人の女性だ。
胸元には星をあしらった金色のバッチがつけられている。
少年に手を引かれやってきた女性は、灯たちを見て、丁寧に言う。
「こんにちは。先ほど輝明学園から連絡のあった、ウィザードの方たちですね」
にっこりとほほ笑む。その落ち着いた物腰は、見かけ以上に大人であるような、そんな雰囲気を放っていた。
「私はユウリィ=アートレイデと言います。よろしくお願いします」
「あ、どうも。僕は真行寺命と言います」
「…緋室灯。灯でいい」
女性…ユウリィの自己紹介に答え、灯と命がそれぞれに自己紹介を返す。
「ミコトさんに、アカリさんですね」
2人の名前を確認するように口にしたのち、生徒たちに向きなおり、よく通る声で呼びかける。
「みなさんは教室へ戻ってください!他の先生方の言うことをよく聞いて、危ないことはしないようにしてくださいね!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「はーーーーーーーーーーい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
彼女の呼びかけに答え、生徒たちが一斉に返事をする。その様子に満足気に頷き、ユウリィは灯たちに向きなおる。
「それでは、こちらの詰所へどうぞ。何もお構いできませんけれど、ここでお話するのもなんですから」
その光景に目を奪われ、命が言う。
それは、少しだけ奇妙な光景だった。
学園の中心に位置する"広場"と、それを取り囲むように立ち並ぶのは、数十にも及ぶ小さな"校舎"
1階建てか2階建ての小さな校舎ばかりなせいか、校舎の群れのそばに建てられた、居住区ではお馴染みの一般学園用の寮が大きく見える。
「ねぇねぇ、お兄ちゃんたち、ごくじょーのひと?」
そんな光景に目を奪われていた命に声をかけてくるのは、幼い少年。
"外"からやってきた、珍しいお客に興味を示した、この"学区"の生徒たちである。
「おねえちゃん、かみがあかいけどヨマコせんせーのおともだち?」
灯に無邪気に問いかける少女は、小学校低学年ほど。
よく見ればこの"学園"の生徒はほとんどが幼い子供たちだった。
彼らは2人を取り囲みながら、好き勝手に話をする。
「そういやヨマコせんせーは?」
「"ほあんこもんかいぎ"に行ってるって。この前がユウリィせんせーだったから、今日はヨマコせんせーの番だって朝、言ってたよ」
「おい。だれかユウリィ先生よんで来いよ」
「あ、それならさっきトニーが呼びに行った」
「ユウリィ先生来たぞ!」
「ユウリィせんせ、こっちこっち!」
1人の少年が手を引いて1人の女性を連れてくる。
セミロングの茶色い髪に落ち着いた雰囲気の服。如何にも優しいお姉さんと言った感じの、大人の女性だ。
胸元には星をあしらった金色のバッチがつけられている。
少年に手を引かれやってきた女性は、灯たちを見て、丁寧に言う。
「こんにちは。先ほど輝明学園から連絡のあった、ウィザードの方たちですね」
にっこりとほほ笑む。その落ち着いた物腰は、見かけ以上に大人であるような、そんな雰囲気を放っていた。
「私はユウリィ=アートレイデと言います。よろしくお願いします」
「あ、どうも。僕は真行寺命と言います」
「…緋室灯。灯でいい」
女性…ユウリィの自己紹介に答え、灯と命がそれぞれに自己紹介を返す。
「ミコトさんに、アカリさんですね」
2人の名前を確認するように口にしたのち、生徒たちに向きなおり、よく通る声で呼びかける。
「みなさんは教室へ戻ってください!他の先生方の言うことをよく聞いて、危ないことはしないようにしてくださいね!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「はーーーーーーーーーーい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
彼女の呼びかけに答え、生徒たちが一斉に返事をする。その様子に満足気に頷き、ユウリィは灯たちに向きなおる。
「それでは、こちらの詰所へどうぞ。何もお構いできませんけれど、ここでお話するのもなんですから」
―――辺境学区 詰所
「どうぞ。あまり片付いてないので、ちょっと恥ずかしいですけど」
そんな風に言って照れるユウリィに連れられて、2人は辺境学区の一角に設けられた、小さな建物に案内される。
「今、お茶を入れてきます」
部屋の中の簡素なソファーに2人が腰かけたのを確認し、ユウリィはそそくさと奥へと行ってしまう。
「…詰所って言ってたけど…」
ソファーに腰掛け、何となく暇になった命はもの珍しげに部屋の中を見る。
広さはワンルームマンションの一室くらい。来客用のテーブルとソファー。
2つ並べられたデスクの上にはテストの答案らしき書類の束と教科書などの本が並べられている。
片方がよく整理され、生真面目に整えられているのに対し、もう片方は書類が積み上げられ、本の並びもぐちゃぐちゃなので乱雑な印象を与えている。
どうやらそれぞれの机を使っている人物は対照的な性格らしい。
これだけならば、小さな職員室と言ったところなのだが、それを大いに否定するものに命の目は自然と向く。
「あれって…あかりんが前に使ってたのと同じ箒だよね?」
壁にかけられた魔法を帯びた武器らしきリングの隣に並べられていたそれ。
この学園に配備された箒、それは灯がかつて使っていたものによく似た…ガンナーズブルームだった。
ガンナーズブルームの上には武器を置くための支えが突き出ていることから、もう1本、箒があるらしい。もしかしたら今は誰かが使っているのかも知れない。
「さっきのユウリィ先生って…どういう人なんだろ?」
そんな、部屋の様子を見て首をかしげる命に、灯が答えを告げる。
「ユウリィは、シェリフ。シェリフバッチをつけてたから、間違いない」
「シェリフ?」
その響きに西部劇でおなじみのカウボーイハットを思い浮かべ、きょとんとした命に頷き、灯は自らの知っていることを説明し始める。
「そう。正確には保安顧問教師。通称がシェリフ」
そんな風に言って照れるユウリィに連れられて、2人は辺境学区の一角に設けられた、小さな建物に案内される。
「今、お茶を入れてきます」
部屋の中の簡素なソファーに2人が腰かけたのを確認し、ユウリィはそそくさと奥へと行ってしまう。
「…詰所って言ってたけど…」
ソファーに腰掛け、何となく暇になった命はもの珍しげに部屋の中を見る。
広さはワンルームマンションの一室くらい。来客用のテーブルとソファー。
2つ並べられたデスクの上にはテストの答案らしき書類の束と教科書などの本が並べられている。
片方がよく整理され、生真面目に整えられているのに対し、もう片方は書類が積み上げられ、本の並びもぐちゃぐちゃなので乱雑な印象を与えている。
どうやらそれぞれの机を使っている人物は対照的な性格らしい。
これだけならば、小さな職員室と言ったところなのだが、それを大いに否定するものに命の目は自然と向く。
「あれって…あかりんが前に使ってたのと同じ箒だよね?」
壁にかけられた魔法を帯びた武器らしきリングの隣に並べられていたそれ。
この学園に配備された箒、それは灯がかつて使っていたものによく似た…ガンナーズブルームだった。
ガンナーズブルームの上には武器を置くための支えが突き出ていることから、もう1本、箒があるらしい。もしかしたら今は誰かが使っているのかも知れない。
「さっきのユウリィ先生って…どういう人なんだろ?」
そんな、部屋の様子を見て首をかしげる命に、灯が答えを告げる。
「ユウリィは、シェリフ。シェリフバッチをつけてたから、間違いない」
「シェリフ?」
その響きに西部劇でおなじみのカウボーイハットを思い浮かべ、きょとんとした命に頷き、灯は自らの知っていることを説明し始める。
「そう。正確には保安顧問教師。通称がシェリフ」
保安顧問教師…通称シェリフとは、学園教師連合から認められた、学園の護り手たる教師のことである。
彼(彼女)たちは自身の所属する学園及びその周囲の学園の治安維持を任されており、緊急時の避難誘導などの命令権などを持っている。
モンスターや犯罪者が担当区域に現れた場合、率先して対処することが求められるため、シェリフになるには相応の『戦闘能力』が必要である。
彼(彼女)たちは自身の所属する学園及びその周囲の学園の治安維持を任されており、緊急時の避難誘導などの命令権などを持っている。
モンスターや犯罪者が担当区域に現れた場合、率先して対処することが求められるため、シェリフになるには相応の『戦闘能力』が必要である。
「極上生徒会管理棟近辺では執行委員や選抜委員が目立つからあまり知られていない。輝明学園では確かスクールメイズの管理人がシェリフだと、聞いたことがある」
そんな、灯には珍しく長いセリフを言い終えて再び沈黙する。
「そっか。じゃあ、この…辺境学区だっけ?ここを守ってる人たちってことか」
その話を聞き、納得した様子で命が頷く。
命や灯、柊のような優れたウィザードですら苦戦することもあるようなモンスターや犯罪者と戦うならば、武器の1つや2つはあってもおかしくない。
「そう言えばこの辺境学区って言うのは?」
「それは…」
「強いて言うなら、小さな学園が集まって出来た、村みたいなところ…でしょうか」
灯が言い淀んだところで、カップを乗せたお盆を持ったユウリィが戻ってくる。
「最初は私のいたフロンティアハリムの学校とヨマコのいた学校だけだったんですが、今では全部で34校の学校が集まってるんです。
と言ってもみんな1クラス分しか生徒さんのいない小さな学校ばかりでしたから、生徒さんたちの数も全部合わせてもそんなに多くないんですけど」
紅茶とクッキーを2人の前に置きながら、笑顔で答える。
外からは授業が終わった子供たちがはしゃぎ回る声が聞こえてくる。子供らしい、元気な声だ。
「前は結構寂しいところで子供達もずいぶん寂しがってましたけど、今ではみんなで勉強したり賑やかになってきたんですよ」
そんな声を嬉しそうに聞きながら、ユウリィが答える。
「さてと…輝明学園の理事長さんのお話ではうちの学園の箒を借りたいとのことでしたね」
腰掛けたユウリィの問いかけに2人が頷く。
「私は構いませんが、箒の管理はヨマコの担当でして。もうすぐ顧問会議から戻ってくると思うんでそれまで待って…」
「ユウリィ!大変よ!」
バタンと。
荒々しく扉が開けられる。
そんな、灯には珍しく長いセリフを言い終えて再び沈黙する。
「そっか。じゃあ、この…辺境学区だっけ?ここを守ってる人たちってことか」
その話を聞き、納得した様子で命が頷く。
命や灯、柊のような優れたウィザードですら苦戦することもあるようなモンスターや犯罪者と戦うならば、武器の1つや2つはあってもおかしくない。
「そう言えばこの辺境学区って言うのは?」
「それは…」
「強いて言うなら、小さな学園が集まって出来た、村みたいなところ…でしょうか」
灯が言い淀んだところで、カップを乗せたお盆を持ったユウリィが戻ってくる。
「最初は私のいたフロンティアハリムの学校とヨマコのいた学校だけだったんですが、今では全部で34校の学校が集まってるんです。
と言ってもみんな1クラス分しか生徒さんのいない小さな学校ばかりでしたから、生徒さんたちの数も全部合わせてもそんなに多くないんですけど」
紅茶とクッキーを2人の前に置きながら、笑顔で答える。
外からは授業が終わった子供たちがはしゃぎ回る声が聞こえてくる。子供らしい、元気な声だ。
「前は結構寂しいところで子供達もずいぶん寂しがってましたけど、今ではみんなで勉強したり賑やかになってきたんですよ」
そんな声を嬉しそうに聞きながら、ユウリィが答える。
「さてと…輝明学園の理事長さんのお話ではうちの学園の箒を借りたいとのことでしたね」
腰掛けたユウリィの問いかけに2人が頷く。
「私は構いませんが、箒の管理はヨマコの担当でして。もうすぐ顧問会議から戻ってくると思うんでそれまで待って…」
「ユウリィ!大変よ!」
バタンと。
荒々しく扉が開けられる。
「侵魔とか言うモンスターの群れが近くに出たって!こっちに向かってるらしいわ。さっさと片付けに…この子たち、誰?」
入って来たのは、灯と同じ、燃えるように赤い髪をポニーテールにした女性。急いで来たのかうっすらと汗をかいている。
動きやすそうなショートパンツにジャケット、そしてユウリィと同じデザインのシェリフバッチ。
肩にはガンナーズブルームをベースにしたと思しき巨大なライフル型の箒が担がれている。
年は灯と命よりは上そうだが、ユウリィより少し下と言ったところ。
彼女は詰所にいた見慣れない学生たちに快活そうなはしばみ色の瞳を見開き、ユウリィに問いかける。
「この子たちは輝明学園から来たウィザードさんたちです。それより、モンスターって…?」
「ええ、帰る途中に執行部のノーチェって子から連絡があったのよ。この近くで侵魔がまた出現したって」
言いつつ、その女性は命と灯に目を向ける。
「…ってなわけだから、アタシらはちょっと化け物退治に行かなきゃならないわ。何か用事があるならあとに…」
「いえ、僕らも一緒に行きます」
侵魔の群れとあっては知らないふりは出来ない。女性の言葉を遮り、命が答える。
「…侵魔との戦いは、慣れてる。手伝う」
灯も命に同意し、頷く。
「…分かったわ。お願い。手伝ってちょうだい」
女性が悩んだのは、ごく一瞬。彼女は笑顔で2人に手を差し出す。
「ヨマコよ。一応この辺りのシェリフをやってるわ。よろしくね」
「真行寺命です。よろしくお願いします」
「緋室灯。灯でいい」
固く握手を交わす。
「ってなわけだから、行くわよ!ユウリィ」
「はい」
ユウリィも壁にかけられたリング…彼女の武器であるトライサークルを手に頷き返す。
「灯さんは、ヨマコの予備用のガンナーズブルームを使ってください」
そう言い残し、ユウリィもヨマコの後を追って外へ出る。
「分かった」
灯が詰所に用意されたガンナーズブルームを手にして、手早く確認する。
「…タンデムシートがついている。命は私の箒に乗ってもらう」
「うん。頼むよ、あかりん」
確認を終えた2人も外へ出て、4人は戦場へと向かった。
入って来たのは、灯と同じ、燃えるように赤い髪をポニーテールにした女性。急いで来たのかうっすらと汗をかいている。
動きやすそうなショートパンツにジャケット、そしてユウリィと同じデザインのシェリフバッチ。
肩にはガンナーズブルームをベースにしたと思しき巨大なライフル型の箒が担がれている。
年は灯と命よりは上そうだが、ユウリィより少し下と言ったところ。
彼女は詰所にいた見慣れない学生たちに快活そうなはしばみ色の瞳を見開き、ユウリィに問いかける。
「この子たちは輝明学園から来たウィザードさんたちです。それより、モンスターって…?」
「ええ、帰る途中に執行部のノーチェって子から連絡があったのよ。この近くで侵魔がまた出現したって」
言いつつ、その女性は命と灯に目を向ける。
「…ってなわけだから、アタシらはちょっと化け物退治に行かなきゃならないわ。何か用事があるならあとに…」
「いえ、僕らも一緒に行きます」
侵魔の群れとあっては知らないふりは出来ない。女性の言葉を遮り、命が答える。
「…侵魔との戦いは、慣れてる。手伝う」
灯も命に同意し、頷く。
「…分かったわ。お願い。手伝ってちょうだい」
女性が悩んだのは、ごく一瞬。彼女は笑顔で2人に手を差し出す。
「ヨマコよ。一応この辺りのシェリフをやってるわ。よろしくね」
「真行寺命です。よろしくお願いします」
「緋室灯。灯でいい」
固く握手を交わす。
「ってなわけだから、行くわよ!ユウリィ」
「はい」
ユウリィも壁にかけられたリング…彼女の武器であるトライサークルを手に頷き返す。
「灯さんは、ヨマコの予備用のガンナーズブルームを使ってください」
そう言い残し、ユウリィもヨマコの後を追って外へ出る。
「分かった」
灯が詰所に用意されたガンナーズブルームを手にして、手早く確認する。
「…タンデムシートがついている。命は私の箒に乗ってもらう」
「うん。頼むよ、あかりん」
確認を終えた2人も外へ出て、4人は戦場へと向かった。
―――戦場
「数が多いわね」
辺境学区から1kmほど離れた戦場。そこに大量に現れた侵魔の群れを確認し、ヨマコがユウリィに向かって言う。
「それにまっすぐ辺境学区に向かってるわ。一気に片付けないと…」
「…分りました」
ヨマコの言うことも分かるとばかりにユウリィが堅い表情で頷く。
「ごめんね。アンタがあれ、使いたがらないのは知ってるんだけど」
「私も子供たちを守るためなら、力を使うことを戸惑わない程度には、子供じゃないつもりですよ」
申し訳なさそうな表情になったヨマコに苦笑しながら、ユウリィが答える。
「ヨマコ。それに灯さんと命さんは私が準備できるまで敵を引きつけておいてください」
3人が頷いたことを確認し、ユウリィは地面に降り立ち、3人よりやや後方に下がる。
「…プロテクト!」
ユウリィが3人の立つ“土地”に防御の魔法を施す。
「今、防御の魔法を掛けました。そこにいればダメージが軽減されるはずです」
3人にそう伝えると、彼女は集中を開始する。
「Linking to the Material…」
目を閉じて、地脈(レイポイント)から力をくみ上げる。そして彼女の周囲にある“それ”への伝達を開始する。
「…空気が?」
「私も詳しいことは知らないけど、何か“ARM(アーム)”とか言う奴に感応してるらしいわ」
辺りの気配が変わったことを察知した灯に、ヨマコが箒を敵に向けながら、言う。
「発動までにちょっと時間がかかるから、それまでユウリィに敵を近づけさせないで!」
そう言うと彼女もまた集中を開始する。
「…凄いプラーナだ」
彼女からあふれ出したのは膨大なプラーナ。それが流れを形成し、構えた箒に一気に流れ込む。
「コイツは特別製で、螺旋力に反応して火力が上がる仕様になってる…ってこれ作ったヴィヴィ先生が言ってたわ」
侵魔の群れから狙いを離さず、ヨマコが2人に言う。
「それじゃ、始めるわよ!」
そう、彼女が宣言するとともに。
轟音と共にヨマコの箒から銃弾が射出される。
ゴウッ!
溢れんばかりのプラーナを注ぎ込まれた弾丸は螺旋状の軌跡を残しながら、戦闘の敵を穿つ。
その攻撃に反応し、辺境学区へ向かっていた侵魔の群れが標的を4人に変更し、一気に向かってくる。
魔法などの遠距離攻撃が3人を襲うが、ユウリィが先ほど施したプロテクトの魔法のお陰で、届く前に攻撃が消滅する。
「こっからが本番よ!突破されても困るけど、それより撃ち漏らしが怖いわ。こっちにひきつけるわよ!」
「了解!」「分りました!」
そして、灯もまた、射撃を行う。狙いすました一撃が向かってくる先頭の敵の急所をとらえ、一撃で破壊する。
「やるじゃない!」「これぐらいならば、当然」
言葉を交わしあいつつ、ひっきりなしに敵を“狙撃”し、ヨマコと灯が次々と敵を打ち倒す。
もちろん多勢に無勢。2人の砲撃を“運良く”逃れた敵が肉薄することもある。だがそれは。
「行くよ…ヒルコ!」
灯に匹敵する実力を持つ前衛型ウィザードである命の“遺産”によりたやすく屠られていく。
前衛と後衛の鉄壁の防御。その攻撃に侵魔は結局突破することもできず。
「…ready to operate, Code: M 」
“マテリアル”を完成させたユウリィの巻き起こした炎で『一掃』されることで戦いは終了した。
辺境学区から1kmほど離れた戦場。そこに大量に現れた侵魔の群れを確認し、ヨマコがユウリィに向かって言う。
「それにまっすぐ辺境学区に向かってるわ。一気に片付けないと…」
「…分りました」
ヨマコの言うことも分かるとばかりにユウリィが堅い表情で頷く。
「ごめんね。アンタがあれ、使いたがらないのは知ってるんだけど」
「私も子供たちを守るためなら、力を使うことを戸惑わない程度には、子供じゃないつもりですよ」
申し訳なさそうな表情になったヨマコに苦笑しながら、ユウリィが答える。
「ヨマコ。それに灯さんと命さんは私が準備できるまで敵を引きつけておいてください」
3人が頷いたことを確認し、ユウリィは地面に降り立ち、3人よりやや後方に下がる。
「…プロテクト!」
ユウリィが3人の立つ“土地”に防御の魔法を施す。
「今、防御の魔法を掛けました。そこにいればダメージが軽減されるはずです」
3人にそう伝えると、彼女は集中を開始する。
「Linking to the Material…」
目を閉じて、地脈(レイポイント)から力をくみ上げる。そして彼女の周囲にある“それ”への伝達を開始する。
「…空気が?」
「私も詳しいことは知らないけど、何か“ARM(アーム)”とか言う奴に感応してるらしいわ」
辺りの気配が変わったことを察知した灯に、ヨマコが箒を敵に向けながら、言う。
「発動までにちょっと時間がかかるから、それまでユウリィに敵を近づけさせないで!」
そう言うと彼女もまた集中を開始する。
「…凄いプラーナだ」
彼女からあふれ出したのは膨大なプラーナ。それが流れを形成し、構えた箒に一気に流れ込む。
「コイツは特別製で、螺旋力に反応して火力が上がる仕様になってる…ってこれ作ったヴィヴィ先生が言ってたわ」
侵魔の群れから狙いを離さず、ヨマコが2人に言う。
「それじゃ、始めるわよ!」
そう、彼女が宣言するとともに。
轟音と共にヨマコの箒から銃弾が射出される。
ゴウッ!
溢れんばかりのプラーナを注ぎ込まれた弾丸は螺旋状の軌跡を残しながら、戦闘の敵を穿つ。
その攻撃に反応し、辺境学区へ向かっていた侵魔の群れが標的を4人に変更し、一気に向かってくる。
魔法などの遠距離攻撃が3人を襲うが、ユウリィが先ほど施したプロテクトの魔法のお陰で、届く前に攻撃が消滅する。
「こっからが本番よ!突破されても困るけど、それより撃ち漏らしが怖いわ。こっちにひきつけるわよ!」
「了解!」「分りました!」
そして、灯もまた、射撃を行う。狙いすました一撃が向かってくる先頭の敵の急所をとらえ、一撃で破壊する。
「やるじゃない!」「これぐらいならば、当然」
言葉を交わしあいつつ、ひっきりなしに敵を“狙撃”し、ヨマコと灯が次々と敵を打ち倒す。
もちろん多勢に無勢。2人の砲撃を“運良く”逃れた敵が肉薄することもある。だがそれは。
「行くよ…ヒルコ!」
灯に匹敵する実力を持つ前衛型ウィザードである命の“遺産”によりたやすく屠られていく。
前衛と後衛の鉄壁の防御。その攻撃に侵魔は結局突破することもできず。
「…ready to operate, Code: M 」
“マテリアル”を完成させたユウリィの巻き起こした炎で『一掃』されることで戦いは終了した。
―――辺境学区
「箒は後で返しに来る。協力に感謝する」
ガンナーズブルームに命を乗せて浮かび上がり、灯はヨマコに礼を言う。
「それはこっちのセリフ!アンタらがいなかったら、大分苦戦してたはずよ!」
そう答え、手を振るヨマコの顔には笑顔。
「お2人とも、お元気で。また遊びに来てくださいね」
「はい。またそのうち遊びに来ますよ。あかりんと2人で」
命とユウリィもまた、笑顔で言葉を交わし会う。
「先生たちを助けてくれてありがとー!」「げんきでねー!」「またあそびにこいよー!」
そして、辺境学区の生徒たちの言葉を背に受けながら。
「…遅くなった。ちょっとだけ、飛ばす」
夜空にプラーナの軌跡を描きながら、2人は帰りを急いだ。
ガンナーズブルームに命を乗せて浮かび上がり、灯はヨマコに礼を言う。
「それはこっちのセリフ!アンタらがいなかったら、大分苦戦してたはずよ!」
そう答え、手を振るヨマコの顔には笑顔。
「お2人とも、お元気で。また遊びに来てくださいね」
「はい。またそのうち遊びに来ますよ。あかりんと2人で」
命とユウリィもまた、笑顔で言葉を交わし会う。
「先生たちを助けてくれてありがとー!」「げんきでねー!」「またあそびにこいよー!」
そして、辺境学区の生徒たちの言葉を背に受けながら。
「…遅くなった。ちょっとだけ、飛ばす」
夜空にプラーナの軌跡を描きながら、2人は帰りを急いだ。
THE END
ヨマコ
出典:天元突破グレンラガン
辺境学区のシェリフコンビその1。
本編終了後を想定している22歳教師。若いころはガンメンをライフルでぶっ倒していた、螺旋の英雄の1人。
正確無比なライフル射撃の腕は、緋室灯にも匹敵する。螺旋力(プラーナ)が常人よりも遙かに強い『勇者』。
本編終了後を想定している22歳教師。若いころはガンメンをライフルでぶっ倒していた、螺旋の英雄の1人。
正確無比なライフル射撃の腕は、緋室灯にも匹敵する。螺旋力(プラーナ)が常人よりも遙かに強い『勇者』。
ユウリィ・アートレイデ
出展:WILD ARMS the 4th Detonator
辺境学区のシェリフコンビその2。
10Years after 直後の世界からやってきた、フロンティアハリムの教師24歳。
10年前に世界をARMの暴走による崩壊から救った英雄の1人。
極めて高い対霊能力と回復、防御の力を持つ『聖職者(パラディエンヌ)』として知られている。
大技としてはフロンティアハリムから一緒に運ばれてきたARMを起動することで『マテリアル』を使用することが可能。
ただし10年前に世界を滅ぼしかけたARMの力には思うところがあるらしくよほどのことがない限りは使いたがらない。
10Years after 直後の世界からやってきた、フロンティアハリムの教師24歳。
10年前に世界をARMの暴走による崩壊から救った英雄の1人。
極めて高い対霊能力と回復、防御の力を持つ『聖職者(パラディエンヌ)』として知られている。
大技としてはフロンティアハリムから一緒に運ばれてきたARMを起動することで『マテリアル』を使用することが可能。
ただし10年前に世界を滅ぼしかけたARMの力には思うところがあるらしくよほどのことがない限りは使いたがらない。
スパイラルブルーム
タイプ:射撃 射程:4sq* 命中:-2 攻撃力:+9 行動値:-2 スロット数:3 価格:2,500,000V.
《螺旋突破》
この武器を使用した【攻撃】ジャッジにおいてプラーナを使用した場合、プラーナ1点につきジャッジ達成値を+3する。
すなわち、プラーナ1点辺りの効果が「1D6+3」になる。
この武器を使用した【攻撃】ジャッジにおいてプラーナを使用した場合、プラーナ1点につきジャッジ達成値を+3する。
すなわち、プラーナ1点辺りの効果が「1D6+3」になる。
解説
ガンナーズブルームを基に作られた、銃型箒。螺旋力(プラーナ)を引き出す効率が非常に高い。
ガンナーズブルームを基に作られた、銃型箒。螺旋力(プラーナ)を引き出す効率が非常に高い。
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