モコイ(Mokoy)


オーストラリア北部のムルンギン人に伝わる悪霊。

人間に似ているが頭部が大きく、舌が無いため言葉は話せない。人間の影の塊の生まれ変わりであり、影の塊は生者が臨終となる時に「カイ、カイ、カイ」と咳き込むような声をあげながら遺体から出てくるものだという。
死、病気、怪我などはモコイがもたらすものである。人間の女性と交わることもあるが生まれた子供を食べてしまったりもする。邪悪なシャーマンは黒魔術でモコイを使役して人を襲うといい、人々に助けを求められた善きシャーマンは親しい霊を呼び出してモコイと戦うという。
モコイは梟とともにジャングルに棲んでおり夜になると活動を始めるとされる。モコイの母親が赤ん坊を地面に置いて植物を採っていたら人間に赤ん坊を連れ去られてしまったため、慌てて赤ん坊を奪い返したが人間の反撃で槍を投げられ、それに対してモコイの父親が槍で人間と戦って赤ん坊を取り戻したという話がある。

参考文献

 佐藤俊之/山北篤『悪魔事典』290頁
 テリーザ・ベイン『Encyclopedia of Spirits and Ghosts in World Mythology』92頁
 水木しげる『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪ファイル 世界編』208頁
 松山利夫『精霊たちのメッセージ 現代アボリジニの神話世界』32頁
 朝里樹『世界現代怪異事典』51頁
 水木しげる『世界の妖怪大図鑑』356頁
 水木しげる『世界妖怪大全 世界はゲゲゲ』24頁
 荒俣宏『水木しげる 日本の妖怪・世界の妖怪』74頁

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最終更新:2023年09月27日 23:28