聖書

旧約聖書ユダヤ教の聖典。これに新約聖書を足したものがキリスト教の聖典。
その一部はイスラム教で『啓典』とされているが、正確には「各預言者に与えられたそのままの聖典」が啓典であり、現在ユダヤ教徒・キリスト教徒に伝わっているものは人間が伝える中で誤りが入り込んだものとされる。
例えば創世記の「神が6日の世界創造の後に休んだ」とする記述はイスラム教徒からは否定されている。これはイスラム教が強調する「神はけして眠らず、休まない存在」という思想に反すると見なされるため。

ユダヤ教とキリスト教では旧約聖書に含まれる文書の並びが異なる。
また、同じキリスト教でも教派によって正典とされる文書に違いがみられる。
ローマ・カトリック教会?東方正教会?聖公会?では正典とされる旧約続編?プロテスタントでは用いられない。上記の教派では偽典とされるエチオピア語エノク書?を正典とするエチオピア正教会?の例もある。

聖書は世界でもっとも多くの言語に翻訳された書物といわれる。
一つの言語に多数の訳本があるという例も少なくない。
Bible Gateway
http://www.biblegateway.com/versions/
では各言語の翻訳を無料で読むことができる。特に英語版の訳が多い。
書籍で読みたい場合は、英語訳の中には千円以内で旧約新約両方を購入できる訳本がある。

日本語訳でネット上で読めるものとしては
「聖書の杜」http://bible.monochro.com/index/などがある。

日本語訳

カバーの色、スタディバイブルやチェーン式などに関する情報は各出版元のサイトで参照されたい。
小型はA6判、中型はB6判、大型はA5判であることをあらわす。

舊新約聖書

「文語訳」と言えばこれが有名。主(ヤハウェ)が、「エホバ」表記になっている。
格調高い訳文のため、創作や海外作品の邦訳で使用されることが多い。
現在、日本聖書協会から大型版限定で発売中。
昔は小型や中型のものもあったが絶版になっている。
大型
クロス装 5,040
革装 14,700

日本正教会訳(ニコライ訳)

日本正教会から出た文語訳。一般には流通していない。
各地の正教会や東京にある教団事務所で入手できる。
新約の文書全ての訳が『我等の主イイスス・ハリストスの新約』として
まとめられているが、旧約では全訳のあるものは『聖詠経(詩篇)』のみ。
その他の文書では奉神礼に用いられる部分のみが祈祷書に載っている。
Wikisource聖詠経
Wikisource我主イイススハリストスの新約

口語訳聖書

日本聖書協会から刊行されている翻訳。新共同訳と比べてお値段は
若干控えめとなっているが、旧約続編つきのものはない。
小型 中型 大型
ビニールクロス装 2,835 3,780 なし
クロス装 なし なし 5,460
革装 8,190 11,500 14,700

新改訳聖書

いのちのことば社から刊行されている翻訳。福音主義の立場からの翻訳。
第三版では「らい病」が「ツァラアト」に変更されていたりする。
小型 中型 大型
ビニール装 2,940 4,620 6,090
革装 9,870 13,020 19,320
この他、注解・索引・チェーン式引照がついた大判のものがある。
バイブルminiという小型よりもさらに小さいサイズも発売されている。

新共同訳聖書

日本聖書協会から刊行されている翻訳。旧約続編つきバージョンあり。
口語訳と比較すると「回る炎のつるぎ」(創世記 3:24)が「きらめく剣の炎」になっていたり
「ねたむ神」(出エジプト 34:14)が「熱情の神」になってたりする。
7月2日に「小型」よりもさらに小さいバイブルキューブ(B7判)が発売された。
旧約続編なし
バイブルキューブ 小型 中型 大型
ビニールクロス装 2,940 2,940 3,990 なし
クロス装 なし なし 3,990 6,300
革装 なし 9,870 13,020 17,220
旧約続編あり
バイブルキューブ 小型 中型 大型
ビニールクロス装 3,465 3,465 4,620 なし
クロス装 なし なし 4,620 7,350
革装 なし 10,710 13,860 18,060

岩波訳聖書

旧約聖書翻訳委員会、新約聖書翻訳委員会による合同訳と
岩波文庫に収録された個人訳のものとがある。文庫版の個人訳は
旧約新約ともに全巻揃っているわけでなく、また現在にいたるまで
版元品切れ状態になっているものがほとんどである。
翻訳委員会による合同訳はまず分冊で刊行され、追って
合冊版が刊行された。合冊版には普及版と机上版がある。
普及版 机上版
旧約聖書Ⅰ 律法 5,460 7,350
旧約聖書Ⅱ 歴史書 4,620 6,300
旧約聖書Ⅲ 預言書 5,670 7,560
旧約聖書Ⅳ 諸書 5,880 7,770
新約聖書 4,935 5,985

バロバロ訳

フェデリコ・バルバロによるラテン語からの重訳。版元は講談社だが品切れ中。
以前にドン・ボスコ社から出ていたものを、版元を変えて出す際に見直したもの。
6930円、サイズは一種類。かなり大きめ。旧約続編も収録しているが、
日本聖書協会から出ている訳のものとは文書の収録順が異なる。

フランシスコ会訳

サンパウロから刊行されている翻訳。フランシスコ会聖書研究所
で訳され、聖書の各文書ごとに刊行された。詳細な注解と解説がついている。
現在では分冊版は入手困難。新約聖書だけ合冊が出ている。
単行本サイズ(B6判)は1868円、文庫本サイズ(A6判)は1155円。
2ちゃんねる宗教板では2007年に旧約新約合冊本が刊行されるのではとささやかれた。
少なくとも新約では、リビングバイブルと同じくお金の単位が「円」になっている箇所(マタイによる福音書5章26節)が確認できる。

リビングバイブル

元はケネス・テイラーという人物が訳した英語訳。読みやすさが重視され、ほかと比べて意訳が多い。リビングバイブルの日本語版はネットで見ることができ、書籍としても購入できる。
邦訳本はいのちのことば社から刊行されている。新約旧約合本は3,570円。
新約のみを収録し、タツノコプロが聖書物語をアニメ化した際の作画を
挿絵として使った『アニメバイブル』(1,575円)もある。
意訳なだけあり、「うるせぇ、引っ込んでろっ!」(創世記19章9節)などくだけた会話表現が目立つ。
余談だが、訳文ではお金の単位が「円」にされている。それは重さにも適用されており、サムエル記下12章30節の「一キカル(約34.2kg)の金」は「時価何億円」と表現されている。
下記はネットでPDF形式で読めるサイト。
http://sinai.mech.fukui-u.ac.jp/jap/LivBibleJIF.htm

新世界訳

エホバの証人の翻訳聖書。一般には流通していない。
入手方法についてはhttp://biblia.holy.jp/nw03.htmlを参照。
「ヤハウェ」の部分はもちろん「エホバ」。
その他「十字架」が「苦しみの杭」になっていたりする。
主流派キリスト教徒からは教義にあわせて改竄されているという批判を受けている。
ネット上で読めるサイト
http://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E8%81%96%E6%9B%B8/nwt/%E5%90%84%E6%9B%B8/
改竄と批判されている箇所の一覧とその検証(もしくは反論)。
http://biblia.holy.jp/

幻冬舎ルネッサンス版

訳者は池田博。新約聖書の全訳。1890円。

中央公論新社(中央公論社)版

以前に中央公論社からハードカバーの全集「世界の名著」として出されていたものが、
中央公論新社から中公クラシックスの一冊として刊行された(新書版)。
旧約聖書の訳は中沢洽樹が担当。新約聖書は前田護郎が担当。
しかしながら全訳ではなく、創世記、出エジプト記、イザヤ書、
伝道の書の四つが訳されている。
全集版の12巻「聖書」には新約聖書も入っていたが、
2008年4月現在、中公クラシックスのシリーズには含まれていない。

前田護郎訳

新約聖書学者・前田護郎による新約聖書全巻の翻訳。
かつて中央公論社から刊行されていたが、現在はネットで読める。
http://members2.tvnet.ne.jp/kishio/newbible/top_page.htm
書籍版や「世界の名著」版が絶版状態にある以上、前田護郎訳の
聖書を読むにはネット版を頼るのが最も手っ取り早いと言える。

本田哲郎訳

ローマ・カトリックの司祭である本田哲郎による新約聖書の訳。
「被抑圧者や被差別者など、「小さくされた」人びとの視点から
イエスの福音をとらえた平明で斬新な翻訳。」と紹介されている。
新世社から『小さくされた人々のための福音~四福音書および使徒言行録~』
『ローマ/ガラテアの人々への手紙』『コリントの人々への手紙』
『パウロの「獄中書簡」』の四冊が出ている。2009年1月現在、
パウロに帰されていない手紙やヨハネの黙示録、また
パウロ書簡でもテモテへの手紙1、2、テトスへの手紙はまだ翻訳されていない。

光明社版

ウルガータを文語訳したもの。1954年から1959年の間に旧約聖書を四分冊した形で光明社から刊行された。
新約聖書はなし。バロバロ訳の刊行と普及と時を同じくしてあまり使用されなくなる。

田川建三訳

『書物としての新約聖書』などの著作がある田川建三による翻訳。
新約聖書の全訳を目指し、翻訳が進められている。
『新約聖書・訳と註』という書題で作品社から刊行されている。
全六分冊予定で現在三分冊まで出ている。

尾山令仁訳

モーセ五書はあくまでモーセが書いたとする牧師による翻訳。
『聖書―現代訳』のタイトルで羊群社から刊行されている。
リビングバイブルと同じく読みやすくするために大胆な意訳がなされている。
尾山令仁師の『聖書 現代訳』について

参考文献

日本聖書協会 聖書
岩波書店 岩波イスラーム辞典
和田幹男/日本語訳聖書の歴史
Wikipedia日本語訳聖書
Wikisource聖書

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最終更新:2013年11月18日 00:18