ジョン・フラム(John Frum)

メラネシアにはカーゴ・カルト(積荷信仰)という新しい宗教が分布している。
外からやってきた白人が持つ技術や製品を前にして、この地域の人々は
これらは実は白人にはなく、神によるもので、白人は先立って神との
繋がりを持ち、技術や製品を手に入れているという認識に捉えなおした。
この観点のもと、白人達と同じような振る舞いをする
(彼らが行う「儀式」をなぞる)ことで神は自分達にも
技術や製品を贈ってくれるようになるという「積荷信仰」が形成された。
これ以外にも、カーゴカルトにおける「白人」認識には様々なものがある。

ジョン・フラムとはバヌアツ・ニューヘブリデス諸島のタンナ島における
カーゴカルトの神であり、救世主である。その名前は「John from America」
に由来すると言われている。彼の兄弟とされたエジンバラ公も神とされている。

ジョン・フラム信仰は独立運動の原動力ともなり、現在でも
バヌアツの議員に信仰者を持つなど、実社会にも強い影響を与えている。

無神論者リチャード・ドーキンスは自著『神は妄想である』のなかで
イエスのような伝説的人物への信仰が短期間で形成された
例としてジョン・フラムをあげた。

ジョン・フラムが帰還し、積荷(カーゴ)を運んでくるとされている日は2月15日。
彼の信者は毎年この日に彼を迎えるための祭礼を行う。しかしながら
現在まで予言が成就し、積荷を携えたジョン・フラムが帰ってきたことはない。
かつてデイヴィッド・アッテンボローはカーゴカルトの信者である男性に
19年(当時)も待っているのにジョン・フラムが来ないなんて
遅すぎないかと訪ねた。すると彼はこう答えたという。
「もしあなたたちが、イエス・キリストがやってくるのを2000年待ててまだ来ないなら、私はジョンを19年待つことができるだろう」

参考動画



参考サイト

参考文献

  • 『神は妄想である』早川書房刊
第5章「宗教の起源」でカーゴカルトとジョン・フラムがとりあげられている。
  • 『楽園の探求』Quest in Paradise(未邦訳)
1960年にデイヴィッド・アッテンボローによって書かれた。『神は妄想である』のカーゴカルトの記述でドーキンスが参考にした本として書題があげられている。

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最終更新:2009年12月12日 00:01