サヴァリ(Savali)


台湾の先住民パイワン族の伝説に登場する龍ヴァラルヴァルを孕んで蛇の子を産んだ女性。漢字表記は沙瓦利。
昔、ルヴォチ家の上の方に位置していたとある家には、パスス家のサヴァリとその母が住んでいた。ある時、サヴァリは母に向かって「私は水汲場へ行く、併し母よ、私の行李を開けるな」と言いつけたが、サヴァリの母は気になって行李の蓋を開けてしまった。すると、行李の中から無数の蛇の子が出てきて、あちらこちらへ這い回っていった。そして、サヴァリは水汲場から家に帰る道中で蛇の子に出会ったので、母が蓋を開けたのだろうと思い、家に帰って行李を見るとサヴァリの予想通りに蛇の子はいなくなっていた。なので、癪に障ったサヴァリは「汝は何故私の子をあんなにしたか。私は出て行く」と言い、身支度をして笠を被ると内獅頭へと行ってしまった。母は「行くな、行くな」と言って後を追いかけたが、海に着いたサヴァリは海中へ潜っていき、そしてサヴァリの笠は回転しながら見えなくなった。実はサヴァリはヴァラルヴァルの子を孕んで海からやってきていたため、元のヴァラルヴァルの住む海へと帰っていったのだ。それから、この地をチサヴァリ(サヴァリの処)と呼ぶようになった。

参考文献

 台北帝国大学言語学研究室『原語による台湾高砂族伝説集』190頁

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最終更新:2024年05月31日 17:09